井上薫×笹本絵里
クルクル、クルクル。 柔らかいウェーブの髪に右手の指を絡める。 笹本さんは鬱陶しそうにチラっとこっちを見たけど、何も言わない。 俺は構わずに指で弄んだ。 お互いを荒々しく求めて絶頂を迎え、しばらく体を休めていると興奮と快楽が段々と鎮静化し、その後に独特の気だるさが訪れる。 そういう時に笹本さんの髪に触れるのが好きだ。 嫌そうな顔はするけど、これまで手を払われたことも、制止の声を聞いたことは一度もない。 だから俺は今日も続ける。 笹本さんは静かに瞼を下ろした。 寝ちゃうの?笹本さんに体を寄せて素肌同士をピタリとくっつける。 モゾモゾと動いて離れようとするから、俺は笹本さんの体に手を回して抱き締めた。 笹本さんは諦めたのか静かになった。髪と同じくらい、やっぱそれ以上に体は柔らかくて気持ちいい。 首筋に鼻を押し当てる。僅かな汗の匂いに混じって笹本さんのいい香りがする。たまらなくなって甘く噛んだ。 「やめろ」 笹本さんは頭を動かしそれで俺の顔を退けようとする。 「跡は残らないようにしたから」 「当たり前だろ」 笹本さんはがぶっと鼻を噛んだ。ちょっと痛い。 「残るじゃないっすか」 ふん、と素っ気なく笹本さんは呟く。 だからお返しに口に軽くキスをした。笹本さんは抵抗しなかったし、笹本さんもキスをしてくれた。 あ、なんかノってきた。 「ねぇやっていい?」 「だめ」 俺の右手に柔らかい指が絡んできた。 「本当にだめ?」 笹本さんはクスリと笑った。 「いいよ」 シーツの中で笹本さんに覆い被さった。背中に細い腕が回される。 またキスをした。今度は舌を絡めながらお互いを求めた。 そしてまた俺たちは快楽の渦に飛び込んだんだ。 SS一覧に戻る メインページに戻る |