DVD
千秋真一×野田恵


「あれ、先輩、これから何見るんですか?」
「峰が何か送ってきたんだけど……嫌な予感がする」

暑いからと今日2度目のシャワーを浴びたおれの後に風呂を使って、髪をふきながら
戻ってきたのだめがおれの背中に張り付いて、手にしていたDVDを覗き込んだ。
峰が自分で焼いたものらしく、ラベルは白いままだ。
同封されていた手紙には「参考にしろよ!(※自分の部屋で見ること)」とだけ書かれている。

「何の参考だ、どーせロクなもんじゃねーだろうけど…………げ」
「……むっきゃー!?」
「あいつ、何考えてるんだ……!」

DVDプレイヤーにセットし、画面から流れてきた映像は、男女の濡れ場。
AVだ。
慌てて止めようとしたが、のだめがおれの手を押さえて阻止する。

「おい、何すんだ!」
「せっかくだから見まショウよー」
「おまえ、変態か!?」
「失礼デスねー、恋人同士で見るなら別に普通じゃないですか」

そうなのか?
まあ、人のパソコンを使って1人でエロサイトを見られるよりも
おれの監視下においた方がましな気はするが……そういう問題なのだろうか。

「うわー、あんなことしてるー……女の人痛くないんデスかね」
「オレに訊くな」
「だって……ほら、指、何本ですか?」
「黙って見てろ!」
「………この男の人も先輩と同じでオッパイ好きなんですね、きっと」
「一緒にすんな」
「触り方がねちっこいからスグ分かります」
「ねちっこいって言うな!」
「なんで服ぜんぶ脱がさないんでしょーね?着エロってやつデスか?」
「知らねーよ……」

ふおぉ、むきゃー、といつもの奇声をあげながら、食い入るように画面に目をやるのだめの
横顔を見ていると、だんだんその頬が赤くなっていくのが面白い。
間断なくしゃべっているのは、きっと照れて、無理にはしゃいでいるんだろう。
でも、おれが無理に見せてるわけじゃねーんだぞ?

……といいつつ、俺も席を立てばいいものの、横でつい一緒に見てしまう。
だって気にならないはずがない。

DVDの内容自体は至ってノーマルで、特にハードだとかシチュエーションが凝っているとかいう
こともなく、普通のセックスだけ。でも、他人のセックスを恋人と2人で見るのが、
こんなに……とは思わなかった。

「……女の人、気持良さそうですね。こういうのって全部演技なんだろうって
思ってたけど、違うんですねー」
「違うって……見てわかるのか?」
「なんとなく、本当に感じてるような……?よくわかんないデスけど」
「……それ、自分と比べてってこと?」
「ち、違いますよ!」

くすくす笑いながら突っ込むと、のだめは慌てて立ち上がった。
おれから逃げようとベッドに乗ったのだめの手首をつかみ、
おれものだめの後を追ってベッドに乗る。

「おまえ、この責任とれ」
「え?………あ」

のだめの手を掴み、おれの------すでに固くなった部分に持っていくと、
こいつはそのままおれ自身を包み込んだ。
ゆっくりと、形を確かめるようになぞっていくその動きに、背筋がぞくりとした。

「……先輩、今のビデオで、こうなったんデスか?男の人って……かわいいデスね」
「かわいいって言うな……でも、おまえだってどうなんだよ?」
「や……」

のだめの身体を後ろから抱きしめ、ワンピースの裾から手を挿し入れた。

「……ほら。同じだろ……?」
「ばか……」


○○○


「んっ……」

大きな手が服の上から体をくまなく撫で回し、いつの間にか胸がはだけている。
でも先輩は、のだめのワンピースの前ボタンをお臍のあたりまで外しただけで、
すべて脱がせることはしなかった。

後ろから首筋にキスを降らせて、開いた前の隙間から手を差し込まれる。
ブラの上から指が滑り込み、尖ったところに触れられると、自分で驚くくらいに
声を上げてしまった。
そのままブラのホックを外さずに、上にずらすだけだなんて、なんだか……ヘン。
もちろん、いつも胸は感じるけれど、今日はもっと……すごく、感じてる。
ブラジャーにつぶされた乳房が逆にその大きさを強調して、自分の胸なのに、
いやらしさに赤面してしまう。

ピンと尖った、上を向いた乳首。
はだけたワンピースから、胸だけが露になって、それを先輩が後ろから揉んでいて、
撫でていて……。見ているとどきどきしてしまった。

やがて手は、ヒップのほうへ移ってきた。
下着をはらりとほどかれて、でもワンピはまだそのまま。
自分が今どんな姿なのかを想像すると、やっぱりすごーくえっちで……
でも、どこかで見たことがある、この光景。

それに、先輩の動きが、いつもと少しだけ違っている。
服を脱がさないのもそうだし、いつもよりも少し強い、乱暴なくらいの力で触れてくる。
摘んだり、引っ張ったり、軽く噛んだり、

なんだか……
あ、また……
これ、さっきのDVDと……同じ?

ということは次は……
やっぱり、そこを触るんデスね……

やだ。
恥ずかしい。
あのDVDの中で、大きな声をあげて感じていた女の人。
触られて、すごく濡れていて、
あんな風に脚を広げて、あんな風に腰を自分で動かして
男性の指を、あれを飲み込んでいたあの部分、
のだめも今、あんな風になっているのかと思うと……

ぎゅっと閉じていた目を開けて首を巡らせると、先輩と目が合った。

「おまえ、いつもよりすごい……濡れてる」
「ヤダ……見ないでくだサイ……んっ…」

無防備になった部分に指が入り込む。
1本、2本……
その部分のぬるみはもう十分すぎるほどだから、一気に3本。
少し曲げたり、のばしたり、くるくるとかき回したり、そんな指の動きを内側で感じ、
そのうえ目を閉じると浮かぶさっきの映像------あの女性と自分の痴態がだぶって
それが一段と自分を興奮させているのがわかる。
あ、また……
先輩の指が自分の中を大きく、強く、こすりあげるように動いている。
やっ……

「目、開けて、見て……」
「あ……やっ、あ、あ、……っ」

薄目を開け、自分のお腹の下を見ると、先輩の長い指が、
私の蕾のところで小刻みに動いているのが見えた。
ぬるぬるとした液体がまとわりついて、その液体と指と
わたしの体が擦り合い、水音がしている。
もう片方の手はといえば、乳房を下から包み込んで揺らしながら、
中指はぴったりと乳首の上でこりこりと動いていて、
見ているだけで、こんなに……
こんなに感じるなんて……。


○○○


もうのだめは気付いているようだ。
服を着たままで胸を弄び、ショーツだけ脱がせて------DVDと同じようにしていることを。
一度指でいった後、おれの胸に手を置いて自分から上に乗ろうとしてきたのがその証拠。

「せん……ぱい……のだめ、もう……欲しいデス……」
「ちょっと待って……」

一度体を離してゴムを手早くつけると、のだめは待ちきれないように
立て膝をついておれの上に跨がった。
自分のぬめりをおれの先端にまとわりつかせて、いちど根元までゆっくり飲み込み、息を吐く。

「……のだめ、動いてもいいデスか……?」
「もちろん……」

腰を密着させたまま回し、こねるような動きをした後、のだめはゆっくりと動き始めた。

「んっ……」

動くたびに、乳房が揺れ、繋がった部分からはぴちゃり、という音がする。
目を固く閉じて、手を後ろにつき体を反らしたり、前に傾いたり、浅いところで引っ掛けたり
細かく動いているのだめは、自分で快楽を求め、探している。
そんな姿がまた、そそる。

「ちょっと待って」

ワンピースの下のほうのボタンをはずして、繋がっているところがきちんと見えるようにした。
おれもゆっくりと動き、少しでものだめの手助けをしてやる。

「……この辺りか?」
「……ん……」
「……ここは?」
「っ…………!」

どうやらポイントを見つけたらしく、中腰になって自分で動き始めたのだめは
ものすごく官能的な表情をしていた。
半開きの唇から舌がのぞき、眉根をひそめて。
おれが、今この表情をさせているかと思うと……
しばらくこらえていたが、そろそろ限界がきそうだ。
のだめの腰を持ち、強く突き上げ始めた。

「……ん……っ」
「や……!あん……!」

だんだんとのだめの内側が吸い込むようにうねり、
その相変わらずのきつさに目眩すら覚える。
気持ちいい。
どうしてこいつの体は、いつも、こんなにも……

「……っく……のだめ……!」
「あ、だめ、だめです……!せんぱい……!」

おれとのだめはほぼ同時に、相手の名前を呼びながら上り詰めた。

○○○

「はー……ちょうどよかったデス」
「なにが?」
「今日、あたらしい下着だったんデスけど」
「……ん、レースが可愛かった」
「いっつもすぐ脱がされちゃうから……見てもらえて、良かったなー、なんて。
たまにこんなのもいいデスね♪」

そう言って体をおれの上にのせて抱きつき、唇に軽くキスをした。
まあ、な、たまには……

------あ。

「……まさかとは思うけど……おまえ、峰にDVD見たこと、絶対に言うなよ」
「なんでデスか?」
「あたりまえだろ!!」






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