ハーフの彼女
シチュエーション


「はじめまして、かしら。」

茜色に照らされた放課後の教室。
この旧校舎最上階の隅にある第二視聴覚室には昼間でも人は滅多に訪れない。
病み上がりの登校に下駄箱に入っていたメモに従いこの空教室に来た訳だけど。
半信半疑、イタズラやら最悪ラブレターに見せかけた不良のカツアゲも覚悟の上訪れた俺は、
普通の教室の物より重く防音性に優れた視聴覚室の扉を開いて思わず息を飲んだ。
夕焼けに照らされたホワイトボードを背もたれに佇んでいるのは紛れもない、学園一の美少女。
姫小路・バレンタイン・翼先輩。
英国人を母に持つハーフの彼女は、学年が一つ下の僕ら二年でも知らない者はいない憧れの先輩だった。

「来て。」

先輩の翡翠のようなグリーンの瞳が俺の瞳を見つめる。
考えていることが見透かされるような感覚を覚え、顔がみるみる紅潮していく俺。

「かわいい。」

先輩はふっとホワイトボードに付けていた背を離し、俺の方に歩み寄って来る。
サテンのように煌びやかな長い金髪が揺れる度、俺の心臓は早鐘のように高鳴る。

「先輩どうして俺なんかを呼んだんですか?」

極度の高揚と緊張で思い通りに震えない声帯からようやく言葉が出てきた。

「フフ・・・」

先輩が妖艶な笑みを浮かべると、後ろで開いていた扉が勢いよく音を立て閉じた。

「えっ・・・」

振り返るがそこには誰もいない。
扉はまるで自動ドアのように閉じたのだ。

(一体どうなって)

そこまで考え首を戻したその一寸先に先輩の美しい顔が。

(!!)

思わずゴクリと唾を飲む。

「さぁ、しよ・・・」

突如、先輩のグリーンの瞳が澱み、まるでスポイトで絵の具を垂らした水差しのように真紅で染まっていく。
そしてその瞬間に俺は身体中石のように動かなくなるのを感じた。
ヘビに睨まれた蛙のように寸分たりとも動かすことができない、そんな感覚。
と、同時に別の感覚を覚える。
何かが体の奥底から衝動的に湧き上がる。

勃起してる・・・!!

催眠術にでもかかったように全く動くことのできないこの状況で俺のアソコだけはいきり立って切なくズボンを突き上げて主張している。

「やりたいんだよね。イキたいんだよね。」

先輩はそう言って俺の唇を奪う。
と、その瞬間

「むぅうううううううううううう!!!!」

俺は体中の五臓六腑がごっそり抜き落とされるようなだらしない快感とともに失禁していた。
ジョバジョバとタガが外れたように噴出した尿がズボンを伝い床に水たまりを作っている。

「んっ、ちゅるっ。じゅばばっ!」

尚も先輩は貪るように俺の身体を抱きしめ口内を舌が蹂躙していく。

俺の全体重は既に先輩の身体に完全に委ねられてしまっている。
絶え間ない快感に脳が絡めとられ理性がじわりじわり溶かされ殺されていくのがわかる。
次第に増してゆく純粋で野蛮な性欲。

(やりたい、俺はやりたい!!)

心の中で咆哮をあげながら、俺は何時しか体の縛りが解けたことも忘れ、盛った雄犬のような体勢で先輩のヴァギナを穿っている。

(何やってんだろう)

「いいわぁ!もっともっと穿ってぇえええ!!」

(どうしてこうなった・・・)

「いい!いい!デカくて熱くて蕩けそう!!!!来て!来てぇ〜ん!」

(俺は何で先輩とセックスをしているんだろう・・・)

だが心の中で大三者的な視点で見ている俺の思考は、
先輩の嬌声を浴び一突きするごとに肉屋の店先で吊るされた骨付き肉のように削ぎ取られていく。

「あ、ああああああああああ!!!!」
「そう、そうよ!!いいの!!いいのぉ〜!!」

いつしかあられもない本性をさらけたサキュバスはその黒翼と尻尾を振り乱しながら哀れな少年の精をその命ごと奪うだろう。
だがその命が蝋燭の残り火のように潰える刹那ですらそれは少年に人外の快楽を与えるのだ。
今やそれだけが彼にとっての唯一の救いなのかもしれない・・・






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