ある中学校の七つの伝承「7番目」 Aパート
シチュエーション


ある中学校、放課後の昇降口にて

「七不思議の7番目?そんなの、どこの学校でも同じじゃないの?うちの学校も一緒よ」

帰り際に急に声をかけられたが、いたずら好きな友達の多い私はそんなの慣れっこだ。むしろ急に突き飛ばされない分
今日は平穏だと言えよう。声をかけてきた見覚えのある長い黒髪の少女に、私は即座に答えた。

「どこの学校も一緒。七不思議の7番目は、7つすべて知ったものは命を落とす。ハッ、ちゃんちゃらおかしいわ」

第一、うちの学校の七不思議は、どれも有名なものだ。人骨の骨格標本、十三階段、目が動く肖像画、校庭の人面犬、
家庭科室の増える班員、第4コースの幽霊。どこの学校にもある話だ。
7つ知ってるからとおちおち死んでいたら、この学校の生徒は1人も生きてはいまい。

「大体、うちの学校に過去に死んだ人なんていないのよ。むかーし行方不明になった女子生徒が一人いたみたいだけど、
それも5、6年前の話でしょ?私が入学する前の話よ。7つ知ったら死んじゃうって、死んだ人一人もいないじゃない」

誰もが知っているのに誰も死んでいない以上、この話が真実のはずがない。こんな矛盾、なぜ誰も気づかないのだろうか。

「まあ、矛盾を知ってて楽しんでる人もいるみたいだけど。あんたもいつまでも子供じみたこと言ってちゃダメよ」

最後の言葉を置き土産に、私は校門をあとにした。今日は遅れるわけにはいかないのだ。ドラマの再放送まであと1時間!
視界の端に、黒髪の少女がにこにこ顔で私を見送ってくれたのが見えた。






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