dream on dreamer
鳴海洸至×鳴海遼子


今もまた夢を見ている。
いつの頃からか、見るようになった夢だ。

遼子が洸至の腕の中で微笑んでいる。
その頬に口づけると、くすぐったそうに笑い声を上げながら、洸至の唇から逃げようとする。
それを尚も追いかけ頬に唇にキスを降らせると、遼子が洸至の頬に手を添えキスをしてきた。
そのまま唇を重ねて、舌を絡め合わせる。
遼子は洸至を拒むことなく、笑顔で受け入れる。

そう、これは夢だから。

洸至の願望が形を為し、夢となって時々こうして現れる。
目覚めた時に激しい後悔と自己嫌悪に襲われるが、それでも遼子との甘い夢を洸至は楽しんでいた。
どうせ、叶いはしない想いだ。
だから、せめて夢の中だけでも遼子に触れていたかった。

洸至がベッドに座ると、遼子が洸至をまたぐようにして向い合わせに膝の上に乗った。
貪る様に洸至に口づけて来る。
夢の中の遼子は、いつもこうして洸至を激しく求める。
舌を絡めながら、遼子が洸至のネクタイをゆるめると、シャツのボタンを外しはじめた。
その下の肌に指を這わせながら洸至の背に手を回し、抱き寄せる。

遼子に身をまかせながら、洸至が遼子の髪をかきあげ、その顔が良く見えるようにした。
その眼を覗きこむと、妹も眼をそらすことなく洸至を見つめ返している。

「遼子…好きだ」
「わたしも」

洸至は遼子の首筋に顔を埋めて、妹の匂いを酔う程に吸い込んだ。
遼子が嬉しげに、ふふっと笑う。

「お前は知らないかもしれないが、俺は本当にお前が好きなんだよ。お前だけが」

抱え続けていたあまりに狂おしい想いに、泣きそうな声で洸至は言った。

白い喉を晒し、洸至の唇を首中に受けながら遼子が答えた。

「知ってたよ。お兄ちゃんが私のこと好きだって」

夢の遼子は洸至が望む答えだけを返す。

「わたしも、お兄ちゃんが好き」

自分が作り出した妹の虚像の言葉でも洸至は嬉しかった。
洸至は妹の細い躰を強く抱きしめ、眼を閉じると、妹の胸に子供のように顔を埋めた。
その洸至の頭を、遼子がそっと抱き、耳元に囁く。

「お兄ちゃんのこと全部ちょうだい」
「ああ」
「私を全部あげるから」

遼子の服を全て脱がせると、洸至は乳房にむしゃぶりつく。
まるで女を知らない男のように、ただただ眼の前の躰が欲しくてたまらず、呑みこむ程の
勢いで遼子の肌を味わっていた。
どれ程近くに居ても、どれ程思っても、現実では決して抱けない、抱いてはいけない女なのだから。
現実で何人もの女と寝ても、夢の中の遼子は別格だった。

「お兄ちゃん、好き」

洸至に愛撫されながら、遼子が囁く。
夢の中なら禁忌も良識も邪魔しない。
桜色のふくらみを口に含むと、妹から甘い声が漏れる。
舌で嬲ると硬さを増すのはまるで現実のようで、洸至は夢であることを忘れそうになる。
音を立て、激しく胸を吸いながら、片手を遼子の亀裂に手を伸ばすとそこはすっかり潤みきり、
つやつやと輝く糸を吐き出しながら洸至を受け入れるように蕩けていた。

洸至は太ももから舌を這わせて、それから口で覆う様にしてそこを舌で嬲った。
舌でその形を探る。
舌でそこにある粒をやさしくそそのかす。
そして舌で遼子を犯す。

「あぅん…」

洸至は、遼子の尻に指が食い込む程強く握り、自分の顔を押しつけながら溢れる蜜を吸い続けていた。

「すごく、いい…」

舌で嬲りながら、遼子の亀裂に指を入れる。

そこは洸至の指を2本すんなりと受け入れ喜びの蜜を滴らせた。
洸至は内壁を掻きまわすようにして指を動かし、亀裂の上にある桜色の粒に吸いついた。

「いゃあああんっ」

啜りあげる様な音を部屋中に響かせながら、洸至は遼子を味わっていた。
出し入れする指の速度を上げる。
妹から溢れ出る蜜は余りに甘露で、その味と行為そのものに酔ったように洸至は遼子に没頭していた。

「いやっ」
「いやなのか、厭なら止めるぞ」

止める気など更々ないくせに、洸至は妹を言葉で責め立てた。

「だめ、止めないで…だって、あんっ、いっちゃいそう…」

それを聞いて洸至はさらに激しく出し入れし、淫らな水音を立てながら粒を吸う。

「いっていいんだぞ、いくところ、見たいんだ」
「きゃあ、ああ、…いくっ、お兄ちゃん、いっちゃうっ」

軽くのけぞったあと、荒い息をしながらけだるそうに遼子が洸至を見た。

洸至は体を起すと、遼子へと顔を近づけ、そのまま唇を重ねて舌を絡める。

「どんな味がする…?」
「お兄ちゃんと、わたしの…」

最後まで言うのが恥ずかしいのか、洸至の胸に顔を寄せ隠した。

「いい味だよ、お前は」

洸至は遼子の耳朶を舌で弄びながら言った。

「もう、やめてよ」

顔を赤らめた遼子が、洸至の胸を握った拳で軽く叩く。
その手を掴みベッドに沈めると、遼子の耳元で洸至は囁いた。

「入れるぞ…」
「わたしも欲しいの…。お兄ちゃんが…。お願い」

洸至の瞳を、妹の潤みきった瞳が見返していた。

遼子の太ももを押し開き、遼子の中に洸至自身を埋めていく。
夢のはずなのに、洸至を受け入れ蠢く遼子の内奥は現実の女のように洸至の快楽を急きたてる。
奥まで突きいれられた遼子が切なげな啼き声を上げた。
ゆっくりと腰を打ちつけ始めると、間断なく、啜り泣く様な声が遼子の唇から洩れる。

「気持ちいいの…お兄ちゃんのがすごくいいの…もっと、もっと」

遼子の投げ出された掌に、洸至の掌を重ねて、見つめ合いながら遼子を深くえぐっていく。

「いいっ…」

快楽に、眉根をひそめながらも遼子がせつなそうに洸至を見上げる。

その表情が洸至の情欲をそそった。
洸至が遼子の両脚を己の肩に乗せると、更に深くまであたるのか、遼子が快楽にうめいた。
のけぞる遼子の汗にまみれた白い喉に唇を落としながら、洸至が囁く。

「本当は、いつもこうしていたいんだ、お前と…」

虚像にしか本当の心は明かせない。
今だけでも遼子に溺れたくて、洸至は飛沫が飛ぶほど遼子に激しく打ち付けはじめた。

「私も…ああっいやっ、きゃあああああんっ」

淫らな音と、遼子の喘ぎ声が部屋に充ちる。
のけぞりながらも遼子も洸至に合わせて腰を動かしていた。

「一緒にいこう、遼子」
「うん、お兄ちゃんっ、ああああっ」

…妹がこちらを見ていた。
そしてこちらに手を差し伸べる。
今度は服を着た姿で。

これもまた夢の続きか。

洸至は妹の手をとる。
洸至が抱き寄せても、妹から抗議の声はない。

そう、夢だから。

妹の身体はひんやりと冷たかった。
さっきの夢の中で味わった厚みとふくらみが洸至の胸に当たる。
その感触の心地よさに微笑みながら、妹の唇を奪った。
遼子の唇が冷たかった。
それに熱を与えようと唇を開いたとき。

「お、お兄ちゃん!」

腕の中の妹が眼を見開いてこちらを見ていた。
洸至は殴られた様な衝撃を受け、跳ね起きた。
それだけのことなのに、激しいめまいに襲われる。
後を追うようにやってきた、割れるような頭痛に洸至は涙目になった。

「まだ熱が高いんだから、動かないほうがいいよ」

遼子が洸至の額に、ひんやりとしたシートを張った。

「冷たくて気持ちいいでしょ」
「ああ」
「おとといから熱があったのに、無理して仕事に行くからよ。帰ってきたときにはひどい熱だったんだから。
覚えてる?」

遼子が洸至の頭をそっと抱くと、氷枕に当たるように横たえた。

仕事をしているうちに熱など下がると思っていたが、片山の車で移動中に朦朧として動けなくなり、
そのまま家に送られてきたこと、片山の肩を借りてアパートの階段を登ったこと、スーツのまま自分の
ベッドに倒れこんだこと、それらが断片的に記憶の底から浮かび上がってきた。

「おぼろげだが、覚えてる」
「一人暮らしだったら大変だったよ、きっと」
「そうだな、助かったよ」
「あ、でも大丈夫だったかな」

妹が悪戯っぽく笑った。

「なんでだよ」

横たわる洸至の上から、遼子が覗き込んでいる。

「ねえ、お兄ちゃん、今、私のこと誰と間違ったの?」

洸至は押し黙った。
顔が紅潮していくのがわかる。熱があるからだといって誤魔化せるといいが。

「抱き寄せてから、すごく嬉しそうにキスしたのよ。びっくりしちゃった。
こんな風にいつもキスされている人って誰?そういう人がいるんでしょ。お兄ちゃんも隅におけないんだから〜、もう」

洸至は兄をからかう遼子に顔を見られないように、背を向けるように寝返りを打った。

間違ってなどいないさ。
間違っていないことが問題なんだがな。

目を瞑ると、熱をもった瞼の向こうに、さっき見た夢が浮かんだ。
腰に籠る熱はまだ消えていない。
遼子に見られないように微笑むと、洸至はまた心地よいまどろみのなかへ落ちていった。






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