本所深川七不思議その四 「送り提灯」
シチュエーション


本所深川七不思議

その四 送り提灯   夜深けて町に出ると前のほうに提灯の火が見える。
人が進むと提灯の火も進んで、いくら追ってもそばへ行けない。

「それってさー、走って追っかけたらどーなんの?」
「何の話、突然に?」
「さっき言ってた送り提灯の話。だって、相手は提灯もって走るんでしょ?
緑町の鬼子母神と言われたこのあたしが全力で走れば、きっと追いつくよ!」
「そんな可愛げのないあだ名で喜んでるから、17にもなって嫁の貰い手がないんだよ・・・」
「いーのっ。あんたが貰ってくれればいいんだから!」
「あははっ。あれぇ?前に提灯の光。噂をしてたから、送り提灯じゃない?」
「きゃー、こわーい・・・・なんて、言うわけないじゃないの」

すっかり寝静まった夜の町を歩く男女。二人は緑町に住む幼馴染。ともに数えで17歳。
小さなころから一人で絵を描くのが好きだった男と、小さなころから少女ながらにガキ大将だった女は、
まったく違う性格ながら、いやだからこそか、お互い惹かれあい、いつしか恋仲になっていった。
つい先日、二人は体を交し合い、今日は連れだって浅草に芝居を見に行った帰りだった。

絵を描くのが好きだった男は、今は割下水に住む「画狂老人卍」という時代を先取った画号をもつ画家の下、
浮世絵の絵描きを仕事としていた。「画狂老人卍」という画号を聞くたび女の頭はなぜか、
崖っぷちで馬鹿笑いをしながら名乗りを上げる、覆面をした妙な老人を思い描いてしまう。
そのことを男に話すと、そう間違った想像でもないと笑いながら答えるのだった。

小さなころから荒くれ鬼子母神で通ってきた女は、走れば飛脚の如く、力は駕籠かきにも負けず、
水練は新米渡し守が習いに来るほど。ケンカの強さじゃ、大工の棟梁にも負けない。
そのかわり、読み書き算盤はおろか、料理も裁縫も、女らしいことはからっきし。
考える前に体が動く、話し合いより殴り合い、口より先に手が動く。
おてんばなどという言葉ではとても言い表せない暴れっぷりに、両親は一生嫁には出せない、
高尾山でクマにでも貰ってもらうしか、と散々嘆いていた。
そんな女だけに、このたび男と恋仲になり一番喜んだのは女の両親だっただろう。

女が歩きやすいよう気を遣いながら提灯をもつ男と、気遣いを知ってか知らずか、空いている男の手を取り
嬉しそうにぶんぶんと振り回す女。付き合い始めのころは周りから色々言われたが、
今ではすっかり似合いの恋人であった。

「さっきみたいな怪談話って、どこで聞いてくるの?」
「卍さんは怪談も好きだからね。変な話をたくさん教えてくれるんだ。」
「まーたあのじじい!余計なこと吹き込んだのね!あ、ここ曲がるとこの前水練教えてあげた男の子の家よ。」
「ああ、隅田川の渡し守の。・・・ねぇ、前に見える提灯、さっきから全然近づかないよね?」
「・・・え?ほんとに?」

話し込んでいて気がつかなかったが、隅田川を渡る前から見えている提灯が、川を渡っても一向に近づいていない。

「夜見える明かりは思ったよりも遠くにあるものだから、歩いても思ったように近づかないっていうけど・・・
そんな錯覚じゃ説明できない。あの提灯、明らかにおかしいな。」
「それじゃ、ほんとに送り提灯?」
「かもしれない。でないと説明できないよ。・・・・・・あれ、おいどこ行くんだよ!?」

男の言葉を聞くと、女は着物の裾をまくって走り出した。カモシカのような白い足は、しなやかに地面を蹴り、
女は風のような速さで送り提灯に向かっていく。

「だいじょーぶだいじょーぶ!ちょっと見てくるだけだから!!」

叫んだ言葉は男に届いただろうか、女は前傾姿勢で、夜の町を息も切らさず走り抜ける。
絶対に追いつけないというふれこみの送り提灯、あたしが追いついて見せる!

女は、考えがあって走り出したわけではない。というよりもともと考えて動くタイプではない。
というか、何も考えていない。相手が逃げるから追うという、イヌ並みの思考力だ。
追いついてどうするかも決めていない。追いついてから決めればいいかなー、くらいの考えだった。

ともあれ、女と送り提灯との間はぐんぐん縮まっていく。距離が縮まれば、相手の姿もとらえられる。
前を走る明かりは、確かに提灯だ。しかし、提灯しかいない。提灯だけが、滑るように宙を進んでいる。

「おもしろい提灯ね!あたしが使うわ!!神妙にお縄につきなさい!」

女は密かに憧れていた岡っ引きになったつもりでそう叫ぶと、提灯に飛び掛かった。
女の手が提灯に届こうとしたそのとき、女の体は何か透明なものに持ち上げられたかのように宙に浮かび、
そのままぐるんと、背中から地面にたたきつけられた。

「・・・・っっ!!!」

何とか受け身はとったものの、肺の空気が抜けてしまって息をするのもままならない。
女が仰向けのまま背中を浮かせたり地面に転がったりしていると、誰もいない空間から声が聞こえてきた。

「狐の脚に追いつこうとは、まったく信じられない女だな。しかし、なかなか可愛い顔をしておる」

予測もしていなかった事態に困惑していた女だが、まずは聞こえた声の出所を探るべく上体を上げ、あたりを見回した。
すると、両肩をすごい力で抑え込まれ、仰向けのまま肩と腕を地面に押し付けられてしまった。
しかし女の目には、抑え込んでいる腕もしゃべっている人物も見えない。薄暗い中、提灯だけが近くに漂っている。
怯えの色が見えてきた女の顔は、次の言葉で羞恥で真っ赤に染まった。

「ほう、きれいなおめこだな。まだ使い込んでいない、紅色じゃ。」

顔を上げ自分の下半身を見ると、走るためにめくりあげた着物の裾が、宙に舞ったせいか大きく開いてしまい、
下半身が丸見えになっていた。おまけに、地面にたたきつけられた息苦しさで、足も半開きである。
赤面した女は、あわてて足を閉じようとするが、またしても力づくで抑え込まれ、びくともしない。
逆に見えない力によってがに股に開かれ、秘所を自ら見せつけるような形になってしまった。

「いやああああああっ、助けて、助けてぇぇ!!」
「声を出しても無駄じゃ、誰も助けには来ん。」

女の秘所を、ざらざらとした舌がこすりあげた。ネコのようにざらざらとした舌が、触れる肉すべてを細かく刺激する。
舌が触れたところは熱く滾り、さらに刺激に敏感になっていく。そして敏感になった肉に舌が触れると、更なる快感を呼び起こす。

「ひやぁぁぁぁあああっっ、やだっ舐めないでぇぇぇええ」

秘肉のひだを一枚一枚丁寧に舐め擦られ半狂乱になった女は、どうにか快感を逃がそうと暴れもがく。
しかし、上半身と足を押さえつけられ、自由に動くところは腰しかない。
涙ながらに腰を動かすその姿は、どう見ても男を誘っているようにしか映らない。
そうこうしているうち、舌は蜜壺の内部に入り込み、内側の柔ひだを擦りあげる。
女はあまりの快感に、白目をむいて悲鳴をあげる。

「ひぐぅぅぅぅううう!!いやぁぁ、ダメぇ、ダメなのぉぉ!!」

目に見えない舌はかなりの長さをもっているようで、女の体の奥深くまで舐めあげる。
蜜壺に舌を出し入れされた女は、腰を高くあげて快感に抵抗していた。

「んああああああああぁぁぁあああ!!深いぃぃ深すぎるっぅうう!!」

最後に舌先が女の体の一番奥を舐めあげたとき、女はひときわ高い声を上げて絶頂に達した。

「んひゃあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ああああああああああああああああああああっっっっっ!!!」

ぷしゃあああああああっっ、と弧を描いて小便をまき散らす。
小便を出し尽くした女の腰は、がくがくと小さく2回震えると、そのままどさりと地面に崩れた。

「ぁぁぁぁ・・・・・・ぁ?」

目もうつろになった女は、しかし体が見えない力から解放されていることに気が付いた。
終わったのか・・・・・・安心した女は、体を起こして立ち上がろうとした。
しかし、今の快感の余韻が残った腰は、力を入れてもがくがくと震えるばかりで、とても立てそうにない。
仕方なく膝をついて後ろを向き、四つん這いになった。その時だった。

狙い澄ましたように、いや実際狙っていたのだろう、意図せず腰を突き出す形になった女の膣を、
目に見えない何かが突き刺さる。

「んあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

女の頭は混乱を極めていたが、膣肉は挿入ってきた何かの形を感じていた。
女の膣肉をかき分け一息に最奥まで到達した何かは、今まで女に挿入ったどんなモノよりも太く、
固く、熱く、逞しかった。それは、愛しい男のものよりもカリが高く、竿にはコブすらついていて。
一瞬で女は、先ほどまでとは比べものにならないような高みにたどりついた。最早声も出ない。
透明な肉棒は、しばし女の反応を楽しむように留まっていたが、すぐに乱暴な出し入れを始めた。
肉棒が動く度、上面についたコブが女の柔ひだをえぐる。こすりあげる。すりつぶす。
先端はカリ高な上につんと尖っており、子宮の入り口をこじ開ける。秘肉をかき出す。蹂躙する。

透明な肉棒が、女の蜜壺からゆっくりと抜かれる。

「ひいいいいいいいい・・・・・・・」

長い竿のおかげで、内臓をかき出されるような快感がゆっくりと続く。
長い肉棒が、根元まで女の腹へと突き刺さる!

「ひぎいいいいいいっっっ!!!」

一番感じる場所にコブがこすれる。先端が子宮口を貫く。頭が白熱する。
女は一刺しごとに、肉棒が動く度にイッてしまっていた。

乱暴な性行だった。愛しい男とするときのような慈愛など欠片もない。
ただ暴力的な快感だけを求める、ケダモノのような体位のケダモノのような性行。
女の体に抜き差しされる肉棒は、緩急自在、かき分ける肉ひだ一枚一枚に快感を与える動きで、
女をとろけさせた。女の下半身は汁にまみれ、もう何度イッたかもわからない。

夢うつつの女の耳元で、先ほどの声が聞こえた。

「追いついたものがおらぬ提灯とは、追いついたものは帰ってこれぬ提灯という意味よ。
男ならばとって喰ろうたが、女のお前は如何にしてくれようか。」

声が女に届いたかどうか、女は膝を立てたうつぶせのまま、うめき声もあげない。
透明な肉棒は、最後にひときわ奥まで突き込むと、根元がボコッと異常なほど膨らんだ。

「うひぃぃぃ・・・・」

何の反応も無くなっていた女の目が見開かれ、口から声が漏れる。
肉棒はそのまま、白濁とした熱い汁を女の子宮内に注ぎ込んだ。
どくどくと白濁液が流し込まれるたび、女は、あっあっと声をあげる。
肉棒が大きくびくりと震えると、女はがっくりと首を折った。
時折ぷしゅっと膣口から白濁液が出るが、女は指ひとつ動かすことができぬまま、意識を手放した。


・・・・・・半年がたった。男と女は祝言をあげ、無事にめおととなった。
仲睦まじい夫婦であり、夜の営みは激しいほうらしいが、しばしば嫁が夜どこかにいってしまう。

「・・・様が呼んでる・・・いかなくちゃ・・・」

と言い残し、風のような速さで走っていくという。
ギラギラした目で外に出ていくが、半刻もするとドロリと濁った眼で帰ってくる。
どうやらキツネに憑かれたようだが、どこの神社でも治すことができなかった。
おわり。






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