番外編
「!」 『大家さんっっあぶない!』 バランスを崩し、階段から落ちそうになった瞬間に遭遇した皆人は、考えるより先に体が動いていた。 「あぁ…すみません、佐橋さん」 『はぁ…はぁ…何とか、無事でよかった…です』 皆人は両腕でしっかりと美哉を抱きかかえる形になっており、端から見ればぎゅっと抱き締めているように見えた。 「あの…佐橋さん…?」 『!! あっいや、あのっ すいません!!!』 「ん……っ」 ドクンッ 咄嗟の出来事だったため皆人に悪気はなかったが、美哉を抱き締めたことには変わりなかった。 そして複数のセキレイを羽化させた皆人の手を伝わり、美哉は反応に近いものを感じていた。 「ん…っ はぁ…はぁ…」 『大家さん? どっか…大丈夫ですか?』 「…はぁはぁ…、ええ…大丈夫です。それより―」 その一部始終を、月海が見ていた。 SS一覧に戻る メインページに戻る |