それでいいんだ
シチュエーション


(どうして、こうなったんだろう……)

いきなりこういった関係になってしまったので、
なんで彼女のことが好きなのかとかどうか、俺にはよくわからない。
一目惚れというわけでもない。
ただ、俺はあのダンジョンで、
今俺の横で静かに寝息を立てているこのサキュバスに襲われて、
為す術もなく裸にむかれ、情けなく射精してしまっただけだ。

強いて言えば、苦し紛れに彼女を自分の嫁宣言してしまっただけではある。
その時は「好きだ」とも言っていない。
だが気がつけば、毎日毎晩すきすき言いながら、こうやってちゅっちゅしている。
欲情はしていた。正確に言えば、させられていた。

(ぬう……。好きという感情がわからない……)

くそっ。俺はどこのメンヘラ女子大生だ。
彼女とこうして一緒に寝ているだけで、指先が熱くなるような感覚が止まらないのだ。
こうして彼女の乳房を子供のように触りながら、
首筋のあたりで彼女の髪の薫りをクンカクンカしているだけで、
今までの人生がただの茶番にしか思えないくらいの幸福感に包まれてしまう。
俺はまた、彼女のむき出しの太ももに、おっきしっぱなしのペニスを押し付けて、
むずむずするような腰つきをしながら彼女に抱きつき続けた。

「ぁっ……。ん……っ」

毒婦にしか見えない妖艶すぎるその姿で、寝返りをうって漏らす吐息は、子猫のような可愛らしい吐息。
思わず俺は彼女にすりすりしてしまった。
ふにゃぁ……。眠い。今日はこのまま寝てしまうのか。
昨日おとといと合体したまま夢精しっぱなしだったから、今日はこれで……。

……?

サキュバスが、大きく寝返りをうった。
横たわったまま片足を挙げるようにまげ、
彼女の暖かくてぬっちゅぬちゅな部分へと、俺のペニスがダイレクトに触れるような体勢になってしまった。

にゅぷっ……!

ああ、これでまた、前戯を行わずに挿入してしまったことを、彼女に言葉責めされてしまう。
いいじゃん……おまえ、一日中えっちぃこと考えて、
いつでもこんなにおまんこをヌメヌメにしてんだから……。

「んんっ……」

サキュバスが目を覚ましてしまった。
一目で状況を理解したらしく、うっすらと微笑むと、彼女はがっちりとだいしゅきホールドをかけてきた。
俺達は、どちらからということもなく腰を動かし始めた。

ぬちっ… ぬちっ…

淫魔独特の、舐めずり吸いつくような膣壁の脈動が、俺をすぐさま最初の射精へと導く。

「あんっ……」

サキュバスは悦びの声を漏らしながら、下の口で俺の精液をじゅるじゅると啜り始めた。
彼女の膣内の、精液の吸収するための吸盤状の器官が、
俺のペニスにすいついたまま愛液ごと精液を吸収し始めたのだ。
淫魔の多くには、性器に獲物の精を味わう味覚のようなものがあると、彼女は言っていた。
彼女もその例にはもれず、今こうして、俺のペニスの味に陰密の涎を垂らしながら、

「あはぁっ……。もっと……もっとだしてぇ」

とおねだりしてきている。

その涎に浸しているだけで、俺のペニスは勃起した状態を強制的に維持され、
陰嚢内の精液は再び満たされてしまうのだから、便利なものである。
もっとも、俺の体力や精気は減る。
だが、その減った精気以上の快楽を、サキュバスはその身体でもたらしてくれるのだ。
こうして彼女の首筋に舌を這わせながら、
欲望のままにペニスを動かし続けるだけで、何度も何度も気持ちよくしてもらえる。
彼女がその空腹を満たしきる時まで、一晩中、何度も、何度もだ。

「あんっ! いいわぁ……。精液、もっと頂戴。
甘えん坊さんのエロチンポから、とろとろの精液、いぃっぱいだしてぇ……!」

彼女の口から放たれるいやらしい言葉に、俺のペニスがどんどん熱くさせられていく。
ああ……また出てしまう。

びゅっ… びゅるっ…びゅびゅうぅぅっ!

俺はまた、ぷるっぷるに濃厚さを増された精液を、勢い良くサキュバスの中にお漏らししてしまった。
心地良い脱力感に包まれていきながら、俺は彼女に身を委ね、腰の動きをとめた。
サキュバスは、膣内の精液吸収器を活発に動かしながら、
下の口ではじゅぷじゅぷと精液を吸収し、上の口では歓喜の喘ぎを漏らしつづける。

「はあぁん……! せーえき……。とぉっても美味しいわぁ。はぁっ、あんっ……あんっ」

お互い腰を動かしてはいないのに、サキュバスの膣内は貪欲な生き物のように脈動する。
その動きは俺のペニスを貪り続け、彼女は精の味に酔いしれたるのであった。

俺はこうして、彼女が精液を啜るときの恍惚に包まれていく顔が好きだった。
獲物を捕え、欲望のままに食らい尽くす美貌のサキュバスが醸しだす独特の雰囲気は、
やはり多くの男を虜にしてやまないらしく、俺もまたその中のひとりだったようだ。
いっぽう彼女は、俺が精を吐き出し、こうして甘えてくる仕草がどうにも愛おしいらしい。
快楽混じりの恐怖に堕ちてゆく男の情けない顔がなによりの楽しみではあるが、
こうしてぴったりくっついていちゃいちゃするのも、悪くはないとのことだ。
それでも、欲しい物はやっぱり欲しいらしく、ほぼ毎晩俺はこうして精を搾り尽くされている。

「すき」

安っぽい言葉だが、どうしてもこの言葉がでてしまう。
彼女とこうして、ずっと身体を重ねていたい。
いやらしいばかりの欲望になぜかそんな気持ちが紛れ込んでしまう。
一度彼女が俺の精を吸い尽くし、高らかに笑い声をあげたあと、
蔑みの言葉を投げつけ、俺はそのまま快感と脱力にのまれて意識をうしなうということがあった。
しかし目が覚めると、彼女はいつものように俺の食事を用意してくれていた。
……彼女が俺と一緒にいてくれるというのは、
彼女が、俺が「すき」と言うとハートマークつきで「好き」とい返してくれるその言葉通りに、
俺を好きでいてくれているからなのだろうか。
不器用な俺には、確かめようがない。
ただ、彼女にこうして精液を注ぎ込めば、彼女は悦びを嬌声にしながら吸収してくれる。
それでいいんだ。
気持ちを確かめようなんて思ってしまえば、壊れてしまうものがあるのかもしれない。
俺は、また彼女に甘えてしまった。
そして再び俺の回復したペニスを、サキュバスはその餌食としはじめる。
互いの身体を求め、嬌声に交えて、すきすきすきすき言いながら……。






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