リュカ・ボドリー×野田恵
![]() 「のだめー!」 「あっ、ターニャおつかれデス。」 「今のかわいい彼、誰?」 「彼?あ、リュカですよー。」 「リュカ?リュカ・ボドリー?ええっ!ウソ!こないだまで、ちっさい子だったじゃないよ。」 「夏休みの間にバキバキ背がのびたらしいデスよ。のだめももうびっくりデス。」 「のだめー。浮気になんないように気をつけなさいよぉ。」 「…………。」 「……なんなのよその沈黙は。」 「ターニャ…実はちょっと…。」 「なに!何なのよ!カフェ行こう!」 「のだめ今お茶したばかりデスよ。」 「もう、いーじゃない!何?気になるーーー!」 「手を…いつも握られるんです…。」 「握手じゃなくて?」 「そう、いつもここで、お勉強の間中、テーブルの下で、ぎゅっと…。」 「ひあー。ヤバイかもそれ。」 「目…目線がいつもじいっと、のだめの顔に固定されてて、なんか最近リュカと話にくくて…。」 「おおーーう。」 「こ、こないだなんか、ノート写していたら、丁寧に教えてくれるンですケド、み…耳元で話されるんデス。対位法の理論とか。難しい話とか。ふつうの話なんですケド…。」 「のだめ…アンタ…。」 「リュ、リュカはわからないでやってるんでしょうけど、のだめは耳が弱くて、感じてるってばれないようにするのが必死で…のだめお姉さんなのに…。その間も手とか、指先で手の平なでたりとか…。」 「うわーーー!あんたバカ?」 「は、バカ?」 「口説かれてるのと変わらないじゃん!!」 「へ、…ましゃかああー。のだめリュカと9歳もちがうんですよお。」 「見えないわよあんたは24には!!」 「ぎゃぼお!」 「やばいってば、気をつけないさいよ。そのうち練習室に連れ込まれないでよお。」 「ぎゃびーーー!なんって事いうんですか!リュカを侮辱するよおな事、いくらターニャでも許さないデス。」 「ごめんごめん。でもさあ用心しなさいよ。誰か他の人にも同席してもらうとかさあ。」 「はあ…そうですね。黒木くんにでもお願いしようかな…。」 「なっ!ヤスはダメよ!」 「は、どーして?」 「ほら、カレ最近マルレとの両立で疲れてじゃない?誰か他の。」 「でものだめ、あんまり友達いないんデスよ。」 「うーん、でもそれぜっったいその気あるよー。浮気だ浮気。」 「なんって事を…ターニャでも許しません!先帰りマス!」 「……あーああ、行っちゃった。でもなんであの子ばっかもてるのよ。あーああったくここはゲイばっかだしい。つまらないわねー。…のだめの事、千秋に言いつけちゃおっかなー。ぐふふ。」 rrrrrrr… 「アロー?誰?」 「ハイ!千秋!ターニャだけどぉ!」 「ターニャ?何?」 「ちょっとちょっとぉ!のだめの事だけどさあ。」 「なに…。」 「学校の男子から、言い寄られてるわよ。」 「は、ハイ?」 「ってアンタ達、おんなじような返事すんじゃないわよ…。」 「のだめが何?」 「…学校で、のだめに目をつけてる男がいるって事!」 「…………それで、のだめは?」 「悪い気はしないんじゃない?ブロンドで青い目の、かわいー男の子で…。」 「………。」 「のだめにぞっこんで猛烈アタックかけてるらしいわよ。」 「らしいって、ターニャは見てないのかよ。」 「アラ、のだめにあたしがうち明けられたのよお。のだめったら言い寄られてるなんて自覚がぜんぜんなくて、困ってあたしに言ってきたんだから。」 「お前いま、のだめがまんざらでもなさそうな事いってたじゃないかよ。」 「なっ、なによ!千秋こそ気にならないの?!彼氏でしょー?」 「はいはいもういいよ。わかった。どうせ大丈夫だよ。じゃな。」 「えーーっ!ちょっと待ってよ切らないでよ!………何よ千秋余裕じゃん。すごい自信ねー。負けるわ。」 数時間後の千秋とのだめ→ 「……お前さあ。」 「はい?なんデスカ?」 「最近学校でもててんだって?」 「は、ハイ?」 「……………。」 「……ターニャですね!もお許しまセン!あることないこと…!」 「待てよ!…。」 「離してクダサイ!」 「あることって…?」 「あん…っ。」 「ナニされたの…。」 「…っ。チガイますよ。ん…。」 「火の無い所に煙は立たないだろ…。」 「や…チガウんデス。ん…リュカの……事デスってば…やん。」 「は?リュカ?」 「そーです!離して!」 「リュカってスキップで入ってる小さい子の事だろ。」 「そーデスヨ。のだめリュカとよくカフェで自習するんです。それで、ターニャに話したのは、ちょっと最近リュカが……ちょっと手を長く握ってくるとか、耳元でひそひそ話するとか、そういうのが困るって話で…。」 「………。」 「のだめはお姉さんだから、そんな事でいちいちうろたえたら変でしょって、ターニャに相談しただけで……。」 「…なるほど自覚無しか。」 「なんですか先輩まで!!あっっ…。」 「………。」 「……やん…。」 「他に…何される?」 「やあ…耳は…ヤメテ…。」 「お前にどんな事するの…。手を握って…それで?」 「や…あ…ソレ…されます…。指先でこちょこちょ。」 「キスなんてする?」 「リュカと?…挨拶ぐらいのは…ん……ン…。」 「こういうのは?」 「してるわけないじゃないデスカ!…はン…!」 「おまえさあ…気をつけろ……ていうかそいつとつきあわないほうがいいぞ…。」 「え…、ア…やん!あん、あん、…。」 「自覚ないのもたいがいにしろよ、このニブ頭。」 「あ…あ…ん…っ…っっ。」 「…………。」 「だめっ…ダメ…ダメ…ん…イ…っ。」 「…………。」 次の日のだめをメガーヌで送り迎えする千秋がいましたとさ。ちゃんちゃん。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |