復讐少女
シチュエーション


トッ トッ トッ トッ…

床の音が聞こえ、その音が徐々に大きくなっていく。

ギィ…

木製のドアが軋む。その音の方に目を遣ると、男がビニール袋を持って私に近づいてくるのが見えた。

「ホラ、餌の時間だそ。」

そう言って男は薄笑いを浮かべながら、ビニール袋の中にあるキャットフードを取り出した。
そして、床に落ちていたスプーンでそれを掬うと私の口の中へ強引にねじ込んだ。

「んっ……。ウッ!!…ゲホッ、ゲホッ。」

一度食道に入ったキャットフードが唾液と共に床に落ちる。その瞬間、男が顔を歪ませながら私の前髪を鷲掴みにした。

「おい…テメェ飼い主の餌が食えねぇのかぁ?」

食べたくないから吐いたわけではない。胃が衰弱しきって、食べれないのだ。

「しょーがねぇなぁ…。じゃぁ、胃に餌が入りやすいようにミルクを飲ませてやる。」

男はスボンのチャックを開け、汚いモノを取り出すと、私の口に咥えさせる。

「ちゃんと大きくしてくれよ?でないとオマエの大好きなミルクがでないからなぁ。クックックッ…」

私は舌を激しく動かし男に従う。そうしないと、殴られるから。

「オオッ……、いいぞ!もっとだ!!」

そういうと男は自ら腰を激しく動かす。

「いくぞ!!ウッ……!!」

私の口の中に白く濁ったものが出されるが、やはり胃の中には入らない。

「オマエふざけてんのかぁ?」

そういうと男は私の痣だらけのお腹に蹴りをくわえる。

「今日もたっぷり躾けてやるからなぁ!」


こんな日々が何週間いや、何ヶ月続いているのだろうか……。
いつここからでられるのだろうか?ここで私は死んでしまうのだろうか……
私は……。
男の暴行を受けていくうちに、意識が遠のき痛みさえも感じなくなっていった。

……ここはどこだろう?
しばらくすると、何も見えない、何も聞こえない場所にいる。

「そっか……。私死んだんだ。たぶん。」

天国のような幸せな場所でもなく、地獄のような絶望しかない場所でもない。
死後の世界は何も無い、静寂が無限に広がる場所。
何もすることがない、いやできない私は、自分の友人、両親のことを考えていた。

「かずみたち元気にしてるかなぁ……。部活の都大会どうなったんだろう?」
「おかあさん。おとうさん。夜遅くに出歩いちゃダメだって。口酸っぱくいってたのに。私言うこと聞かなかったよね。」

男に連れ去られる当日、近くのコンビニに行くために親に黙って家を出ていた。

「ほんと親不孝だなぁ…自分は。……うっ…。」

自分の頬から涙が伝わってくるのが感じた。あの時…外出さえしていなければ。

泣き疲れていつの間にか眠ってしまっていた私は、強烈な光を感じて目が覚めた。
この暗闇に目が慣れてしまった私はしばらく目を開けることができなかった。
そして、その光をよく見てみると人の姿がみえる。いや……羽のようなものが見えるので人ではないのか?

「おまえ……奴が憎くないか?」

奴?……あの男か。しかし、死んでしまった以上その男に復讐どころか、指一本触れることができない。

「奴に復讐したくないのか?」

復讐できるものならしてやりたい。私の…すべてを奪ったあの男に。

「聞いているのか?」
「うん……。」
「もう一度言うぞ。復讐したいのか?したくないのか?」

私は、迷うことなく答えた。

「したいよ。あいつから何もかも奪ってやりたい。…でもどうやって?」
「フフッ…。目には目を。歯には歯を。性には性を、だよ。」

すると、私の体が光りだす。

「いまからお前は、男の性を喰いつくすサキュバスとなるのだ!」

力が溢れてくのが分かる。そして、私の体から放たれた光が静寂を破った。

気がつくと、私は何かに体が押さえつけられているのを感じた。

「ここは……水の中!!」

急に息苦しさを感じた私は、体を押さえつけている物を力で引きちぎり、一気に水上に飛び出した。
空は暗く、星が輝いていた。
水上に出てからしばらくすると、ある異変に気づく。

「私……浮いている!?」

自分の背中を見てみると黒い羽が生えているのが分かる。体つきも変わったような気がする。

「お前は、サキュバスとなったのだ。」
「それ、さっきも聞いた……。そういえば貴方誰?」

あたりを見回すが先ほどの人(のようなもの?)が見えない。

「私は、お前の頭の中に直接語りかけているのだ。」
「ぇ……。じゃあ私の考えれることも筒抜けってこと??」
「…いや……そういうわけではないのだが。それよりも名前は自分から名乗るものが礼儀だろう?」

なんか古典的なセリフだ。しかし、反発するもの意味がないので素直に自分の名前を名乗った。

「……私の名前は、城本 ゆかりだよ。」
「そうか、私の名前は………だ。」

急に名前の部分だけ弱い口調で話した。

「ん?よく聞こえなかったんだけど?」
「…この際名前などどうでもよかろう。それより例の男に復讐するのではないのか?」

…はぐらかされた。そんなに言いにくい名前なのか?それはまた後で聞くとして、とりあえず話をあわせることにした。

「どうやって復讐するの?私、背後から襲われて、気がついたら男の部屋にいたから家の位置わかんないよ。」
「それは、サキュバスの『透視』の能力を使えば簡単に見つけられる。あとは性には性を、だ。」
「それもさっき聞いた…。どういうこと?」
「お前が奴を犯し返すのだよ。同じように性と命を奪うんだ。」

一瞬体中に寒気が走るのを感じた。そんなのできるわけ無い。もう一度男のモノを見てしまったら
恐怖で体がうごかなくなるかもしれない。

「怖いのか?」
「…怖いよ。だって一度襲われてるんだもん。」
「そうか…。でも、奴はまた別の女を襲って監禁するかもしれないんだぞ。それにお前はサキュバス。
男を食い物にする魔物が男を怖がってどうするんだ。」

そうだ……怖がってはいけない。他の被害者が出ないためにも。

「私…やるよ。この力で男に復讐をする。」
「それでこそサキュバスだ。ではいこうかゆかりちゃん。」
「……あなたにちゃん付けされるのはちょっと気持ち悪いよ……」
「……。」

そして、ゆかりは黒い羽で空に舞い上がった。

男の家はすぐに見つかった。それにしても『透視』の能力はかなり便利だ。目を凝らすだけで家の内部だけでなく人が考えていることまで
読み取れてしまう。男は家の中で、インターネットに夢中になっている。

「私を殺しておいて…。なんであんなに平然としていられるの?」

ゆかりは男に対する憎しみと怒りが収まらなかった。

「もう、正面から襲っちゃっていいよね。……許せない!!」
「かまわないさ。お前の恐怖、見せ付けてやれ。」
「うん。」

そうするとゆかりは一瞬で男の住む部屋の前に移動しドアホンを何度も鳴らした。
男はそれに反応し、鎖で固定されているドアと壁の隙間から
ダルそうな顔をこちらに向けた。しかし男は彼女の顔を見たとたん
表情をこわばらせた。

「………うそだろ!?」

男はドアを閉めようとしたが、
ゆかりはすばやく鎖を引きちぎり、ドアを強引に引いた後、反動で体が前のめりになっている男を
強引に押し倒しす。

「ぉ……おまえ。」
「フフッ……。」

そして、ゆかりは自分の唇で男の唇を塞ぎ、唾液を男の体内に注ぎこんだ。

「んっ……んっ……。」

すると男は、ゆかりから抵抗するのをやめ、ぐったりとした表情になった。

「躾けなきゃね……あなたを。」

そういうと、ゆかりは男の衣服を剥いで、裸の状態にした。男はほとんど運動をしていないせいか
体に締りがなく、顔も脂ぎっていた。
ゆかりは男に床に落ちていた首輪をつけた。…これはゆかりが以前、男につけさせられていたものだ。
それから、ゆかりは冷蔵庫のなかを調べ、消費期限が2ヶ月も前の、ガビだらけのおにぎりを取り出し
男のそばに投げた。

「餌の時間よ。フフッ……」

男は床にころがっているおにぎりに鼻を近づけたが、酷いカビの匂いで思わず顔を引き、手で鼻を押さえた。

「どうしたの?飼い主の餌が食べられないの?」

男がゆかりの方に目を遣ると、ゆかりは瞳を紅く輝かせて、男の目を見た。
瞳の妖艶な輝きに吸い込まれた男は、徐々にゆかりへの抵抗心を失っていく……。この女には逆らえない。

「はい……。食べ…ます。ご主人…様。」

そう言うと、男は犬のように口で直接おにぎりを頬張る。

「おい…しい…です。」
「クスッ……。いい子ね。そんな素直な子に私がごほうびをあげる。」

そういうとゆかりは男のモノをつかみゆっくりと手を上下させる。

「……!!」

男はその快感に思わず身を捩らせた。

「ちょっとさわってだけでこんなに大きくしちゃってぇ……。」
「うっ…!!」

するとゆかりは男を仰向けにし、強力な力で押さえ付け、自分の陰部を男のモノへと近づける。

「ふふっ……。もっと気持ちよくしてあげるね。」

ゆかりは男のモノを挿れるのになんの抵抗も感じなかった。処女ならとっくにこの男に奪われている。

「うあぁ………あっ………」

ゆかりの中に自分のモノを挿れられた男は情けない声をあげた。

「イ……クッ!」

挿れられて数秒もたたない内に、男はゆかりの膣に射精した。

「あんっ……すごいでてる。」
「ああっ……んっ…力が……溢れ出てくる。ねぇ……もっとちょうだい。」

そういうとゆかりは自分の腰を激しく上下させて、男の射精に拍車をかける。
ゆかりは思った…自分でも信じられないことをしている。これがサキュバスの本能なのか。

男の射精がとまらない。もう、何分……いや何十分経っただろうか?

「ぅ……。きもち……いい。とま……ら…な…い。」

男は弱弱しい声を出しながら、不安そうな表情を浮かべる。

「おれは……しぬ…のか?」
「そうね、死ぬんじゃない?」

ゆかりが冷たく言い放つ

「い……やだ……。まだ……しに……たくない。」

ゆかりは男の発言に怒りを覚えた。

「なんて勝手な男なの…。私を殺しておいて!!」

ゆかりは腰を激しくくねらせ、男の精を最後まで絞りだす。

「や…め…ろ…。ぁ………ぁっ………………。」

次第に男の体がやつれていき、ピクリとも動かなくなった。

「永遠に反省するのよ。なにもない。暗い場所で。」

ゆかりはそういい残し、男の部屋を去った。


「これからどうしようかなぁ……。」

ゆかりは、夜空を見上げて、考え事をしている。

「とりあえず。家に帰ればいいのではないか?黒い羽をしまえば只の人間と姿は変わらない。」
「でも……ずいぶん家から離れてたし。怒られるよ。たぶん。」
「いや、たぶん泣いて出迎えてくれるとおもうぞ?どんなに仲が悪くなろうが、可愛い娘なんだから。」
「そうかなぁ……でも、他に帰るところもないし。じゃあ、いこうか、サタン。」
「……誰だその名前は?」
「君の名前。ちっとも教えてくれないから、私が勝手につけたよ。」
「……まぁ……それでもよかろう。では行こうか、ゆかり。」
「うん。」

そうして。ゆかりとゆかりの頭のなかの人、サタンは、ゆかりの家へと向かった。






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