鳴海洸至×鳴海遼子
![]() 都会のビル郡を見下ろすホテルの1室。 あの日、名無しの権兵衛の計画が潰えた場所。 そして洸至と遼子の2人がもう今までの兄妹ではいられなくなった場所。 そこに再び兄妹が邂逅している。 「お兄ちゃん…もう、どこにもいかないで」 遼子の口から搾り出すような声で言葉が紡がれた。 口にしてしまったら、今までの生活には戻ることができない言葉が。 もう離さないというように、洸至を抱きしめたまま。 「すべてを捨てて、俺と来るのか?」 「うん。私にはやっぱりお兄ちゃんしかいない…たった一人の…家族…だから」 遼子を抱きしめながら問いかける洸至の目を、遼子はまっすぐに見つめ、 あの時、兄の背中に向けて言った言葉と同じ言葉を呟く。 遼子は、アンタッチャブル編集部に辞表を置いてここにやって来た。 1年前の兄に関する特集記事の原稿データと共に。 洸至の手が、遼子の頬をすべる。 「いいのか?」 その言葉には遼子は答えず、ただゆっくりと頷いた。 「もう、戻れないぞ。」 この1年、洸至は闇のなかをもがくように必死に生きてきた。 再び妹に会う、それだけのために。 しかし、表の世界に残された遼子にも、自分とはまた違った辛さと寂しさがあったのだろう。 いやむしろ、「名無しの権兵衛の妹」として世間の好奇と批判の矢面に立たされた遼子の方が はるかに辛かったのかも知れない。 自分が招いた事とはいえ、洸至はそんな世界に妹を一人残してしまったことが、 そして守ってやれなかったことが、今更ながら激しく後悔の念となって押し寄せてきた。 だからこそ、もう、離さない。 離れない。 夕日が部屋に差し込み、兄と妹の影が重なる。 初めは触れるだけのキス。 洸至は愛おしそうに妹の唇をついばむ。 そしてやがて、その口付けは深いものになる。 むさぼるように妹の口を犯し、舌を差し入れる。 歯列をなぞり、舌を絡め取り、お互いの唾液が絡み合う。 「んっ!」 激しい口付けに、遼子が苦しそうな息を漏らす。 しかし洸至はさらに激しさを増し、今までどんなに渇望しても 手に入れることが許されなかったこの温もりを逃すまいと口内を犯す。 やがて名残惜しそうに2人の影が離れる。 2人の口をつなぐ唾液の橋が、夕日をうけてきらめく。 「遼子…」 洸至はやさしく妹をベッドに横たえる。 「ずっとお前と…こうしたかった…」 「お兄ちゃん…」 遼子の両腕が洸至の首に回され、洸至は遼子に覆いかぶさるようにして、口付けが再開される。 今度は離れていた時間を埋めるかのような長いキス。 甘い息が遼子から発せられ、洸至の唇による愛撫が、遼子の耳に、首筋に落ちる。 その刺激に首を振った遼子の顔に、窓から差し込む夕日が当たる。 「ん…まぶしい」 遼子の一瞬の言葉を聴きとめて、洸至は遼子の目をそっと手で覆う。 そして自分のシャツからタイを引き抜き、それを遼子の目元に巻きつける。 「これでいいだろう?」 「あ…」 遼子はまったく抵抗できなかった。 そして洸至の愛撫が再開される。 視覚が遮られたことにより、遼子は余計に敏感になった気がした。 白いブラウスの上から胸をもまれる。 洸至の片方の手がブラウス中に入り込んで、器用にホックをはずされる。 唇は耳を食み、沿って巡り、息も出来ないくらいの激しいキスが落ちる。 「あ…ん…」 聞こえるのは自分の声だけ。 タイをはずせばいいのに、それすらも考え付かない。 押し返そうと掴んだ腕は、洸至につかまれ、ベッドに縫い付けられる。 そして洸至は、舌先で遼子の胸の頂をわざと遼子にも聞こえるように ちゅくちゅくと音を立てながら舐る。 その音に、遼子は恥ずかしいのか切なそうに体をよじる。 唇に乳首を咥え、その先端を舌先で嬲りながら、もう片方の乳首も指で刺激する。 左右の乳首を交互に唇に含んでは、その甘さを味わうように何度も舐める。 洸至が甘く遼子の乳首に歯を立てる。 「ああっ!」 その刺激に遼子の背中が浮き、強い快感を感じたことを洸至に告げた。 自分の腕の中で変化していく妹の肢体に、洸至は満足げに笑った。 そして首筋に、胸に、所有の烙印を刻んで行く。 その刺激の度に、遼子の口から弱々しい声が漏れ、唇が艶かしく光っている。 「駄目だ…」 洸至が搾り出すような声を吐き出す。 「待てない」 その声は遼子にも聞こえたが、それが何を意味するのかわからなかった。 「んあっ!」 洸至は冷たい指で遼子の秘部を探り、遼子はその感触に身悶える。 そこは湿り気を帯びてはいたが、まだ十分に受け入れられる程ではなかった。 しかし、洸至は今すぐそこに入りたかった。 「あ…やあ…」 キスで悲鳴を喉の奥に飲み込まされた。 押し広げられてぐいぐいと異物が入ってくる。 逃れようとしたものの、どこにも逃げることはかなわなかった。 逃げようと浮かせた腰は引きずられ、押さえつけられて、深く深く繋がっていく。 ようやく離された唇に、遼子は吐息とともに悲鳴を上げた。 「いやぁ…」 洸至は自身をすべて遼子の中に埋めると、ゆっくりと動き出す。 「んぁ…いや…まだ…私…」 しかし遼子の哀願は無視される。 耳に自分のものとは違う荒い息を感じ、遼子はそちらに顔を向ける。 洸至は遼子を落ち着かせようと唇が届く範囲にキスを落とし、 遼子はどこに落ちるかわからない愛撫から逃れようと首を振る。 遼子の中で洸至が動くたびに、次第に淫靡な水音が結合部から聞こえ、 繰り返される容赦の無い抜き差しに、遼子はのぼりつめていく。 「あぁ…あん、お兄…ちゃん…お…ねがい…」 喘ぐ声の中に兄を呼ぶ声が混じる。 「何だ?」 「お兄ちゃんの…顔が…みたい…」 軽くキスをして、洸至は微笑み、遼子の目を覆っていたタイをはずす。 「見えるか?」 「うん。良かった、お兄ちゃんだ・・・」 そう言って微笑む遼子の瞳には、涙がたまっていた。 涙をやさしく拭い取ると、再び洸至はゆっくりと腰を使い始めた。 「はぁん…あぁ」 動きは徐々に早まって、喘ぎは一層高まっていく。 大きく開かされた脚の間に深い楔を埋め込まれ、遼子の体は耐え切れずに痙攣した。 収縮を繰り返す遼子の中で、洸至は抉るように己を差込み、締めつけられ、 洸至も快楽の渦に飲み込まれ……堕ちた。 脱力し、荒い息をつく遼子からは唾液が零れ、洸至は楔をゆっくりと遼子の中から引き抜く。 「遼子…」 洸至の腕が、遼子の体を抱きしめる。 「好きだ。」 囁きながら、その頬にキスをする。 「ん…お兄ちゃん…」 そのキスに、遼子はくすぐったそうに頬を染める。 「もう離さないからな…」 「うん…」 ぎゅっと遼子を抱きしめる腕に力をこめる。 それに応えるように、遼子は洸至の胸に頬を寄せ、甘えるように頬ずりをした。 「もう、離さないでね…」 柔らかな言葉を交わして、兄妹は見つめあい唇を重ねる。 もう戻れない。戻らない。 2人で闇に堕ちていこう。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |