サキュバス警察
シチュエーション


「そこまでよっ!」

頭上から煌煌とした一筋の明かりに照らし出され、
半時間ほど前に捕獲した獲物の男の精をすすっていたサキュバスが
慌てて光の方角を振り仰ぐ。

サキュバスはその夕、東京都郊外のある街に飛来すると、
その市でもっとも大きな駅の表玄関が見下ろせる屋根の上にとまり、
好みの獲物を物色したのだった。
そして獲物を追跡、人気の無い路地に獲物が入ったところを誘惑し、
近くにある神社の朽ちた裏庭に誘い込んだのだ。
男は年の頃は20代半ば、会社から家路を急ぐごく普通のサラリーマンに見えた。

男は生命を持つ者なら誰もが感じるであろう危険信号をその女に対して
感じながらも、それがゆえの女の危うい魅力に飲み込まれ、
樫の木の大木の根本で事に及び、脳がとろける程の快楽に蝕まれながら
腰を振り続け、女の膣に自身を何度も打ち込んだ。
その度に快楽に喘ぐのは男の方で、女はずっと機会の到来を待っていた。
やがて男が連続してサキュバスの中に自身の精を打ち込み、
精力の限界に近づいた頃を見計らって、サキュバスは男を仰向けに押さえつけ、
自身が上に乗ると、今度は男の全てを吸い取るまで死の性交を開始した。
男にもう抵抗する力は残されていなかった。
先ほどまで男にもたらされた、手加減したサキュバスの快楽とは異なり、
今度は死をも問題とせぬ、いや確実に死へと導かれる、
リミッターの外れた禁じられた快楽と言えた。

サキュバスは暗闇の中で自身の目を射抜く照明に目を細めて見つめた。

「ここは禁猟区だ!この市で人間の男を狩ることは禁止されているっ!」

朗々とした女の声が有無を言わせぬ声色で夜闇に響く。
サキュバスの世界では人間の男の減少を防ぐため、各県に禁猟区を作り、
その中では狩猟を禁止し、人間の男の安定供給を計っていた。

「くそ、保護協会のやつらか!」

サキュバスは両腕で寸分の隙間無く万力の様な力で抱きしめ、
両足を巻き付けていた獲物の男を手放した。
男は両目を見開いたまま泡を吹きながら力なく地面に転がった。

降り注ぐ照明の向こうにはヘリコプターがホバリングし、
その照明の中を数人のサキュバスが逆光を背にして、
いくつものシルエットとなって次々に飛来した。
彼女達は「人間保護協会付属警察」のサキュバス達で、
違法なサキュバスを取り締まる役目を担っていた。

男を捨てて逃げ出したサキュバスだったが、上方から飛来した
サキュバス達に押さえ込まれ、瞬く間に地面に組み敷かれる。
飛来したサキュバス達の中でもひときわ地位が高そうなサキュバスが
10人近いサキュバス達の下でもがく犯罪者サキュバスに歩み寄ると、
彼女を見下ろしながら宣言した。

「密猟サキュバスの刑罰は知っているな?これより執行する」

それを聞いたサキュバスの顔が青ざめ、身体を必死になって動かし
サキュバスの下からもがき出ようとするが、もちろんびくともしない。

やがて上に乗っていたサキュバス達がぞわぞわと淫らな動きを開始する。
ある者は犯罪者の首に吸い付き、ある者は右側の乳首に、
ある者は反対側の乳首に吸い付き、ある者は犯罪者のへそに舌を入れる。
またある者は犯罪者の膣に指を入れ、十分湿った頃を見計らって
股の間に顔を入れてサキュバス独自の舌使いで秘部を余すところ無く犯す。
他のサキュバス達も犯罪者の身体と言う身体に吸い付き舌をはわせ、
彼女達の指や手のひらは犯罪者の性感帯という性感帯を刺激する。

夜の森の中に犯罪者の悲鳴がこだまする。
それは許しを懇願する断末魔の叫びであり、無上の快楽が声となって
天へとほとばしる、間断なく連続する絶頂の喜びの叫び声でもあった。
さっきまで人間の男をまるで蝶を狩り捕らえ、それを食する蜘蛛の様に
もてあそびいたぶったサキュバスが、今はこの世ではあり得ない
性による快楽の地獄へと自身が突き落とされている。

やがて犯罪者サキュバスの声が聞こえなくなり、動いていた手足の
動きも弱々しくなり、じきにそれらすらも停止した。
すると犯罪者の身体を貪っていたサキュバス達が次々に立ち上がり
離れて行き、犯罪者を少し離れた距離から見下ろして見守った。
咎人は仰向けに両目を見開いて転がり、
口から溢れ出した泡が地面に流れ出している。

一団のリーダーらしきサキュバスが、
犯罪者への刑が問題なく執行されたことを確認すると、
右手を上げて言った。「引き上げよう」
リーダーが軽々と夜闇の中へ舞い上がると、
残りのサキュバス達も次々にそれに続いた。
リーダーと副官らしきサキュバスが、ドアを開けて上空で待っていた
ヘリコプターに乗り込むと、ヘリコプターは神社の遥か上空へと登っていき、
残りのサキュバスは自身の力でそれに追従した。

真っ黒に塗りつぶした様に見える鬱蒼とした森が遥か遠くまで続き、
徐々に明かりが増えてその向こうは東京の街へと続く。
ヘリコプターとサキュバスの一段は街の方向へ向かって
夜気の中を滑空する。
彼女達のパトロールは最初の陽光が射すまで続く。






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