剃毛
シチュエーション


かちゃり。

「……ふぅ……」

シャワーを浴び終わって、タオルを使いながら、小さく溜息をついた。
気分をすっきりさせようと思って、シャワーを浴びたのに
体のどこかが・・・火照りをおびているような気がする。
いまは抱かれたい時期なのだ、たぶん。
男はめずらしく長期の出張で部屋を空けている。戻ってくるまで、あと3日。
虚ろな気分をかかえたまま、洗面所の鏡に自分の裸身をうつす。
確認するように、顔からだんだんと視線は下へ。
臍のすこし下・・・本来なら繁みがこんもりとしている筈のところ・・・
恥丘には 薄っすらとした翳りしかなく、ほんのりと割れ目が透けて見えていた。
成熟した曲線を描く上半身から腰へのライン、
そこに思春期の少女の恥丘があるようなアンバランス。
気恥ずかしさに、そっと手の平で恥丘を覆い隠してみる。
繁みに覆われていない此処は、こんなにも柔らかで頼りない感触をしているのか。

 ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※ 

数日前、はやめに帰宅した男に、後ろから抱きすくめられた。

「なぁ・・・あそこの毛、剃ってみないか?」

いきなり問いかけられて私は逡巡した。
剃毛・・・興味は、ある・・・
でも剃ったあと、生えかけの時はチクチクすると言うし。

「どうする?剃ってみたいか?・・・今やってみる?それともまた今度?」

かさねて聞きながら、シャツの上から胸をやさしく撫でる。
その感覚にとろけそうになる。

「……どうしよう…あの……」
「剃ってください、って言ってみなよ。」

敏感に尖りはじめた乳首を手の平で転がしながら、すこし強い口調で耳元にささやく。
びくんっ・・・普段の自分から違う自分に・・・切り替わる瞬間。
そのスイッチは、快感や言葉、男の表情や視線だったり。

「…あ……剃って…ください…」

・・・じゅんっ・・・

自分が呟いた言葉で、私の中のなにかが弾けた。
ストン・・・と頭に霞がかかったようになる、眩暈にも似た感覚。
これから起こるかもしれない光景を想像して、すでに濡れているのだ。
そしておぼつかない足取りで、ゆっくりとバスルームにむかった。

男より一足早くシャワーを使う。
浴び終わった頃、男は手にハサミと、
それから髭そり用の使い捨てカミソリを持って入ってきた。

「ハサミも…使うの?」
「いきなり剃ったら・・・多分カミソリが即、いかれると思う。」

そう言いながら、シャワーで濡れた繁みを手でなでまわす。

「それからここでは喋るなよ。外に丸聞こえだ・・」

そうだった、バスルームの窓は外廊下に面していて、
普通の会話でも漏れ聞こえてしまう。

「さて、始めるか。」

その言葉に こっくりと頷いて、浴槽に腰をかけ、ゆっくりと足を広げていった。
何度も肌を重ねて、慣れ親しんだ男の前なのに、なぜか気恥ずかしい。
男は裸のまま胡座をかき、私が足を広げている目の前に、どっかりと座り込んだ。

ハサミを取り上げて、ショキ ショキ ショキ・・・
男は私の陰毛を、少しずつカットしていく。
静かな空間にハサミの音だけが響いて・・・

「なんだか床屋さんみたいだね。」

小さな声でそう囁いても、男は無言のまま、作業に没頭しているように見える。
冷たいハサミが肌にふれる感触、眼の前で視姦されている効果は、凄まじい。
緊張と恥ずかしさのために、内腿はわずかに震え、背筋に走るゾクッとした感覚。
たまらなくなって、私は男から視線を外した。

それから、肌が透けて見えるほど繁みの薄くなった恥丘にも、
ひっそりと濡れている秘所にも、まんべんなく泡立てた石鹸が塗られていく。
すっかり毛が薄くなってしまった恥丘を、優しくなでまわされる感触・・・

・・・びくんっ・・・

あぁやっぱり、いつもより何倍も敏感で、感じやすくなっている。

「これからは動いたらダメだぞ。でも もうびしょ濡れなんだよな。」

そんな風に言われても、感じてしまうのを抑えることができない。
しょり しょり しょり ・・・カミソリの当てられる音・・・
意外にも冷静に、男は作業を続けていく。
私もちょっとずつ、そんな静かな時間に慣れていく。
途中まで剃り終わって、その成果を見るように、シャワーのお湯をかける。

「けっこう時間がかかるものね……」
「そうだな、ここから先はホントに動くなよ?」
「うん、分かった…」

より敏感な部分を剃るために、男はふたたび石鹸を泡立たせはじめ、
そして私はすべてを任せるように、もっと大きく男の前に足を広げた。

まるで愛撫のような、カミソリのひと剃りひと剃りを受け入れて、

・・・びくっ びくんっ・・・

感じて動いてしまいそうになる、体を必死で大人しくさせる。
横の鏡には、あられもない格好で足を開いている女と、
そこに張り付くように、顔を寄せている男がうつっている。
少し滑稽な、そしてまた猥雑な光景。

「さぁ、おしまいだ。」

暖かいシャワーのお湯をかけられて、やっと終わりになった。
湯を少し熱く感じるのは、陰毛がなくなって より敏感になってしまったせいか。
そしてやっと足を閉じることができる。

「ほら、みてごらん?」

鏡のほうをまっすぐ向かされると、はっきりと見てとれる割れ目に、
おかしな落ち着きのなさを覚える。

「もう一度シャワーを浴びて、暖まってから出ておいで。」

そう告げると、男は一足先にバスルームを出た。

部屋に戻って男に寄り添い、こちらからキスを仕掛ける。

「どうしたんだよ?」
「ん?なんとなく…んふっ……」

探り合うように絡まる舌、甘く感じる唾液、下唇を強く吸われて頭の芯が痺れそうになる。
そして男は体を入れ替えて、上にのしかかってきた。

「…は…んっ……」

足の間に、男の体が割って入る・・・むきだしの下腹部が、相手の体温をじかに感じるとる。

「どうした?・・・感じやすくなってる?」
「はんっ……うん、そう……」
「洗い流しても、また湧き出てきてるよ、ここ・・・」
「んぁっ…ダメ…んんっ……!」

乳首を舌でやさしく転がされて、震えるほどの快感が走る。
その隙に ぬぷりと指が差し込まれ、濡れてあふれはじめた秘所に到達した。

ダメ・・だ・・・今日はなんかヘン・・・

肌を合わせて体を擦りあわせるだけで、いつもと違う衝撃がある。
割れ目の中のクリトリスは、押しつぶされて悲鳴をあげそうだ。
それほど感覚がダイレクトになっている。
今まで恥丘にあった繁みは、敏感な部分を保護し、覆い隠していたのだろうか。
ゆっくりゆっくり・・・胸やわき腹に、唇や手の平で愛撫を続ける男に、
焦れたような気持ちになって、足がちょっとずつ暴れてしまう。

「んぁああぁ〜〜〜ん……」

指が太ももの付け根に触れた時、たまらなくなって、吐息とともに大きな喘ぎ声をもらした。

「どうした?足がモジモジしてる・・・もう我慢ができないのか?」

笑いを含んで男がたずねる。

「ぁふっ…んっ…あぁっ……」

内ももの弱い部分を、指圧のように圧迫されて・・・もう、何も言葉にならない。
いつの間にか私の足は、男の足に纏わりつくように絡みついていた。
片手でスルリと割れ目が下から撫で上げられる。
そのひと撫でで、興奮で膨らみきったクリトリスへの愛撫は十二分だった。

「……ぅふっ……」

喘ぐ声と一緒に、体がビクンと跳ねる。
足は挿入をせがむようにますます強く絡みつき、
焦らしに耐え切れないように、いやいやをするように首を振る。

もう・・・待ちきれない・・・

密着した下腹部には、男のモノがびくんっと脈打っている。
男は無言のまま、私の足首をグッと持ち上げると、
腰の下に枕を差し入れ、そしてそのまま突き刺してきた。

「はぁぁぁんっ……んっ んっ……んふぅっ……」

内襞がえぐられ、こすりあげられ・・・狂おしいほど待ち望んでいた感触。
熱くて満たされて、そして奥まで到達する。

「あぁ、ダメ…だめ……あたる、奥にあたるの……ぁんんんっ…!」

深い角度の挿入と、快感のあまり男のモノを迎え入れるように降りてくる子宮口。
男は無言のまま、深い抜き差しと、奥まで押し付けて揺するような行為を繰り返す。
このままでは、私はすぐに昇りつめてしまう。。。

「はっ…はっ…ぁあっ……!!」

・・・ばしんっ!!!・・・

今まで味わっていた蕩けるような感覚とは、まったく異質な衝撃が全身を走った。
昇りつめていく寸前で、男の手で私の尻に激しい打擲が与えられたのだ。

「あ……どうし…て……??」

不可解な想いで目を見開いて、男の顔を見つめる。

・・・ばしっ  ばしんっ・・・

「はぅっ……イヤ!…なんで……あぅっ……!」

より激しいスパンキングが続く、これは・・・お仕置きなのか、それともご褒美なのか。。
スパンクは打たれてすぐは痛みとして、それから痺れるような感覚が広がり、
むず痒いような、なんともいえない快感となって、全身を駆けめぐる。
続けて打擲されることは、痺れて快感に変わる前に、立て続けに苦痛を与えられる結果となる。

「駄目…ホントに痛いっ……ああっ……」

続けてまた2打・・・衝撃のあまり体がびくんっと跳ねあがる。

「お前は感じてる・・・いちだんと濡れてるじゃないか・・・」
男の言葉に自分の耳を疑った。

・・・え・・わたし、濡れてる・・・??・・・こんなに苦痛を感じているのに。。

「はぅんっ……はぁっ……」

そしてまた続けて2打、そういえば今まで挿入中に打擲された事はなかった。
ああ、そう・・・確かにそうだ、私はいっそう感じている。
ひりつくような痛み、ジンジンとして、もう私の尻はスパンクで赤くなっている。

「自分で触ってみれば分かる・・・ほら・・・」

男の手に導かれ蕩けている部分に触れてみる、いや、触れなくても私には分かっていた。
スパンクに興奮し、そこがおびただしいほど濡れていることに。。
打たれた痛みが熱い刻印に変わり、からだ全体が切なく熱い疼きに満ちていく。
男にはよく分かっていた筈だ・・・スパンクの1打ごとに愛液があふれ、
中では締めつけるように、男のモノに内襞が絡みついていたのだから。

・・・ぱんっ  ぱん  ぱんっ・・・

「はぁうっ………」

私の苦悶の表情を、逃さず捉えようとしている男の眼・・・
苦しさで身をよじるたび、男の顔も紅潮していく。
何度 打たれたのか、もう分からなくなった。
しびれてとろけて、そしてまた昇りつめていく。。。

「今日は中で逝きたい・・・いいか??」
「……は…ぅん……あ、ぬか…ないで、あたしも…いっしょに…逝きたい……」

ようやくスパンクは止んで、爛れたようにとろけた所を、抉るような激しい抽送。
そして強く乳首がつまみあげられる・・・

「ぁああぁぁっ…はぁぁんっ……!!」

のけぞりながら高みに昇っていく・・・んっ んっ んっ・・・
どろどろに2人で溶け合って、痛みも痺れもすべてそのひとときの為に。。。

荒い息をつきながら、男も私も高みに打ち上げられた。

・・・はぁっ はぁっ はぁっ・・・

汗ばむ体を抱き締めあいながら、たがいに呼吸を整える。
ようやっと体を離した男が、ゆらりと立ち上がる。
少し遅れて私も立ち上がると、男の放った精がとろりと足の間を伝わっていく。
バスルームで軽くキスを交し、先に男は部屋に戻っていった。
体を洗い流しながら、ふと鏡にむかう。
立て続けにスパンクを受けた尻は、いまだ赤く染まり、
そして対照的に幼げに見える無毛の恥丘は、照明にてらされて白く光ってみえる。
さっきまでの興奮を思い出して、余韻を噛みしめるように、尻にそっと手を触れる。
ほんのりとひりつく感覚が、ちょっとだけ まだそこに残っていた。

 ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※

無毛だった場所は、今では少しだけ翳りを取り戻し、
そしてもうとっくに、尻の赤味は消えてしまっている。
想いを振り切るように、部屋に戻り下着を取りだし身にまとう。
誰に見せるわけじゃないのに・・・クスリと一人笑いが洩れる。
身につけたのは、白いレースのショーツとブラ。
胸元や恥丘、股間の部分は裏打ちの布がついているが、
後ろの部分はレース地のままなので、尻の双丘は割れ目までがくっきりと見てとれる。
衣服に袖を通そうとして、手をとめた。
そのまま そっとベッドに横たわる。
ほのかに残された今はいない人の香り・・・
やるせない想いに負けて、ほんの少し自分に悪戯したい、そんな気分だった。

このところ自慰を行う回数は、めっきりと減っていた。
男が私の「被虐」の気質に気づいてから、精神的興奮は、ほぼ満たされているのかもしれない。
でも今日は特別・・・そんな言い訳をしながら、そっとブラの中に手を差し入れた。
ゆっくりと指で乳首を転がしたり、そっと摘まんだりする。
押し寄せる柔らかな快感に、体がしびれていく。
時にはやさしく、そして時には強く、胸に刺激を与え続ける。
股間に手を這わせて、クリトリスをかぁるく刺激して、溢れる場所に辿りつく。
・・・もうすっかり濡れているじゃない・・・
男とした行為を思い出しながら、ヒップを撫でまわす。
そう、男はこうやって愛しむように、撫でまわすのが好きだ。
そしていつも・・・ヒップを覆っているショーツに手を伸ばすと、
ぐいっとお尻を剥き出しにするように、ショーツを双丘の間に食い込ませる。

「んくっ……」

食い込んだショーツが、アヌスや膣口を擦り上げるように刺激する。そして・・・

・・・・・・ばしっ・・・・・・じゅんっ・・・・・・

・・・え??・・・いま私はいったい何をした?!?・・・

呆然として自分の手の平を眺める・・・自分の尻を打擲した痺れが、まだそこに残っていた。
自室のベッドに横たわり、自らスパンクをほどこす・・・こんな滑稽な光景はあるまい。
醒めた頭でそう考える、でも手の平はさっきの刺激を求めるように、もう一度ひらりと翻った。

・・・びしっ・・・ばしんっ・・・

じゅわっと溢れでて、再び股間を熱く濡らす感触がある。

「はぁんっ……」

たまらなくなって、思わず声が漏れる。

打擲しているのも私、そしてそのひりつく痛みを受けているのも私。。。
自分でする行為だから、どことなく手加減してしまう。
もっと・・・貪欲な被虐の気持ちが頭をもたげる。
思い切って、再び手を振り上げる。そしてもう3打・・・

「…んくぅんっ……」

苦痛を受け止め、しびれる感覚が広がっていくその刹那、
スパンクする自分と、打たれている自分が、ひとつに溶けて混じりあった。
手の平もお尻も、両方ともビリビリと痺れている。
身体中に広がっていく、焼けつくような切なさ・・・
自然と打擲する手は止まり、腰がうごめき、指で乳首をより強く摘みあげる。
興奮と快感の渦に巻き込まれて、もう止まらない・・・
両方の足はきつく閉じられ、膣口からからだの芯に向かって、
らせんのように、快感が突き進んでいく。
乳房をわしづかみにしながら、駆け上がるように私は絶頂に達した。。。

・・・はぁっ はぁっ はぁっ・・・

荒々しい絶頂感に満たされて、しばらくはまともに呼吸する事ができない。
息を整えおわると、さっきまで体にあった火照りが、
まるで憑き物がおちたように、消え去っているのに気づく。
嵐のような、ひとときが過ぎ去って、静寂の時間。

もう一度シャワーを浴びて、着替えをしなければ・・・
・・・ぐっしょりと濡れてしまって、下着もひどい状態になっている。

でもまだ少しだけ、余韻を味わうように、そのままで横たわっていたい。
男がこの部屋に戻ってくるまで、あと3日。。。






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