千秋真一×野田恵
![]() 「ん〜」 「先輩、何してるんですか。さっきから…」 千秋はかなり長いこと耳かきと格闘している。 「なんか、いまひとつすっきりしないんだよな…」 「のだめがしてあげましょうか?」 「…おまえにさせたら、耳に穴空きそうだしな」 「むきゃ。のだめ実家にいた時はおじいちゃん達に耳かきしてましたよ?上手いって評判でした!」 「へ〜」 千秋はちらりとのだめの脚に目を移す。 「じゃ、やってもらおうかな…」 カウチの隣に座るのだめの脚に、頭を乗せた。柔らかな感触がかなり心地いい。 「せ、先輩、お腹の方を向かないで下さい!」 「なんで?プヨプヨだから?」 「そんなこというなら、してあげませんよ!」 「ハイハイ…」 千秋は身体の向きを変える。 「こ、この辺ですか?」 「あ…うん。そ、そこ…もうちょっと右…」 「どですか?」 「うん…すごくいい。おまえ、なかなかやるな」 「むふふ…。ここはどですか?」 「ん〜イイ…。っ痛!」 「す、すみません…」 「耳は指揮者の命だぞ。気を付けろよ」 「ハイ…。って、先輩、どこ触ってるんですか!」 「ん…?おまえの膝」 「……そんな事されたら、また痛くなっちゃいますよ!」 「気をつけろよ」 「気をつける前に…やめて下さい。やっ…ん」 「やっ…ん、じゃねえ。続きしろ」 「先輩が足さわさわするからデスヨ!こっちはおしまいです。」 「じゃ、反対」 「だから、おなかの方向かないで下サイって。」 「んなこと言ってたらできねーだろ!!」 「顔だけじゃなくて、身体ごと動くんデスよ!」 「ヤダ。めんどくせー。」 いつでもカズオ…と呟きながらのだめは耳に触れた。 「あ〜気持ちよかった。」 「のだめ、上手いでしょ?」 「ん〜、まあまあ…かな(上手いけど、誉めると調子にのるからな…)」 「素直じゃありまセンね…。ところで真一くん、起きてくれませんか?」 「なんで?」 「おなかに息がかかってくすぐったいんデス」 「オレからは結構いいアングルだけど?」 千秋はさらにのだめのお腹に顔を近づけると、 手を背中の方にまわしてツゥーっと指を這わせた。 「ひゃっ」 ビクリと震えたのだめが慌てて千秋をどかそうとするが、 阻止するように反対の腕を腰に回されて身動きがとれなく なってしまった。 「く、すぐったいデス!」 のだめが藻掻くように体捩るが、それとは逆に千秋の拘束 は強まっていく。腰を彷徨っていた掌が確かめるように のだめの尻を撫で回した。 「やぁっ……」 そのまま撫で回していると、のだめの呼吸が徐々にだが 不規則になり始めた。往生際悪く逃れようと身を捩れば その分、千秋の拘束は強くなり、そうなるとどんどん自分 の腹部に彼の顔が押しつけられている事にも気づかない。 「あ、…や…っ…」 こっそりと視線だけを動かしてのだめを見上げれば、胸に 邪魔をされて顔は見えないが、耳朶は真っ赤に染まっていた。 「……(いい眺め)」 「先輩…?」 千秋が何か呟いたが、のだめの耳には届かなかった。 先程から彼女が体を震わせる度に、千秋のこめかみにその 胸が押しつけられているのだが、当の本人はそれどころでは ないらしく気づいていない。 布越しでも千秋が触れるたびに身体が火照っていく。 自身が潤うのがわかる…。 「……しよっか?」 「…ここでデスか?」 「ココがいいだろ。」 以前のように気軽に顔が見れるような生活ではない。 だからこそ2人でいる時間は大切にしたい。 のだめは恥ずかしげに千秋を見ながら言った。 「…ベッドにいきまセンか?」 千秋は一瞬きょとんとした表情をしてぷっと笑った。 「オレ、交代しようか?って言ったんだけど。お前は耳掻きいいのか?」 「ぎゃぼ!」 「のだめ、何考えてたんだ〜?」 「先輩がアプローチするからデスよ!!」 のだめは顔を真っ赤にしながら目をそらしている。 「やらしーな、お前。」 照れてる姿がかわいくてますますからかってしまう。 「のだめ、勇気出して言ったのに!先輩、ヒドイです!」 目が合うと少し涙目になっていて千秋は急に罪悪感が沸いてきた。 「あ〜、ゴメン。お前が見当違いなこと言うから。」 と言いつつも顔はにやけてしまう。 スッカリ拗ねてしまったのだめの機嫌を直そうと 千秋はそっと手を伸ばしのだめの頬を包んだ。 「耳掻きしましょうか?お嬢様?」 (ふぉぉ…) のだめの顔が明るくなる。 (わかりやすいなコイツ) 「今は…耳掻きはイイデス」 「ではなにかお飲み物をお持ちしましょうか?」 「それも…イイデス」 「ご要望があればおっしゃって下さい」 「では…キスを…」 「承知しました」 千秋は微笑むとのだめの膝から上半身を起こす。 のだめの頬を包んでいた手を首にまわし のだめをグッと引き寄せた。 「先輩…その、のだめはこういうプレイ大変美味しくいただけるんですが… 先輩には凄い羞恥プレイになるんじゃないでショウカ?」 普段、変態ののだめからも想像出来ない程の衝撃だったようで、お嬢様 と呼ばれたのだめは、気品なんてものと遠くかけ離れたような顔で千秋を 見つめていた。のだめの表情を効果音で表せるとしたら、ポカーンという 何とも間抜けな音が響いた事だろう。 一方、千秋と言えば、そんなのだめを軽く無視し、そのまま覆いかぶさろ うと思ったところで、何かをふと目にしてそのまま倒れこむのを止めた。 ストイックな千秋の意地悪そうな笑みが広がり、のだめが軽く体を離すと 待っていましたと言わんばかりに、その軽いからだをソファに据わらせて 自分はソファーの下で跪いた。 「キャ、キャラ違いマスよ!先輩!」 跪いた時に立てた片足に、のだめの足を掬い取って乗せると、のだめの ぺたんこ靴を片方手にし、優しく引き抜くように小さな足から靴を外す。 別に服を脱がしているわけでは無いのに、どうしても赤くなる頬を感じる のだめと、むき出しになった足の甲にキスを落とす千秋。 先ほどの「お嬢様」という単語にチカチカするような衝撃を感じたのだめ だったが、この動作に魂を全て持っていかれるような衝撃も受けていた。 「あ、あの千秋先輩」 「何でしょうか?お嬢様」 「貴女はダレデスカ…」 「あー、あんま我に返すな」 「さっきは思わず乗ってしまいましたが…こんなののだめ「あへー」で「む ふーん」で「むきゃあ!」デス!」 「鼻息荒い!」 「ブー…それは仕方無いかと…」 こんなふざけた会話も慣れたもの。 千秋はそのまま足の甲からふくらはぎを舌を濡らして舐めあげていった。 「ようは…楽しめばいいだろ」 その言葉とともにかかった息が濡れた部分を冷やし、のだめの体がピクッ と揺れる。 「…ハ、イ」 「言うならば、今日の俺は執事ってとこだからな…お嬢様の許可なしには 何処も触れないぜ。大切なお嬢様だからな」 では今のこれは何なのだと反論したいのだめだが、そこはもうこの吐息と 足に感じるムズムズした感触に、何も言えなかった。 普段、触れられる事の無い足への愛撫。それが気持ちも体も溶かしていく。 「さぁ、先ほどのご要望はキスでしたが…」 次は如何なさいますか? 意地悪そうな低い声がのだめの耳へ滑り込んだ。 「じゃあ……えと……そ、そ……」 「そ……なんでこざいますか?」 「そこへ膝まついて私の足をお舐め」 「……」 「……あり?」 「ふざけんな!それじゃお嬢様じゃなくて女王様じゃねーか!」 「ぎゃぼー!」 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |