山田草太×汐田そよ子
![]() 私の名前はそよ子。桜川先生の秘書。 恋人はいないけど、好きな人はいる。 私と草太さんは時々二人で会うようになった。 短いけれど幸せな時間。 私は自分のことだけ話す。 『なんでも良い方に受け取っちゃうんです。嘘にも皮肉にも気づかないんです。』 『明るい色が好き。元気になりますよね。だから今日も黄色のスカートなんです。』 『爪が少し割れちゃったんです。朝から凹みました。』 若葉さんの話はしない。 「そよ子さん凄いっすね。いつも膝とかツルンツルンだし」 「なんですかそれーw」 どうでもいい話題で、たわいない会話で私たちは笑う。 そして抱き合う。 若葉さんのいない世界で互いの恋心を休ませるために、私たちは抱きしめ合う。 私は草太さんが好き。 草太さんは若葉さんに惹かれてる。 若葉さんは新堂先生と。 そんなこと、私たちは忘れたふりしてキスをする。 草太さんは沢山キスをしてくれる。顔にも胸にも背中にだって。 ふわっとまぶたに唇が触れるキスが一番気持ちいい。 いっぱいいっぱいキスをして、いっぱいいっぱい抱き合って、 そしてまた、いつものそよ子に戻る。 ほどよく鈍感で、いつも笑顔のそよ子に戻る。 私の名前はそよ子。桜川先生の秘書。 恋人はいないけど、好きな人はいます。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |