瀬文焚流×当麻紗綾
顔を覗き込んできていた当麻紗綾が、また唇を合わせてきた。 瀬文焚流は血が逆流しそうになるのを感じた。 (くそッ) この餃子くさい馬鹿女は。 どれだけ瀬文が苦しいのを耐えていて。 どれだけ瀬文がぎりぎりな状態なのか。 多分、全く分かっていないのだ。 (俺が―――) 一体どんな思いで、耐えていると思っているのだ。 そろり、と当麻が舌を差しいれてきた。瀬文も人の事は言えないがはっきりって下手である。 それでも。くらりとした。 (この馬鹿女は) どこまで瀬文を煽れば気が済むのか。 息が切れる。 動悸がする。 目眩がする。 当麻はおずおずと瀬文の舌を探っている。 僅かに保っている理性の糸が途切れそうだ。 脳が。 身体が。 溶けそうだった。 当麻が背広に手を掛けたので押さえつける。 自ら脱いで、当麻の隙をついて体勢をひっくり返す。 ……せめて主導権を握らねば、己を制御する自信が全く無かった。 SS一覧に戻る メインページに戻る |