ラビリンス(迷宮) 第二夜
シチュエーション


「室長、確かお出かけでしたよね、これから。
 さっきのプレゼン、私のほうでクラスBにアップしておきます。」
「ああ、そうしてくれると助かる。じゃ、あとは頼む。」

車で打ち合わせの場所に向かう。
信号待ちの間にふと考えた。

あの夜以来、何の変化も無い由紀。
あいかわらず、クールできっちりした仕事ぶりが続いている。
それでいいはずなんだが、なにか物足りない。

「わたし、、、、本当にあなたを好きになってしまうわ。、、それでいいの?」

私の遊び半分の気持ちを見透かしたようなあの言葉。
手のひらに余る白い乳房。私を迎え入れる時の声。
それに続く、けだもののようなSEX。
そして、子供のように私に抱きつく由紀、、、。

後ろからのクラクションが昼下がりの回想をさえぎる。
信号はとっくに青に変わっていた。アクセルを踏み込む。

打ち合わせは思ったより早く済んだ。
会社に戻ると、由紀を含めて数人しか残っていなかった。
時計を見ればまだ6時前、いつもより早いほうかもしれない。
仕事は残ってないが、メールをチェックして必要な返事をする。
思いついて、企画室→小山内と選んで、メールを送信した。

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このあいだの場所
メインダイニング
7時
会いたい
そして抱きしめたい
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送信ボタンをクリックしてからほんの数秒で、彼女のPCからメールの着信音がした。
由紀の席は私の正面で、全てがよく見える。

いつもと同じようにメーラーをアクティブにする由紀。
そして内容を理解したのだろう、顔がこわばっている。
しかし、動揺してこちらを振り向くようなことはしない。
画面を見つめ、しばらく考え込んでいる。
そしておもむろにキーボードをたたき始める。
あっけないほどすぐに終わって、クリック。

私のメーラーは着信音をはずしてる。二人ともそれを知っている。
受信ボックスが点滅する。新着を表示する。

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会いたかった
ずっと、、、、、、
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あやうく、こちらが動揺して彼女を見つめてしまいそうになった。
私の問いかけに答えてない小山内が、その短い文字の中にいた。
いつもの由紀ではない。

待っていたんだ、彼女。あれからずっと。
この瞬間に、私は由紀の想いの全てを受け入れてしまった。
かわいい。かわいい女。私のもの。小山内由紀という名の女。
おまえの存在が、私の何かを変えようとしている。
しかしそれに対して、躊躇する気持ちはまったく無かった。

先に社を出る。二つの予約をして、まだ時間が余る。
目の前のジュエリーの店に、なんとなく入る。
銀色に輝くイヤリングを見ながら、

「由紀の雰囲気には、プラチナやシルバーではきつくなってしまうか?
 ゴールドのほうが、、」

自分の考えてる内容に思わず苦笑してしまう。

店員が声をかけてくる。

「何かお探しですか?」
「特に、、」

そのとき、目の前のイヤリングに目が引き寄せられた。
バネ式の留め金を持つ、ゴールドのイヤリング。
ぶら下がるハートも小さく、由紀に似合いそうだった。
由紀はピアスの穴をあけてはいない。これだったらいいだろう。
勢いで買ってしまった。上着のポケットにねじ込んだ。

メインダイニングに着いたのは、約束の5分前。
名前を告げてるところに由紀が来た。時間に正確な娘だ。
二人して席に着く。

「ああいうのはちょっと危ないかな。」
「さっきのメールですか?」
「ああ。」
「ちょっとじゃなくて、『だいぶ』ですね。」

笑ってる。言葉とは裏腹に、男と女として会ってる今を喜んでいる。

食事を終え部屋に入る。
抱きしめ、キスをし、空白の時間を急いで取り戻そうとする。
私も、そして由紀も。

二人の気持ちが落ち着いたところで、体を離す。
上着を脱ごうとして、固いものに触れる。イヤリングだ。

「忘れてたよ。」
「なんですか?」
「はい、これ。開けてごらん。プレゼントだよ。」

ふたを開けて由紀が息を飲む。

「きれい、、、」

取り出してつけてやる。離れて見る。とてもかわいい。
窓のそばの小さなライトをつける。
室内がぼんやり明るくなって、窓が半透明の鏡になる。
由紀を窓に向かって立たせる。

イヤリングをつけた由紀がガラスに映る。その後ろに私がいる。
耳元のハートがきらきらと輝く。

「ありがとう。うれしい、、、」

由紀の目に涙があふれている。

「あれ、由紀らしくないな。」
「ちがいます。今の私が本当の私なんだと、、、思います、、、。」

彼女の告白に、私は言葉を失った。
できることといえば彼女を抱きしめることだけだった。

二人でベッドに入る。
全てを脱がせ、愛撫をしてる最中に、急に裸の彼女を見たくなった。
恥ずかしがる由紀に、強引に許しを得る。上掛けをとる。
何も隠すものがない女の裸。
身に付けるものはアクセサリだけ。単なる裸よりもっと挑発的だ。
白い肌の柔らかな曲線と陰影の中に、金色のきらめきが色を添える。
私の下半身の一部は、どうしようもないほど硬くなる。

しばらく見つめているうちにいたずら心が起きた。
そっとイヤリングを外す。いぶかる由紀。
外したイヤリングを胸のふくらみの頂上につける。
もうひとつも。
由紀は私の行動にただ驚くばかりで声が出ない。

悪乗りしたいときもある。
由紀をベッドから抱えあげ窓際に運ぶ。

「やめて、やだ、お願い、、誰かに見られる、、、、」

有無を言わさずさっきと同じところに立たせる。

「見てごらん。」

窓に映る裸の女。薄暗がりの中に乳房の陰影。くびれた曲線。太ももの翳り。
胸のふくらみのトップには金色の光。
由紀のふるえにあわせて揺れる、ハートのきらめきの残像。

うしろから、そのふくらみに手をかける。
私の手が乳房を下から包みこむ。イヤリングがすぐそばで揺れる。
目の前で展開される光景の生々しさに、由紀は思わず目をそらす。

「見なきゃだめだ。」

顔を正面に向かせる。

片手で乳房をいたぶり、もう片方で太ももと尻をなでまわす。
徐々に前面に動かしていく。
出会ったことの無い不条理な状況と恥ずかしさに、なすすべもない由紀。
陰毛をかきわけるようにして、クリトリスのそばまでたどり着く。
すでに由紀は立っていることができない。
クリトリスの上のほうを触っただけで、ひざが力なく抜ける。
慌てて抱きかかえてベッドに運ぶ。もう十分だろう。

ベッドの上、横にした由紀に覆い被さり、深いキスをする。
胸を圧迫すると痛いだろうと思って、体重をかけないようにする。
非常識なほどの羞恥から開放されて安心したのか、唇がはげしく私を求める。
そのしぐさに、私を非難する色はまったく見えなかった。
由紀の舌が卑猥な動きで私の舌に絡みつく。あきることなくいつまでも。

体をずらし、下半身に手を伸ばした。
入り口近くのひだを触ると、指に粘り気がまとわりつく。
さらに奥に進める。
息を詰めていた由紀は、入り口に指がたどり着くと同時に、
ふさがれた唇から「うっ」とくぐもった声を出した。体が震える。
入り口の周囲を散歩する指の接触に合わせて、うめきが連続する。
指をはずし、唇を離す。深い安堵の吐息がもれる。

こんどは、唇と舌と指先で、体中を愛撫する。
どこにも通過しない所がないくらい、体中を。
直接的ではない穏やかな愛撫は、まちがいなく由紀の中で蓄積されてゆく。
今も乳首についているイヤリングとともに。

足元に移動して、両足をつかむ。広げようとした。
抵抗があった。2度目とは言え、あえて強要するつもりは無かった。
両膝の作る隙間に唇をつける。間に舌を差し入れる。動かす。
たまらず由紀の足が少し開く。顔を入れる。
両足の間で、徐々に顔と唇を移動させる。閉じようとしても無理なように。
同時に両手で足をつかんで膝を立てるようにもっていく。

由紀のそこを隠すものはなにもない。剥き出しのまま。
再び襲う羞恥に、私の視線に、由紀は声をなくしている。

「とってもきれいだよ、由紀のあそこ。」

賞賛を受けた嬉しさよりも、恥ずかしさに由紀は身をよじる。
唇をつけようとした。

「やめて、、」

消え入りそうな声を出すとともに、私を引き寄せようとする。
かなり強引な雰囲気がある。

「どうしたんだ由紀?この前は許してくれたのに。」
「もういいの、、、」
「もういいって、、、もしかして、、もう挿れて欲しいのか?」

コクンとうなずく。

乳首のイヤリングからの刺激、そしてそれに伴う羞恥、官能。
由紀のそこが、すでに私を求める段階に来ていた。
イヤリングを外し、枕もとに置く。由紀の体を傷つけるのはやだ。
明かりを落とした。外からの街明かりの反射だけで、ほとんど顔も見えない。
コンドームを付けにベッドから出ようとした。

「このまま、、、お願い、、、」
「でも、、、まだ。」
「大丈夫、、、、」
「えっ?どうして?」
「、、このあいだから、、ピル、飲んでるから、、」

恥ずかしそうに由紀が告げた。

私と彼女の間のコンドームにさえ、由紀は違和感を覚えていたのだろう。
私をありのままに受け止めたい。それが由紀の希望なんだ。
快感の為ではなく、私とのふれあいを大切にしたいから。

「触れ合いたいのか、、、」

私の独り言のような問いかけに、再びコクンと由紀がうなずく。

由紀の気持ちは、いたいほどよくわかった。
淫乱な女に思われることがイヤで、言いにくかったのだろうことも。

由紀の入り口にあてがう。待っている由紀。
私に満たされる瞬間を、今か今かと。
奥まで入れる。抱きしめ、キスをする。
全く動かさず、触れ合っているたがいの皮膚で、細かい感触を追い求めあう。
そうしているうちに、私を包む由紀の内部が怪しい動きを始める。

奥のほうの上の部分が、さかんに先のほうに圧迫を加える。
それもくねるような動きで。接触面積と圧力が強くなる
由紀の上半身はすでに半分反り返った状態になってる。
うわごとのように、同じことばをくりかえす。

「いい、、いい、、いい、、」
「由紀、、由紀、、」
「いいの、そこが、、とっても、、ああっ、いいの、、いい、、いい、、」

一気に登りつめていく由紀。
そのまま絶頂を迎える。

由紀の呼吸が落ち着いたところで、大きく動かし始める。
なだらかに降りてきていた由紀が、再び上昇を始める。
前と同じに、左足が余計に上がっている。
挿入角度を変えると、お約束のように由紀の声が大きくなる。
両足の角度がさらに上がっていく。
さらに奥までさらに激しく。由紀が無言で要求している。

由紀の手に私の手をからませる。強く握り返してくる。
口を開けたまま意味をなさない言葉が吐き出される。
私の分身は、入り口、中、奥、どこともつかない肉ひだにもてあそばれる。
とってもいいよ、由紀。

そして大きな絶叫と一緒に、2度目の頂上へと由紀は登りつめた。
熱くなったひだに包まれた私は、
その強烈な締め付けに、一気に射精へと導かれる。
由紀の中に、私の精液が何度も注ぎ込まれる。

時を経て、緩やかに由紀のこわばりが解ける。
私の腕に抱かれた由紀は、
アフロディテのように、おだやか表情をたたえていた。

体を離そうとしたら、由紀が止めた。

「このまま、、」
「えっ」
「、、このままがいいの、、」

しばらくこうしていよう。
由紀がそうして欲しいのなら。

「お願い。」
「なんだい。」
「遠くに行かないで。わたしの手がとどかないくらい遠くへ。」
「行かないよ。」
「ほんとに?」
「もちろんだよ。」
「死んだりしたら駄目。」
「なんでだよ、こんなにピンピンしてるのに。」

いつのまにか由紀の瞳に涙が浮かんでいた。

「あなたのそばで、あなたを見ているだけで、わたし、幸せだった。
 そう思うことで長い間自分の気持ちを押さえていた。でも、今は違うの。
 こうしてあなたに抱かれて、あなたのぬくもりを覚えてしまった。
 あなたの優しさを知ってしまった。
 あなたが死んでしまったら、、、、
 わたしには何も残らない、何も、、、。」

私の胸を由紀の涙が濡らしていく。嗚咽が止まらない。

「ここにいるよ、ずっと。だから、泣かないで。
 ほら素敵な笑顔が台無しだよ。」

泣き笑いの顔を見せる由紀。
彼女に悲しい思いだけはさせたくない。そう思った。

   第二夜 終了






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