おまえでなければ・・・
千秋真一×野田恵


『ブラーボー!!!』
ウァアアアアア!

・・・割れるような歓声と拍手・・・


終わった・・・。

カーテンコールもおろそかに、俺は一心不乱に探した。
早くしなければ・・・早く・・・今つかまえなければ・・・。

「のだめ!どこだ・・・!」


「オオ〜!マエストロ!チアキ!」

そんな声と、群がる人々を振り払う。俺は必死で探す。

「チアキ!どうしたのっ!?」

・・・ターニャか・・・。


「のだめはっ?!」
「あ、なんだかボ〜っとして、あ、ほら、まだあそこに・・・。」


衆目も気にせず、いや、気にならず、見つけた標的へと向かう。


「のだめっ!こいっ!」
「はぅっ?はれぇ・・・?しぇんぱい・・・?どしたんですか?怖い顔して?」


周りが何か言ってる・・・。聞こえない。いや、聞こえているがどうでもいい。
のだめを引きずるように、人だかりを掻き分けながら楽屋へ・・・。


『バタンッ!』

楽屋のドアを、突き飛ばすように閉め、力いっぱい、のだめを抱きしめた。


「はぅううう・・・。ど、どしたんでスか?く、くるしいデスよ・・・。」

そう言った唇に、力強く自分の唇を重ねる。


「むぐぅ・・・。ぎゃは!しぇ、しぇんぱい・・・?」
「いいから・・・。少しこのままで・・・。」

「む、むぐぐぅ・・・しぇ、しぇんぱい・・・ぐ、ぐるじぃ・・・」
「いいから、黙ってろ・・・。」

「あへぇ・・・。」
「変な声だすな・・・!」
「あ、あの、ま、待って・・・。」
「待てねえ!」
「しぇ、しぇんぱ・・・」

戸惑いながら、なにか言いたげだ。

「ん・・・?」
「あ、あの・・・。せ、せんぱい、なんだか震えていますヨ・・・?」

(・・・?ああ、俺、震えてるのか・・・?)

「それに、ど、どしたんデスか?泣いてマスよ・・・?」

(・・・?え?俺、泣いている・・・?)


演奏中、ずっと考えていた『のだめ』。
今まで、演奏中に他の事を考える、なんて事は、無かった。
音楽と女を混同して考える事は無かった。
のだめと果たせなかった共演だからか?Ruiに、のだめを重ねていたのか?
のだめより、俺の方がラヴェルでの共演を果たしたかったんだろうか・・・?


演奏中、ずっと、俺は求めてた。
いつもなら、良い演奏が出来れば、一分一秒でも長く続けていたいと思うのに
今日は、違う。

終わったら、すぐに捕まえなければオマエがまたどこかへ行ってしまう気がして
もう、今度こそ手を離したら、二度と俺の腕の中に戻ってこない気がして・・・。
必死で『のだめ』を見つけ、腕の中に抱きとめた。
今までだって、幾度と無く、そうしてきたはずなのに。
震えが止まらない・・・。


でも俺、なんで泣いてるんだ・・・?
良い演奏が出来たからか?達成感からか・・・?
いや、そんな簡単な理由じゃない。
また何処かへ飛んでいくような気がしていた『のだめ』をこの腕に抱けたから・・・?



いや、理由なんて、わざわざ付ける必要なんて、無い。
今は、もう、ただ、のだめを離したくない。

「せ、せんぱい・・・?」


抱きしめた手を緩め、のだめの頬に手を当てる。
少し潤んだ目、オデコ、少し赤らんだ頬、小さな鼻。
全てに優しくキスをする。

「はぅうう・・・。」

トロンとした目で、少し身体を震わせながら、俺の腕の中に居る『のだめ』。
唇を首筋に這わすと、「はぅ!」と更に身体を硬くする。
そして、今まで触れずに来た、柔らかそうなその胸に手を伸ばす・・・。

「ひぇぇええ!しぇ、しぇんぱい!にゃ、にゃにを?!」
「ずっと、こうしたかったんだよ・・・。」


そう、俺はずっと、ずっと、こいつとこういう事をしたかった。
なんども、そんなチャンスはあったはずなんだ・・・。
でも、好きだ好きだ言う割りに、肝心な所で交わされる・・・(くそっ)
しかし俺も、「手を出してしまったら終わりだ」みたいな感情もあった。

『変態の森』へ踏み込みたくないわけじゃない(当の昔に踏み込んでる)
手を出すのが、怖かったんだ。
キス以上の事に、踏み込んでしまったら・・・。
俺が手放せなくなる。追わずには居られなくなる。
ただでさえ、いつ何所へ飛んでいくのか分からない女だぞ?
それこそ、身が持たない・・・。


でも、それももう終わりだ。
今回のコンサートで、自分が何を望んでいるのか?判った気がした。
とにかく、欲しい。のだめの全てが・・・。オマエでなければ、ダメなんだ!


本当は、こいつの音楽そのものも、俺の物にしてしまいたい。
でも、こいつの音楽は、俺以外にも求める奴が沢山居る。
独り占めしてしまいたいが、それは適わない・・・。
でも、こいつの身体も心も、俺の物だ!

「だ、だめれす・・・。」
「駄目じゃねえ!黙ってろ・・・。」

弱々しく抵抗する『のだめ』の反論に聞く耳も持たず
その柔らかい胸の感触を楽しみながら、スカートの中で手を滑らせる。

「ひゃあああ!」

柔らかい、滑らかな太股・・・。
スーっと、唇を這わせながら、スカートをたくし上げる。

「しぇ、しぇんぱぃ!はぅ・・・まってくだサイ!」
「待てねえ・・・。」

泣き出しそうな顔で、俺を見る・・・

(そんな目で見るな!余計に興奮する!)

「の、の、のだめ、せ、せんぱいの事大好きですヨ・・・?」
「分かってんだヨ!そんな事・・・。」
「ち、ちがうんデス!だ、だから・・・し、しんいちくんなら、のだめをお任せしたいんデスけど・・・」
「ん・・・?」
「こ、ここじゃ・・・ダメなんデス!」
「は・・・?」
「だって、ココ、楽屋じゃないデスか!いつ誰が来るか、分かりまセン!」


震えながら、頬を赤らめて、涙目で必死に訴える『のだめ』。

「そ、それに・・・。センパイは今日の主役なんだから・・・。のだめ、独り占めできまセン!」


そう・・・。無我夢中で、のだめの声以外何も聞こえなかったが
ドアの外では、俺を呼ぶ声がする。
確かに、この後のパーティーには出席するのが当然だ。
でも、そんな事今の俺には知ったことではない。
俺は「今」のだめが欲しい!今すぐに!


「・・・。分かった。出よう!」
「ぎゃぼ?!出ようって・・・?」


矢継ぎ早に着替えをし、のだめに自分のコートを羽織らす。

「でるぞ!」

そう言って、真正面から楽屋のドアを力いっぱい開けた。


もう誰が何を言って居たのかは覚えてない。
のだめを右腕に抱え、人だかりを掻き分け、エントランスへ向かった。
沢山のカメラが向けられ、フラッシュの嵐だった。
沢山の歓声と奇声の中、無理やりタクシーへ乗り込む。


「セ、センパイ・・・?どこへ行くんデスか・・・?」
「アパルトマンだよ・・・。」


そう、パリでの俺達の原点は、あそこだ。

アパルトマンには、殆ど人が出払って居ない。
そりゃそうだ。皆俺のコンサートを聞きに来ていたのだから居るわけが無い。
静まり返ったアパルトマンの階段を、
のだめを抱きかかえ、登っていった。

「ふぉおおお!お姫様抱っこでしゅぅうううう!あへ〜。」

もう、こいつは・・・。(つか、結構重いぞ)


かつての俺の部屋、今は『のだめ』が使っている。
のだめの部屋になってから、雑然としているが
それでもここが、俺達の原点だ。

のだめを、グランドピアノの椅子に座らせる。


「ほえ?今からのだめに、何か弾いて欲しいんデスか?」
「いや、それは後でいい・・・。今度は変な声出すんじゃねーぞ!」

俺、何根にもってるんだ・・・?
いや、あの時俺様を拒んでから、余計に手が出しづらいのも事実じゃねーか!

「しぇ、しぇんぱ・・・」
「さっきの続きだ・・・」

俺の震えは止まったが、のだめの震えはさっきの楽屋での比ではない。

「のだめ・・・?怖いか・・・?」
「はぅ・・・。し、しんいちくん・・・この先も、あの・・・する、です、か?」
「ん・・・?」
「あの、えっと、エチとか・・・。」
「そのつもりだが、ダメか・・・?俺じゃ。」

ブンブン首を振る『のだめ』

「ち、違うんデスけど・・・のだめ、したことないデス・・・」

(やっぱりな・・・)

「大丈夫だ。心配ない。」
「で、で、でも、やっぱ、怖いデス!はぅう・・・そ、それに・・・」
「それに?」
「のだめ、まだ、しんいちくんに何も言われてないデス・・・」
「はあ?」
「好き・・・とか、愛してる・・・とか・・・ギャハ!」
「あのなあ・・・。そんな事、言わなくても・・・分かるだろうが!(くそっ!)」
「わかりませんヨ!言ってもらえなきゃ、のだめの純潔あげられまセン!」

(くそっ!こんな時にそーくるかよ・・・)

「くそっ・・・。その、あ〜なんだ、オマエが・・・だよ・・・。」
「え・・・?きこえまセンでしたヨ・・・?」
「くっ!お、お、オマエが、好きだ!」
「ぎゃは〜!!!のだめ今日死んでも良いでス〜!!!」

(くっそー!この女は!)

「もう、黙ってろ・・・」

はしゃぐ『のだめ』の唇を塞ぐ・・・。

「あ、し、しんいちく・・・待って・・・」

(まだ何かあんのかよ?!)

「あの・・・今日のラヴェル、素敵でシタ!」
「あ、うん・・・サンキューな・・・」
「あの、のだめ・・・途中で、Ruiに乗り移っちゃって、センパイと共演している気分になりまシタ!」
「のだめ・・・それでなんだか・・・」

(うっ!まさか・・・)

「いや!わかった!それ以上言うな・・・」

また『のだめ』の唇を塞ぐ。


あの演奏で、シンクロして、満足されたんじゃ溜まらん・・・。
オマエとは、もっと・・・いや、なんだ、ゴールデンコンビなんだろ?!
あんなもんで、満足されちゃ俺が欲求不満なんだよ!


今はただ、俺の側に居ろ!もっと近くに来い!
もう、俺はオマエを手放す気はないからな・・・。

強く強く抱きしめ、のだめをもう一度抱き上げると、ベットに優しく落とした。
背中に手を回し服を脱がす・・・。
まだ震えている・・・そんなに硬くするなって・・・。
俺はもう、演奏中から待ちきれないんだからな!


そう、演奏中から脳裏をしめていた『のだめ』
その、ずっと触れずに来た、豊かな胸は、まだ下着で覆われている。
これ・・・以前俺に見せてきたブラだな・・・確かD・・・。
今まで付き合った女は、Bカップがせいぜいだったから、Dは初めてだ。

(こいつ、着やせする・・・)

そう、思ったよりもずっと豊かなバスト。
ホックを外し、その中心に顔をうずめる。

「ひゃあああ!し、しんいちくん・・・やらしいデス〜!!!」
「ぅ・・・。仕方ないだろ・・・もう、ちょっと黙ってろ・・・」


思ったよりも大きな胸だが、乳首がまるで子供のようにピンク色で小さい。
たまらなくなり、それを口に含む・・・。

「はあぁぅ」

のだめの身体が少し緩んだ。
乳首に吸い付きながら、俺の右手はそのスベスベした身体をまさぐる。

もっと細いだけかと思った身体が、以外にも程よく肉が付いている。
腰周りも、ふっくらと女らしく、尻まわりも、まるで赤ん坊のように丸い。


震える身体を優しくなでまわし、その手を下半身へと移動させる。

(ほんとうに紐かよ・・・)

と思いながら、下着を剥ぎ取ると

「いやん・・・。」

また身体を硬くした。
少し抵抗し、足をギュッと閉じた『のだめ』
緊張を和らげるように、程よい肉付きの柔らかい太股に舌を這わせると
のだめの息遣いが少し荒くなってくる・・・。

そして、のだめの秘所へと指を這わせる・・・。

「はぁ・・・いやっ!」

・・・?濡れているじゃないか・・・。

そう、コイツ初めてのはずだよな・・・?
さっき自分でも言っていたし、
俺が手をだしていないんだから、そのはずだ!(セコイ俺様学)
コイツ、感じやすいのか・・・?

そう思うと、今まで押さえていた何かが弾けた気がした。
思ったよりも、そそる体つき、反応しやすい体・・・。
初めての事に、身を震わせるそぶりが、更に俺を掻き立てる。


どれほど、チャンスを逃してきた事か・・・。
俺、今相当焦ってるな・・・くそ!
「落ち着け!」と思うほど、自分の意志とは裏腹に、自分の物はそそり立って行く・・・。
早くその秘所に埋めたい!自分の物にしてしまいたい!
いや、ダメだ!初めての女を相手に・・・。焦るんじゃねー!俺!


そう思いながら、必死に堪え、のだめの濡れた所に舌を這わせる。

「ひぇっ!そ、そんな・・・はあああぅ・・・!」

(すごい・・・)

どんどんあふれ出してくる蜜・・・。
一番敏感であろう陰核に舌を這わせた時、のだめは腰を躍らせた。

「も、も、も、は、恥ずかしいでス・・・のだめ、恥ずかしくて死にそうデス・・・」

そう言いながらも、初めてのクセにいやらしく腰が動く・・・。

(コイツ、音楽のほかにもこんな才能があったのか・・・?)

そしてそんな『のだめ』のセリフに、俺は翻弄される・・・。

俺は頭がくらくらしてきた。何かに酔ったかのように。
もうダメだ・・・。待てない・・・!

「のだめ・・・。いいか?もう・・・?」
「ひぇっ!?あ、あ、は、はい・・・。でも、こ、怖いデス・・・。」
「大丈夫だ・・・。」

そういいながらも、手加減してやれないかもしれないと思う自分が居る。

(大丈夫じゃないかもしれない・・・俺・・・。)

のだめの震える身体を、更にギュッと強く抱きしめて、キスをした。
自分自身を、落ち着かせるように・・・。


キスをしながら、ベッドの下に脱ぎ捨てたジャケットの裏ポケットから
ゴムを取り出し、手早く装着した・・・。

「行くぞ・・・。」
「ひゃうっ・・・。」

のだめの秘所に、自分自身をあてがい、少し沈める

「はぅっ!」

ん・・・っ!あれほど濡れていたのに、それでもこんなにキツいのか?!
俺、持つんだろうか・・・?
何しろ、どれだけ待たされたか分からないからな・・・俺・・・。
演奏中にも、燕尾の中で膨らみそうだったんだからな!(俺って・・・)


更にしずめると、「いっ・・・!」と顔をゆがめる。

(ごめん・・・)

と思いながらも、そのかなりキツイのだめの中に一気に沈めた!

「あああああっ!」


「ご、ごめん・・・!だ、大丈夫か?!」
「ふぁ、は、い・・・。なんだか、クラクラします・・・」
「俺もだ・・・。痛くないか・・・?」
「い、痛いですけど、頑張ります・・・っ!今日は、のだめ、一つになりたいんデス!」
「のだめ・・・」


そう、俺も、演奏中からずっとコイツと一つになりたかった。
のだめの音楽と、まるごと・・・。
演奏中、のだめもきっと、俺と同じ気持ちだったんだと、俺は思った。
そう思ったら、もう俺の身体は勝手に動いていた。
痛そうに顔を歪めている・・・ごめん・・・。
でも、もう、もう、止められない・・・・!あああ!

・・・。

俺としたことが・・・!くそっ!


まだ上気する『のだめ』の身体に覆いかぶさったまま、
俺は自己嫌悪に陥る・・・。

今まで、付き合った女とも幾度と無くセックスはしてきた。
でも、1人でイッてしまう事なんて、今まで1度も無かったんだ・・・。

(クソッ・・・)

俺って、どれだけコイツに飢えていたんだろう・・・。
どれだけ、コイツを抱きたかったんだろう・・・。

「し、しんいちくん・・・?どしたんデスか?」
「ご、ごめん・・・。俺、すげえ一方的だった・・・。」
「ふぉ?そ、そうなんデスか・・・?のだめ、分かりまセンけど・・・。」

そ、そうだよな・・・。初めてじゃ、分かるわけは無い。
でも、せめて、もっと時間をかけて、大事にその時を迎えさせてやりたかったのに・・・。
あんな強引に、しかも一方的に果ててしまうなんて・・・クソ!

「ほんと・・・ごめんな・・・。
「でも、のだめ、怖かったデスけど、幸せデスよ・・・。」
「のだめ・・・」
「やっと、一緒になれた・・・デス・・・はぅ。」
「そうか・・・。」
「しんいちくん・・・。」
「ん・・・?」
「今度は、のだめとコン・・・」と言いかけた唇を塞いだ。
「バーカ!オマエとじゃないとゴールデンコンビはありえねーんだよ!」


そういって、その柔らかい身体を、力いっぱい抱きしめた。

(やっぱり、手ばなせそうに無いな・・・)


のだめの音楽は、それを欲する全ての人間の物だ。
でも、コイツの身体は、心は、俺の物だ・・・!


そう思っている間に、のだめは既に夢の中のようだった。
腕の中で寝息を立てる『のだめ』が愛しくなり、
その濡れた睫や、尖った唇に何度もキスをした。

そこで、俺は我に帰った・・・。

(俺、そういえば、どうやってここに・・・?!)

急に青ざめた・・・。

確か、のだめを必死に探して、強引に楽屋へ連れ込んで・・・。
その後・・・?!(!!!!)


順を追って自分のしでかした事を反芻し、青ざめた・・・。

(マスコミに、何を言われるか分かったもんじゃねーな・・・)


とりあえずは覚悟しなければならない事が沢山ありそうだ(ハァ)
言い訳を考えるのも、もう頭がくらくらして回らない・・・。


今は、この愛しい奴の柔らかな胸で、意識をなくしたい・・・。
明日からは、地獄の沙汰が待っているのだから・・・!






SS一覧に戻る
メインページに戻る

各作品の著作権は執筆者に属します。
エロパロ&文章創作板まとめモバイル
花よりエロパロ