シチュエーション
「……何で今さらそんな事を言うんだ?」 誰もいない公園に冷たく響くのは、一人の男性の声。 彼の名はリョウ、肩にワッペンのある学生服を着ている高校生だ。 そしてその前に顔を伏せている女の子はサキ、制服姿で肩にリョウと同じワッペンがあるところを見ると、同じ高校と見て良い。 今二人が公園で言い争っているのは言うまでもなく、サキの一言が始まりだった。 「実は私、サキュバスなの……」 「だから、そんな事を言われて信じるやつなんかいるわけないだろうが!」 多少気の短いリョウは怒声をあげるが、案外身に覚えがないわけではない。 二人はまだHはしてはいないが、キスをするときのサキの異常なまでの上手さには、初めての時から何度か意識を持っていかれそうになっている。 また悪ふざけで抱き締めたりした際には、「女の子だから」では説明のつかない程に肉が柔らかい、それこそ人間離れした心地よい柔らかさを感じたりもした。 その人間離れしたキスや体を人間でないとするなら、やはりサキの言う通りサキュバスが一番しっくり来るのも、あながちリョウは否定できるわけではない。 しかし二人はもう高校の始めから付き合い始め、二年目に突入しようと言うところ。 ならばリョウが不思議に思うのはひとつだった。 「……なぁ、サキ。もしお前が言う通り、サキュバスとか言うのだったとする。 でも俺達今まで一年間付き合ってきただろうが、何で今さらそんな事を言わなきゃならねぇんだよ?」 「私、リョウの事が好きだから……でもリョウの愛がどこを向いてるのか分からない。 当然リョウは私の事を人として見てきたんだろうけど、本当の私はサキュバス。 魔物であり、男の精をエサにするただの淫乱女。 そんな私を、何でリョウが好きでいるなんて思い込めるの?」 「サキなんか嫌いだ……そう言って欲しいわけ?」 急にリョウの声に冷たさが増し、サキは一瞬恐怖を覚える。 しかしリョウが言葉を紡ぐ前に、サキはリョウに抱き締められていた。 「リョウ……?」 「バッカやろう、そんなに不安だったんなら何で今まで言わなかったんだよ。 俺も悔しいじゃねぇか、サキがそんな不安に駈られてたのに何も出来なくってよ。 今度からそう言うのはしっかり言いやがれ、俺は……サキが好きなんだから」 「リョウ……ありがとう、私もリョウが好き。 それで難なんだけどね、リョウ……私、そろそろ精力が足りないの。 今までなら誰のでも吸ってきた、でも今はリョウだけのものが欲しいよ」 「ヘッ、本性現しやがったな」 リョウはそう言っていたずらっぽい笑顔を浮かべて手を差し出し、サキは心底嬉しそうな笑顔を浮かべて、リョウの手を強く握った。 二人がついたのはサキの家、リョウは初めてのサキの家に戸惑いを隠せないが、聞かなければいけないのは一つだ。 「サキ、お前の親は……?」 「お母さんは少し遠出して襲ってくるって」 「はは……さすがサキュバス……」 苦笑いするリョウ、そのままサキに連れられる形でサキの部屋に入り、準備をして来るというサキを待つべくベッドに腰かける。 リョウは本能的に思った、サキはサキュバスとして男の精力を吸ってきたと言っていたが、それ=他の男としてしまったのではないかと。 そう思うと少し歯がゆかった。 そうしていると、部屋のドアが開いてサキが姿を現した。 「お待たせ、リョウ」 「おぉ、サキ……ってうぉわ!」 「何よ、そんなに驚かなくても良いじゃないの」 「そりゃ驚くぜ、サキ」 リョウが目の当たりにしたのは、サキュバスとしての姿を完全にさらけ出したサキの姿だった。 纏っていた制服はすべて脱ぎ捨てられ、上も下も純白のレースの下着のみ そして背中には人一人包み込めそうな漆黒の羽が生えており、頭には飾りか実用性があるのか、角のようなものが二本真上にのびている。 「何だか私、変?」 リョウの見る視線が気になったのか、サキは少し気恥ずかしそうに頬を赤らめてリョウを見る。 「いや……気にするな、サキ。すげぇきれいだから」 「ありがとう、リョウ」 サキはそう言って、ベッドに座るリョウの右隣に腰を下ろし、リョウの右手をギュッと握る。 するとリョウは思い切って口を開いた。 「な、なぁサキ。変なこと聞くけど、本当に変なこと聞くけど……サキって経験あるのか?」 「サキュバスだからって?私は初めてだよ、今まではお母さんについていって分けてもらってたからね。サキュバスでも、初めては好きな人にあげたいのは人間と一緒だよ」 「サキ……」 「リョウ……」 二人はどちらともなく肩を抱き合い、唇を重ねた。 ぴちゃ、くちゅ、にちゅ……二人の舌がくぐもった水音を立てて絡み合う。 そしていつしか二人の息が艶を帯びていき、サキを下にして二人はベッドに寝転がった。 「怖いか?サキ」 「サキュバスだから。凄くワクワクする、興奮するよ。 私これから、初めて自分の好きな人とするんだなって。 初めて好きな人の精力もらえるんだなって思う」 「一つ聞くけど、サキュバスに精力吸い取られたら死ぬってのは本当か?」 「調節するよ」 「了解」 リョウはそう言ってサキのブラを外した。 サキは少々恥ずかしがって胸を隠すが、リョウはそれを許さず、両腕を広げた状態で固定する。 サキの胸はきれいで、小振りながらも張りがあり、下に垂れずにきれいに球形を保っている。 また白く光を反射していて、突起部分は男の劣情を煽るには十分すぎるほどに淡く、輝くようなピンク色を放っている。 SS一覧に戻る メインページに戻る |