エロ無し習作
シチュエーション


「お姉ちゃんそんなトコでなにしてんの」

多めに見積もっても十代に届くかどうか、という幼げな姿の少女が屈託なく私に話しかけてきた。
月明かりに照らされた深夜の、郊外に位置する電波塔のさらに一番上。
文字通り羽を休めている私に驚きもせず平然と声をかけるということは、彼女も人外か。
私と同じ所まで羽を使って飛んできた少女は、見る者の心を無防備にさせるような愛くるしい笑みを浮かべていた。
しかし、彼女が身に着けている、いかにも女の子らしい衣服は無残なまでに破かれていた。
さらに、露わになった胸や秘裂には、私から見てもただならぬ量の白濁がぬらぬらと光っており、
口からも精液の臭いをさせている。まあ、私も一狩り終えたため大差ないものだったが。

いかに人外であろうと、レイプされて笑ってはいられまい。
同属か。

「あんたもサキュバスね?見た目の割には随分と盛ってるじゃない」
「うん、オジさん5人も食べちゃった」

サキュバスは人間の男の精気を糧としており、その捕食行為の結果、相手を死に至らしめてしまう。
大方、望外の美少女を貪ったロリコン親爺どもも、
まさか快楽の果てに死が待っているとは思いもしなかったに違いない。

「あのね、最初はぁ、わざと抵抗してあげてね・・」

よほど今日の収穫に満足したのだろう。
幼女といってもいい仲間は嬉しそうに狩りの詳細を話し始めた。
しかし、私にとってはどうでもいいことだ。
適当に相槌を打ちながらも、私は先程からの思索へと意識を埋没させていった。

私、否サキュバスとは何者なのだろうか。
都合の良いまでに男の欲望と合致しているところから考えるに、
欲求不満の男の妄想が実体化したものではあるのだろう。
だとするならば、発生源と同じもの、すなわち男の性欲を求め、それを糧とすることにも頷ける。
ということは、今目の前にいる少女も、誰かが求めた結果幼い容姿で発生したのだろう。
では、私も・・・?
この世の中に、この体、この心を持った「私」を望み、「出産」してくれた人がどこかに存在する?

会いたい。
会って、愛してあげたい。
だって私は、そのために生まれたんでしょう?
死と引き換えの快楽しか持ち寄れないけど。
だからこそ、一生懸命、全身全霊で愛してあげる。
だから、生まれた意味を全うさせて・・・。
気づいてしまったからには、ただ食い、死なせるだけの存在なんて、空虚なだけ。

「最後にはおしりも2人同時に突いてもら・・って、全然聞いてないじゃない」
「あ、ゴメンね?」

ついつい相槌を忘れていたようだ。私は心がこもってないことを自覚しつつ一応謝罪を伝えた。

「ね、お姉ちゃんとデザート食べにいかない?」
「えっ、もう結構お腹いっぱいだけど・・ま、いっか」

私とて既に満腹ではあったが、幼い仲間とともに街へと飛翔を始めた。

「・・・待っててね、お父さん」

それが誰なのかは分からない。それを探す術もおそらく存在しない。
しかし、これから先少しでも多くの男を、それも全身全霊で愛してやればいつかは彼を悦ばせられるのではないか。
そう思った途端、単なる捕食対象ではなくなった彼らに、会いたくなったのだ。






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