千秋真一×野田恵
![]() 12月31日大晦日、23時20分。 のだめは朝から夕方まで千秋と一緒にのだめの部屋の大掃除をした。 夜は、千秋の手料理や買ってきたケーキやお菓子やワインと共に こたつでテレビを見ながら千秋と年越しだ。 少しワインを飲んで、ほんのり赤い顔をしたのだめに千秋が言った。 「あ、のだめ、風呂入ってこい。掃除のあと入ってないだろ」 「ぎゃぼ、もうすぐカウントダウンデスよ…」 「せっかく部屋掃除したんだから、おまえもきれいにしてこい!」 「先輩入ったんですか?」 「俺はこっちの部屋にメシ持ってくる前に入ってきた」 「…わかりました。お風呂入ってる間に寝ないでくだサイね」 「カウントダウンだろ…。はいはい」 のだめはバスタオルや服を出してきてバスルームに向かった。 パリの町はどこもかしこも盛り上がっている。だが最近の大晦日は 盛り上がりすぎていささか危険だ。 夜の町へ行くより二人でゆっくり過ごすほうがいい。 ノエルの夜に喧嘩をして仲直りをして一週間。 恋人として初めて迎える新年。 「あ、先輩、寝ちゃ駄目っていったのにい」 のだめがシャワーから出ると、千秋がベッドで寝息を立てていた。 白いキャミのセットの上にピンク色のカーデガンを羽織ったのだめは そっとベッドに腰掛けた。 千秋は目を覚ます様子もなく、すうすう寝息を立てている。 のだめはそうっと、千秋の頬にキスをした。 「今年もおつかれさまでした。」 そう言ってのだめは微笑んだ。あと五分で年が明ける。 「のだめ…」 小さい声で、千秋に呼ばれた。 「先輩…?あれ?起きてます?」 のだめが言うと、千秋はまぶしそうに目を開けた。 再び目を閉じ、のだめの手首を握った。 「…寝ろよ」 「のだめのベッドは二人は寝れないデスよー。のだめはおこたで寝マス」 「違う…」 千秋がのだめの手首を引っ張ると、のだめはベッドに倒れこんだ。 「うきゃ…」 二人の視線が会った。のだめは千秋を正視できず、すぐ顔をそむけた。 千秋はのだめの背中に手を回し、ぐっとのだめを引き寄せる。 「嫌か?」 のだめは首をぶんぶん横に振った。 「嫌じゃないデスよ・・・」 顔を真っ赤にして俯いた。 「じゃ、電気消すぞ…」 「待って、カウントダウンもうすぐデス…」 10、9、8、7、6、5、4、3、2、1… 「あけまして…ん」 のだめの唇が千秋の唇で塞がれた。いつもの軽いキスではなく、初めての、キス。 そっと目を瞑ると、舌が入ってきた。のだめはとりあえず、からめるのが精一杯だった。 とうとうこの日が、やってきた。 電気を消した千秋がベッドに戻ってきた。何も見えない。 二人とも布団にもぐると、すぐ千秋はのだめのほうへ体を向けた。 長い指で髪を撫でられた。 「お前また髪ちゃんと乾かしてない…」 「は、ごめんなさい…」 「風邪ひくぞ」 「はい…」 千秋の顔が覆いかぶさってくる。唇が重なり、手がのだめの頬をそっと撫でる。 緊張のあまり、のだめは千秋の服ををぐっと握り締めた。 耳たぶを噛まれ、首筋に唇が這うと、のだめはぎゅっと目を閉じた。 服の下から千秋の手が入ってきて、のだめの乳房に触れた。 そのままするりと服を持ち上げ乳首が舌に包まれる。 「ひゃっ…」 言い様のない感覚に体がこわばり、息が苦しい。 千秋の服を握り締める手に力が入ると、千秋はそっとのだめの手を握った。 「そんなに緊張するな」 「無、無理デス…」 千秋はのだめの手をベッドに押し付け、再び乳首を口に含んだ。 「はあ…ああん」 全身の神経が胸に集中したかのようだった。 羞恥心と気持ちよさの間で心が揺れる。 ねっとりと舌がまとわりつく感覚がしばらく続くと、子宮の奥が熱い感じがした。 少し目を開けて、暗闇の中の千秋を見た。 ただ黙々とのだめの乳房を愛撫している。 ちゅっ、ぴちゃっという音が暗闇に響く。 長く恋焦がれた人に愛され感じさせられていることに、かあっと全身が熱くなった。 「し、しんいち…んん」 苦しげに千秋の名をを呼ぶ唇が塞がれ、ピンク色のカーデガンとキャミを脱がされた。 さっと右手がのだめの下着の中に入り、秘部に触れた。 「いやっ」 足に力が入り、左手で千秋の服をぐっとつかむ。 「緊張するなって…力抜いて」 あっさりと下着を脱がされ、足を開かされた。 「し、下見ないで、お願いしマス…」 「どうせ真っ暗でわかんないけど…わかった…みないから」 のだめのそこは充分濡れていて、愛液を突起に塗りつけ、円を描くようにこすってやった。 「はああ…ん」 羞恥心が邪魔をするのか、小さな小さな声で、喘いだ。 音楽を奏でるかのように、強弱をつけ速さをかえ、やさしくそこを愛撫すると、 とめどなく蜜が溢れてくる。 「んっ…んっ」 だんだん身体の力が抜け、少しづつ足が開かれていく。 するっと何かが膣に入ったような気がした。のだめはタンポンも使ったことがなく、そこに何かが 入る感覚が良くわからなかった。 ぐちゅ、ぐちゅっという音にのだめ自身が驚き、恥ずかしくなった。 千秋の指がだんだん激しく動き出すと、体まで動くような 力強い感覚が背筋を走る。 違和感があるも快感はない。最初はそんなものなのか、とのだめは思った。 「痛くないか?」 「痛くないですよ…」 千秋は指を九の字に曲げ、のだめの感じるポイントを丁寧に探す。 のだめの体はふんわりと、快感に似た感覚に包まれる。 「あ…気持ちい…デス…」 指を抜きくるくると一番感じるところを刺激する。 また指を入れGスポットを攻める。 何度か繰り返し、のだめから緊張が消えるのを待った。 のだめの息遣いに深い快感が見え隠れするようになり、千秋の興奮も増してきた。 「入れるぞ…」 「はい…」 ズボンから用意していた避妊具を取り出し、服を脱ぎ、準備をした。 のだめの足を開くとそこにあてがい、ゆっくり腰を沈めた。 充分とろけさせてはいたが、やはり入りにくい。 ぐっと奥まで入れてみる。のだめの頬に手をあて、撫でると、少し濡れていた。 「泣いてるのか?痛いか?」 「ちょっと、い、痛いです…でも痛いから泣いてるんじゃありまセン」 「やめるか?」 「いやデス!やっと先輩に…抱いてもらえたのに」 のだめがグスっ、と鼻をすする。 「ちょっと感極まっただけデス…」 千秋は指で涙を拭い、のだめの頭を撫でる。 「大丈夫…」 千秋のその言葉は、魔法のように、のだめのいろんな不安を消してしまった。 のだめの様子を伺いながらゆっくりと腰を動かした。 のだめが挿入の痛みから逃れほかに意識を向けられるように、 左手は胸を、右手はクリトリスを愛撫した。 「あっ…ん…」 腰を動かしても気持ちよさそうな声がするようになり、千秋はほっとした。 体を抱き起こし、座位になった。のだめのほうからキスをしてきた。 両手で涙を拭ってやり、乳房を持ち上げるように揉んだ。 「んー…ふふ」 のだめが笑っている。もう緊張はすっかりとけているようだった。 「何だよ…?」 「ちょっと不思議な気分がしただけデス…先輩と、こんなこと」 「俺も不思議…」 胸を揉みながら親指で乳首を刺激すると、いとも簡単に硬くなる。 なんとも言えない甘い声を出し、体をよじらせる。 右手でクリトリスをこすると上半身が揺れ、のだめの中がぐっと締まった。 「うわ…」 強い刺激にたまらず千秋は声を上げた。 左手をのだめのヒップに回し、ぐっと掴み上下に揺らす。 「動いてみて…?」 千秋の問いかけに、のだめは実際に動いて答えた。 ぎこちなく、精一杯動かそうとしているのだめは、可愛かった。 千秋はクスリ、と笑った。 「む、むずかしいデス!」 「まあ、そのうち…」 体を倒して再び正常位に戻す。 動きをだんだん激しくしていく。のだめが痛みをこらえてるのかどうかが 真っ暗で表情が見えないため、わからない。 「痛くないか?」 「だいじょぶデス」 のだめは、本当は少し痛かったが、千秋の体の重みが心地よく、それに酔っていた。 意外なほど重たかったのだが、ほっとするような、暖かさと、安心感に包まれた。 千秋はだんだんと上体を起こし、奥を突いて、のだめの反応を伺ってみる。 体の中心に響く重たい刺激が、ずしんずしんとのだめを打つ。 「はああ…すごい…」 「何?何がすごいって?」 息を切らせながら、千秋が聞いた。 「奥が…奥がすごい…デス」 その時、千秋の興奮が頂点に達した。 「あっ…」 のだめの中で一気に果てる。のだめは天井を見つめ、千秋のそれの躍動をじっと感じていた。 落ち着くと、のだめをぐっと抱きしめた。 「大丈夫か?」 「はい…」 のだめは自分の上に倒れこんでいる千秋の背中を撫でている。 「…あけましておめでとうが言えてないデス」 「うん…オメデト」 「おめでとうございマス…」 千秋は体を離し、後始末を始めた。 「のだめ…風呂はいる?寝る?」 「こたつに入ります。お腹がすきました…」 のだめは千秋にきれいに拭いてもらい、また服を着た。 電気とテレビを付けて、水を飲んだ。さっきまで愛しい男に愛されていた 身体のほてりがおさまらず、自分の頬に手をあててみる。 陰部になんとなく、痛いような、ひりひりした感覚が残っている。 改めて自分が処女でなくなったことを実感し、はああとため息をつき、 こたつにもぐった。 「あっ…!」 千秋の叫び声がするので、振り向くと、シーツを引っ張っている。 「どしたんですか?」 のだめはあわててベッドにかけよった。 「血が…ついてる」 「あ…」 うす赤いこすれたようなしみがシーツに何箇所もついていた。 二人は赤い顔をして見つめ合った。 「これって…はじめてだからか?」 「…でもホントに血が出るなんて思わなかったデス…」 「おれも…」 のだめがクスっとわらった。 「なんか、はじゅかしーデスね…」 千秋は一瞬、嬉しいような悲しいような表情をして、のだめを抱きしめた。 「せん…ぱい?」 のだめの背中に回した腕に力が入る。のだめが苦しいほどだった。 千秋は何も言わず、じっと抱きしめ続ける。 言葉を発しなくても、千秋の愛情の深さがのだめには伝わっていた。 音楽家として、友人として、恋人としてかけがえのない存在。 お互いが決して手放してはならない人。 ずっと前から気づいてはいたが、踏み出せなかった千秋。 一心に彼を想い続け、やっと願いのかなったのだめ。 すべてを言葉にしなくても、通じ合えるふたりは じっと、互いの身体の暖かさと、余韻にひたっていた。 しばらくして、千秋が言った。 「朝、カフェ開いてるかな?」 「元旦から開いてますか?」 「あ、でも明日雪になるかも知れないな…」 「朝冷え込むんデスかね。でも寄り添って寝れば暖かいデスよ」 替えのシーツをセットして、二人は狭いのだめのベッドで、眠りについた。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |