繋ぐもの
シチュエーション


なんていうか、今の靖之にすごい不満があるかって言うと、
そうでもないんだよなぁ。
ソフト会社に勤める彼は、そんなにオタクって感じでもないし、
服のセンスだってまあまあだ。たまにアニメとかみてるけど、
大人も楽しめるやつだから、私も一緒に見るし。ちょっとぼんやり
して頼りない所もあるけど、あちこちの女の子に手を出す軽過ぎ
なやつよりマシだし、マジメなぶん、私を大事にしてくれてると思う。

セックスはお互いあんまり興味無いのか、月に5〜6回のデート
のうち1〜2回。彼があまり仕事が忙がしくない時だけだ。
初めの頃は何回かブッ続けでヤッたこともあるけど、だんだん
マンネリになってきてしまった。彼が疲れている時に無理にエッチ
なこと始めると、途中で寝ちゃうんだよね。仕事忙しいから無理も
ないとは思うんだけど、やっぱり気持ちよく舐めてもらってる最中に、
コックリコックリされると、わかっていても頭にきちゃう。
だから無理にセックスを要求しないの。
ちょっと欲求不満な時は自分のマンションのトイレで、なんとなく
オナニーして紛らわすけど、そのあと凄く鬱になるので、オナニーも
嫌い。
なんだかぼんやりとした日常で、こんなんでいいのかなぁ。

今日もデートなんだけど、は〜、あんまり気乗りしないっていうか、
どうせまた同じパターンだよ。
私が会社で仕事してると、ブルッと携帯が震えてメールが着信。

『いつもの「鳥まる」に6:30ね』

即返信。

『あいあーい。りょーかいだよ〜(^_^)/』

顔文字も含めて定型文だ。ザマミロ。
仕事が終わって、がさごそと着替えて、鳥まるへ行く。鳥まるは
彼のマンションの近くにあるちょっとオシャレな焼鳥屋で、安いし、
常連になっちゃってわがまま利くので会うときはだいたいそこだ。

いつものカウンター席に座って、彼を待つ。靖之の方が職場が遠い
ので、私の方が大抵先に着いてしまう。

「おまたせ」

背後から声がして、靖之が来た。

「んー」

マンネリな気のない返事をする私。

「今日さあ、課長に小言言われてヘコんでんだ、あたし」
「ヘコんでるようには見えないけどなぁ」
「悪かったわねぇ、顔に出なくて。これでも繊細なんだぞ」
「そうかそうか、よしよし。ほら飲みねぇ」
「んー。」

そうだなぁ、コイツはこんな時、ふにゃっとかわすからケンカに
ならないんだろうな。なんか物たりないんけど、贅沢かなぁ。
コイツ癒し系?へんなの。

「そういえばさぁ、俺最近2ちゃんねるにハマってて、ちょっとヤバ
いんだ」
「あー?あの危なそうなトコロ?大丈夫ぅ?」
「いや、大丈夫じゃないかも。なんか妙な気分になる話題がいっ
ぱいだよ」
「妙な気分って?」
「あー、えーと、あの、エッチな気分」
「アッハッハッハ!!淡泊なアンタが何言ってるの!第一、何に
そんなにエッチな気分になるの?」
「うーんと『キスだけ濃厚スレ』とか」
「スレって?」
「なんていうか、『お題』かな」
「ふーん。それで?」
「彼女とか、奥さんと、キスだけねっちりやる話題」
「へー。どんな風に?」
「こんな感じ」

エッ!?
ちょっと!
ばっばか!

「むッ…」

いきなり後頭部に手を回され、こんな飲み屋のど真ん中で
唇を重ねられた。焼き鳥の味のする舌が唇を割って入ってきた。
激しい嫌悪感に手で靖之の後頭部の毛を掴み、思い切り
引っぱろうとしたところで、私の口の中でお互いの舌のツブツブが
ざらざらと絡まり合った。その瞬間、ゾクリと背筋を何かが這い
昇る感じがして、フッと陶然となってしまった。
口の中をゆっくりと舐め回される感覚に、嫌悪感はそのままに、
快感が少しずつ頭をもたげてしまい、靖之の後頭部を引っぱる手は、
いつしか彼のうなじを抱いていた。

ちゅく。
ちゅく。
ちゅく。

煙草の紫煙と焼き鳥の煙の立ち込めるカウンターで、淫らな音を
立てて唾液を交換する。背中に刺さる痛いほどの視線。いくら飲み屋
でもハメを外しすぎだ。唇を吸われながら、背中や腕が総毛立つほどに
人目に晒されていることを自覚する。

ちゅく。
ちゅく。
ちゅく。

ぷあっ。

「はあっ!はあっ!いったい何考えてるのよぉ!!」
「いやあ、オレ、公衆の面前でキスしたの初めてだ」
「あ!あたしだって!……ばか!!」

真っ赤になりながらコソコソと周囲を見回す。物見高い連中はもう
視線を外してしまっている。とりあえずホッとした。

「なんでこんなことするのよぉ!」
「うーんと、キスだけに集中すると、性感が高まるんだってさ」
「なによそれ!あ。あたしちょっとお手洗い。口拭いておきなよ」

唇にベットリ私の口紅付けている靖之に、ポケットティッシュを投げ
つけてカウンターを立った。

トイレのドアの前に立ったとき、ちょっといやーな予感がした。トイレに
入ってショーツを下げてみると、やっぱりネットリと濡れていた。
たったあれだけのキスで?他に刺激されたわけでもないのに?
いやだなぁ。
さっさと小用を済ませると、もう一度湿気たショーツのクロッチ部を
指で触り、ちょっとしかめ面しながらそのままぐいっと穿いた。
ちょっと冷たい。
今日は不幸にもポーチの中の予備のナプキンを切らしているのだ。

憮然とした顔で席に戻ると、

「今日、うちに来ない?」

と靖之が言う。

「何しに?」

知ってて嫌みな質問をする私。

「キスだけしに」
「キスだけぇ?」
「うん」
「またずいぶんとかぶれたわねぇ」
「さっきのイヤだった?」
「うん」
「そうかぁ」
「そりゃいきなりこんなとこでされれば当然でしょ?」
「ちょっと驚かしたかっただけなんだけどなぁ」
「いいよ。行くわよ。キスだけしに。お手並み拝見ね」

靖之んちでショーツ替えよう。

鳥まるを出て、コンビニに寄って替えのショーツを買った。
彼の部屋に入るなり、私はトイレに入ってショーツを替えた。
靖之はガシガシ歯を磨いている。

「あはは!マジでやるつもりなのぉ?」
「んー」

口から泡を飛ばしながら、靖之が答える。
仕方ないなぁ、つきあってやるか。
私も置いてある自分の歯ブラシで、ガシガシ歯を磨き始めた。

明りを落とした部屋の真ん中に二人で立ち、映画の中の恋人達
のように見つめ合う。今更すぎて激しい照れ臭さ。

「プッ!」
「だめだよ。笑っちゃ」
「はいはい」

私は目を閉じて少し唇をすぼめる。

ドック
ドック
ドック

あれ?どうしたんだろう。
たかがキスにこんなに興奮するなんて。

初々しい恋人同士とは違い、なんのためらいもなく唇が重ねられ、
貪るように舌が分け入ってくる。

ちゅく。
ちゅく。
ちゅく。

ちゅく。
ちゅく。
ちゅく。

ちゅううぅぅっと口中を吸われ、意識がまたフゥッと不明瞭になる。
ザラザラと、そしてぼってりとした、彼の舌。私の口の中で広がり、
私の舌を舐めまわし、今度は尖って前歯の裏をツルツルと触る。
その舌をふざけるように舌で押し戻し、今度は私がちゅうぅぅっと吸う。
ぱっと口を離して、お互い顔を傾けてパフ、パフと軽く唇を合わせては離し、
またねっちりと重ねては舌を絡め合う。

不意に、自分の口の、性器としての激しい性感が私を襲った。ボーッと
顔が火照り、動悸がどんどん激しくなる。舌の上の柔らかい毛が、ビロー
ドを撫で摺るような安堵感と快感を与え、何度も舐め上げられると、徐々
に高みへと押し上げられてきた。
ついに耐えきれなくなって、頭を後ろに反らすようにして口を離した。

「いやっ」

自分でわかるドロドロに潤んだ瞳、上気した顔で言っても、何の説得力も
無いと思う。靖之は少しマジメで、少しニヤついた顔をしながら、ガバっと
私を抱きしめた。

はうっ!
え?
ちょっと!

両肩が軋むほど強く抱きしめられ、両腕の毛穴が鳥肌立つほどゾクゾク
している。だらりと垂れ下がった両手にはジットリと汗を掻き、不意の興奮に
小刻みに震える。
バク!バク!バク!バク!バク!
動悸がさらに激しくなり、心臓から押し出される熱い血流が脳に衝突する
のを感じる。

たかが……
たかがキスと抱擁で、こんなに感じるなんて……

私の顔は彼の肩の上にある。彼の顔は私の耳の横。スーッ、スーッと彼が
深めの呼吸をしているのが聞こえる。
私の両腕ごと抱きしめた彼の手は、私の背中をスルスルとまさぐる。まるで
童貞が処女を抱くようにぎこちない手つきで。私は、私の口のすぐ横にある彼
の耳に、囁くように言う。

「……ねぇ、……しよ?」

自分で言っておいて、さらに真っ赤になる私。
どうしちゃったんだろう。でも、もう我慢できない。

靖之は手を離し、私の顔を見つめながら、ちょっとニヤニヤ笑って、

「ダメだよ。今日はキスだけ」
「そんなぁ!自分だってしたいくせにぃ!」
「そりゃそうさ。でもね、キスだけ」
「ヤダ!」
「じゃあもう一回キスしている間にスカート脱いでよ」
「う、うん」

お互い見つめ合いながら、立ったまま、またちゅくっと唇を重ねる。
成り行きで目を閉じる。舌のザラザラとザラザラを摺り合わせながら、
ちゅっちゅっと唾液を送り合い、その間に私はスカートのジッパーに指を掛け、
ジジジっと下ろし、口を離さないように気を付けながら、ホックを外してストンと
スカートを落とした。

彼は左手を私の背中に添え、右手でいきなり股に触れてきた。
パンストの上からつつっと割れ目をなぞられる。

「んん…」

感じるというより、絶対濡れてると思う恥ずかしい部分を、指で触れられる
嫌悪に声が出た。お臍の上を探られ、パンストの縁を探り当てられると、
そのまま股の下までズルリと下げられた。いっしょにショーツが捲れて、変に
よじれて嫌だ。
と思ったら、ショーツの両脇を引っ張られて、そのままショーツも下げられて
しまった。

ちゅく。
ちゅく。
ちゅく。

ちゅく。
ちゅく。
ちゅく。

相変わらずキスを続けたまま。股間がスーッと寒くなって、内股まで濡れてる
のが自分でもわかってしまった。

「んんッ!!」

キスをしながら悲鳴を上げた。彼がいきなり潤みきった割れ目に指を突っ込み、
粘液をかき分けるように割れ目をなぞり上げて最後にクリトリスをツンと押したからだ。
いやぁだ。もうビリビリくるほど感じてきている……

また指が入ってきた。お尻に近い方からぬめりのままにアソコの入り口にくちゅっ
と差し込み、そのままゆっくりと前に移動して、割れ目を掻き分け、クリトリスの付け
根で止まった。少しキスがおろそかになったのを感じたのか、再び力任せにちゅうちゅ
うと吸われ、息が苦しくなってさらにふわふわとした高みに押し上げられた時、コロ
コロと指でクリトリスの周りを触られた。
私はガバッと靖之に腕を回し、これから離陸する飛行機の加速に振り落とされ
ないようにしがみついた。

「んああああ…」
「んああああ…」
「んんんんッ!」

唇を吸われ、コロコロとクリトリス周囲を刺激されるたびに、ふわぁっ、ふわぁっと
足が床から離れる感じがする。オッパイだって服着たままなのに、たったこれだけの
刺激でイカされそうな自分がちょと情けないと思ったが、吹き上げる風に運ばれるよ
うな気持ち良さから抜け出すことができない。

とうとうクリトリス本体をコリッとつねられた時、目の前にバババッと火花が出て、
反射的に唇を離し、

「んああああああああああああ〜〜あっッッ!!!」

とあられもない声を上げて、達してしまった。
でも靖之は止めない。イって敏感になり切った私の充血した赤い突起を、周りの
粘液をまぶすようにして、押し、つまみ、弾く。
ガクッ!ガクッ!と、反射的に体を痙攣させながら、とうとう膝がカックンと抜けて、
彼の部屋の床にへたり込んでしまった。

靖之は、そんな私の前にしゃがんで、また唇を無造作に吸う。汗でベタベタの顔
のまま、無抵抗に唇を吸われる。こっちから舌を絡める元気は無い。
彼が汗で貼りついた前髪を掻き分けてくれた。

やっと少し醒めて、ヨロヨロと立ち上がり、ショーツを戻そうとして困った。コンビニ
で買った替えのぱんつも汚しちゃったじゃないか〜

「ねえ、ぱんつ買ってきてよ」
「え?」
「替えもなくなっちゃったんだよぉ。責任とれよぉ」
「あー、しょーがねーなー。ちょっと待ってろよ」

私をそのままにして、台所でジャブジャブと手を洗うと、靖之はバタンと部屋を
出て行った。

ふぅ。

ずり下げられたまぬけなパンストとショーツを脱いで、風呂場を借りてお股を
洗ってから、スカートだけを戻した。勝手知ったる冷蔵庫から缶ビールをとり出
して、プシュッと開ける。ソファに座って缶ビールを飲むと、やっと落ちついた。

いったい何て日なんだろう。

ガチャ。

「お待たせ」
「有ったぁ?」

ガサガサとコンビニの袋をまさぐり、

「こんなのしか無かったけど」

とショーツを見せる靖之。

「良く買えたわね」
「他にスキンとか野菜ジュースとか買ったからな」
「野菜ジュースがどう関係あるのよ」
「あははは」

「あ、オレも飲ーもうっと」

同じく冷蔵庫からビールを出して飲み始める。
私は勝手に袋からショーツを取りだして風呂場で穿いた。

ソファーで2人でぐびぐびとビールを飲みながら、
なんだかいつもと雰囲気違って、ちょっと落ち着かない。

「あたしさぁ、今日は帰るわ」
「エッ!?嫌だった?ねぇ」
「……」

無言でうつむく私。

「ごめん」

急に真顔になる彼。

ストッキングも穿きなおし、スカートを直してから、ちょっと勿体つけて、ニコーッと笑い、

「ばか。……気持ち良かった。さんきゅ」

と言って軽くまたキスをした。唇に靖之のビールの苦さが残った。

自分のマンションに戻ってからも、ちょっと悶々としてしまったが、いつものように
オナニーする気にはならなかった。なんだか、普段雑に扱っているものが、急に
大切なものに思えてきた。
シャワーを浴びながら、さっきの感覚を確かめるように、中指でそっとクリトリスを
皮の上から押してみて、全身がお湯に浸るるような、甘い痺れに酔った。自分で
触れるだけでは決して行くことのできない、甘美な甘美な世界。
キスだけであそこまで気持ちいいなら、もし入れたらどうなるの?

ドクドクドクドクドク。

ああ、いけない、いけない。
シャワーをぬるめにして頭を冷やす。セックスに関する一つ一つのことがすべて
大切に思えてきた。何かを自分でだけで勝手にするのがすごく勿体なく思えてきた。
次に靖之が何をするつもりなのか、それが楽しみになってきた。高鳴る心臓をなだめ
つつ、私は浴室を出た。

2〜3日はお互い仕事が忙しくって、メールさえしない状態だった。いや、今まで
なら2〜3日間が開いてもそんなことすら気にならなかった。メールが無いのは元気な
証拠、お互い忙しいんだよねって以心伝心のつもり。

あ、またメールだ。
彼からかな?と思いながら開けては、仕事の連絡ばかりでちょっと鬱。

げ。ビンゴ。靖之からだ。
ど、どうしてこんなにドキドキするの?

『いつもの「鳥まる」に6:30ね』
『あいあーい。りょーかいだよ〜(^_^)/』

自分で定型文の返信をしてから気が付いた。
あいつも定型文だ!きっと。
その後の仕事が手に付かないほど、なんだかウキウキしてしまった。
あたしどうしちゃったんだろう。
ぜったいヘンだよ。
ちょっと待って。彼からのメールには定型文のあとに続きがあった。

『今晩はお泊りのつもりで(^〜^)』

ボーン!

何の音って……血が頭に昇る音。

大胆なこと言ってくるメールにもあきれたけれど、そのメールを見て濡れ始めた自分にも
びっくりした。急いでドキドキを収める。

よーし。
よーし。

濡れ始めたといっても着替えるほどじゃない。
仕事に集中だ。

そして終業。

「待った?」
「そうでもない…」
「どうしたの?また叱られた?」
「ううん……」
「なんか、らしくねぇなぁ。ひょっとしてこないだのこと?」

自分じゃあれだけドキドキしたくせに、靖之の前だとなんだかトーンが下がっちゃう。
んなプラトニックなわけじゃないのに。

「えー?……うん」
「あーもう飲め。ずんずん飲め」
「うん!」

ウップ。
ずいぶんヘロヘロになって彼のマンションに到着。

「ケケケ。今日はヤルんでしょ」

うわ。ヨッパライだ、あたし。

「ん?やんないよ」
「エ”ッ!お泊りって書いてあったのに〜!」
「ん〜と、触ったり、舐めたりだけ」
「うそ〜!帰る」
「まぁ待てよ」
「やだ!ムぁんッ……」

またいきなりキスされた。
だめだ……この前のこと思い出しちゃって……
お互い酒臭い鼻息を掛けあい、ちゅっくちゅっくと唾液を交換すると、どろーんとエッチモードに
連れて行かれた。

ドキドキドキドキドキドキドキドキドキ

酔いも手伝って、頭がグルグルになり、どんどん切なくなって妙なことを口走る。

「ねぇ……したいよぉ……」
「だーめ。今日はキスと、触るだけ」

規制をかけられたとたん、じわわわわっとさらにオツユが溢れ出してきた。なんでダメって言わ
れて濡れてくるのぉ?

「ちょっとずつ、大事に大事にやるのさ」

ドキーン!!

それだ!
規制で濡れたんじゃなくて、丁寧にしてくれるって気持ちに濡れたんだ。
そして私の頭の中で、『物足りない』と『どうなるの?』ってドキドキが、ぐるんぐるんと廻り、
最後に『どうなるの?』が勝った。

「うん……そのまえに、お風呂……」

素直にうなずいたものの、舐めると言われてこのまま事に及ぶほどお互い野獣モードじゃない。

「おう」

二人でお風呂場に行った。

少し酔いを醒ましつつ、ユニットバスの狭い湯舟にぎゅうぎゅうと浸かる。湯舟の中で、また
ディイイプなキス。

「くっはぁ〜」

お互いの口と口の間に、唾液が糸を引く。

「うわぁ、由利のそんなユルんだ顔見たことないぞ」

恥ずかしすぎるので、それには答えず、また唇を重ねた。
たった2回目でキスの虜だ。
キスって大事だ〜
貪るように口を重ね合い、唾液を交換し、舌を絡め合う。
気持ちイイ、気持ちイイ、気持ちイイよぉ!

「こっち向きになりなよ」

私は一度立って靖之の前に同じ向きの体を沈める。キスはもう出来ない。
ベチャベチャと耳の後ろで音がして、彼がうなじを舐めてきた。

「ひゃ!くすぐったい!」

あんまり感じない。

「んあっ!!」

いきなり乳首をつままれた。お湯をまぶしながら、気を遣ってるのかかなり緩めにクリクリと
つまむ。左右のおっぱいの下にを手を添えて、伸ばした人差し指と親指で乳首を揉む。
あ〜ん、そうじゃないって。

イタッ。
そっち方向は痛いよぉ。

そのうち、指が単調な摺り上げる動きになった。
おっぱい全体をふわっと揉んで、シュッ、シュッと乳首をしごき上げる。

ああ……
優しいけど……
ちょっと物足りない……

「あの……少しつまんでみて……」

自分でねだるなんて恥ずかしい……
耳が真っ赤になって千切れてしまうのでは、と思うほど顔が熱くなった。

「このくらい?」
「はううッ!!」

ちょっと強めに捻り上げられると、乳首から心臓が絞り出されるかと思うほど、きゅううぅぅん!
と甘い衝撃が走り、とたんにドクドクと心臓の鼓動が倍のスピードになる。

「きもちいい?」
「あ……う……」
「ほら、ちゃんと言わないと、止めちゃうよ?」

くりっ。くりっ。くりっ。

「はあぁううぅぅ……きもちいい……」
「良くできました。上がろうか」

視界までドロドロに溶かされて身動き出来ない私を、彼は後ろから抱えるように立たせた。

良くバスタオルで体を拭かれ、朦朧としたまま素っ裸でベッドに連れて行かれた。

私はまだ火照ってて、毛布を全部下ろしたシーツだけのベッドの上で、ぐったりして彼を待つ。
冷たいシーツが背中に心地よい。枕も無い完全な仰向けになっていると、なんだか体がひっくり
返ってしまいそうで、上目遣いに枕を見つけて引き寄せ、バフッと頭を載せた。
ベッドがギシッと傾いて、靖之が乗ってきた。
またキス。

むん。むん。
ふん。ふん。
べちゃ。べちゃ。べちゃ。

あきれるほど、わざといやらしくキスをする。
胸を揉まれる。
乳首を摘ままれる。

「んん……」
「ンふんッ……」

文字通り唇を奪われ続けたまま、乳首で感じて鼻息を荒げる。そしてゆっくりとキスの快感を
反芻する。舌を絡め、靖之の舌のザラザラを舐め上げる。このざらざらが気持ちイイ。
たっぷり舐める。

彼が私の乳首をつまむ指に力が入る。
きゅううううううッ!!

「んあああんんん……」

口を離して声を出してしまう。
彼が少し摺り下がり、私の首筋から鎖骨にかけてを舐める。彼の頭が私の顔より下に来た時、
両手で頭を抱きしめた。首を少し舐めると、彼はまた下がり、私の右の乳首を口に含んだ。
パクッと乳首全体を温かいものに包まれて、なんともいえない安らぎを感じた直後、ザラリと
舌で舐め上げられた。
「あああああッ!!」
指で摘ままれるのと全然違う、貼りつくような粘っこい快感に、ゾクッと快感が走り、叫び声に
近い喘ぎ声を出してしまった。

ザラ〜リ。
ザラ〜リ。
ザラ〜リ。

「んあああああんっ……」

今までのセックスでだって散々舐められてるのに、なんでこんなに感じるんだろう。
ぞんざいに、形だけちゅぱちゅぱ吸われたって、気持ち悪いだけだったのに。

こんどは左乳首。

パクッ。
チュパッ。
ザラ〜リ。
ザラ〜リ。
ザラ〜リ。

「ふわぁぁああ!」

ゾクゾクゾクゾクゾク!

き、きもちいい……
いやあぁ……
アソコがすごく熱くなってきた。
欲しい……
入れて欲しい……

『触るだけ、舐めるだけ』なんて、ちょっとひどいや。

ドロドロにエッチな気分にされ、乳首を舐められてるだけなのに、もう目茶区茶に掻き回してほし
い衝動にかられてしまってる。でも彼は残酷なほど舐めるだけに徹している。

「ねぇ……入れてよ……」

切な過ぎるので、また口に出してしまった。

「だーめ。もう少し我慢して」

ああん、ひどいぃ〜どうにかなっちゃうよぉ!
朦朧とする頭で、くやしいから罵りの言葉をいくつかこねまわし始めたていると、つううっと舌が
下がって、おへそをかすめ、私の茂みの中に入った。

「あ!」

なんだかすごい身の危険が迫ってる感じがして、手で靖之の頭を押しのけようとした瞬間、

「あ”!あッ!!」

ビクーッと電気が走って全身が硬直した。
クリトリス直撃。

「いやああ!」

直撃は痺れすぎて痛いほどだけど、その余韻はとろけるほど気持ちいい……

あ!
またクリの皮を剥かれた。それだとちょっとキツイってばぁ!

「いやっ!」

あ!あ?あッ!!
含んでる。口に含んでる!クリトリスを!!
ドーッと大波に流されるように快感の濁流に巻き込まれ、足の先をキュッとシーツに絡めて、
ガクガクと震えて、イッてしまった。

「あっく…くうん……」

余韻に震えて、息が出来ず、唾が飲み込めない。

「ふわああぁぁぁああ!!」

ひいいっ!もう既に一度イッてるのに、更に舌でクリを舐める靖之。全身引き付けてビクビク
とイッてるのに耳がカーッと熱くなって、頭が白くなってきた。二の腕がぞわわっと鳥肌立つ感じ。

「もおいいよぉ!んあぁッ!!」

だめだ!ぜんぜん止める気配なし。股の付け根がガクガクして止められない。ゾッ、ゾッと無
造作に舐められる度に、更に高みへイク……

「…………」

強烈にイクと声出ないんだ…私の体は、私の意思から既に離脱してまって、クリトリスが
スイッチになったかのように、舐められる度にビクンと機械的に引きつける。

私の反応が鈍くなったのを見て、靖之が口を離した。私のオツユがたっぷり着いた口を無理
矢理重ねてくる。

「うぺッ!ヤっ!!」

強引に重ねられ、ベタベタヌルヌルが口につく。自分のを無理矢理舐めさせられて、ちょっと
クツジョクなんだけど、キスの快感に逆らえない。

「んむッ……んんんんっ……」

乱暴に舌を絡ませながらも、次第に緊張のネジを緩めてゆく。絶頂の快感から次第にトーン
ダウンするのを、こうして受けとめてくれると最高に嬉しい。

ふうっ。
ふうっ。
ふうっ。

私の体にばふっとタオルケットを被せ、ギシッとベッドを傾けて靖之が離れていった。全身びっ
しょり汗まみれの私は、そのまましばらく荒い息をしながら、少しずつ醒めてきた。心地よく汗が
乾いてくると、とても大事なことに気付いた。
彼はぜんぜん気持ち良くなってない!
ああ、ごめん。私ばっかりで。

「靖之ぃ……」
「あん?」
「こっち来てよぉ」
「あ?ああ」

ギシッとベッドに上がり、私の横にドサッと寝る。
手でタオルケットを捲くって、靖之にも掛ける。
裸同士で一枚のタオルに包まる。

「あのさ……さんきゅ……」
「お?おお」
「あの……靖之のも触らせてよ」
「え?いいよ、そんな……あ!」

妙にはにかんで遠慮する彼のアレを指先でつまむ。まだカチンコチンだ。

「ばか、止めろよ」
「ずるいよ、あたしばっかり。あたしも研究するんだ」
「いいって。う……」

私は彼の先っぽを中指と親指でつまんで、人差し指を先っぽのところに当てて、そこから出て
くるネバネバをヌルヌルと塗り広げてみた。

「お!う!こら!」
「あたしだって恥ずかしいの我慢したんだからね」
「あ、ああ。お!」

クリクリと塗り広げると、先端をこじるたびに靖之がビクビクと体を震わせる。ちょっと面白くなっ
てきた。

「ねえ……口でしてあげようか?」
「え?いいよ……」
「何今更カッコつけてんだよぉ!しゃぶらせろ〜」

なんか、責められ続けだったんで、反動で悪戯っぽい気分のあたし。ガバッと起きて、タオル
ケットを捲り、ベッドの上を膝でドスドスと体勢を変える。靖之のお腹の横に跪まずき、ビキビキに
そそり立っている靖之のものを手で掴む。

「をいッ!やめ……!」
「へへ〜んだ」

顔に掛かる髪の毛を左手で掻き上げ、先端をペロリと舐めた。

「う!」

軸を握る右手にドクドクとすごい拍動を感じ、表面の硬さも増した。靖之も感じてるんだ……
おずおずと口を開きながら、亀頭部分だけをパクッと口に含む。歯が少しでも当ると痛いらしい
から、慎重に唇だけでカリ周囲を包む。口の奥に引っ込めていた舌をそーっと伸ばし、先端の
粘液を舐め取るように、チョロチョロと小刻みに動かす。彼の体がビクビクと痙攣する。
……いいみたい……
チョロチョロをしばらく続けていると、溢れた粘液とあたしの唾で、さきっぽがびちゃびちゃに
なってきたので、一旦口を離し、ゴクンとその粘液混じりの唾を飲み込んだ。
再びパクっとくわえ、今度は舌の広い面積を使ってざらりと亀頭を舐め上げた。

「あうっ!」

今、横から舐めてるので、今度は舌を亀頭の上面に這わせ、そっちばかりベロベロ舐めてみる。

「ぐ!んっ!」

結構気持ちよさそう。今度は反対に舌を回し、カリの張り出しが一周して接合する合わせ目
を舐めてみる。
無言でビクビクする彼。
人によるのだろうけど、靖之はこっちがツボみたい。

ねぶりまわすように舐めていると、ぐわっと口がしょっぱくなった。ぐへ〜。にがい。しょっぱい。

「ごめん」

申し訳なさそうに靖之が言う。ゴクリと飲み下してから、

「あたしがするって言ったんだからいいよ、へへへ」

って笑ってみせた。
彼があたしの口でイッたことがちょっと嬉しかった。なんとなく新技を会得したような気分で。

先端からまだドロリと溢れて来る白いものを舐めとって、

「お返し!」と言って靖之とキスした。
「ぎゃー!!」
「わはははは!」

二人してうがいして、ひとしきり笑い合ったあとで、その日はもう寝てしまった。


何日か後。

「由利さあ、最近お肌ツヤッとしてない? 化粧品変えた?」
「え〜? 変わらないよ?今までと」

更衣室で芳江がきく。

「なんか隠してない? イイこと」
「なによう」
「彼とは?」
「ぜーんぜん、変わりなし。あ!」
「なに?」
「あ、いや、なんでもない」

まさか、エッチがネチッコイ系になっただけで、お肌まで変わらないよねぇ……
でも、毎日の気持ちが潤った感じがするのは事実だ。

つきあい始めたころのがむしゃらなエッチから、もう一段深い部分に進んだ気持ち。
たったこれだけで毎日の気分が違うなんて、不思議だなぁ……

あ。メールだ。

『いつもの「鳥まる」に6:30ね&またお泊りのつもりで』
『あいあーい。りょーかいだよ〜(^_^)/』

マンネリになり切ったメールの応酬。

絶対、今日も何かされる……
ついに…入れられちゃうの?

ドキドキドキドキ…

今まで何回も経験した、ただのセックスのはずなのに、
なんでこんなにドキドキするのォ?
やああああ。
夜まで持たないよぉ…
少し顔が火照ってる。

なんかトロンとした目で仕事してるので、最近男性の同僚がチラチラ私の方を良く見るようになった。
でも彼氏居るってバレてるので、意識するだけみたいだ。
同じ課のコ達に「フェロモン出してんじゃないわよ」って嫌味言われないように、
やたらと仕事をガシガシこなしてみたり。

やっと仕事が終った。
なんだか複雑な気分で「鳥まる」で待つ。

「お待たせ」
「お〜。」
「うわ。なんだか色っぽいぞ」
「そっ、そんなつもりは全然無いんだけど、なんかずーっと低空飛行でエッチな気分」
「へぇ〜」

『今すぐ靖之んち行ってエッチしよう』

口元まで出かかって、ゴクリと飲み込んだ。

「最近仕事順調でさぁ」

靖之が明るく言う。

「よかったじゃん」
「おー。 普段の気分が満たされてると、何でも調子イイな」
「そうかもね。 あたしも実はそうなんだ」
「そっちこそ、よかったじゃん」
「うん。 でもちょっとだけ満たされない感じ…」
「あはは。 アレのこと?」
「う… うん…」
「ちょっとずつ気持ちいいことを積み重ねると、だんだんやめられなくなっちゃうよね」
「なんか意地悪な言い方だなぁ」
「してほしい?」
「ば、ばか、声が大きいよ」
「わかりゃしないって」
「やめてよ」
「ねえ、して欲しい?」

あからさまに聞いてくるデリカシーの無さには腹が立ったけど、
どーんと頭に血が昇って、頭の中がぐちゃぐちゃしてきて、まともな思考ができなくなってきた。

「…うん…」

心臓がドクドク言ってる。
掌にじわっと汗が出る。

「そしたらね、ちょっとだけ条件があるんだ」
「なによう」
「これ着けて」

靖之がゴットンとカウンターに置いたのは、ベージュ色の犬の首輪。

「ばッ! バカ!何これ!SMする気ィ?」
「こら、声が大きいよ」
「あ…。  …イヤよ、そんなの」
「じゃあ、アレは無しね」
「ひどい!」
「して欲しいなら、自分がエッチなこと覚えちゃった証拠として、その首輪を着けるんだ」
「それって、あたしのこと、ちょ…調教…した、つもり…?」

自分で『調教』って言った瞬間、じわぁあっとエッチな汁が溢れ出した気がした。

「そんな大それたことじゃないよ。 でもそんなに嫌なら…」

いったいどうしたんだろう…
自分の心の一部が、靖之に創り変えられてしまったことに、今気付いた。
気付いたとたん、最初にここでキスされた時みたいに、
腕の産毛が鳥肌立つようにゾクゾクと甘美な悪感が走り、
どうにも堪らなく首輪を着けたくなった。
自ら犬の首輪を身に着けることによって、
完全に靖之の所有物になれるような気がした。

「…でもそんなに嫌なら… …いいよ」

ちょっと済まなそうに言う靖之が、ぐっと目を剥く。
私が首輪を掴んだからだ。
カチャカチャとバックルを外し、
その真新しい、染めてない厚手で幅広の革を、ギシギシと開いて、
髪の毛を持ち上げて首の後ろに回した。
首の前でバックルに通し、ちょっときつめに引いて留めた。

そう、
別にSMとか犬とかペットとかっていう、変態の意識は全く無く、
所有物の証、という気分。
それでも自分の心臓の音がゴンゴン耳に響くほどドキドキしまくってて、
周囲の様子などまるでわからなくなっていた。

「もう、出るか」
「…うん…」

夢遊病者のようにぼんやりと頷き、
全く味のしない、冷めた焼き鳥を口に頬張った。
残ったビールでゴクンと呑み下し、席を立つ。

首輪は自分が意識してるほど目立ってはいないようだ。
肌色に近いベージュ色だし、
周りはみんなヨッパライだし、
後ろからは髪の毛に隠れて見えないし。
だが脳にドクドク血が昇り、頚動脈が拍動するたび、
首輪はその血の流れを少しせき止め、息苦しさでその存在を誇示している。

足元がフラフラしてしまって、靖之の腕にすがるようにして歩く。
ショーツは股がぐちょぐちょになってて気持ち悪く、
早く脱いでしまいたい。

靖之の部屋に入るなり、

「ああ…」

って声が出た。
何の意味も無いんだけど。

「ほら、そんなに焦らないで。 今までのおさらい。 まずキスからだ」

バッグとコートを投げ出しただけで、
そのまま居間のど真ん中で立ったままキスされた。

獣のようにお互い貪り吸う。

ちゅく
ちゅく
ちゅく
ちゅく

唾液の応酬。

靖之がジャケットを捲るように引っ張るので、腕を片方ずつ伸ばすと、
ジャケットをするりと後ろに落とされた。
スカートのジッパーを外され、スカートはただの布の環になって足元に落ちた。

唇を離し、靖之がブラウスのボタンを外す。
私は自分でブラウスを後ろに落とすように脱いだ。
ぐちょぐちょのショーツを見られるのがいやだったので、
彼に脱がされるより先に、パンストごとショーツを脱いだ。
普段なら帰る時のことを考えて濡れたショーツの始末まで気を遣うのに、
もう何も考えられなくて、ただぐるぐるとパンストごと丸めた。
最後にブラを外す。

突然首がグッと引っ張られた。
靖之が人差し指を犬の首輪の、鎖を繋ぐ金具に通して、手前に引いたのだ。

「これ…すごく似合うよ」

一瞬首輪のことを忘れてた。
首輪してたんだ。

全裸に首輪だけ。
本物の犬の首輪。
彼の所有物としての証。

「……」

何か言いたいんだけど、言葉にならない。
内股をはしたない汁がつうーっと伝った。

そのまま抱えられ、ベッドに運ばれた。
靖之も服を脱ぎ、ギシッとベッドに乗ってきた。

首筋に舌を這わされた。
ちゅっと吸われる。
もう前戯なんて不要なほど濡れているのに、
吸われたら吸われたで、甘〜い痺れが走る。

「はあうッ!」

こんどは乳首を吸われた。
乳首が敏感になり過ぎている。
心臓が吸い出されそう。

「ああああぁぁぁん……」

口を離されると余韻が戻ってくる。

乳首を吸われながら、下腹部に手が触れる。
ビクッと身が縮む。
今そこに触れられたら…
どんな衝撃が来るか想像もつかない。

靖之の指はいきなりその核心には触れず、
周りに溢れ出したトロみをすくうようにヌルヌルと円を描く。
触って欲しい…でも…
触られたら死んじゃう
二つの激しい想いが交錯した瞬間、
ガバッと股を割り開かれ、
ずちゅるっと靖之のモノが入ってきた。

「はあアッ!!!」

口を全開にして喉の奥底から絶叫。
目の前が真っ白になる。
普段だと「あ、入ってきた」っていうちょっと軋みのある挿入感なのに、
今は、極太の超快感となって私のアソコに突き刺さる。
拡げられ、突かれ、擦られる、それらの感覚の一番甘美な部分だけがミックスされ、
0.1秒ほどの間に快感神経に叩き込まれる。
靖之のモノも、今までと比較にならないくらい硬い。
今までのマンネリなセックスの時って、それなりにフニャっとしてたってこと?

ゆっくり3回くらい前後に突かれたところでギブアップ。

「あううぅ… ごめん… 動かないで…」
「エッ?」

動くとビリビリ来過ぎてちょっとキツすぎる…

「ごめん… ちょっとじっとしてて…」

腕を回してぎゅうっと彼を抱きしめる。
はああぁぁ…
この中一杯に満たされる感じがイイ…

じっとしてても、彼のモノがビクビク脈打つのがわかる。
じわっと広がる、充足と快感…

突っ込まれたままキスされる。
上の繋がりと、
下の繋がり。
体同士が濃密に接合している快感…

「ちょと動くよ。 キツかったら言って」
「うん…」

靖之が体を少し起こして、ゆっくりと前後に抽送を始める。

ジュップ。
ジュップ。
ジュップ。

さっきまでキツかったのが、一回のピストン運動ごとにドクンと血が昇る快感に変わった。
自分の膣が靖之のモノを強く握ってるのがわかる。
きもちいい…

ジュップ。
ジュップ。
ジュップ。

すごい…
もう止まらない…

ジュップ。
ジュップ。
ジュップ。

だんだん靖之が早くなる。
彼のモノが深く差し込まれるたび、入り口のクリトリスがプチュっと捻られ、
脳の芯が痺れるような快感が走る。

ジュップ。
ジュップ。
ジュップ。
ジュップ。
ジュップ。
ジュップ。

「んあっ!」
「んあっ!」
「んあっ!」

快感の上昇と、腰の動きが同調してきたとき、
今まで経験したこともない、甘い甘い甘い甘い凄まじい快感が襲ってきた。

(翔ぶ)

真剣にそう思った。
アソコ周辺と脳の中心に同時に大きな火の玉が出たようになり、
体がガクーンと弓なりになって、
つま先まで突っ張り切ってふくらはぎが痛くなった。
でもその引きつけた姿勢が解けない。

彼が動動いてるかはもうわからない。
ひたすら気持ちいいだけ。

きもちいい
きもちいい
きもちいい
きもちいい

昇る昇る昇る昇る
昇る昇る昇る昇る
昇る昇る昇る昇る



「あ”あ”あ”あ”あ”〜〜〜!!!」

喉を裂いてこぼれる悲鳴。
そんな限界までイッてる私のクリトリスを、指で摘まむ彼。
紅潮した顔から更にババッと汗が噴き出し、
弓なりの体を支えてる腕が、快感の震えでガクガクとわななく。
この快感にまだ先があるなんて…

「………」

また声が出せなくなった。
息が切なくて、もう本当に死にそうだ。
摘ままれるクリトリスの刺激で、機械的にガックンガックンと体が跳ねる。

そのうちググッと彼のモノが太くなったかと思うと、
こんどは少ししぼんできた。

「はあっ!」
「はあっ!」
「はあっ!」
「はあっ!」

私と彼の激しい呼吸。

少しずつ降りてきた…
彼はまだ抜かず、ゆっくりと味わうように前後運動をしている。
私も弓なりの姿勢からドサッとベッドに背中を着け、
肩で息をしながら余韻を噛み締める。

ズルリと彼が抜いた。
汗まみれの私の顔を優しく手で撫でて、
チュッとキスをした。
私が仰向けになっている横に、ドサッと倒れ込んで、ごそごそとスキンの始末をしている。
私はまだ首輪したままだ。

私は靖之の方に向き直り、

「ありがと」

と言って笑った。

「すげぇ良かった」
「あたしも」
「結婚するとさぁ、ずっと毎日こんなこと出来るのかなぁ」
「うふふふ、きっとそうだよ。
でもたぶんまたマンネリになったりして」
「そうだなぁ…きっとなっちゃうよな」
「何十年も顔つき合わせてるわけだからねぇ」
「いいよ、そしたらまた2ちゃんでも見て、ネタ仕入れるから」
「あははは!こんなに気持ちいいネタなら大歓迎だよね」






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