淫魔臭
シチュエーション


「翼が大きいタイプのサキュバスって、
翼の背中の側も、風呂入ったとき自力で全部洗えるの?」

うしろから咲子の大きな翼を見ていた僕は、ふと思った疑問を投げかけた。
いかにも悪魔的なフォルムの翼はなまめかしく黒光りしている。

「ん?洗えるよ」

テレビにかじりついてAVを見ていた咲子がソファの僕に振り向いた。

「スポンジに石鹸たっぷりつけるでしょ?んで尻尾で持って、こうやって、こう」

言いながらなんとも器用に尻尾の先っちょをクリクリ動かす。僕は感心した。

「まぁでもめんどくさいから、冬はあんまり洗わないなあ」
「じゃあ今も?」
「うん」
「じゃあけっこう臭かったりする?」
「し、知らないよ」

ちょっと動揺した様子が見て取れたので、僕は面白がって咲子に近づいた。

「ちょっ、やめてよ」彼女を無視して背後から優しく翼をつかむ。
「確かめさせて……」
「んんっ」

いちばん臭いの溜まってそうな翼の根元あたりに顔を寄せると咲子はピクリと体をこわばらせた。
こいつにこんな弱点があったのか……僕はうれしくなった。

「ぐうっ!?」

しかし彼女の臭いがしたと思った瞬間僕は射精していた。

「あッあぁぁぁあああッ」

臭いの粒子が僕の鼻腔を犯しほとんど反射的に性器を反応させたのである。
夢精にも似た信じがたい感覚に、僕は全身がしびれてしまい、
情けない声を上げながら膝をガクガクふるわせその場に崩れ落ちた。
パンツが汚れてしまうとかすかに思ったが感応は止められず脳ミソは射精の快楽に染められた。

「……だからやめてって言ったのにイ」

咲子が僕を見下ろし、やれやれとつぶやいた。

「まったくもう、濃縮された淫魔臭なんて嗅いだらそうなっちゃうに決まってるじゃない。あーあ、もったいない」

結局今日もまた彼女に精を吐き尽くされた僕は、鼻の奥にこびりつく強烈な快感に包まれて気を失った。






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