本所深川七不思議その八 「送り拍子木」
シチュエーション


本所深川七不思議

その八 送り拍子木 
入江町の時の鐘の近くで夜回りをしていると、どこからともなく拍子木のカチカチという音が聞こえてくる。


(若い娘一人が夜の町を帰る。怪談にはありがちな場面構成だけど、実は初めてなのよね・・・・・・。)

娘の長屋では半年ほど前、年頃の女が一斉に妊娠する珍事があり(中には身に覚えのないという女も少なからずいた)、
近頃は産婆をひっきりなしに呼んでいるのだ。
今日も長屋では2組の出産があり、今まで箱入りで育てられた大家の娘まで駆り出され、産婆を呼びに行ったところだ。
情けない話、道を走ることはおろか一人で歩くことも稀な娘は、産婆を呼びに走ったら産婆の家で貧血を起こし
ぶっ倒れてしまい、そこの家族に介抱されてしまった。そんなわけで、娘は初めて、夜の街を一人で帰っている。
もともと父親にべったりな箱入り娘のこと、まわりに話しかける相手がいないことすらひさしぶりのことだ。

娘が夜道を歩いていると、どこからか拍子木の音が聞こえた。

カチ――――・・・・・・ン

(火事も多いし、夜回りの人も大変ねぇ。)

拍子木は一定の周期で音を鳴らす。徐々に娘に近づいているようだった。

カチ―――・・・ン    カチ―――・・・ン   カチ―――・・・ン

なんということもなく拍子木の音に耳を傾けていた娘は、視界がいつのまにかもやに覆われていることに気付いた。

(あら、霧かしら・・・何か足のうらもべったり重くなってきた感じ・・・・・・)

カチ―――・・・ン  カチ―――・・・ン  カチ―――・・・ン

娘の足取りは徐々に重くなってゆく。
まるで沼に踏み入れたような感触だが、娘は視界ばかりか頭まで霞がかかったようにうまく働かない。

カチ――――――――・・・ン

最後の拍子木はすぐ耳元で鳴ったようだったが、まるで別な世界の音のように聞こえた。

・・・・・・は・・・できな・・・・ことも・・・・・ない――――

カチ――・・・ン

(あら?ぼーっとしてたのかしら。なんだか変な感じ。なんだったのかしら。・・・!!)

「キャッ!?」

娘は小さく悲鳴を漏らした。自分のあられもない痴態に気がついたのだ。

(私ったら、なんて恰好をしているの!?着物の裾がこんなになってしまって!)

ほほを赤くそめた娘は周囲を見回すと、あたりに人気のないことを確認して胸をなでおろした。
おもむろに足首のあたりまで下ろした着物の裾を襦袢ごとつかみ、くるくると巻き上げると裾の端を帯に挟んだ。
娘の下半身は腰のあたりまで露出しており、娘自身がもつ提灯によって磁器のような白い肌が闇にくっきりと浮かぶ。
家にいることが多いせいか日に焼けていない白い肌はしかし、病的というより美術品のようだった。
年頃にしては肉づきの少ない尻たぶと太もも。簡単に折れてしまうのではないかと思われる脛には傷一つない。
まばらに生えている下の毛は薄いほうで、切りそろえられているわけではないが下品には映らない。
襦袢の裏地で帯を覆い隠し、腰回りが巾着のような異様な衣装のまま、娘は照れる風もなく歩き始めた。

(なんだってあんな恰好で歩いていたのかしら・・・・・・年頃の娘が裾を下ろして歩くなんて!)

歩き始めた娘は、数歩もいかないうちに異様な気配を感じて顔をしかめ、足を止めた。

(何かしら、目の前になにかの気配があるような・・・・・・よく聞けばほら、息遣いも聞こえてく)

カチ――――――――・・・ン

(気のせいね。いけない、早くおうちに帰らないと、お父様が心配なさるわ!)

娘はその場にかがみこみ、買ってもらったばかりの赤い鼻緒の下駄を片足だけ脱ぐと、腕にはめた。
そして立ち上がると、少し早足で歩き始めた。下駄の高さの分、両足で長さがちがうので歩きにくいが、
娘は何の疑問ももたない。

カチ――――――――・・・ン

「おい」

突然後ろから声をかけられ、娘は驚いて後ろを振り向いた。

(さっきまでは確かに誰の気配もしなかったのに・・・あら?)

「あら、あなたは長屋の」

カチ――――――――・・・ン

(見たこともない男だ。どうして声をかけてきたのだろう。)

お世辞にも恰好が良いとは言えない、むしろ髪や服などにどこか不潔な印象の残るその男は、下卑た笑いを浮かべると
いきなり着物の裾をまくりあげた。
男は下着を着けておらず、娘の目には男の股間の屹立した男性器がしっかりと見て取れた。

「きゃあっ!!」

娘は驚いて声をあげると、男から逃げるべく前方に走り出した。白い尻が左右に揺れる。
しかし左右の歩幅があわず、数歩も進まぬうちにつまづいてしまう。
走りなれていない娘は反射的に手をつくこともできず、無様にも顔を地面にたたきつけた。

男は、こうなることが分かっていたかのようにゆうゆうと歩いて娘に近づくと、
うつぶせに倒れた娘の尻肉を乱暴に鷲掴みにした。
地面に顔を打ち付けた娘は、脳震盪をおこしたのか呻いている。
男は娘の股間に顔を寄せると、鼻を鳴らして言った。

「ククク、きちんと拭いているのか。小便の臭いがきついな」

男の言葉に、娘は羞恥と屈辱のあまり顔を真っ赤にして悲鳴を上げた。

「イヤァァッ!誰か、誰かぁぁぁぁ!!」
「無駄だ、誰もこねぇよ」

男は冷たく言い放つと、懐から油を取り出し自分の逸物にふりかけた。

「生娘か・・・・・・興奮するぜ」
「ひぃっ!!」

あわてて立ち上がろうとした娘の肩を、一足早く男は地面に押し付けた。

「諦めて力抜きな、痛い思いはしたくないだろう」
「ひっ、やだ、やめてぇ!!」

娘の哀願もむなしく、誰の侵入も許したことのない秘裂をかき分け、男の欲棒が娘を突き刺す。

「やっ!やっ!痛い痛い痛いぃぃぃ!」

ぱつっと、娘の体の中で何かが弾けるような音が聞こえたかと思うと、娘を体を引き裂かれるような痛みが襲った。

「ふう、やっと全部入ったぜ。油のぬめりがあるとはいえキツイな」

処女を失った破瓜の痛みも止まぬうち、娘の身体のことなど何も思いやりもせず、ただただ欲望のままに男は腰を動かす。
身体の奥底についた傷を何度もえぐられる痛みに、娘は大粒の涙を流して許しを乞うた。

「やだぁ!痛いぃ!もうやめて!抜いてよう!!」

しかし男は聞く耳を持たない。ただケダモノのように息を荒げ、腰を振る。いつしか男の手は娘の肩から離れ、
尻肉をわしづかみにしていた。

「肉が薄くて物足りないケツだな」

(もう・・・・・・いや・・・・・・早く終わって・・・)

見も知らぬ男にいいようにされ、娘はみじめな気分でいっぱいだった。早くこの拷問のような凌辱が終わってほしかった。

「よし」

しばらく腰を振っていた男は短くつぶやくと、腰を引き肉棒を引き抜いた。

(やっと終わったの・・・・・・?)

娘がうつぶせのまま、男に見えないよう安堵の溜息を漏らしたその時。

「オラァ!!」

娘の右横に回り込んだ男が、娘の顔面を思い切り蹴り上げた。

「ぎゃあっ!!」

男の爪先は娘の鼻に当たり、仰向けにひっくりかえった娘の顔は涙と鼻血で見る影もなくなってしまった。

「ゔわ゙あぁぁぁ!ひぐっ!ゔゔゔゔ・・・・・・」

男は娘を正常位に組み敷くと、改めて肉棒の抽挿をはじめた。

「へへ、尻はいまひとつだったからよ。胸のほうはどうだ」

男は娘の着物をはだけると、乱暴に乳首をにぎりつけた。

「いやああああ!痛い!痛い!」
「チッ!胸も薄いな、まっ平らじゃねぇか!せいぜいまんこで楽しませろよな!」

男は娘の顔面に唾を吐きつけると、乱暴に腰を動かした。

そこからは性行為ともいえない下卑た凌辱が続いた。娘の頬を叩くと膣のしまりが良くなることを発見した男は、
娘の頬を意味もなく叩いた。男の暴力に娘が怯えると、続いて男は叩く素振りを見せ、その反応を見て悦んだ。
そんな、娘には永遠のように感じる凌辱の時も、終わりが近づいていた。
男の目はますます凶暴になり、娘に顔を近づけると、低い声で言った。

「そろそろイクぜ!たっぷりとお前の中に出してやる」
「ヒッ!!やだ、やめて!!いやぁぁぁぁぁ!!」

顔をくしゃくしゃに歪めた娘の懇願にも耳を貸さず、男は娘の膣内に大量の精を放った。

「うおおおぉ、イクぜ!元気な子を産めよ!!」
「いやあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!」

そのあとも、男が満足するまで凌辱は続いた。
男は立ち去る間際に、懐から拍子木を取り出すと、痣だらけで放心した娘の耳元で呟いた。

「お前は、今の出来事を忘れてしまう。思い出すこともできない。」

そして手早く娘の着物を整えると、拍子木を鳴らした。

カチ――――――――・・・ン

男が立ち去った後には、体中の痛みに首をひねる娘が残されるばかり。
そして長屋にはまた一人妊婦が増えたのだった。






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