アイス
千秋真一×野田恵


「―――暑いデス…」
「おい…ダラダラすんな!」
「むー…だって…」

のだめはカウチにだらりともたれかかって訴えるように千秋を見つめる。

千秋の部屋のクーラーが故障してしまった。窓を開けて風通しをよくしているものの部屋の中は汗ばむくらいに暑い。

「修理は明日来るから。少しの我慢だ」
「あうー…」

しかし譜読みをしていた千秋も集中力が欠けるくらい暑さにまいっていた。

(…本当に暑いな。まぁ日本よりはマシだけど…でも何か涼しくなる物は――)

「あ、そうだ。のだめ冷凍庫にアイスあるぞ」
「ムキャ!アイス!食べマスー♪」

のだめがパァッと顔を明るくさせ冷凍庫に向かっていく。

「アイスーアイスー♪冷たいー♪…あれ?」

のだめが困ったような顔で千秋の元に戻ってくる。

「ん?どうした?」
「先輩アイス1つしかないデス」

のだめは両手にカップアイスとスプーンを持って首を傾げて立っている。

「ふーん。じゃぁ半分ずつだな」
「…半分こ!」

のだめは千秋を見て何を思いついたのかニヤニヤしながら

「先輩は今お勉強中で両手が塞がってるのでのだめが食べさせてあげマスね!」
「はぁ?」
「はい!真一クンあーん(ハート)」

のだめが千秋の膝の間を割って入り、スプーンを差し出す。
目の前にスプーンと肩出しワンピースからスラリとした腕が映る。千秋はちょっと恥ずかしながらも

「…あーん」パクッ
「うきゅきゅ♪真一クン可愛いデス〜♪」
「うるさいっ!ほら貸せ!お前にも食べさせてやる!」
「いいデス!のだめがやりマス!…あぁっ!」
「!」

モタモタと奪い合っていたらスプーンですくっていたアイスがのだめの胸元にベチャ…とついてしまった。

「冷たいっ…ティッシュティッシュ…」

と、のだめがトロリと白いクリームを取ろうとした時

「待て。…キレイにしてやるよ」
「へ…?っ…あ」

千秋がのだめの手首をおさえ胸に舌を沿わせクリームを舐めとる。






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