千秋真一×野田恵
![]() 「フロ、入っていくのか?」 何となく普段と様子の違うのだめに、千秋がたずねた。 「あっ、はいっ!……あの、千秋先輩、…今日、泊まっていっても…いいデスか?」 「い、いいけど…」 ”いいけど”と言いつつ、千秋は内心慌てていた。のだめから”泊まっていきたい”と言ったことが今までなかったから。 初めての時以来、のだめがこの部屋に泊まっていくことはある。ただ一緒に眠るだけの日もあれば、そうでない日もある…。そして、そうでない時のきっかけを作るのはいつも千秋で、のだめは拒む事なくそれを受け入れる…というのがいつもの二人だった。 (”泊まる”って、自分から言うってことは、そういう事なのか?でも、なんで…?) ”変態”を盾にして、のだめとの間にギリギリの線を引いていたが、ひとつめのハードルを越えてからは、若干の抵抗を感じながらも、自ら”変態の森”の奥深くへと入り込んで行った千秋だった。 だから…もっと触れたい。自分しか知らない姿をみたい…そういう欲求はあるのだが、のだめもそう思っているとは限らないから…千秋としても、部屋に戻ろうとするのだめを引き止めるか否か、悩むことも度々あるのだ。 なのに今日は…。 千秋は、真意をはかりかねて、バスルームに消えて行ったのだめが出てくるのを、所在無く待っていた。 カチャリ… 遠慮がちにバスルームのドアが開く。 髪からぽたぽたと雫を垂らしながら頬を桜色にしてのだめが姿を見せる。 「おまえ、また髪乾かしてないのかよ!」 「え?あ…」 千秋はのだめをバスルームに押し戻すと、ドライヤーを手に取った。 「まったく…」 ため息をつきながらサラサラとした薄茶の髪を乾かしていく。 「スミマセン…」 俯きがちなのだめが申し訳なさそうに呟く。 (なんなんだ…一体) いつもと違う様子に千秋は落ち着かない。 「ほら、乾いたぞ!オレも風呂入るし、先に寝てていいから」 なんとなく気まずくて強い口調で言ってしった。 鏡にうつるのだめは…困ったような、何かいいたそうな顔をしている。 (あ…、こいつ 今日は”泊まる”って宣言してたんだった…) しまったと思ったが、のだめは腕を摺り抜けてバスルームを出ていってしまっていた。 「のだめ…、寝てるのか?」 バスルームから出て千秋はベッドの向こう半分に寄っているのだめに声をかけた。 薄ぐらい寝室の中で…のだめはまだ起きていて、身体を起こす。 「千秋先輩…」 ただ泊まっていくだけの日なら、先に風呂に入って寝てしまうはずなのに、まだ起きていたのだめに驚きつつ、千秋もベッドに身体を滑り込ませる。 「どうした…?」 のだめの身体に腕をまわす。 …と、のだめが千秋に抱き着いて来た。 「の、のだめ…?」 「あ、あの…先輩、のだめ…」 熱い手が千秋の肌に触れる。 ぎこちなく唇を重ねられて、千秋は普段とは違う胸の高鳴りを感じていた。 「い、いいデスか?」 「あ…うん……」 千秋の返事を聞いて、のだめの手が滑り降りる。 「えっ…」 服の上から自身を撫でさすられて千秋は身震いしていた。のだめは、そんな千秋には構わずに布ごしに千秋自身が主張し始めるのを確認すると、下着ごとずり下ろしてそこを剥き出しにした。 「おい、のだめ…っ!」 何度も肌を合わせていても、千秋に促されてはじめてしていた事をのだめがしている。 普段は、変態で奔放にも思えるのだめが、実は意外と純情らしく恥ずかしがり屋なのは千秋も最近知った事だ。なのに… (何なんだ?一体…) のだめは、ためらう事なく千秋自身を口に含み、先端をなめ回したかと思えば竿に舌を這わせ、かと思うと喉の奥までくわえ込み、舌を密着させ顔を上下させる…。 (うわ…) 自分が教えた、ツボを心得た刺激に快感が走る。 (ヤバイ…) 高まる快感に、千秋は慌ててのだめから自身を外した。 「なんで…」 驚くのだめの身体を引き寄せる。 そして、パジャマの下を脱がせると、ショーツのリボンを解き、指を滑り込ませた。 ぬるりとした感触が千秋の指を飲み込む。 「あっん!」 のだめが歓喜の声をあげた。 …そこはすでに、熱く、誘うようにうごめき蜜を溢れさせている。 千秋はのだめの膝を割って唇を這わせる。 「はうぅ…」 のだめは甘い吐息をもらしながらも、すでに硬くなっている千秋のモノを再び口に含む。 ちゅぱ、じゅるっ… お互いが立てている音が部屋に響く。 ちゅうっ… 「はっ、やあっ…」 膨らんだ突起をきつく吸われて、のだめが悲鳴とともに千秋を口から外した。 千秋は、強く弱く突起を愛撫しながら、長い指で襞をかきわけ蜜壷に差し入れると、ゆっくり動かし始めた。 「ふっ、あ…。っ…あっ」 重なる刺激を、のだめは自身に唇を寄せ軽くにぎりしめたまま、ただ受け止めている。すでに千秋への愛撫をできる状態ではないらしく、ビクッビクッと身体を震わせ吐息をもらし、蜜を溢れさせる。 それでも千秋の行為は止む事がない。千秋は、のだめの中がどんどん熱くなっていくのを感じながら舌と指での愛撫を続けていた。 「せんぱ…い、待って。のだめ……」 「なに?」 「のだめ…先輩のが………欲しいんデス」 「………」 「お願い…しマス…」 のだめの声は消え入りそうに震えている。 (今日は本当に…どうしたんだ?) 性急に自分を求めるのだめに驚きながらも、いつものように焦らすこともなく、スウェットを脱ぎ、準備をしてとろけそうな場所に自身を宛てがう。 「はぅぅ…」 それだけで、のだめはうっとりと声を上げる。千秋は、そのまま挿れるのを止めて、先端で蜜で溢れる場所を上下に撫でてやる。 「ひゃっ!あんっ…」 指でも舌でもないモノがうごめくのを感じ、慌てるのだめがかわいい。 ぬるぬるとした感触を楽しむようにしていると、のだめの腰が焦れたように動く。 「真一くん……早く…」 「ん…」 再び先端を宛てがい、きつく絡み付く中へ沈めていく。 「ふっ、ああ…」 奥まで自身をおさめてから、ゆっくりと動かし始めた。 パジャマの上着をずりあげて白い膨らみをあらわにすると、敏感な乳首を口に含む。 奥まで突き上げ、今度はぎりぎりまで引き抜くとのだめの入口がきゅうっと千秋を締め付ける。 「真一…くん、もっと…んっ」 身体の奥から込み上げる快感がもっと欲しくて、自然とのだめの腰が揺れる。 「の…だめ?」 腕も脚も千秋にきつく絡めて、せがむように千秋を締め付けてくる。 どうしてこんなに…?始めは思っていた千秋も、官能的なのだめに次第に溺れ、行為も激しくなっていく。 千秋は、背中にまわされたのだめの脚を肩にかけると、華奢な身体を折り畳むようにして再び抽送を始める。 「んっ、はっ…あっああ…んっ」 ベッドが激しく軋む。千秋の腕の下でのだめは理性を手放して快感の波にもまれている。身体がぶつかる音と溢れる水音と千秋の荒い息遣いに、のだめの悲鳴のような声が重なる。 「はっ…ああっ、あっ、ダメ!あっ、ああっ、ああああっ!」 一際高くのだめがないて、千秋をびくびくと締め付けた。 千秋は、のだめが落ち着くのを待って、一旦身体を離しのだめを俯せにすると、再び動き始める。 「ふっ、ああ…」 汗ばんだ身体を弓なりにしたのだめが、月明かりにぼんやりと浮かんでいる。 溢れる蜜が内股を伝い、シーツにしみを作る。千秋は腕をまわしてのだめの突起を摩り上げながら、今度は深く入り込んだまま、奥を突き上げる。 こうしていると、快感に震えるのだめの中をより感じることができるから…。 「うっ、はぅ…、しんいち…くん……のだめ、また……」 「…オレ…も」 高まる欲情に合わせて再び動きが激しくなる。強くのだめを突き上げながら、二人同時に頂点を迎えていた。 汗ばんだ身体を抱き寄せると、のだめが擦り寄ってくる。 千秋は、柔らかいのだめの肌を今日はあまり味わっていない事に気付いて、柔らかな胸に手を伸ばした。 「あ…」 乳首を指先でこねられ、のだめがぴくりと身体を震わせる。 「もう、止める?」 のだめは無言で首を振ると、唇を重ねてきた。 翌朝、なかなか起きないのだめを起こして遅い朝食をとる。 千秋は昨日の理由を知りたい気もしたが、聞き出すこともできずにいた。 (なんだったんだ?…一体) のだめは、少し照れたようにも見えるが、いつもと変わらない。 (でも、これからは今までより誘いやすいか…?) そんな事を考えていた千秋だったが、翌日の夕食後… 「のだめ…今日…」 カウチに座るのだめを抱き寄せようとすると、のだめはパッと身体を離した。 「の、のだめ、今日は自分のお部屋で寝ます!」 「え…あ…、うん」 「あの…始まっちゃったので…しばらく千秋先輩のお相手はできまセン。寂しいかもしれないですけど、一人で寝てくだサイ」 「なにが寂しいだ!」 「ムキャー、無理しなくていいデスよ。昨日だって結局明け方まで離してくれなかったくせに!」 「うるせー、さっさと巣に帰れ!」 のだめを部屋に追い返し、千秋は広く感じるベッドに潜り込む。 「しかし…」 昨日のあれは、なんだったのか?千秋は考えて、ふと思い付いた。 (生理の前にムラムラするとかいう…あれか?) なんとなく納得しながらも、しばらく一人で寝る事がやはり寂しい気もして…それでもいつのまにか、枕を抱えて千秋は眠りについていた。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |