エピソード3 パントマイムで人を殺す女
黒坂美幸×黒坂洋子


決行は、明日。
姉妹は作戦の、そして決意の、最後の確認をしていた。

「んっ…あっ!…お姉ちゃっ…はぁんっ!!」

暗い室内で、同じ顔、同じ体の二人が、互いの体を絡め合う。
互いの、一番敏感な所を。

「ふっ、あっ…洋、子…んっ、ここ…気持ちいいでしょ?あぁっ!」

端から見たら異様とも取れるその光景。
だが姉妹にとってはごく当たり前の行為だった。
幼い頃から、喜びも悲しみも共有してきた。処女を捧げたのだって、お互いが相手だった。
姉妹ということを隠して生きてきた二人にとって、セックスは相手との絆を確認する一番の方法だった。

「あっ、あっ…お姉ちゃ…ぁあんっ!…んあっ!」

重なった秘部からクチュクチュと卑猥な水音が響く。

「んあっ!…あっ、そう…よ…んんっ、そこ、もっと…あぁっ」

姉の指導通りに、妹は腰を動かす。

女同士のセックスは、ただでさえお互いの敏感な箇所を理解しやすい。
まして彼女たちの体は、性感帯さえまったく同じなのだからなおさらだった。

絡み合う姉妹の足を、二人分の愛液が伝う。

「きゃうっ…あ、だめぇ…もっ…!!」
「イき、そうなんでしょ?…ふふっ…私も、よっ」

艶容な笑みを浮かべ、快感に翻弄される妹を見つめる姉。

「あぁっ…お姉…ちゃっ…イくっ…イっちゃ…はぁんっ」

必死に腰を揺らす妹。
姉はお互いの最も敏感な突起が擦り合うように、激しく同調した。

「ああぁっ!!…イくわ…洋、子っ…あ、んんっ!!」

まったく同じ絶叫が木霊した。
姉妹は、達する時もいつも一緒だった。


体を離すと、銀色の糸がお互いの秘部を繋いでいた。
紅潮した表情で、荒い息の合間に、妹は姉に尋ねた。

「はぁ、はぁ、……お姉ちゃん、明日、上手くいくよね?」

妹同様、快感の冷め切っていない表情で姉も妹を見た。

「当たり前よ、警察騙すのくらい訳ないわ」

いつものように自分に微笑み掛ける姉。

洋子には分からなかった。
どうして、こんなに不安なのだろう。
こんなにも、自分は姉を愛しているのに。
こんなにも、深く自分たちは繋がっているのに。

「……お姉ちゃん」

裸の姉が、鏡をみるかのように妹を見る。

「ん?」
「…信じて、いいんだよね?」

妹の真剣な表情に、少し驚いたように姉は首を傾げた。

「もちろん。私も、洋子のこと信じてるわ」

姉の優しい微笑を見て、妹は静かに目を閉じた。






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