唇の感触
千秋真一×野田恵


「…ん…」

頭がガンガンに痛い。目を開けると、いきなりのだめの寝顔が視界に飛びこんできた。
オレはのだめの部屋のコタツに寝ていた。隣にのだめ。

・・・そうだ、昨日Sオケの卒業飲み会に出て…

朝の5時まで飲んでいたのに、さらに帰りにコンビニで大量の酒を買いこんで
「コタツで飲みたい」と言ってのだめの部屋に入ったことを思い出した。
コタツ机の上にはビール缶が散らばっている。
カーテン越しに光が差込んでいる。
ふとのだめの姿を見て…驚いた。
こたつ布団を肩までかけて寝ているが、その肩は素肌だった。

えええええっ!?

そっと、こたつ布団をめくってみる。のだめは上半身裸で寝ていた。

(なっ、なんでだよっ!?オレ、何にもしてないよな!?)

してないという確信はあった。自分の服は、スーツのジャケットを脱いだだけの
シャツとパンツのままだし・・・。
オレが脱がせた…?そんなハズは…
記憶の糸を必死でたどる。…そうだ、確か…
オレが先にこたつに横になった後、

「のだめ、ビールをワンピにこぼしちゃいました!着替えなくちゃ…」

とか、遠のく意識の中で聞いたような気がする。
着替えの途中で酔って、力尽きたのか?
確かにこのゴミの山の中から、酔っ払って着替えを探すのは面倒だろうが…
それにしたって…。
まだ酔いが残ってぼぅっとする頭をかかえながら、のだめを見る。
昨日は鈴木姉妹に「たまにはのだめちゃんもお化粧、してみない?」とメイクしてもらったらしく
ほんのりと目元と唇にメイクが残っている。
ちゃんとした格好して、黙っていればこいつも可愛いんだよな…。
さっき一瞬しか見なかったけど、胸も…結構あったような気がする…

しかし、どーすんだ?これ。
ここでのだめが起きたら、ぎゃぼー!とか言って、オレが脱がせたことになるんじゃないか?
それだけは困る!
適当な衣服をオレが着せた方がいいのか?
でも途中でのだめが目覚めたら…

「んー…喉が乾きました…」

のだめが目をこすりながら体を起こそうとした。

「まっ、待て!」

体を起こしたら胸が見えてしまうじゃないか!

「?せんぱい…、ビールとって…」
「まだ飲むのかよ…」

ウーロン茶を渡そうと思ったがビールと酒しかない。
仕方なくビールを渡すと、のだめは体をほんの少し起こして一気飲みした。
布団は体にかかったままだ。なんとなくホッとするオレ。
自分も喉が乾いたので、フタの開いてなかったビールを一気飲みする。
のだめはまた横になって目を閉じた。そうだ、自分も寝てしまおう。
そしてのだめが先に起きれば、勝手に服も着るだろうし、それで解決じゃないか?
と、のだめに背を向けて寝ようとしたその時、さらっ…と後ろ髪を指で梳かれた。

「!?」

振り向くとのだめの顔が真横にあった。

「先輩の髪、サラサラですね〜…」

いつのまにかのだめはオレの真横に入ってきていた。やばいだろ、こんなカッコで!

「ちょ、おまえ…」
「せんぱい…シャンプーの匂いがしますー」

のだめはオレの首の後ろに両腕を回した。
のだめの胸が自分の胸に押しつけられる。シャツ越しにやわらかい感触が伝わる。温かい。
これは完全にヤバい!

自分の下半身が緊張しはじめる。
なんで、こんなところで、いきなり、のだめに…。
でも頭もぼぅっとしてるし、のだめも脱力したように首に手をまわしたままだ。
のだめの顔が自分の顔のすぐ横にある。吐息が耳にかかる。

「はぅん…」

のだめはまだかなり酒が残っているのか、苦しそうな声を上げる。

「離れろって…」

とのだめの肩に手をかけた時、
よろめいたのだめがオレの耳たぶにキスをした。
というか、よろめいて結果的にキスになってしまったという感じだった。
オレの耳に、やわらかな唇の感触が残る。

「んー…」

のだめは、オレの肩に顔をのせて、気持ちよさそうな顔をして目を閉じた。
腕枕のような体制になった。
こいつ、わかってて誘ってるのか?
のだめの肩にかかっていた布団はいつのまにかはだけて、自分に体を預けるのだめの胸はすべて見えてしまっていた。

「えっ…」

予想外に大きい胸にオレは驚いた。それに、白いし…肌も綺麗だし…
ち…乳首も淡いピンク色だし…
このガサツな女が、こんな女っぽい体をしていたなんて。
思わず、はだけついでに布団を下までめくってみると、紐のパンツを履いていた。ホッとするオレ。しかし、紐か…

オレの中で何かがはずれたように、気づくとオレはのだめの髪をなでていた。
酔っているからだ。酔ってなくちゃ、すぐにのだめを起こして服を着せてる。こんな格好させてない…。
もう少しだけこうしていたい気もするが、いったいどうやってこの場を収拾つければいいんだ…?

自分の下半身に緊張を感じ続けていたが、これも酔ってるから、朝だからであって…

「!」

髪をなでられていたのだめが急に顔を上げてオレを見た。
寝ているオレに、上半身裸でのしかかっているのだめ。
今度こそ意識覚醒か?と思ったが、目はとろんとしているので、そうではないのか…

「せんぱいの唇って、きれいな形ですよネ…」

と顔を近づけてくる。
次の行動は読めたのに、オレは動かなかった。

その瞬間、唇が重なった。

(・…やっべー・…)

と思いつつも、自分から動くわけにはいかないとのだめの動きを待った。
5秒、6秒…のだめは動かない。俺の顔の上にのしかかって唇を押し付けてくるだけだ。
そうだよな、多分、こいつ、初めて…。しかも酔っ払い。
なんだか自分でもわけがわからないうちに、オレはのだめの頬に手を添えて
一度のだめの唇を自分の唇から離すと、また口付けしてのだめの下唇を自分の舌先で舐めた。
のだめは目を閉じたまま、「んっ…」と吐息をもらした。
やわらかい感触…。頭がしびれてくる。
のだめの頭を抱えて、のだめを下にして寝かせる。のだめの耳たぶに口づける。
頬にキスをして、また唇にキスする。のだめは起きているのか、いないのか…
薄く目を開けたり閉じたりしている。

気づくとオレの手はのだめの胸にのびていた。そっと、のだめのふくらみを包み込む。
見た目通りの、やわらかくて、手のひらにしっとりとはりつくような感触。
小さなピンク色の乳首を指先でちょっとつまみあげると、のだめは目を閉じたまま

「あっ」

と小さな声を上げて体をよじった。

なんなんだ、どーすんだ、オレ?何やってるんだ?このままやっちゃうのか?
酔ったはずみで、ごまかされるのか?いくら普段好き好きって言われててもこれじゃ強姦じゃねーのか?
そう思いながらものだめの乳首を口に含んだ瞬間、
のだめの携帯からにぎやかな着信音が鳴った。
プリごろ太のオープニングテーマだ。
千秋ははっとのだめから体を離して、こたつ布団に頭までもぐりこんだ。

着信音は10秒くらい鳴って止まった。メールだったのか…。
のだめは「うー…ん」と目をこすっている。

「はふ〜、寝ちゃいましたね…。」
「むきゃ!何デスか、このカッコは!」

布団の向こう側で叫ぶのだめ。
オレは寝てる、寝てるんだ…。

「パジャマ、パジャマ…」

ガサガサとゴミの山?を探る音が聞こえる。
しばらくたって、静かになったのでそっと布団から顔を出すと、
のだめはパジャマを着て再び眠りについていた。

オレはさっきまで何をしてたんだろう。のだめの裸の残像も、唇の感触も、
まだはっきりとこの体に残っている。
あれは確かに事実だ。でも、のだめが覚えていないなら…。
オレにだってさっきの行動の意味が自分で説明がつかない。

オレはまたビールを1缶一気飲みして、眠ることにした。
のだめが覚えていたら、どうすればいいんだろう…?

「しんいちくん、でんわ…、起きてぇ」

のだめに体をゆすぶられた。
竹叔父さんからの電話だった。
それにもあせったが、のだめが先に竹叔父さんからの電話に出てしまったことにも…。

「電話…だれからですか?」

のだめはまだ寝ぼけてるがけろっとしている所を見ると、あの事は覚えてないらしい。

「なんでオレ、おまえの部屋に?」

と聞いてみた。

「え〜 おぼえてないんですかあ?」

と笑うのだめ。
おまえこそ覚えてないのかよ。
…まあ、いいや。
とりあえず、竹叔父さんの家に行かなくてはー…。
まだのだめの唇の感触が残る自分の唇をぬぐいながら、オレは支度を始めた。






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