失いたくない(非エロ)
千秋真一×野田恵


AM3:00。

すっかり遅くなってしまった。(ヴィエラ先生に飲みに連れ回されて)
やっぱりケータイにでない。
あいつ…もう帰ってるだろ。寝てるかもな…
オレは三善のアパルトマンへと向かっていた。
とりあえず謝って…それから今日のことを全部話そう。
オレは合鍵でドアを開けた。
………アレ?人の気配がしない。

「のだめーおーい」

…いないのか。
いや。この時間にいない訳がない。ここ以外のどこか…
とりあえずターニャの部屋を尋ねた。

「何よ千秋〜こんな時間に〜ハァ?のだめ?知らないわよ!そんなことで起こさないでよ!あ〜眠い。オヤスミナサイ!」

バタン!

乱暴にドアを閉められた。かなり機嫌が悪かった。フランクとユンロンも同じく。
まぁこんな時間に起こされれば誰でもそうなるだろうが。

オレはアパルトマンから飛び出した。
どこにいるんだ?
ランベール夫人のところを出たのは電話で確認した。
だとすると………駅、か?
車を駅へと走らせる。
ホームのベンチにのだめは横たわっていた。

「のだめ!!」

返事が無い。寝てるのか…
近付いて寝顔を見て驚いた。
目の周りが信じられないくらいに真っ赤に腫れていて…それを見ただけでこいつがどれほど辛かったのかが一瞬で理解できた。
それと同時に罪悪感で胸がいっぱいになった。
とりあえずのだめをアパルトマンに運んだ。
そしてベッドに寝かせた時に寝言が一言。

「しん…ぃちく…の…ばか…」

夢の中でまでこいつを苦しめているのか。
感じていた罪悪感はさらに大きくなった。

「…でも…大…すき…デス…よ…」

今までさんざん言われたことのある言葉なのに…
今は他のどんな言葉より嬉しかった。
嬉しくて涙が止まらなかった。
今日はこいつが起きるまでココにいよう。
そして起きたらとにかく謝ろう。
こいつが許してくれるまで何度でも。
ずっと一緒にいたいから。

こいつを失いたくないから。






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