ガチで誘ってます
瀬文焚流×当麻紗綾


「瀬文さん…」

未詳の部屋の隅。硬い台の上で、瀬文は当麻に覆いかぶさっていた。
先ほどの会話。
それは、ささやかなひと言より始まった。

「瀬文さんて、いっつもそんなに肩肘はってますけど、リラックスする時ってあるんすか?」

得体のしれない熱いうどんに顔をつっこまれ、顔と、ついでに頭を洗った瀬文は半裸になっていた。
ふいに質問された瀬文は怪訝な顔をした。
頭をタオルで拭いている手を止めて、睨むように当麻を見る。

「そんなの、あるにきまってんだろ」

当麻は興味を持った顔で乗り出して、また質問をした。

「へーえ、一体いつ、そんなになっちゃうんですか?」

可愛らしい顔でニコニコしている。
こんな風に笑うと、当麻は普通の24歳の可愛らしい女の子に見えるのだから、元々素の顔は充分可愛いのだ。

「…美人と寝てる時に決まってんだろ」
瀬文はドヤ顔でフン、とばかりに言い放つ。

「へーえ、へーえ、へーえ」

当麻は顔はいっそう輝かせて、興味深々の眼で瀬文に近よっていった。

「セックスでリラックスするもんですか?それってどんな風に?」

ぶりっこ風に詰め寄ってくる。見たい、みたい、と駄々っ子のように迫ってくる当麻に、瀬文はあとずさりした。

「な、なんだ。お前、俺を誘ってんじゃねえだろうな」

瀬文は壁まで追い詰められ、近い当麻に怪訝な顔を向けて言った。
少し困惑した顔が伺える。

「誘ってます、ガチで誘ってます」

顔をぶんぶんと縦に振って、当麻が答えた。
瀬文は動揺したが、随分年下の当麻にからかわれたら恥だ。
冷静を装って当麻を見据えて、平気そうに言った。

「ばかな事を平気で言ってんじゃねえ」

すると、今までニコニコしていた当麻は突然怒って言った。

「本気ですよ!今まで我慢してたんだから、いいじゃないですか!好きな人に迫っちゃいけないですか?
あたしたち、本気で消されるかもしれないんすよ?今、瀬文さんに迫らないと後悔するんです!
てか犯罪ですか?何罪ですか!?
好きな相手に迫っちゃって告ちゃった罪ですか?」

瀬文は固まっていた。
突然の告白に戸惑った。

「いいっすよ。私が勝手に迫ります」

と、当麻は瀬文の長い首に手を回して、自分の方に引き寄せた。
あっさり、唇を奪われる。
瀬文は普段、冷静な判断が出来るほうだったし、かなり機転が利くほうだったが、こういう場合は別だ。
ようやく、状況を飲み込んだ。

「…待て。」

状況をようやく飲み込んだらしい瀬文が、当麻の肩を押して、台に座らせてから言った。

「…俺が、リードする。」

「瀬文さん…」

「優しくなんかしねえからな」

瀬文は慣れた手つきで当麻のシャツのボタンをはずし、膨らみに顔をうずめた。
愛撫をしながらブラをあっという間にはずされ、形のよい胸があらわになる。
片手で乳房を揉まれ、もう片方の乳房の先端を舌で攻められると、思わず声が漏れた。
…それにしても。

(…瀬文さん、慣れてるな…)

一方、当麻のほうは慣れてはいない。
ビクン、ビクンと身体が反応してしまう。
身をよじって、快感に耐えるように、瀬文にしがみつく。

「瀬文…さん…」

瀬文の手が下腹部にのびた。下着の中に躊躇なく指が進入する。
指が、割れ目をなぞった。
ビクンと当麻が反応し、とたんに恥ずかしそうに眉根を寄せる。

「っやっ…」

瀬文はちょっと意地悪そうに当麻の顔を見ている。
もうすでに、こんなになっているのが恥ずかしかった。
瀬文が、にやりとしたように見えた。

水音が、いやらしく響く。
当麻は本当に恥ずかしくなった。
瀬文が、じぶんのあそこを触っている。
しかも、顔を見つめている。
瀬文の指は、しっかりと一番感じる所を捕らえていた。

「っあ、やっあっ…」

恥ずかしさのあまり、感じるあまり、当麻はどうにかなりそうだった。

「このまま、やめんのか?」

絶頂にさしかかろうとしている当麻に、凄く意地悪に瀬文は言った。

…どS!!!

当麻は顔を急いで振った。
ここでやめられたら酷すぎる。

にやりとしてから、下腹部に顔を埋めてきた。
そしてあっという間に一番敏感な場所を探し当てると、いやらしい舌使いで攻めてきた。
当麻は、感じるあまりに意識が飛ぶ寸前だ。

イク、と思った矢先、瀬文が止まった。

「…シッ!黙れ」
「??」

朦朧とした意識の中で、当麻がキョトンとしていると、ゴウン、と音がした。
リフトが動いている?

…誰か、来るのだ!

当麻は焦ったが、瀬文は冷静に当麻を抱きかかえると(しかも駅弁スタイルで!!)係長の席の後ろに移動した。

がやがやと数人の声がした。…例の三人組らしい。

「なんだ、電気つけっぱなしで」
「あれ、いないんかね」
「まだ帰ってないようだったがね」

三人はのんきな会話をしながら、ズカズカ未詳の部屋に入ってきた。

一方、瀬文は耳を澄ませながらも当麻を自分の足の中に体育座りで座らせた。
場所は係長の椅子が収まっているところだ。
いつ、見つかるかわからない。

…なのに。
瀬文は、こんな状況で、下着に手を入れてきた。

まさか、続ける気??マジすか?と当麻は驚いた。

と、瀬文に後ろから片手で口をふさがれる。
声を出すな、ということだろう。
下着に入れた手は、再びゆっくりと割れ目をなぞった。
当麻は目をとじ、快感をこらえる。
声は出せない。
だが、身体は正直だ。
瀬文の指が、執拗に鋭敏な突起を攻めてくると、身をよじらずには居られなかった。

三人は、帰りそうもなく会話をしていた。

口をふさいでいた手はやがて胸に降りてきた。
胸をもまれ、その先端をつまむようにいじられると、危うく声が出そうになった。
相変わらず下も攻められているのだ。
瀬文が上手いのか、当麻が感じやすいのか、もう、当麻はびちょびちょになっていた。

瀬文が、手を止めた。



当麻が飛びそうな意識を少し取り戻す。
と、足音が近くに寄ってきた。
係長の机の下にいる瀬文たちなど、近くに来ればすぐ見つかってしまうにちがいない。
当麻は、少しはみ出ていた足をあわてて引っ込めた。
いくらなんでも、こんな服が乱れている姿を見られたらいやだ。
しかも…瀬文は上半身裸でいる。
何をしていたか、などは聞かれる間でもなく周知されてしまうだろう。

あくまでジッとしなければ、と、当麻が思った矢先…
瀬文の指が当麻の中に入ってきた。

「!!?」

こんな状況で入れるか???と当麻は振り向こうとしたが、狭くて上手く首がまわらない。
完全に瀬文に指導権をにぎられていることが…完全に予定外だった。

「…っ!」

声にならない声が出る。

…恥ずかしい。

見られてしまうかもしれないのに。
指は、状況をお構いなしに、ずぶずぶと進入し、やがて前後に動きだした。
めったなことでは赤くならない当麻が顔を赤らめ、身をよじって快感に耐えていた。

…これ以上。
感じるわけには……声が、、…出てしまう。

そんな当麻に気がついているのかどうか、瀬文が乳房から放した手を再び当麻の口に持ってきた。
指を一本。
そして耳もとでささやく。

「噛め」

当麻は、喘ぎそうになるのを必死で堪え、素直に噛んだ。とびそうになる意識が少し戻る。

瀬文が再び耳元で囁く。

「…お前、ぬるぬるだな」

その瞬間、頂点になってしまった。

息があがっている当麻の後ろで瀬文はひくひくする当麻の突起を弄んでいた。
すっかり感じやすくなっている当麻は、ピク、ピクと反応してしまう。

ゴウン、とリフトが下がっていく音がする。
三人組が帰っていくようだ。

「行ったな。」

音がすっかり遠ざかると、やっと瀬文が声をだした。

当麻は我慢できなくなり、振り返ると瀬文の顔を挟んで無理やりキスをした。
ギブスの手が邪魔だったが、瀬文が当麻の腰に手を回し、そっと床に押し倒してくれた。
当麻が懇願するような目で見ると、瀬文は当麻に軽くキスをしてから、言った。

「これ以上は、無理だ。」

当麻が目をぱちくりする。

「は?」

驚きの表情で瀬文をみた。信じられない。何て言った?まさかやめんの?…うそでしょ?

「ど、どんだけ…」

当麻はさっと手を首に回し、またキスを求めた。瀬文はそれに応じ、そっと唇を重ねると舌をからめて濃厚なキスをした。

(…瀬文やろう、キスまで上手いじゃねーか)

当麻がとろけるような気持ちになっていると、瀬文は当麻の肩を持ち、やおら唇を放した。

「ゴムが、ねえ」

…ああ、そういうことか。

しかし。当麻はゆるがなかった。

「中出し、上等っすよ。覚悟してたから問題ないっす。もーまんたいです。」

変に堂々と当麻が言った。

「覚悟って、おまえな…」

瀬文は力なく立ち上がると、自分のスーツを置いたところに歩いていった。
シャツに袖を通している。

…ほんとにやめちゃう気だ!!

ガバと起き上がると、当麻は叫んだ。

「瀬文さんひどいっすよ!このままとかありえないでしょ!瀬文さんのだって…このままじゃ収まんないんじゃないっすか」

瀬文の熱くて硬いものが、さっきまで当麻の腰に当たっていた。
それを知っているだけに、当麻はとにかくどうにかしてあげたかった。
あの三人が行ったら、自分の身体で、解放させてあげたかったのだ。

しかし、瀬文はスーツまで着込んでしまった。
このままでは帰ってしまう。

「瀬文やろぉっ…」

当麻はたまらず走っていって瀬文にドカンとぶつかると、

「やあーだ、やあーーだ、帰っちゃやあーーーだ、いいって言ってるのにーーーーいっ」

と、ぐいぐい壁に追い詰めた。

「お・まえな…俺だって我慢してやってんだ、このトンマ」

「言ってるじゃないすか…今、瀬文さんとしとかないと、後悔するんです」

当麻と瀬文の視線が絡む。
…しばし、沈黙が流れた。

「…ほんとに覚悟できてんのか」

お?
これは…w

当麻はコクコクとうなずく。

「出来てます。ガッチで出来てます」

手でokポーズをつくった。


瀬文は、いきなり当麻を壁に押し付けた。
と、当麻の足を片方あげ、片手で確かめる。

「…まだ、ぬるぬるじゃねえか」

「うっさいです…いいから、してください…」

瀬文はまだ充分熱いそれを取り出すと、ずぶりと当麻に挿し入れた。
充分湿っていたソコに、あっさりとそれは進入を許した。

「ンあッ…」当麻が目を閉じる。

「…凄え濡れてんな、お前、ちゃんと」



次の言葉を待つ。

「女なんだな」

「んぁッ…馬鹿、瀬文」

ブン、と振り下ろした手を瀬文がさっとつかんだ。
そのまま手も壁に押し付けられた。

そのままの体制で、奥まで何度も突かれ、そのたびに身体が痺れるような、気が遠くなるような感覚になった。
二人の呼吸が徐々に荒くなっていく。
瀬文が少し震えた。

…二人が、後日、妊娠を発表することになることは、また別のお話…






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