ノエルの夜
千秋真一×野田恵


「ごちそうさまデシタ」

オランダ土産とありあわせの材料で作ったノエルの夕食に、のだめは満足そうだ。

「それでは先輩、また明日デス。おやすみなさい」

夕食の後片付けを終え、のだめはバッグを持ち、玄関へと向かって行った。

「ちょ…」

思わず呼び止めると、のだめは振り向き…ツリーにくぎづけになる。

(あっ…)

「ふぉぉ…、先輩、これ…」

巨大ツリーには、小さな紅いルビーが光っている。

「のだめにデスか?X'masプレゼント!?しゅごい、キレー!」
「…つけてやるよ」
「ふぉ…」

のだめはまだ目をまるくしたままだ。
ツリーからネックレスを外し、そっとのだめの細い首にまわす。

「ひゃ…」

冷たい金属の感触と、オレの指が首筋を掠めて、のだめは思わずびくりとする。

「動くと、付けられない…」
「ハイ…」

のだめは頷くと、少しだけうつむいた。

「もう、いいぞ!」
「ハイ…あの……ありがとうございマス。でも…のだめ、プレゼント………ない、デス」

しょんぼりとうなだれるのだめが愛しくて、オレはのだめの背中に手を回し、そっと抱きしめた。

「いいよ、別に」

(それに、X'mas用に買った訳じゃないしな…)

のだめはぴったりとオレの胸に顔を埋めている。ワンピースごしに触れる、のだめの身体は柔らかく、温かい。
そっと、うつむいているのだめにキスをする。唇をついばみ、舌を滑り込ませると、のだめが少し身体を硬くする。身体にまわした腕はそのままに、歯列をなぞり、遠慮がちにしているのだめの舌を絡めとる。

「んっ、ふぅ……んっ」

のだめのくぐもった吐息が洩れる。
思う存分唇を味わうと、今度は白い首すじにくちづける。

「ひゃうっ」

慣れない感覚に、のだめが戸惑っているのがわかる。

(かわいい……)

素直な反応が嬉しくて、行為はどんどん大胆になっていく。

「や…あぁ…」

首すじに舌すべらせ、耳をそっと甘がみすると、甘い吐息がもれた。
背中にまわした腕を解き、ふっくらした胸に手をのばした。

「あっ!だ…め」
「……イヤ?」

身をよじるのだめの腰に腕をまわし、耳もとで囁いた。…のだめは、小さく首を横にふる。
オレは、のだめをそっとベッドへ下ろした。のだめは、不安そうに身体を硬くしてうつむいたままだ。
再び胸の膨らみに手をのばすと、のだめがビクリとした。

「のだめ……おまえ…」
「ハイ…」

小さな声は微かに震えている。

「一応、聞いてみるけど…初めて…か…?」
「ハ…イ」

のだめの声はさらに小さい。

「怖い…?」

こくり、とのだめがうなづく。

「優しく、するから…」

耳もとで囁くと、かすかにのだめがうなづいた。
オレは、ワンピースの上からのだめの胸をそっとなでさする。

(やっぱり…大きい…)

服ごしからでもわかるふくらみを堪能すると、オレはワンピースのファスナーを下ろした。

のだめはぎゅっと目を閉じ、されるままになっている。
ニットのセーターをするりと脱がせると、白地に赤い糸で刺繍の入ったブラとショーツ姿が現れた。

(うわ…なんか……綺麗なんだけど…)

思わず見入っていると、のだめがおずおずと声をかけてきた。

「あの……先輩…、電気…消して下さい…」

のだめは、隠しようもないふくらみを、それでも両手でおおっている。

「ああ…」

少し勿体ない気もするが、のだめの訴えを聞き入れ、部屋のあかりを消した。
部屋には窓ごしに月あかりが差し込んでいる。
オレは自分も衣服を脱ぐと、ベッドの上に座り込んでいるのだめの側で膝をついた。薄ぐらい室内で、のだめの白い身体がぼんやりと浮かぶ。…そっと手をのばし、何度目かのくちづけをする。オレの舌の動きに、ぎこちなく応えるのだめが愛しい。

背中に手をまわし、ホックを外す。
しめつけを解かれ、弾力のあるふくらみが揺れる。その、手の平にあまる胸を、すくいあげるように両手で包んだ。ゆっくりゆっくり刺激を加えていくと、先端が硬く、主張してくる。
オレは、二本の指で挟み、そっと力を加えてみた。

「や……っん」

のだめの唇から、いつもとは想像もつかないような、かわいい声がもれる。

(たまんねーな)

変態のだめはどこかに隠れて、ただ不安げに、恥ずかしそうにしつつも、抵抗することなくオレに応えようとするのだめが…本当に、たまらなく愛おしい。

(もっと…見たい…)

新しいのだめを発見する喜びに、欲情が加わって、今日はもう自分を止められない気がしていた。

白いふくらみの頂きを口に含むと、のだめの身体がのけぞる。
なだらかな曲線を描くウエストに手をまわし、唇で、舌でじっくりと味わう。

「あっ…、やっ…」

途切れ途切れの甘い声と吐息が続く。オレは、胸への行為はそのままに、片方の手を最後の一枚へのばした。

オレが新しい動きをするたびに、のだめは避けるように身をくねらせる。それでも、オレは薄い布地の上から、その部分に触れた。
「あっ…」

のだめが小さく叫んで、オレの肩に胸を埋めた。
そっと、指を上下させると、すでに熱く潤っているのが感じられる。

(こいつって、すげー感じやすい?)

新たなのだめを発見して、オレは胸が高鳴る。

「んっ…あぁ…」

指が動くたび、遠慮がちな声がもれる。

「…っ、ひゃっ!?」

のだめの声が一際高くなる。オレの指は、のだめの一番敏感な突起を見つけだしていた。

「あっ、ああっ…」

そっと、指の腹で押してみる。びくびくと身体を震わせ、逃げようと身体をひねるのだめを抱き寄せ、ベッドに横たえた。
細い腰に結ばれた紐をほどき、最後の一枚をするりと抜き取ると、腕の中でのだめの身体がさらに硬くなる。
オレは、月あかりに浮かぶ白い素肌を目でも確かめたい気持ちを抑えつつ、直に、指をはわせた。

「はうぅ」

のだめはのけ反り、吐息をもらす。

(うわ…)

想像よりずっと、熱くて柔らかなのだめ自身に触れて、オレは身体がカッと熱くなるのを感じた。

指を滑らせ、ひだをなぞり、蜜をすくい上げる。

ぴちゃ…

指を動かすたびに、微かだが確かに水音がする。

気がつくと、のだめは枕を抱え顔を隠していた。

「おい!」

枕をはぎとると、のだめが潤んだ瞳でオレをみつめる。

「何やってんだ?」
「だって、恥ずかしいデス。変な声、でちゃうし…そんなこと…されて…」

のだめは、暗がりでもわかるくらい真っ赤になってそれだけいうと今度は手の平で顔を覆った。

「バカ…」
「むきゃ!バカって、何デスか!…ひゃっ、あっ」

オレは、敏感な突起をなであげた。

「声を聞くのも、楽しみの一つなんだよ」
「そうなんデスか?」
「…うん」

(たく、こんな事言わせるか…?)

「だから…」
「あぁっ…ん」

オレの指が動くたび、甘い声と水音がもれる。

「声、殺したりしなくていいから…」
「ハ…イ…。あっ、はあああっ!」

新たな感覚に、のだめがひときわ大きな嬌声を上げる。

「やっ、せんぱ…い。何っ…ああっん」

オレは、のだめの脚を大きく割開くと、その場所に唇を這わせていた。

「やっ、ダメです。そんなこと……あっ、やんっ、の…だめ…恥ずか…し…デス」

脚を閉じようとするのだめの太ももを抑え、舌でやわやわと入口を揉みほぐす。
蜜を溢れさせているそこに、そっと舌を入れると、のだめの身体に力が入るのがわかる。それでも、ゆっくりと、蜜を舐めとるようにしてやる。
のだめの身体から力が抜けていくのを確認すると、今度はぷっくりと膨らんだ蕾を唇に含んだ。

「っ!あああっ」

ビクン!とのだめが跳ねる。
オレは両手で腰を掴んだまま、そのまま舌で転がし、小刻みに揺らしてやる。刺激が強すぎないようにしながら、オレは、指をそっと沈めて行った。

「あっ!痛っ…。ふぁっ、あっ」

指が進むたびに、身体がびくりとする。けれど、蕾に与えられる快感が、そこを潤していた。

(きついな…)

そう思いながらも、ゆっくりと指を動かした。

ちゅぷ、くぷっ…

指が、ゆっくりと出入りするたび、水音がもれ、のだめが荒い息遣いをあげる。

「ひゃ!ああっん」

軽く蕾に吸い付くと、吐息とともに指をぐいぐいしめつける。
敏感なのだめの身体に驚きと喜びを感じながら、指を増やしてみた。

「あっ…」

のだめの声は、明らかに苦痛を訴えている。

「…やめるか…?」
「…だいじょぶ…デス」

荒い息をしながらのだめは答えた。オレは…けれどためらっていた。

「ほんとに、だいじょぶ…、デスヨ?」

のだめに優しく促され、オレは片腕でのだめを抱き抱えると、再び、ゆっくりと指を沈めていく。

指をすっかり飲み込み、荒い息をしているのだめにくちづける。そして、ゆっくりと内壁を刺激してみる。…のだめは、ぎゅっと唇を噛み締め、痛みを堪えているようだが、それでも時折、苦しそうな声をもらす。
オレはたまらずに、そっと指を引き抜いた。

「のだめ…」
「…ハ…イ」
「今日はもう、やめよう」
「な、なんでデスか?」
「いや、だって…辛いだろ?」
「…だいじょぶ、デス」
「いや…でも…」
「だいじょぶ、デスから。のだめ…」

細い腕がオレの頭をかき抱く。

「のだめ…千秋先輩と……ひとつに、なりたい…デス」
「でも…」
「それに…」
「それに?」
「最初はみんな、痛いんですよね?」
「…そう、聞くけど」
「のだめ、頑張りマス」
「…」
「先輩、遠慮は無用ですヨ!」

さっきまで震えながらオレに身を任せていたのだめに、なぜか背中を押されて、オレは思わず

「わかった…」

そう答えていた。

オレは、ボクサーパンツを脱ぎ、準備をして、自分自身をのだめの入口に宛がう。

「あっ…」

それを感じて、のだめが小さな声を上げた。
オレは、のだめの熱さを自身で感じながら、ゆっくりと腰を沈めていく。

「ん、んんんっ…」

くぐもった声が、のだめの口からもれる。と、同時に、熱く、痛いほどの締め付けがオレを包む。
ほんの少しだけ、自身をのだめの中におさめ、のだめの様子を伺うと、のだめはきつく目を閉じ、手を口に押し当てて、痛みをこらえていた。

「のだめ…」
「へーき、デスヨ…」

(平気な訳ないだろ…)

汗ばんだ身体も、月あかりに浮かぶ涙も、のだめの苦痛を十分すぎるほど表している。

「だいじょぶ、デス。のだめ、千秋先輩とひとつになりたいデス…」

のだめは、優しくささやき、再びオレに抱き着いてくる。

「うん…」

再び、ゆっくりと腰をすすめる。

「うっ…あっ……」

強張る身体を、抱きしめる。

「力…抜いて…」
「ハイ…」

のだめはそう答えるが、身体は強張ったままだ。

「息を…」
「ハイ…」
「ゆっくり、深く…呼吸して」
「ハ…イ」

荒い息を調え、のだめがすうっと息を吸い、ゆっくりと吐く。それに合わせて、オレは自身を沈めていく。

「はぅっ」
「だ、大丈夫か?」
「ハイ…」
「無理だったら言えよ。やめるから…」
「…真一くん…。だいじょぶですから…。のだめ、がんばれます。だから、やめないで…」

のだめの声が、涙で潤んでいる。オレの背中にまわされた手に、力がこもる。
何か言わなくては…そう思うが、胸がつまって、何も言えない。オレは、ただだまって、オレ自身を押し戻すほどの締め付けをつづけるのだめの中へ、再びゆっくり、入っていく。

「あっ、んっ…」

のだめは苦痛の声をあげるけれど、オレはもう、止まらないことにした。ゆっくり、けれど強く、のだめの中に進んでいく。

「はうっ、あっ、痛いっ…」

のだめのまなじりが、涙で濡れている。けれど…。
のだめへの愛しさを強く感じながら、オレはようやくのだめの中に自身をおさめた。

(すごい…)

のだめの中は、ヒクヒクとうごめき、絡みついてくるようだ。
その熱さと締め付けで、オレは、痺れるような快感を味わっていた。

のだめの息が整うと、オレはそっと、自身を動かした。

「あっ……う!」

再び、苦しげな声がもれる。
少しでも痛くないように、ごく僅かに身体を離し、また沈める。それでも、のだめは苦しそうで、それなのに、自分は痺れるような快感がある。罪悪感と快感が、オレの中で交錯すしていた。

「しんいち…くん」
「なに…?」
「気持ちイイ…ですか?」
「…ん」
「のだめ…うれし……デス。のだめ…」
「ん…?」
「せんぱいと…ひとつに……なって…ます…よ…ね?」
「ああ…」
「だいすき…デス…」
「うん…」

繰り返し与えられる痛みの中で、それでもふんわりと微笑んでのだめが囁きくちづけてきた。
オレは…もう、堪らなかった。

「のだめ…ごめん…」
「え…?はっ、あっ…せんぱ…い、あっ、ううっ」

オレは思わず、のだめを強く、突き上げていた。それが痛みを伴うのはわかっているのに、もう、止められなくて。

「…せんぱ…い、痛い…デス、あっ」

苦痛を訴える唇を唇でふさぎ、激しく中を突き上げる。
そのたびに、水音がもれ、ベッドのスプリングが軋んだ音を立てた。

「ううっ、んっ…」

オレの動きに合わせ、苦しそうな吐息がもれ、のだめの白い身体が揺れる。

「くっ…」

何度めかの突き上げの後、オレは欲情を吐き出していた。

「ごめん…大丈夫か?」

まだ、ぼんやりとしているのだめの髪をなで、額にそっとキスをした。

「ハイ…」

のだめの声は弱々しい。理性を失い、激しくのだめを求めてしまって、罪悪感で一杯だ…。
それが分かったのか、

「のだめ、幸せデスよ…?」

汗ばんだ胸に顔を埋め、のだめは囁く。

(…まったくこいつは…)

のだめの中に大人と少女がいて、オレを惑わせたり、喜ばせたりするんだ…。
温かく、柔らかな身体が、オレに纏わり付いてくる。

「真一くん…」
「何?」
「大好き…デス」
「………オレも…」

けれど、のだめの答えはなく、代わりに規則正しい寝息が聞こえる。
痛みと緊張から開放され、眠ってしまったらしい。
オレは、涙の残るまぶたにキスして、柔らかな身体を抱き寄せた。
そして、のだめの寝息に釣られるように、眠りに落ちていった。






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