二人きりになれるのはいつだろう
千秋真一×野田恵


「あれっ、先輩?峰くんと一緒だったんデスか〜?」

チャイムを聞いてのだめが扉を開けると、峰と千秋が並んで立っていた。

「千秋のオケのリハを見に行ってたんだ!いやぁ、いい刺激になったぜ!」
「…来るなら一人で来いよ。なんで俺がおまえの送り迎えをしなくちゃいけないんだ…」
「だって〜俺にはこの街さっぱりわかんねぇしさ、迷子になっちゃうし…」

あ〜さむい、と言いながら峰がズカズカとのだめの部屋に入ってくる。

「おい峰、おまえの部屋は隣だろ」
「え…そうなんだけどさ、なんか腹減ったなぁと思って。のだめんとこに何か食べるもんない?」
「ん〜そうデスね…」

材料ならあるんですケド…と言いながらのだめが千秋を見上げる。

「今夜はこのアパルトマン自慢の素晴しいシェフが登場!…ってことでいかがデスか?」

…やっぱり俺が作るのか…

そう呆れながらも…千秋は久しぶりにのだめに食事を作ってやれるのが少し嬉しくもあった。

「じゃあ今から作ってやるから、ちょっと待ってろ」
「お〜サンキュ!メルシー!…っと、じゃあオレ清良に電話してくる。あと親父にも!」
「でた、親父…」
「親父きっと心配してるだろうしな〜ちょっと長電話になるかも」

30分後くらいに来るぜ!と言って、にぎやかなその男は部屋から出て行った。

「相変わらず賑やかというか…けたたましい奴」
「いいじゃないデスか〜なんだか楽しくて。のだめは峰くんに会えて嬉しいですヨ」

…まぁ、確かに懐かしい友の来訪は嬉しいものだけど。

「うきゅきゅ〜ごはんっ!今夜のメニューはなんですか?」

そう言いながら目を輝かせて、のだめが千秋を見上げる。

…二人きりになったのは久しぶりだな…

イタリアから帰ってきた時には、すでに峰がこのアパルトマンに到着していて
千秋がのだめの部屋に来るとなぜか峰もやってくる…といった感じだった。

「材料って何があるんだ?」

二人で並んでキッチンに向かう時、少しだけ手と手が触れた。

キッチンにたどり着く前に、すっとのだめが千秋の前に立つ。
千秋の胸に顔を近づけて…

「はぅ〜ん…先輩のニオイ…」

「オイ…」
「久しぶりです…」

じゅうでん…と言って、クンクンと顔を埋めて匂いを嗅ぐ仕草を見せる。
そっとのだめの髪を撫でてやりながら、ふと…イタリアで、のだめが夢に出てきた時のことを思い出す。

…あの時と同じ、白のワンピース。

撫でていた手をのだめの頬に添えて上を向かせ、そっと唇を寄せる。
はじめは額に。そして瞼、鼻、頬と口づけをして…
ゆっくり…唇と唇を重ねる。

「んっ…」

久しぶりに味わうその唇はとてもやわらかく、のだめの唇から時折漏れる声はとても甘く…
じんわりと、頭の奥が痺れるような感覚を覚える。
何度も触れるだけのキスを繰り返して…確かめ合うように…でもやっぱり物足りなくて。

「せ…んぱ…い」

のだめが千秋の背中に腕をまわしたのが合図になったかのように、その瞬間から深いキスへと変化していく。
静かな部屋に二人の唇から漏れる音が響きはじめ、その音がまた二人のキスをさらに激しいものにしていく。

「はぁ…っ、せんぱ…い…」
「ん…メシ…作らないと…」

そう言いながらも、二人はキスを止めることができない。

「のだめ…」

ようやく唇が離れて…でも視線は絡み合ったままで。

「先輩…のだめ…」

ピンク色に染まった頬に、潤んだ瞳。

…やばい…

抱き上げて、ソファーにそっと座らせると…のだめはそのまま横になってしまった。

「…はぅ…久しぶりで…力が入らないデス…」

…キスしかしてないのに。

いつも敏感に感じてくれる…そんなのだめを、千秋は何時もたまらなく愛しく思っていた。

「せ…んぱい?」

横たわったのだめの上に、千秋が覆いかぶさる。

「あ…峰くんが…来ちゃいますよ…」
「ん…ちょっとだけ…」

まだ何か言いたげなのだめの唇を塞ぐと、千秋はゆっくりと…確実にのだめが感じるところに手を這わせていく。

ワンピースを脱がさずに、千秋の手はのだめの敏感な部分をなぞっていく。
服の上からでも指の動きを感じて、のだめはピクンっと体を震わせて、切なそうに吐息を漏らす。
何度も何度も口づけを繰り返しながら…その手はのだめのワンピースの中へとたどり着いた。

「あっ…!ほんとに…だめ…デスよ」
「ん…まだ…大丈夫」

実際そんなに時間がたっているわけではなかったが、いつ峰が部屋に入ってくるかわからない。

…わかってはいるけれど。

千秋の手は止まらずにのだめの体を這い、のだめもまた…千秋にもっと触れてもらいたい気持ちが溢れていて…

「…やめてほしい?」

のだめの耳元で、千秋が低く囁く。
その綺麗で長い指は、すでに熱く湿った下着の上を円を描くように動いている。

「ん…ぁっ…だって…ぁ」

二人しかいないこの空間ではあるけれど、大きな声を出すのは今は躊躇われる状況で。
のだめが声を出さないように必死で堪える姿が…また千秋にはどうしようもなく可愛くて…
すっ…とショーツの横から指を滑り込ませると、もうそこはすっかり熱いものが溢れだしていて
それらは千秋の指に絡みついてきた。

「こんなに…なってるのにやめられないだろ?」

そういうと千秋はその潤みを掬い上げ、のだめがもっとも感じるあの場所へ指を移動させる。
ビクッ…とのだめの体が大きく反応して、少しだけ太腿を閉じようとする。
一瞬仰け反ったその首筋に舌を這わせて、鎖骨のあたりにたどり着くと強く吸い上げた。

「あ…っん…だめぇ…」

のだめの目尻から涙がこぼれる。
どんどん激しくなる指の動きに、赤くなっていた顔をいっそう紅潮させてのだめが千秋にしがみつく。

「…んっ…し…んいち…く…っもぅ…だめぇ…」
「…ん…いいよ…」

やさしく千秋が耳元で囁いて…そんな声とは反対に激しく動いていた指が強くその突起を押し上げた。

「ぁっ…あっ…あぁぁっ」

腕の中でビクビクと体を震わせるのだめを感じて…千秋はとてつもない満足感を感じていた。

「いやぁ〜やっぱり親父の話は長かったぜ」
「…ふーん」
「あれ、まだメシ出来上がってねぇの?のだめは?」
「風呂。手の込んだもの作ってやってるんだから、ありがたく思えよ」
「うわぉ、さすが千秋!天才って何でもできるんだな…」

…何でもってことはないけどな。実際には簡単に出来るものを作ってるけど
コイツにはそんなことまでわからねぇだろ。

「ほわぁ〜いいニオイです」

のだめが髪を拭きながらリビングに入ってくる。
千秋はふと、のだめの姿を見て…顔色が変わった。

「おい!おまえ、ちゃんと髪を乾かさないと風邪ひくぞ!」
「え〜でもお腹空きました…」
「ちょっと来い!」

そう言いながらのだめの襟首を掴んで、ベッドルームに連れて行く。

「ちゃんと髪乾かしてから来い。あと…冷えてくる時間だから首元あったかい服に着替えとけよ」

後半は少し小さい声で話す千秋を少し怪訝に思いながら、渋々のだめが髪を乾かすために
ドライヤーを持って鏡の前に立つ。
タートルのセーター洗ってあったかな?などと呑気に考えながら、鏡の中の自分の首元に気付いて…

「ぎゃぼっ!」

…やっと気付いたか…
あんなの峰に気付かれたら、誰に何言われるかわかったもんじゃねぇ…

「お〜い千秋!腹減った〜早く早く〜」
「あーもう、うるせぇ。おまえも少しは手伝え」
「え〜オレ中華しか作れねぇもん」

…中華すらろくに作れないであろうことはあえて口には出さず
しばらくこの状況が続くのだろうかと、少し憂鬱に思いながらも千秋は黙々と準備を進めていく。

「いただきま〜す!」
「ウマイ!うまいぞ千秋〜」
「はぅ〜ん、先輩は天才デス!」

ワイワイとたわいも無い会話を繰り広げながら、峰とのだめが料理を口に運ぶ。
着替えてきたのだめが、嬉々として食べる姿を見ながら
千秋は次に二人きりになれるのはいつだろうと、一人思いに耽っていた…






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