エピソード4 千里眼の男
桂木弘章×田中


「ほんとに、もう一度来るんですか?あの二人」

関西訛の取れない口調で、女は桂木に尋ねた。

「…たぶんな」

女を見下ろしながら、桂木は答える。
その表情には、人前で見せる愛想の良さは微塵もない。

「まぁ、桂木先生はなんでも“お見通し”ですからね」

桂木は女の皮肉に一笑した。

「でも、かわいそ。あの豊胸パット女」
「どうして?」
「だって、貧乳やと……こんなことできんのやろ?」

女は桂木を見上げ、淫猥に微笑んだ。

桂木の足の間にいるその女は、上半身ははだけ、豊満な胸が露わになっている。
その胸を自身の手で掴み、間には桂木自身が挟まれていた。

「ふふっ…きもちいですか?せんせ」
「…あぁ…っ」

吐息混じりに、桂木は答える。
女は慣れた手つきで自身の胸を上下させた。
強弱をつけながら、柔肉がやわやわと桂木自身を包み込む。

「男の人って、ほんまにコレ好きやもんなぁ」

女は桂木の反応を楽しみながら、手に力を込めた。
細い指が胸の形を歪ませるその光景を、眼帯の男は食い入るように見つめる。

桂木はこの行為が好きだった。
女が跪いて自分に奉仕する。堪らなく支配欲が満たされる瞬間。

桂木は女の頭に手を置いた。
それは彼らにだけ通じる、絶頂が近いことを知らせる合図。
女は了解し、胸の動きを速める。
白い胸の間から微かに顔を見せる、そこだけ色の浮いたモノ。
その先端から溢れる粘液が、女の胸に零れ滑りをよくする。
女はわざと胸の先端を亀頭に擦り付けた。

「っうっ…あっ!」

男の息が荒くなる。
女は見計らったように、舌で亀頭を舐め上げた。

「くっ…うぁっ!!」

桂木は顔を歪ませ、女の髪を強く掴んだ。
ドクンっと胸の間でペニスが跳ね、女は目を瞑り口を開ける。
ビュルビュルと音を立て、精液が女の顔や喉めがけて飛び散った。

「んっ…いっぱい出ましたね、せんせ」

舌で口周りの液体を舐めながら、女は桂木を見上げる。

「…っ、最高だよ、おまえは」

二人の息づかいだけが響く部屋に、突然部屋の電話の音が鳴り響いた。
悪態をつく秘書の頭を撫で、桂木は受話器を手に取る。
桂木にはある確信があった。

「もしもし?……あぁ、上田さんですか。……え?もう一度透視を?」

桂木は女に目配せをし、電話先の相手に答えた。

「もちろん、結構ですよ」

桂木と女は同時にほくそ笑んだ。






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