淫魔とリザ なまえをよばせて
シチュエーション


あたしはリザ。
都から歩きで10日ほどかかる小さな村で、見習い魔法使いの修行をしている。
村の人たちはみんな良い人ばかりで、畑で取れた野菜、ヤギの乳やニワトリの卵、などなど
たくさんおすそ分けしてくれるんだ。

あたしもお返しに、雨が降っても全身が濡れない帽子とか、蜂避けの匂いを発する手ぬぐいとか、
油がなくても明かりが燈るランタンとか。そういう便利な魔法具を作ってあげてる。
そういうのを作って都で売るのが、あたしの生業だから。

だけど。そんなささやかで平凡な幸せの日々は、一匹の淫魔によって激変した。

***

「おいしーい!リザ、あなた料理の天才じゃない?」
「ちょっと、食べながらしゃべんないでよ」

さっきまでこの淫魔に散々弄ばれて、よく考えたら昨日の昼から何も食べてなかった。
空腹が限界で、遅い朝食に。
そしたら、「私も食べたい」とかこいつが言い出して…

淫魔って人間の精だけで生きてると思ってたけど、違ったみたい。
男の子みたいに勢いよく、あたしの作った朝食を食べてる。
作ったって言っても、野菜切っただけのサラダに残り物のシチュー、それに近くの家のおばさんの焼きたてクロワッサンだけど。
まぁ、こんなにおいしそうに食べてくれて悪い気はしない。いつも一人だった食事が賑やかになった。
ああもうシチューこぼしてるし。ちゃんと自分で拭いてよ?

「ごちそーさまでした」
「おそまつさまでした」

普通のやり取りなんだけど、少しだけ懐かしい気分になる。
ペットっていうんだから、こいつとしばらくは一緒に暮らすことになるのかな。
村の人には姉弟子とでも紹介しようか。
焚いた香のお陰か、村の人たちもいつもの皆に戻ってるし、このまま住んでも多分問題ないんだろう。
…って、あれ、なんであたし、こいつを受け入れちゃってるんだ?!

そんな事を考えながら皿を洗ってたら。
尻尾から、あたしの脳を蕩かすような快感が湧き上がった。

「やだ、やめてよ!」
「んふふ、やーよ」
「ダメだって!今皿洗ってるんだから」

尻尾から手が離れた。
…普通の女の子だったはずのあたしは、淫魔のペットになってしまい、
その証としてこんなのが生えてしまった。
あたしとこいつ以外には見えない、らしいけどそういう問題じゃない。
しかもこの尻尾、こいつに触れられると、…その、すごいエッチな気持ちに強制的にされてしまうんだ。
さっきあれだけされたのに。

「じゃ、皿洗いの後ならいいのね?」
「…うー…」

否定できない自分にすっごい腹立つ。
だって。ほんの少し触れられただけで、あたしの下腹部の奥が疼きだして、止められそうにないんだ。

「あんなにおいしいご飯食べさせてもらったのに、私たち淫魔って、こうするくらいしかお返しする方法を知らないから」

突然寂しそうな顔で呟かれて。うつむいて。やだ、そんな急に落ち込まないでよ。
皿洗いの手を止めて、近づいたんだけど。
寂しそうだったはずの顔がにやっと笑い、騙されたと思う間も無くあたしはベッドに連れ込まれた…
あたしの抗議は無理矢理奪われた唇の中に消え、尻尾を撫でられて頭の中からも霧散してしまった。

***

意識飛ばされるまで、あたしは責められた。
壊れ物に触れるように優しく触れられた感触を思い出すだけで、ちょっと顔が赤くなってしまう。

「ペットには優しくしないと嫌われちゃうじゃない?」

というよくわからない理屈で、あたしのカラダは隅から隅まで愛撫され尽くした。
正直あんなに気持ちよくなれるなんて思わなかった。
女の淫魔なんだから男の蕩かし方は凄いんだろうけど、なんで女の体まであんなに的確に快楽を引き出せるのだろう。
胸なんて自分で触れるよりもずっと…あれ?

胸が、胸板に変わっていた。
股の間にも「何か」ある。
尻尾が無くなってるのは不幸中の幸いなのだろうか?

っていうか何で?
何で、また男の体になってるの?!

ふと横を見ると、穏やかな微笑みを浮かべた淫魔があたしを眺めてる。
つやつやと妖しく艶めいてる唇がおいしそう。
誘われるままにキスをしようと…はっ!!

誘惑されそうになっているのにギリギリ気付いてバッと離れる。
残念そうな顔をされるが気にしない。気になるけど気にしちゃダメ!

「あーあ。せっかくあなたからキスしてもらえると思ったのにぃ」
「うるさい!それに何で男の体になってるのよ!」
「知りたい?」

くすっと笑い、シーツで胸から下を隠しながら起き上がる。
ヤバい。すっごいエッチぃ。
シーツで隠しても、胸の部分が盛り上がっていやらしく存在を主張して。
見えない分だけ余計に変な想像してしまって、剥ぎ取って押し倒したくなっちゃう。

「さっき、愛撫しながら私の魔力を注いだの。また男の体になるかなぁって」
「なんでそんなことしたのさ。人に尻尾まで生やさせたくせに」
「いや、そのね…」

バツが悪そうに目を逸らす。
そんな仕草すら可愛く思ってしまうのが恨めしい。

「尻尾だけじゃ物足りなくなっちゃって、精も注いで欲しいなーって…えへへ」
「えへへじゃないっ!そんなぶりっこ、女に向かってしないでよ!」
「だって、今のあなたは男だし、効果あるかなーって」

くすくすってからかうように笑う。
ちょっとだけドキッとしてしまったのは絶対に秘密。
ったく、何で男の思考回路ってこんなに単純なのよ!

「それにあなたの精、すっごくおいしかったの。きっと食べてるものがおいしいから」
「絶対関係ない」
「そうかなぁ」
「いいから早く戻して…あっ」

あたしははっとした。
戻す方法は魔力の放出…その方法って…その…

ちら、と横を見る。
白いシーツで体を隠した淫魔が、少し頬を染め、目を逸らしてうつむいてる。
隠し切れず盛り上がる乳房を手で隠そうとして。だけど、指の隙間から。
隠そうとしてる分だけエッチさが増してる。
あからさま過ぎる誘惑。だけど、あたしのおちんちんは、これ以上ないくらい、興奮しちゃってた。
心臓の鼓動と同じリズムで、大きくぴく、ぴくと律動してる。
明るいところでまじまじと見るのは初めてだけど、エッチな色香にバカ正直なこのおちんちん、何故だか憎めない。

「あのね、リザ」
「なによ」
「今度は、入れるだけじゃなくて、その、私の体を隅々まで、して欲しいの」

心底恥ずかしそうに、か細い声で懇願するしおらしい姿に、あたしの脳は抵抗を諦めた。
絶対演技なのに。なのに。男の体はそれを真に受けて、欲情しきっていたから。

***

全身にくまなく口づけする。その度にいやらしい声をあげるのが愉しい。
自分の愛撫で感じさせてるっていうのを実感して、興奮してぞくぞくするのだ。
それに、女の体の時は羨ましく思うくらいだった肢体が、今はどこを見ても、
おかしいくらいにエッチな気分になってしまう。
もちろん、淫魔だからあたしが特別エッチな気分にさせられてるのかもしれないけど。

胸に顔を埋めたり、揉んだり、乳輪に舌を這わせたり、乳首を甘噛みしたり。
全部さっきあたしが受けた愛撫。どうすれば効果的に感じさせられるか、体が覚えてるみたいだった。
それに不思議だけど、愛撫すればするほど、おちんちんも気持ちよくなるんだ。

この淫魔はお尻が敏感らしい。うつぶせにして舌で舐めると腰を震わせてはしたない声をあげるのだ。
秘所が露で溢れ、ひくついて刺激を待ちわびているのが丸見えで、その光景に、何とも言えぬ満足感を覚える。
目の前の女を、自分の愛撫でいやらしくよがらせてるのがただ嬉しい。
これが男の自尊心ってやつだろうか。快楽に溺れる女が愛しい。ただこの肢体に体を預けてしまいたい。

淫魔が後ろ手で、おちんちんの下の、袋の部分を揉んできた。腰の奥が火傷したみたいに熱くなる。
ただやわやわと揉まれているだけなのに、精を迸らせる寸前の、昂ぶり尽くした快楽がおちんちんの先で爆発しそうになる。

「挿れて…お願い、もぅ我慢できないの…」

いつの間にか仰向けになった淫魔が、太ももをこすり合わせて懇願している。
挿れてほしいはずの秘所を恥じらって手で隠すも露は太ももに伝い、淡い陰毛も見え隠れして。

くらっとした。

頭の中が真っ白になって、気がついたらのしかかって唇を貪っていた。
舌が絡みあって融け合うような感覚。蜂蜜よりも甘い。
全身がその甘さに満たされて蕩けそうになって。
だけど、おちんちんだけは、快楽を求めて熱い鉄の棒みたいにガッチガチになってるんだ。
秘所に挿れたくて足を開こうとしても、太ももに凄い力がかかっててびくともしない。
挿れて、と自分で言ったくせに恥ずかしい、と蚊の泣くようなか細い声で抵抗。
今はそんな矛盾さえも興奮を煽る役目しか果たさない。

手を太ももの間にこじ入れて、女の急所を優しく撫でる。
どう触ればいいかなんてよく知ってる。
焦らすように芽の周りをじわじわと撫でると、だんだんと足の力が弱くなって。
腰が浮いてきたのを見計らって、割れ目から溢れる露を指で掬って、陰核を指の腹でこねるように。
一際大きな、嬌声。
全身を震わせて、腰からの快楽に溺れている。…かわいい。
力の入らなくなったらしい足を広げ、待ちきれず涙を流していたおちんちんを、
納めるべき秘所に挿し入れた。

おちんちんがあったかい熱に包み込まれて、気持ちよすぎて体に力が入らない。
目の前の肢体に抱きついた。頭を、腰を撫でられて陶酔してしまう。

「リザ、おちんちん、気持ちいい?」
「うん、すっごいあったかくて、とけちゃうみたい」

精を今にも放ちそうなくらいに昂ぶってるのに、腰を撫でられていると、出したいっていう強い欲求が静まって、
その代わりに、膣の中でいっぱいこすりあって、快楽をもっともっと貪りたくなるんだ。

ふと、朝の会話を思い出した。

「ねぇ、イったら名前、教えてくれるんだよね?」

息を大きく吸って、弱いっていってた襞に、ゆっくりとこすりつけた。

「あぅ、そこダメだって言ってるのにぃ」

中で襞がおちんちんに絡み付いてくる。ぎゅっと根元も締め付けられて。

「名前、呼びたいの」
「あ、ふぅ、ああん、どうして?」
「あんたが、愛しくてたまんないから!」

恥ずかしかった。
ずっと言いたかったこと。こうして男の体で肌を合わせていると、強く抱きしめて名前を呼びたくてたまらくなるんだ。
でも名前がわかんなくて、ずっともどかしかった。
気持ちいいって感情を、名前に込めて叫びたかった。
精を放って、この女が自分のモノだって叫びたかった。

淫魔はびっくりしてた。演技じゃない、たぶん本当の顔で、呆けていて。
それから、すごい嬉しそうな顔になって、痛いくらいに抱きしめられた。

「淫魔を本気にさせないでよ」
「…やっぱ今までのって演技だったんだ」
「演出って言ってほしいな。ああいう恥じらいがあった方が男は嬉しいでしょ?」
「いやあたし女だし」
「でもそこらの男以上に、男らしくて素敵だったわ」

何か腹たって、無造作に突き上げてやる。
呼応するように締められる。

「やっ、ダメ、本当にそこ、弱いの、ダメなの」
「ダメって言ったあたしを散々弄んだじゃない」
「…怒ってる?」
「別に」

無言で抽送を繰り返す。

…ヤバい。さっきまでの比じゃない。
襞がこすれあうたびに、おちんちんの先が奥に吸われてる。出したいって欲求で頭がいっぱいになる。
淫魔が両腕を背中に回して、柔らかい乳房を押し付けてくる。胸板が蕩けそう。
乳房の圧力が目の前の淫魔の「女」を主張して、これでもかと男の体の官能を刺激するんだ。

何度目か、包み込むように締め付けてる襞を掻き分けて突いた時、淫魔が全身を震わせた。

「なんで、なんで人間のおちんちんがこんなに気持ちいいのぉっ」

自分の「男」で「女」を満足させてる征服欲に心のすべてが満たされる。
精が放たれる感覚が、絶頂寸前の狂おしい快楽が腰からせりあがってきて。
「もぅ抑えられない、はやく、はやくだしてぇっ」
限界だった。
精を迸らせる寸前、叫んでた。
名前、呼ばせてって。
そしたら。
応えてくれた。

レナ。

何度も名前を呼んでた。
レナ、レナ、って。
名前を呼ぶたびに、ぎゅっ、ぎゅっとおちんちんが締め付けられて。
レナはおいしい、気持ちいい、って、そしてリザって、名前を呼び返してくれて。
名前呼ばれて嬉しくて、折れるんじゃないかってくらい強く抱きしめてしまう。

頭のてっぺんからつま先まで、レナと一つになってる幸福感に包まれながら、意識を手放した。

***

「悪魔にとっての名前ってどんな意味か、リザは知らないんでしょう」
「どういうこと?」

いつの間にか女に戻ってたあたしは、裸体のまま、だらしなくベッドに横になりながらレナとだらだら話してた。
さっきまではあんなに淫らにみえたレナの体が、今は見てもなんとも無い。
本当に不思議。愛おしいとかそういう感情も、精や魔力と一緒に流れ出てしまったみたいだった。
だから、さっきの事を思い出すとめちゃくちゃ恥ずかしい。

「悪魔の名前を知った人間は、その悪魔を使役できるの」

…へ?

「だけど淫魔にとって使役は強制じゃない。その人間が好きだから、喜んで仕えるの」

え、ちょっと、なんでそこで顔を赤らめるの?!
やだ、そんな擦り寄ってこないでよ、今のあたしは正真正銘の女だから!そういう趣味ないから!

「好きとか愛しいとか、言われたの初めて。今までたくさんの男から精を吸ってきたけど、
皆快楽にただ溺れてて、あんな風に言われたことなんて無かった。
それに、今までの人間や男の淫魔なんて比べ物にならないくらい、力強くて素敵だった…」

ヤバい。目が本気だ。うっとりとした表情は今にも告白してくるんじゃないかってくらい。
なんで淫魔のくせにそんな乙女な思考してるんだ、キャラ変わりすぎだよ!

…なんか、尻尾が見える。あたしじゃなくて、レナのお尻のあたりに。
さっきまでは絶対に無かった。これが使役の証なのだろうか?
気がつけばあたしの尻からは尻尾消えてるし。…契約どうなったんだろう。
好奇心のままに、黒くぴこぴこ動くそれに手を伸ばして触れてみる。

「ふあぁっっ」

ビクンって大きくレナが震えた。びっくりして手を離した。
って、何でそんなに嬉しそうなんだ。

「もっと、触ってくれないの?」

犬みたいに尻尾振って、瞳潤ませて下から上目遣いしてくるレナ。
男ならこれで一発KOなんだろうという凶悪なそれから顔を逸らしながら、
あたしはこの先の生活の波乱を想像してげんなりするしかできなかった。

━━尊敬すべき師へ。不肖の弟子は見習いの身だというのに、淫魔に懐かれてしまいました。
これも、修行なのでしょうか…?






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