三度目のチャンス
千秋真一×野田恵


…二度も、チャンスを不意にしてしまった!
三度目の正直デス!今度こそ、のだめは大人になりマス。
傾向と対策をたてなければ。妄想で、予行演習デス!
むん!今度はのだめ、がんばりマス!

センパイが帰ってくる時間をみこして、準備は万端。お風呂も入ったし、歯もみがいた。ベッドに入って、シーツの匂いをかぎながら待つ。
むふ〜ん…

ガチャ。

ドアが開く音がした。

「ただいまー、…あれ?のだめ来てないのか?」

カギあけっぱなし、とぼやきながらセンパイが寝室へ歩いてきた。

「…おかえりなさい」

電気もつけていない寝室のベッドから声をかけた。

「ひぃぃぃ!」

あわてて明かりをつけたセンパイは白目だ。

「妻に向かってひぃぃぃとは何デスか!」
「…お前何やってんだ?」
「センパイ、のだめに、三度目のチャンスを与えてくだサイ!今度こそ、ちゃんとがんばりマス!」
「な、なにを…いきなり」

赤くなるセンパイに、ベッドからおりて抱きついた。
勇気を出してはみたけれど。体は震えている。

「のだめ…」

センパイがふっと笑った。

「いいのか?ちゃんと正気たもっとけよ。」
「ハイ〜」

センパイの顔を見上げると。そのまま唇が近付いてきた。

「…ん…」

センパイなんでこげんキスがうまかと…
すぐに考える余裕は無くなる。
軽く唇を何度かあわせたあと。深く、さらに深くキスをかわす。
こじあけられた唇から、舌が侵入してきて、息を継ぐ間もなく、捕えられる。

うごめいてるのは私の舌なのか、それともセンパイの舌なのか。
部屋に水音と、吐息が響いた。
必死で、手放しそうになる意識を、ふるいおこす。
やっとセンパイの唇が、離れた。
足りない酸素を急いで取り込んでいると、センパイの濡れた唇が、耳元をついばむと、そのまま輪郭をかすめながら、鎖骨へ降りてきた。

「…ぁ…」

鎖骨へきつく吸い付く唇。
下半身が、きゅうっとうずいた。

「…せ、んぱ…い」

唇が、再び口元に近付いてきて、センパイはのだめのパジャマを器用に脱がせはじめた。
恥ずかしいけど、我慢。

「…のだめ、おれのシャツ脱がせてよ」

低くかすれたセンパイの声に、クラクラしながら、たどたどしくボタンを外すと…センパイの肌があらわれた。

センパイ、着痩せするタイプなんデスね…
この肌に、この体に抱かれてしまうなんて…
…だめ…意識が…
センパイの匂いが…

「…あへ〜」
「…のっのだめ?オイ!」

…あぁ…センパイ…ごめんなさ…






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