上田次郎×山田奈緒子
かたわらのぬくもりが動く気配を感じ、うとうとしたまどろみから目が覚めた。 真っ白いシーツの上で伸びをする。 私はうつ伏せのまま冷たくて気持ち良いそれに頬を擦り付ける。 「you」 上田さんが大きな掌で私の髪をゆっくり撫でる。 顔を上げると目があった。 眼鏡を外した上田さんの顔は見慣れてなくて、何だか照れくさくて自然と笑みが溢れる。 上田さんも笑ってる。 目尻の笑いじわにどきどきする。 脇に手を入れて抱き寄せられ、キスされる。 触れ合う素肌は同じ体温。おさまっていた熱が高まる。 上田さんの舌が、私の舌に絡む。 最初はそうっと撫でるように、すぐに舌がしびれるくらい強く吸われる。 そのままゆっくりと頬、首から胸へと唇が辿る。 ひげがくすぐったい。 腿を撫でる指に促されるまま、私の身体は上田さんを受け入れる準備をする。 上田さんが、私の中に入ってくる。 昨日は大変だったけど、もう怖くないし痛くない。 ゆっくりと刻まれる律動に順応していく身体。自然と漏れる甘い声。 次第に激しさを増す、原始的で純粋な行為。 このままひとつに融け合ってしまえばいい。 激しい律動がやみ、上田さんが中で弾けるのがわかる。 どさりと倒れこむ暖かい身体。心臓の音と荒い息だけが私の鼓膜を満たす。 まだ整わない息の中、上田さんが再びキスをする。 私は腕を回し、上田さんの頭を愛しげに抱え込む。 幸福で頭の芯がじんとしびれる。 窓の外の雪はまだ止まない。 世界から取り残されたようなまどろみの中、今日だけは、素直なままで。 SS一覧に戻る メインページに戻る |