上田次郎×山田奈緒子
![]() 12月24日。クリスマスイブ。 バイトのギャラを握り締め、一目散にアパートに向かった。 今日は楽しいクリスマスイブ。 このイベントを、私に心底惚れているあの男が見逃すはずはないのだ。 ご馳走と、プレゼントまでゲットできるであろうことは予想済み。 「メリークリスマス!イブ!」 部屋の中には、予想通りクラッカーを打ち鳴らして爽やかに笑う上田がいた。 「上田…何を企んでる?」 「心優しい上田教授主催、貧乏人に捧げるボランティアのクリスマスパーティだよ。まぁ座って」 しぶしぶ、疑わしげに座布団を引き寄せて座る。 喜んでいる素振りは見せてはいけない。 上田さんが調子に乗るから。 「YOU。乾杯の前に面白い話があるんだ。 ドッペルゲンガーというのを聞いたことがあるか?」 やっぱりまた変な依頼を受けたのか…そんなことも予想済み。 理由はなんだっていい。 上田さんといられるならそれでいい。 そんなこと、私は素直に言えないけれど。 私はあなたが好きなんです。 メリークリスマス、上田さん。 12月24日。クリスマスイブ。 山田が帰ってくる前に、飾り付けを済まさなければ。 今日は楽しいクリスマスイブ。 このイベントを、利用しない手はない。 今夜こそ…フフフ…。 「メリークリスマス!イブ!」 帰ってきた山田をクラッカーで迎える。 「上田…何を企んでる?」 「心優しい上田教授主催、貧乏人に捧げるボランティアのクリスマスパーティだよ。まぁ座って」 嫌々といった様子で向かいに山田が座る。 嬉しいくせに。照れやがって! 「YOU。乾杯の前に面白い話があるんだ。 ドッペルゲンガーというのを聞いたことがあるか?」 依頼にかこつけて、明日泊まるホテルを予約しておいた。 クリスマスに初めて結ばれるなんてロマンチックじゃないか。 嬉しくて泣きそうになって、それでも強がって悪態をつく山田が目に浮かぶ。 俺に愛されるYOUは世界一幸運だということを忘れるなよ。 ジュヴゼーム、奈緒子! ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |