闇に囁くもの
シチュエーション


「闇に囁くもの」
※ネタバレしていますので、嫌な方は飛ばして下さい




 私には、とある事件に関連して巨大な蟹の正体を追っているペンフレンドがいる。
 彼がその事件の核心に迫ると、宇宙人と思しき正体不明の集団に襲撃されるようになった。
 ところが、ある日を境に彼と正体不明の集団は和解したと言うのだ。
 私は半信半疑だったが、彼から「詳しく説明したいから一度家へ来てくれないか」との手紙を貰った事もあり、彼の家を訪ねる事にした。
 初めて会った彼は、顔色が悪い上に動作もぎこちなく、妙な臭いと音のする書斎から一歩も外に出ようとしなかった。
 そして彼と話し込んだ日の夜、私は何の気なしに彼の書斎を再び訪れた。
 そこで、私が見たものは、精巧に作られた(と願っている)彼の顔と両手の模型とそれらを動かす装置、そして――その装置を操作する為の機会を抱きかかえた幼女だったのだ!
 その幼女は、自分こそが私のペンフレンド、先ほどまでここで私と対話していた当人だと言うのだ。
 混乱した私は、彼――それとも彼女――に質問した。

「な、何でそんな体に?」
「宇宙に行く為には出来るだけ体を小さくする必要があったのだよ。容積的にも重量的にも、ね。何しろこの体だと食料の消費が劇的に抑えられる」
「だからと言って、女になる必要があったのか?」
「男よりも女の方が極限状態における生存率は高い。故に、この選択がベストなのだ」
「……いっその事、脳味噌だけになって、それを収納出来るくらいの金属の筒にでも入った方が更に効率的では?」
「それでは自分の目で宇宙が、他の世界が、見られないではないか! だったら宇宙に行かない方がまだ良い。他に質問は?」
「やらないか?」






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