シチュエーション
学校の七不思議 1.理科室の骨格標本は、本物の人骨。 2.屋上へと続く階段は、昼と夜で段数が一段違っている。 3.音楽室の肖像画の目が動く。 4.深夜の校庭に人面犬がいる。 5.家庭科室の授業は人数があわない。 6.プールの第4コースで何者かに足を引っ張られる。 7.怪談を7つ全部知ると死ぬ。 ある中学校の教室での会話 帰りのHRが終わり、手早く帰り支度を済ませ立ち上がると、長い黒髪の女の子が声をかけてきた。 「あれキミ、D組の・・・?どうしたの?何か用?」 尋ねると、彼女は笑みを浮かべ、理科室の骨格標本の話を切り出してきた。まいったな、どこで聞いたんだろう。 「うん、骨格標本の話か。確かに噂の出所はボクだけど・・・聞きたいの? しょうがないなぁ。まあ座ってよ。」 ボクは既に帰ってしまった後ろの席を勧め、自分も座り込んで話を始めた。何度も話した内容だ。 「ボクが理科委員で、一人で理科準備室の掃除をしてるときだった。はたきで標本やビーカーのほこりを落とす仕事だ。 ある程度ホルマリン標本のほこりは落としてね。知ってるかい、ホルマリン標本ってほかの中学にはないらしいよ。」 適当にうんちくをはさみながら話を進めると、彼女はニコニコして聞いてくれている。 「それで、とうとう骨格標本の掃除に入ったんだけど、標本の腕がガリッと、外の枠で削れてしまったんだ。 大事な標本に傷をつけてしまったからね、ボクはあわてたよ。でも、傷をよく見たら少しおかしいんだ。 標本って、木とかプラスチックで出来てるはずだろう?削れたら塗装が剥げて、下地の色が見えるはずなんだ。 でも、あの標本は削れても中まで同じなんだよ。不審に思って削れた骨を見ていたんだけど・・・そしたら何と!」 ちょっと大声を出してみた。びっくりして抱き着いてきてくれないかと思ったけど、彼女はニコニコ顔を崩さない。 少しばかり残念に思い、ボクは話を続けた。 「後ろから理科のS先生が声をかけてきたんだ。何してるんだい、ってね。ボクが事情を説明して謝ると、 S先生は険しい顔で黙ってしまった。そしておもむろに口を開き、誰にも言うなよって前置きしていったんだ。 この骨格標本は、昔在学中に命を落とした女子生徒の骨格なんだ、ホンモノの骨なんだよ、って。おしまい。」 話し終えると、彼女はニコニコ顔のまま礼を言ってすぐ教室を出て行ってしまった。ちぇ、話し損だったな。 SS一覧に戻る メインページに戻る |