節分
上田次郎×山田奈緒子


奈緒子は煎り豆を抱えて電柱の陰に隠れている。
あの男がやってくるのを待っているのだ。

やってきた。
鼻歌でビューティフルサンデーをうなりながら
いつものように無意味に上機嫌な教授が。

「オニは外ーっ!」
「ぅおぅっ!!?」

やったやった!
奈緒子は笑い転げた。
それほど肝をつぶして逃げていく上田の姿は間抜けだった。

年中行事も無事済んだしアパートに戻ろうとふと地面を見る。
そこにはコンビニの小さなビニール袋がひとつ。

中身は恵方巻きに見立てたらしい手巻き寿司セット
それも奈緒子の好きなイクラ巻きと
上田の好きなかっぱ巻きだ。

「………」

奈緒子は袋を拾った。
食べ物を粗末にしてはバチが当たる。
上田の分も自分が責任をとって食べてやらねば。

「………」

部屋についた。
さあ食べよう。
上田のことはすっかり忘れ棚から醤油と皿を取り出したその時

電話が鳴った。

「もしもし」
「おいっ!わかってるんだぞ、さっきの通り魔、youだろうっ!」
「わかるだろ、普通。それとも後ろを振り返る余裕もなかったのか上田」
「………」

よっぽど怖かったらしい。
聞こえてくるのは悔しげな鼻息だ。

「はっ、そうだ、違う、言いたいのはこんなことじゃなかった。あのな、you」
「はい」
「俺のかっぱ巻きは残しておけよ」
「ええ?」

奈緒子はビニールをはがしかけていた手を止める。

「今から行くから。その、い、一緒に食おうぜ」
「なんで。来なくていいです」
「あのな、今年の恵方は南南東らしいんだよ」
「聞けよ」

そういうわけで今年の節分も奈緒子は鬼払いに失敗したようだ。

鬼払いに失敗した奈緒子は再度現れた上田と一緒に手巻き寿司を食べた
美味しかった
上田は納豆巻きとツナマヨも買い足して現れたのだ。

「う〜ん、ツナマヨ最高ですね!」
「俺はかっぱ巻きと納豆巻きか。まあいい」

上田はねばつく手を台所の流しで洗い終わると、茶を用意した
懐から豆のパックを出す。

「では豆まきだ」
「もういいですよ。こどもじゃあるまいし」
「君が言うか」
「あ、でもやっぱしましょう。それ全部よこせ、貧乏鬼を追い払いたいんです」
「君に必要なのは強欲鬼のお祓いだろう。こらよせ。やめろ」

揉み合ううちに上田と奈緒子は重なり床に倒れてしまった。

ドサッ

「………」
「………」
「…待てっ!上田、その口でキスはやめろ」
「どうして」
「納豆の臭いが…」
「いいじゃないか。今日は豆の日だ」
「はい?」
「君のからだにも確か…」

上田は奈緒子の胸を探り始めた。

「やめろ」
「ほら」

唆すように撫であげられ、存在を主張しはじめる奈緒子のふたつの乳首。

「よ、よせっ!」
「フ、フッ、ウフフフフ」
「笑うな。息が納豆臭い」
「こっちにも確か…俗に豆と呼ばれるけしからん部分が…」
「やめろって!」

鼻息も荒く、でかい手でスカートをたぐりあげはじめる上田。
奈緒子は抵抗したかった、したかったができない。
態度もからだもその一部も大きな上田は重すぎる。

「い、いや」
「おう?…可愛い声を出すじゃないか」
「やめて。やめろっ」
「君の豆を全て改めてからならやめてもいいが…その申し出は断る」
「この強姦魔っ」
「そうじゃない、男はみんなオオカミなんだ。部屋にほいほいあげるyouが悪いんだよ」
「あげたくなくても勝手に入ってくるじゃん!」
「you」
「あ…」

(描写をつぶさに行いたいところだが彼らにもプライバシーが、そして書き手にも都合、そして行数制限というものがある
致し方なく割愛せざるを得ない。すなわち暗転)

「ううっ、バカ上田め…」
「良かったよyou…ウフフフ。感度…じゃない。とにかくいい豆だった」

少なくとも上田からはなにかの鬼がお祓いできたようだ。






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