サキュバスの受難
シチュエーション


※ふたなり
・愛なんてなかった
・サキュバス堕とすのはちょろい


コンコン、と軽く玄関にノックの音がした瞬間、調教師の少女はめんどくさそうに布団を出た。
つい何時間か前に、皇帝(女だ)の夜伽相手を三日貸してほしいと言う勅使が訪れ、適度に開発した夢魔を貸して、やっと調教の日々に休息の暇が出来たかと思った直後にこれだと。

「はい、どなたですか?」

寝巻のまま、調教師の少女が玄関を軽く開くと、そこには美女がいた。
いや、ただの美女ではなく、夢魔と呼ばれる類のイキモノの系統だと、一瞬で判断出来るのは仕事柄か。
夢魔の中でも、乱暴な者であれば窓をぶち破って入って来たりするのだろうが、それはそれ、きちんと対策をしているのだ。
しかしこのような見た目の夢魔、見たことも聞いたこともないな、一体何者なんだ、などと疑問だけが脳裏を過ぎる。
幾許かの沈黙の後、美女が顔を歪めた。

「貴女が調教師サンね?」

美女が口を開くと、一気に雰囲気が変わる―――躊躇せず調教師は警戒態勢になる。

「そう身構えないで?私は貴女の調教を受けにきたサキュバスなんだから、ネ?」
「調教されに、きた?」
「そうよ、私を狂わせて見せて欲しいの」
「体が作り変わるわよ?」
「構わないわ、好きにしていいわよ♪」

さらさらの赤髪と、少女が羨む程の巨乳を揺らしながら、屋敷に美女が入ってくる。
その彼女が、自分の発言を肯定したということは、既に彼女は夢魔を堕としたも同然だと確信し、美女を個室へと案内したのだった。
――そしてベッドで一時の休息についたサキュバスが次に目覚めた時、彼女の体は確かに作り変わっていたのだった。

両手が手錠のようなもので拘束されているのは、まぁサキュバスの予想通りだった。
一般の夢魔でさえ、調教するには反撃を封じる必要があるのだから。
問題は、サキュバスのいる場所と、目に入ったものである。
ベッドの柱に足を固定されているせいで、足を大股開きしていて、しかも自分の股間には彼女のよく知る男性器が天に向かいそそり立っていた。

「・・・すごいわね・・」

今まで彼女が精気を奪ったあらゆる男性器よりも太く、長く、黒く、そして雄々しいモノが自らの股間にあることが、余程驚きだったのだろう。
サキュバスは昨夜に調教師が言っていた、『体が作り変わるわよ』という言葉の意味を、ようやくに理解した。

「あら、起きた?」

サキュバスの背後から、昨夜とは全く違う調教師の声がする。
別人のように凛々しい声で、残酷な眼差しで、冷酷な笑顔を浮かべた彼女の姿を、キュバスは見ることが出来ない。

「あぁ―――何も言わなくていいわ。一日で貴女を狂わせて、堕としてあげる」
「素敵な声ね・・大好きよ、そういう残酷な声は・・♪」

その御立派なぺニスも、形の整った美巨乳も、何もかもを調教してあげる。
サキュバスの髪を撫でながら、調教師はつぶやいてみせる。

「私は出掛けるから」

「そうね、差し当たって半日ぐらい」

「ふたなりと女である悦びを」

「たぁっぷり、味わいなさい」

調教師が、残酷な笑みでサキュバスに調教を突き付けてから、早くも四時間。
サキュバスの精神は、既に崩壊寸前にまで追い込まれていた。

「んほぉぉぉぉっ♪でりゅ、でりゅ、でりゅ、またでてアナルも、アナルでいぐぅぅぅぅぅっ♪」

咆哮のような喘ぎ声だけが、地下室に響き渡る。
両手両足を拘束されたまま、生やされたペニスはオナホールに包まれて、前の穴にも後ろの穴にも極太のバイブが突き立てられているのだ。
それだけならまだしも、各々の器具は魔法によって動いているため、魔法が切れるまではオートでサキュバスをイカせ続ける。
人間、否、生物相手ならば反撃のしようもあるだろうが、完全に拘束されている上、相手は魔力を動力としているのだ。
対策のしようもない。

「んひぃぃぃっ♪おもらひ、おもらひきもひぃのぉぉおっ♪またでりゅ、でりゅのおおぉっ、おしっことおちんぽミルクふきらしちゃうのおぉっ♪」

びゅくびゅくと音を立てて、サキュバスの股間のペニスからは精液が飛び出し続ける。
快楽の一線を超えた初めて味わう時から何度も繰り返す射精は、しかしサキュバスの意思を、精神を砕くには十二分過ぎる効果があった。
顔は唾液と涙と鼻水に汚れ、精液と尿の混ざりものが部屋の臭いを酷くキツいものにしており、到底正気でいられるわけもなかったのだが。
「あへぇぇぇっ♪くるっひゃう、くるっひゃう、おちんぽしゅきしゅぎてくるっひゃうぅぅぅ♪」

都合、サキュバスが数十回目の絶頂を迎え、精液を吹き出す。
目の前がスパークする感覚も、脳が焼き切れるような感覚も、全て慣れきった彼女は、最早自分が何故にここにいるのかさえ忘れてしまっていた。
ただ、絶え間無く、休むことさえ許されずに未知の快楽を与えられた雌が一匹堕ちた――――たったそれだけが、この現実で。
しかしサキュバスは、ほんの少しだけ残った正気になろう、元に戻ろうという本能だけが、彼女が地の底の底に堕ちることを拒否していた。

「あにゃる、あにゃるいひぃぃぃっ♪も、も、やらぁぁ・・・・やらろりいっひゃう、いっひゃうのぉぉ♪びゅるびゅるしぇええきらしれいっひゃう〜〜♪」

自分は夢魔。
人から精気を奪い、堕とす美しき夢魔。
なのに、このていたらくはなんだ。

「おひんぽゆるじでぇぇぇぇ〜♪しゃせえもうやらろ、やらろ、ひぐ、ひぐ、やらろにれる、れる、おひんぽみりゅくれるろぉおぉ〜!」

精液を吐き出すだけで、アナルに未知の絶頂を与えられるだけで堕ちるのか?
獲物たる人間の奸計に堕ちるのか?

「ゆるじで、ゆるじで、わだじどれいになりましゅうううぅぅっ♪」

奴隷になってもいいのか?
こんな醜いペニスを付けた人間に、復讐しないでもいいのか?

「ゆるじで、ゆるじで、ゆるじで、わだじのごしゅじんしゃまああぁぁ♪」

―――私の、御主人、様ぁ♪

その言葉を紡いだ瞬間、サキュバスの精神を支えていた最後の一線が、途切れた。
恍惚とした笑みのまま、彼女はただ「ごしゅじんしゃま♪ごしゅじんしゃま♪」と譫言のように繰り返すだけになっていた。

「ただいま」

調教師は屋敷に戻ると、真っ先に地下室へと向かう。
昨夜自ら火の中に飛び込んできた蛍を手折るためだけに設えた、極上の調教。
人の手で出来ることには限界があり、しかも相手は夢魔―――強力な反撃の手段を兼ね備えていると思うのが正しい見方だ。
ならば、と彼女は決めた。
反撃があるのなら、反撃の手段を奪ってしまえばいい。
反撃の術もなく、ただ未知の快楽に堕ちればいい。
堕ちた夢魔を愛でるのは、赤子の手を捻るより容易いことだから。

「・・・・!」

キィ、と鈍い音を立てて地下室の戸を開くと、そこは精液と、母乳と、愛液と、尿が入り交じった液体の臭いで充満していた。
そして、そこに力無く身を横たわらせる、全身汚れきった美貌がいた。

「どうだったかしら?」
「・・ごしゅじんしゃまあ・・・きしゅしてくらしゃあい・・・♪」

トロンと蕩けたような眼差しで、サキュバスは調教師の顔を見る。
液体という液体に汚されたその顔は、しかし恋する少女の無垢な笑顔のようで、調教師も思わずドキリとした。

「キス、ね。なら、キスをしたら、貴女とはお別れよ?」

誰彼となく手を出すから、こんな目に遭うの。
わかったら、次からは反省しなさい?

調教師のそんな言葉を尻目に、夢魔は目尻に涙を溜める。

「すてないれ、あらひをしゅてないれ、こしゅじんしゃまあ・・・」
「・・・・え?」

えぐえぐと、赤子のように泣きながら、しかし身を震わせる夢魔の姿に、調教師は首を傾げる。
――まさか、堕ちた?
軽い折檻程度のつもりで、ふたなりペニスもキチンと消した後、解放してやるつもりだったのに。
まさか、こんなに早く心が折れてしまったのか?
こんなに早く快楽に屈してしまったのか・・・?

「まいにちひどいことされてもいいからぁ、わらしをごひゅじんしゃまのドレイにしてくらしゃい・・・」

涙の溜まる目尻を向けて調教師を見つめるサキュバスの姿に、調教師は自分の誤算を理解した。
つまり、このサキュバスは純粋な部分が多量に残っていたため、極度の快楽を与えられることを知らなかったと。
それゆえ、未知の快楽と終わりなき絶頂を与えられて、それに精神が耐え切れず、私を恨むことではなく私に思慕の念を抱くことにベクトルが傾き、こうなったのだと。

「仕方のない子ね」

そして、理解した調教師は微笑む。

「そんなに私が好きなら」

誤算上等、その誤算を計算通りの結果に変えて見せるのが調教師の仕事なら。

「貴女を、私のペットにしてあげる」

私は、この娘を愛してみせようではないか、と。

「その大きなミルクタンクも、醜いふたなりペニスも、虐め抜いてあげるわ」

そういって、優しく、口づけを与えたのだった。

かくして、一人の調教師が、一匹の夢魔を堕とした。
その夢魔は美しく、しかしずっと首輪を付けられていたという。
しかし夢魔は、そんな状態に幸せを感じていたし、調教師も従順な夢魔を徐々に愛でるようになっていった。
そして、夢魔の美しさとその従順さに人々は夢魔を妻に迎えたいと願うようになり、夢魔を調教する調教師という仕事が流行りに流行ったとか。
だが、夢魔と人間の愛を最初に示した二人に調教の依頼が多く入ることになるのは、また別の話であった。






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