安岡信郎×梅子
![]() 「ねぇ」 「ん?」 「好きって言って?」 瞬間、動揺したように肩が動いた。 「言えるかよ、そんなこと」 「えー、私は言ったのに」 わざと拗ねたような声を出すと、困ったような表情になった。 「そりゃそうだけど…」 「良いよ、おやすみ」 照れ屋で意地っ張りな夫のことだ。 声に出すのが恥ずかしいだけで、愛情はしっかりと受け取っているのだから、無理に言葉にしてもらうことも無いのかもしれない。 「…梅子」 そう納得して終わらせようとした会話は、その夫によって引き延ばされた。 向き合うようにして見た信郎の顔は真剣だった。 「あのな…」 「うん?」 「…好きだ」 信郎の声が、梅子の中で甘く響く。 「え…」 「じゃあ、おやすみ」 さっさと背中を向けてしまう信郎が愛しく感じて、梅子は身体を起こした。 「あのね」 「何だよ」 「そっち、行って良い?」 「…どうぞ」 梅子は信郎の布団に潜り込むと、その背中に抱き着いた。 「ノブ…大好き」 「そりゃどうも」 信郎は梅子と向き合うと、その身体を抱き込んだ。 「また言ってね?」 「気が向いたらな」 クスクスと笑い合いながら、梅子も信郎の背中に手を回した。 「梅子…」 静かに笑いの波が引いて、後はお互いの熱に突き動かされるように唇を重ねた。 「ん…ノブ…」 舌を絡ませながら浴衣の腰紐を解いて、梅子の肌を晒した。 晒された白い肌は、何度見ても信郎の雄を刺激するのに十分だった。 形の良い乳房に手を添わせると、梅子から熱い吐息が漏れる。 「ぁ…っ、ノブ…っ」 「ん…?」 梅子の顔を覗き込むと、上気した頬と潤んだ瞳が更に欲を煽る。 「ノブ…手、握って…っ」 指を絡めて、何も考えられなくなるまで、もう少し。 お互いの存在を限りなく近くに感じ合う、蜜月の夜 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |