キスの後には
鷹藤俊一×鳴海遼子


ベッドの上で並んで座る鷹藤と唇を重ねながら、遼子は戸惑っていた。
以前読んだ雑誌では、キスの時鼻の角度に気をつけるとかそう言ったことは書いてあった気がするが、唇を
重ねながら鼻で呼吸をするのかしないのかまで書いていなかった。

―――でも、こんな気持ちのいいものなら、息するの忘れてもいいかも…。

脳に酸素が行かない状態ながら遼子がそんなことを考えていると、鷹藤が唇を離した。

「ぷはっ。く、苦しい!」

遼子が陸に上がった魚のように大きく口を開けて空気を吸い込んだ。

「どうしたんだよ…」

眉間に皺をよせ、鷹藤がその様子を見ていた。

「あ、あのね、別にキスをしてる時息をどうしたらいいかわからなかった訳じゃないのよ。私が息をしてその
匂いでさっきみたいにまた鷹藤君がおかしくなったら困るから、だから息を止めていただけでね」

困ったような顔をしたあと、鷹藤がふっと笑った。
鷹藤の笑顔を間近で見ただけで、遼子の胸が高鳴り、そのことに遼子は戸惑っていた。

「この状況で俺がおかしくなっても、全然困らないだろ」

遼子の黒髪をかきあげると露わになった首筋に唇を落とした。

「きゃっ」

初めて男の唇を首筋にもらい、遼子の躰が軽く跳ねる。

「ところでさ、あんたキスもしたことないのか」

カメラマンとして取材に同行する時に遼子へ軽口を叩くときの口調だが、遼子を見つめる瞳はいつもとは違い
柔らかな光を湛えていた。

「あるわよ!合コンの時のポッキーゲームとか、罰ゲームとか」
「それキスの回数にカウントするのかよ。憐れを催す程あんたモテなかったんだな」
「違う…理想が高すぎただけ!」
「あ、そ。じゃあ俺はそんな理想の高いあんたのお眼鏡にかなったってことでいいんだな」
「え…あ…」

核心をつかれ、遼子が顔を赤らめてたじろいだ。その遼子の顎に手を添えると、鷹藤が顔を近づけてきた。

「キスするときは普通に息、してていいから」

野性的な顔立ちなのに鷹藤くんの睫毛は意外と長いんだな、遼子がそんなどうでもいいことを考えているうちに
鷹藤の唇が触れるか触れないかの距離にある。

「でも、眼は閉じてくれよ」

間近で自分を見つめる視線に気づいた鷹藤が、照れたように眼を逸らす。
遼子があわてて強く瞳を閉じると同時に、鷹藤の唇が触れた。
鷹藤の唇はうっとりするほど柔らかく温かい。
鷹藤の温もりをもっと近くで感じたくて、遼子は鷹藤の背に手を廻した

キスをしながら、抱きしめられた鷹藤の口元が緩んだ気がした。
鷹藤も喜んでくれているのだろうか。だったら嬉しいと思う。
遼子の気持ちに応えるように、背に廻す鷹藤の手にも力が籠められる。
そしてゆっくりと遼子をベッドに横たえた。胸に感じる鷹藤の重みが心地よかった。
鷹藤の開いた唇の間から、舌が遼子の口の中へ潜り込んでくる。
遼子は少し慌てたが、鷹藤に遅れまいと必死で舌を絡ませた。

いつもは憎まれ口しか紡ぎださない鷹藤の舌はベルベッドのようになめらかで心地いい。
唇を離した時、優しくも荒々しい口づけが名残り惜しくて遼子は溜息を吐いた。

「あんたの息が甘い…」

鷹藤が囁く。遼子の耳たぶに唇が当たるほど近くで。
そう言う鷹藤の声も甘い。耳に当たる熱い息に、その声に、遼子の中の熱も上がる。

「なあ…俺達、もう離れないと…」

遼子は離れたくなくて、鷹藤をまたぎゅっと抱きしめた。

「このままだと…俺、止まれないから」

「いいの…」

鷹藤が遼子の顔を見つめた。

「いいのか?だって初め」
「いいの!」

遼子が鷹藤の言葉を遮った。
30近くで処女なんて恥ずかしくて、鷹藤にも言って欲しくなかった。

「でも俺はちゃんとあんたの為にホテルの部屋とって、それで…」
「いまはもう離れたくないの。鷹藤君とずっとこうしていたいの…駄目?」

いつもは虚勢を張るばかりの遼子の口から出た、率直な言葉に鷹藤の瞳が揺れる。

「あんたにこれだけは言っておくよ。今からすることは、薬のせいでもなんでもないからな。俺、本当に
あんたのことが好きだから…」

最後の方は声が掠れていた。遼子の太ももに、デニム越しに鷹藤の熱く昂ぶったものが当たっている。
遼子もそうだ。生まれて初めて感じる欲望が躰じゅうを駈け廻っている。
欲望だけではない。
男性に対して遼子がこれまで愛や恋だと思っていたものとは違う感情が胸から溢れそうになっていた。


暗闇の中、鷹藤の肌に指を滑らせる。
初めて触れる男の肌は遼子が想像していたより柔らかかった。
鷹藤とそうすることを決意しても、やっぱり恥ずかしくて部屋の電気は消してもらった。
ホテルの遮光カーテンの隙間から入る灯りが暗闇を薄く切り取る。
灯りと言うには頼りない光だ。
だが裸で抱き合う二人に灯りなど必要はなかった。
真の暗闇に近い部屋で姿が見えなくても、手を伸ばせばすぐそばに鷹藤がいる。
静かな部屋にはささやかな吐息と、舌から洩れでる水音だけが響き渡る。
今は言葉よりも絡め合う舌が想いを告げていた。

唇を重ねながら、遼子の肌の感触を鷹藤が指で確かめている。
それから、遼子を驚かせないようにそっと双丘を掌で包んだ。

「んっ」

鷹藤が遼子の胸をゆっくりと下から上へもみ上げる。そして人差し指で、乳房にある蕾を弄んだ。

「や…あっ」

熱く密やかな遼子の吐息が、とろけるような甘さを含んだ声に変わる。

「気持ちいい…?」
「う、うん…」
「じゃ、もっと声聞かせて…」

遼子の蕾を鷹藤が音を立てて口に含んだ。

「ゃあっ」

温かく湿る鷹藤の口内に包まれ、舌先で蕾を嬲られ吸われる。
もう片方の乳房をゆっくりと揉みながら、その先端を鷹藤の指先が円を描くように廻っていた。
鷹藤の舌先のささやかな動きが遼子の本能を乱れさせる。

「感じてるんだ」
「いやっ」

初めてなのに…。初めてでこんな声を出したら、鷹藤に何と思われるだろう。
淫乱な三十路女なんて…そんな風に思われたら…。

遼子は自分の手の甲を口に強く押し当て声を堪えようとした。

「くっ…んんっ」

鷹藤の舌が動くたびに、魚のように躰が跳ねてしまう。
押し当てた手の甲から、忍び啼くような声が漏れ出ていることに気付かず、遼子が悶える。

「声…堪えなくていいんだぜ。そうしてる方がよっぽどやらしいって」
「だって…ひゃっ」

遼子の太ももに置かれた鷹藤の掌が、ぴったりと閉じられた太もも合わせ目に沿って動く。
遼子の叢に指が触れると、鷹藤は太ももの合わせ目に指を侵食させていく。
感触を楽しむように鷹藤の人さし指が遼子の叢をかきまわした。

「あっ…」

すでに溢れ出でた蜜で、水草のようになった繁みの中に鷹藤が指を入れる。

「すげえ…。濡れてる…」
「言わないで…」
「なんで。嬉しいよ。あんたも欲しいってことだろ。俺のことが…」

鷹藤が指を遼子の秘裂にそわせて動かした。

「っやぁっ!!!」

中指で秘裂の上を撫でられた時、痺れるような快楽が遼子の躰を駈け廻った。

「ここ、気持ちいいんだ」

遼子の反応を楽しむように、鷹藤がそこを弄くる。
乳房を責め続けられながらの新たな快楽に、遼子の声が上がっていく。

「やめ…そんな…いやらし…い女じゃ…やんっ…ない…あああっ」
「悶えまくってる割に、まだ余裕あるみたいだな」

鷹藤が指を止めた。

「なあ脚…もっと開いて」

全身汗ばむほどの快楽に悶えながらも、遼子の太ももは恥ずかしさからぴったりと合わせられたままだった。

「…恥ずかしい」

遼子が顔を逸らした。

「これから俺のことここに挿れるんだぜ」

鷹藤が遼子の秘所に中指の第一関節まで挿れた。

「きゃっ…」
「ほぐさないとあんたが辛いから。だから脚開いて…」

指を秘所の中で微かに上下させながら鷹藤が優しく囁いた。

「いやらしい女だって思わない…?」

間近にある鷹藤の顔を遼子が見つめる。

「俺はいやらしいあんたが見たい。あんたのどんな姿もきっと好きだから」

遼子が鷹藤の首を抱いた。

「脚、開くけど…お願い…恥ずかしいから見ないで」
「いいよ」

遼子が膝に入れていた力を抜いた。鷹藤が太ももを押し開き、手をその間に置いた。
それから遼子と唇を重ねると、指をゆっくりとそこに沈めていく。

「んっ…」

鷹藤は付け根まで指を秘所に埋め込み、しばらく中指で円を描くようにして微かに開いた入り口をほぐしていく。
それでいて、そこのすぐ上の真珠のような粒を親指で撫でまわすことも忘れない。

「やんっ…あっ…」


「俺の首抱いたあんたのせいで、さっきから耳元でいやらしい声聞かされまくって変になりそうだよ」

遼子を言葉で煽りながら、鷹藤が遼子の中で指を曲げ膣壁を擦りまたも乱れさせる。

「そん…なぁっ…やんっ」
「それとこの音も…すごいよ」

足を大きく開かせ、遼子に聞えるように鷹藤が中指で水音を奏でる。

ぐっちゅ、ぐっちゅ、にっちゃ、にっちゃ。

部屋に響き渡るあまりにもはしたない音。

「や…あ…あんっ恥ずか…しい」

恥ずかしさのあまり、手で顔を覆った遼子の乳房に吸いつきながら、鷹藤が尚も秘所を責める。
飛沫となって飛び散った蜜が、シーツを濡らしていた。

「あんたがそう言っている割に、音、どんどんすごくなってるけど」

鷹藤が潜り込ませる指を二本に増やし、さらに激しく指を動かした。

「駄目…あっ…いいの…あん…だ…め…あ…あ…あ…」

羞恥から悦楽へ、遼子の意識が揺れ始めた。鷹藤の指の抽送のリズムに合わせて、嬌声が上がる。
やがて鷹藤の唇が乳房からそれ、臍の方へと移動し始めた。

「あ…あっ、ん…そっちは駄目!恥ずかしいの」
「きっときれいだから。見せてくれよ」

遼子が羞恥から閉じようとした太ももを、男の逞しい手が抑えつける。

「やっ!お願いやめて!」

恥ずかしいぐらい開かされ、奥までさらけ出すような姿勢の遼子を鷹藤が満足げに眺めた。

「すげえきれいだよ。濡れて光って…誘ってる」

鷹藤の吐息が叢にかかった。それから鷹藤の舌が遼子の襞をなぞる。

「お願い、やめ…いゃっ…あんっ…」

次に遼子の陰核を鷹藤の舌先が嬲った。そして溢れ出た蜜を舌で全てすくうように舐めまわし、音を立てて啜った。

「ああああっ」

目尻に涙を浮かべながら、遼子が啼いた。
恥ずかしさの為に顔を覆っていた手を外し、枕元のシーツを掴みながら首を打ち振り快楽にのめりこんでいる。
処女がせつなげに腰を振り、悶える姿の淫靡さに気付くことなく遼子が啼いていた。

「なあ…もうあんた見てるだけで我慢できなくなりそうだ。挿れて…いいか?」

その姿を見て堪え切れなくなった鷹藤が囁いてから遼子の額に額を合わせた。

「うん…」

鷹藤が身を起すと、ベッドサイドテーブルの上から何かを手にとり、包みを破いた。

「これ着けてる姿ってすげえカッコ悪いけど、エチケットだからさ」

鷹藤が恥ずかしそうに言う。

「確かにカッコ悪いかも」

遼子が身をかがめて装着する鷹藤の姿を見て少し笑った。

「…でも、嬉しい。鷹藤君が私のこと大事にしてくれてると思えるから」

鷹藤は答えずに、遼子の上にのしかかった。
もしかしたら照れくさくて、何も言えなかったのかもしれない。

「挿れるから…。痛かったら言えよ」
「うん」

鷹藤が遼子の秘裂に自身をあてがうと、ゆっくりと遼子の肉の壁を開いて入っていった。

「あ…痛っ…」

指とは全然違った。太さも大きさも。今度は快楽からでなく、痛みのために全身から汗が噴き出す。
いたわるようにゆっくりと進んでいるのに、鷹藤自身が与える痛みは遼子の躰を引き裂くようだ。

「我慢できる?」

心配そうに鷹藤が遼子の眼を覗きこむ。

「だ、大丈夫」

痛いのはきっと、最初だけだから…だから私が我慢すれば。
苦痛の声を堪えるために、遼子が鷹藤にしがみついた。

「痛かったら、俺の背中に爪立てていいから」

鷹藤の手が遼子の頬を壊れものを扱うように優しくさすった。

「えっ?」

遼子が顔をあげると、鷹藤が遼子の額に浮かんだ汗を舐めとる。

「俺ばっかり気持ちいい思いして、ごめんな。だから俺にも少し痛みを分けてくれよ。それぐらい受けるから」
「…ありがとう」

遼子は、鷹藤の背に爪を立てる気にはならなかった。
その優しさだけで、この痛みを堪えられそうだったから。

鷹藤が遼子の肉を掻き分けながら進むうちに、遼子の躰を走る痛みが鋭いものから、鈍い痛みへと質が変わって
いく。
鷹藤の腰と遼子の太ももの付け根が密着した。

「奥まで入ったよ…。やっと、あんたとひとつになれた」

鷹藤が遼子に口づけた。

「どう?我慢できそう」

顔にかかる遼子の髪を梳きながら鷹藤が聞いた。

「うん…。鷹藤君こそもう我慢できないんじゃない?ちょっと腰が動いてる」

眉間に皺をよせながら、遼子は泣き笑いに近い表情を浮かべた。

「ばれた?」

鷹藤も遼子を見つめ微笑んだ。

「じゃ、動くから、もうちょっと我慢してくれるか」

少し辛そうな顔してから、鷹藤が動き始めた。遼子を思いやって、鷹藤の胸も痛んでいるのかもしれない。

「悪いなんて思わないで、わたしで気持ち良くなって。それでわたし、嬉しいから」

鷹藤の顎を遼子の白く細い指が撫でる。指に当たる髭の感触が心地よかった。

「ああ」

鷹藤が躰を起し、遼子の手に自分の手を重ねて指を絡めると再び動き始めた。

「くっ…」

遼子の痛みの声を聞きつつも、鷹藤が腰の動きを速める。
遼子を思いやる心よりも、男としての本能に流されているのかもしれない。さっきまでの動きとは違い、遼子を
征服するような動物的な動きに変わっている。
うっすらと汗が浮いた鷹藤の躰から雄の匂いがした。
鷹藤のその荒々しい動きに遼子も最初は酷い痛みを感じていたが、いまは苦痛だけではない。
敏感な粒を弄ばれていたのときに感じたものとは別種の悦びが、鷹藤と繋がったところから拡がっている。

「あっ…」
「もう少しだから」

鷹藤が遼子と唇を重ねる。

「んっ…んんんっ」

貪るように口づけながら、鷹藤が腰を激しく打ち付ける。
痛みのために止まりかけた蜜が、二人の合わせ目から溢れていた。

「や…あ…あん…あ…あ…」

明らかに、痛みからではない声が遼子からあがる。

「あんた締めすぎ…すぐにいきそうだ」
「あ…いい…いいの…」

喉を晒しのけぞり始めた遼子を鷹藤がきつく抱きしめると、遼子もしがみつくようにして手を廻す。

「駄目だ…」

鷹藤が微かに腰を振るわせると、力を抜いて遼子の上に身を投げ出した。

ベッドのヘッドボードに上半身を持たれかけながら、鷹藤がミネラルウォーターを喉を鳴らして飲んでいた。
まだ遼子はけだるさに包まれ、鷹藤の隣でベッドに横たわっている。

「あんたも水飲む?」
「ん…まだいい」
「疲れたんなら、口移しで飲ませてやってもいいんだぜ」

鷹藤が笑みを浮かべて遼子の頬を撫でた。

「もう…!」
「そんなことして、またしたくなっても困るもんな。ゴムねえし」

鷹藤がミネラルウォーターをベッドサイドテーブルに置いた。

「ねえ、あれいつも持ち歩いてるの」

鷹藤の動きが止まる。

「あれって?」
「あれよ」

察してくれない鷹藤を遼子が横目で睨む。

「あれ?」
「さっきの…コンドーム!」
「ああ、あれね」
「だから、いつも持ち歩いてるの?」
「別に…。この間友達と飲んだ時にもらったんだよ」
「それから取材の時でも持ち歩いてたんだ。隙あればって思ってたのね。そういうことしか考えてないんだ」

遼子が鷹藤に背を向け、毛布をかぶった。

「なんでそうなるんだよ!お、俺だって久しぶりに」
「あ。久しぶりだったんだ」

遼子が毛布から眼だけを出し、にやけ顔で隣の相棒を見る。

「それよりさ、あんた俺からかってる暇があったら、記事どうするか考えたらどうなんだよ」
「え?」

「え、じゃねえし。で、どうすんの?『グラン・バスト』飲んだら彼氏が出来て、処女喪失もできました、
ってそのまんま書くのかよ。俺はカメラマン某にしてくれれば別にいいけどさ」
「しょ、処女喪失って…!史郎ちゃんと昔一夜過ごしたこともあったのよ」
「あの時はなんにもなかったって遠山さんは言ってたぜ。ベッドであんたに勝手に寝られてすげえ迷惑したって。
じゃあさ、あんたが処女じゃなかったら、このシーツに付いた赤い染みなんなんだよ」
「え…!あ…」

遼子がシーツの染みに気付いて、慌ててかけ布団で見えないように隠した。
その様子を見て鷹藤が眼を細める。

「今日あったこと、そのまま記事にしたら怪しげな通販の売り文句そのままだな。私はこれで彼氏が出来ましたって」
「ど、どうしよう…」

「朝まで時間があるから、ゆっくり考えてろって。早く考えられたら、ご褒美やるから」

鷹藤の言葉を遼子は最後まで聞いていないようだ。
ベッドサイドテーブルからメモ帳を手に取ると、ぶつぶつ独り言をいいながらどうやって記事をまとめるか考え
始めていた。
寝乱れた髪もそのままに、ほんのりと頬を紅潮させたまま、真剣に考えこむ遼子の横顔を鷹藤が盗み見る。
いままで皆無に等しかった色気が遼子から漂っていた。

「いくら編集部のみんなに隠しても、きっとバレバレだな、こりゃ」
「もう、静かにしてよ」
「ゴムなしでどうするかな…」

集中した遼子に、鷹藤の呟きが耳に入った様子もない。
遼子が記事に集中している間、鷹藤は遼子が記事を考えたあとのご褒美の中身を考えひとりにやついていた。

続編:ディナーはカレー(非エロ)(鳴海洸至×鳴海遼子)






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