番外編
![]() 「あんた何見てるの?」 「あ、これ。お兄ちゃんが残していったものの中にあったアルバム。警察がお兄ちゃんの部屋にあったものは ほとんど持っていったんだけど、これは返してくれたの」 「へえ。恵方巻食べてるあんたの写真か」 「おかしいよね。お兄ちゃんったら、こんな写真ばっかり」 「このアルバム、あんたの写真ばっかりなんだな」 「そうなの。最初見た時はちょっと照れ臭かったんだけど、でも、お父さんとお母さんが死んじゃってから お兄ちゃんが親代わりになって私のこと育ててくれたでしょ。そういうのもあって、私の成長アルバム みたいなのを作ったんじゃないかな」 「…このアルバム、結構手垢ついてる。何度も見返したんだ」 「お兄ちゃん、きっと私のこと娘みたいに思ってたのね」 「娘、…ねえ。なあ、恵方巻の写真とソフトクリーム食べてる写真、何度も見たんだな」 「おかしな写真が好きなんだね、お兄ちゃん」 「っていうかさ、このアルバムどこに置いてあった?」 「たしか、ベッドの下。ちょうど枕の真下あたりに隠すみたいにして置いてあったから、警察も犯行の計画書 かと思って念入りに調べたって言ってた」 「その隠し場所って」 「恥ずかしかったのね、私に知られるのが」 「恥ずかしいだろうな。たぶん、それズリネ…」 「え?」 「いや、なんでもない。じゃ、恵方巻食べるか」 「うん」 「ところでさ、あんた恵方巻の由来って知ってる?」 「お兄ちゃんにも前聞かれたかも。でも結局お兄ちゃんも教えてくれなかったのよね。 食べてる私のこと見てるだけで」 「想像して楽しんでたんだな…。じゃあ後であんたに実技してもらいながら教えてやるよ」 「実技?わたし、太巻きはまだ巻けないよ?」 「巻けなくていいよ。最近あんたが上手になったやつのほうが俺は好きだから」 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |