番外編
「鷹藤君、見て、名無しの権兵衛からのFAXよ」 ____________________ 甘き惰眠にふけるこの世界に めざめの時はきた 兄弟たちよ武器を手に取れ 妹や子らを泣かせ 工場が煤煙を吐き出し、黒く煙る世界に 口々に呪いの言葉を吐こう 正義への意識が 希薄なる世界に鉄槌を 望みをあたらにせよ 時は来た 名 無し の 権 兵 衛 ____________________ 「一体何かしら…、これ」 「いたずらかな。犯行声明にしちゃ全然意味もとれねえなあ。宗教がかってるけどなんか違うよな」 「確かにそうね。何かの暗号かしら。4行目の『妹や子ら』のあたり確かに意味がわからないし」 鷹藤がFAXを、縦に横にしながら見ている。 「縦…?縦に読めばいいのか。甘・め・あに・いもうと・こう…。『こう』じゃないな。カタカナ…。 『エ』だ。じゃこれもくちじゃなく『ロ 』」 「もしかしたら意味なんかなくって、お兄ちゃん、私に生きてるって伝えたくって…」 「甘・め・兄・妹・エ…」 「鷹藤君、もしかしてわかったの?」 「…」 「どうしたの?教えて!お兄ちゃんは何を伝えたいの!?」 「いや、わからないほうがいいような…。兄妹で甘めエロって、ハードル高くねえか…」 SS一覧に戻る メインページに戻る |