ドライブ
シチュエーション


冷蔵庫から麦茶のボトルを出し、じかに口に注ぎ込む。
角度が悪かったのか、口から少しあふれた。
下あごを伝わって床にこぼれる。
あごを手でぬぐう。
さらに飲んで一息ついたところで、少し口の中に含む。
そのまま冷蔵庫にボトルを戻しドアを閉める。
周囲が、ここに来たときと同じ暗闇になる。

ベッドルームに戻って、横たわる美樹にキスをする。
冷えた私の唇の意味を理解させたところで、
口の中の液体を注ぎこむ。
美樹は喉を鳴らして飲み込む。
ゴクッゴクッという音が部屋の中に鮮明に響き渡る。
あふれないように一口ずつ入れていく。

飲み終えた美樹は首をかしげ、

「おいしい〜」

と、とびっきりの笑顔をこちらに見せる。


美樹と私は、二人でさきほどまで激しい運動をしていた。
もう涼しい季節だというのに、滝のような汗をかいて。

彼女が背中を反らしながら声をあげる姿は、
いつ見てもかわいい。
背中にまわした手で私を強く引きよせ、
「もっと、もっと」と際限の無い要望を告げるのも。

奥へ、さらに奥へ、
すべてを埋めつくして欲しい、

そんな欲望を美樹はベッドの上で隠そうとはしない。
欲しい気持ちをそのままに。言葉の中に込めて。

抱きしめる。キスをする。押し付けるような挿入を繰り返す。
それらを同時にされることが、美樹は好きだ。
そうして美樹は、ついさっき絶頂を迎えた。
私の胸の下で。


「ドライブ行こうか?」

裸で横たわったままの美樹に提案をする。

「え?」
「しばらく行ってないだろ?」
「そういえばそうね。うん。行こう!」

真夜中のドライブが突然決定した。

「でさぁ、ひとつ美樹にお願いがあるんだけど。」
「なーに? あらたまって。」
「下着つけないで欲しいんだけど」
「う〜ん まあいいか、夜中だし」

簡単に了承される。
ベッドタイムの後、美樹は下着もつけないで、
そのまま寝るのが好きだった。
それに近いものがあるのかもしれない。

裸のお尻を見せて、クローゼットを覗き込む美樹。
そばにいって一緒に服を見る。

「これにしたら?」

長目のコットンのワンピースを指差す。色はライトブルー。

「そうする」

ボタンは前ボタン。上から下までの。


走り出してすぐ、タバコを忘れたことに気づく。
コンビニの前に車を止める。

「ちょっと行こう。飲み物も欲しいし。」

素直についてくる。
私が飲み物を選んでるときに、
美樹は別な売り場で、ぶらぶらしてしていた。
ちょっとした反応を、内心期待していたのだが、
普段と変わったところは何も見えなかった。ごく普通。
いや、まだドライブは始まったばかりだ。

首都高速にはいり、都心環状線に向かう。

昼間なら、神田橋で決まって渋滞する外回りも、
今日だけは車の数も少なく、運転は楽だった。
左車線を軽く流す。
じきに、ライトアップしていない状態の東京タワーが見えた。
正面には、立体的な浜崎橋のICが見えてくる。
左には倉庫と暗い海が広がる。

浜崎橋からレインボーブリッジに向かう。
左に車線変更して羽田線に別れを告げる。
ここから先の道路は直線が多い。

私は左手を助手席に伸ばした。
腿のうえ、前ボタンワンピースの隙間から指を入れる。
シャリッとした感触。
予想していたのか、美樹は何も言わない。
そのまま指を進める。

車はレインボーブリッジにさしかかった。
遠くに停泊中の船が見える。

「あれって屋形船?」
「ちがうよ、そんなに小さくないだろ、あれは。」

会話と無関係に指は動いている。
指先が、膨らんだものに触れた。
クリトリスの上の部分。カバーがついた状態。

「やっぱりレインボーブリッジってさ、
 遠くから見たほうが綺麗だね。」

美樹はしみじみと言う。

軽く触れるように下方向へ指を動かす。
腿に力が入るのがわかる。
その先、飛び出しているひだに触れていく。順番に。
あまった指で足を広げるようにうながす。
私の意思を汲み取って、両足がおずおずと恥ずかしそうに開かれる。

上から下まで、なんどもなんどもやさしく指を動かす。
美樹の口から、腿のこわばるタイミングと同時に声が出る。
そのまま運転を続ける。ずっと。

一度、周囲の車が少なくなったときに、横を見た。
唇を軽く開き、目が半分うつろな美樹がそこにいた。
意識は下半身の一点に集中してるに違いない。

指をそっとそこからはずし、右の乳房をつかむ。
乳首を探り当てる。既に大きくなっている。
薄いコットンの生地越しなので、かなり簡単だ。
円を描くように愛撫する。
美樹の手が私の手首をつかむ。
かまわず服越しの愛撫を続ける。
反応はさっきより強くなってきている。

しばらくそんなドライブを楽しんだ後、
途中の埠頭で湾岸線を降りる。横浜に行くと帰りが大変だから。
カーブが多く、さすがに危ないので両手でハンドルを握る。
美樹は途切れのない刺激に疲れたのか、座席でぐったりしてる。

降り口のすぐ先で通行止めになっていた。道路の反対側も。
一般車は、夜間、締め出されるようだ。
期待はずれの思いはおくびにもださず、一般道へと向かう。

じきに産業道路に入った。
一般車は少なく、時折トラックが走ってるぐらい。
スピードは抑え目にして、左車線を走った。
いたずらを再開する。

美樹のワンピースの胸のボタンを外す。
右の乳房をつかみ出す。
ちょうど信号待ちで停車する。
あわてて腕で隠そうとする美樹。

「誰かに‥ 見られる‥ 」
「誰もいないよ、こんな時間。」

無理やり手をどかす。
助手席の美樹は、剥き出しの乳房を見せてる。
綺麗な半円形の乳房が、闇の中に光る。そのまま発進する。

さきほどの下半身の愛撫は、外からは見えないものだった。
しかしこんどは外からも見えてしまう。
美樹は恥ずかしさのあまり絶句してる。走る車の中で。

指で乳首をこねる。
次には手のひら全体でもむ。
運転しながら、ずっと続ける。交互に。
美樹の抵抗は全くなくなっていた。

カーナビで、ひとけの無さそうな道路をさがす。
ここだ。
下水処理場のそばの道。
ウィンカーをつけて右折レーンに入る。

美樹が行く先について質問してくると思ったが、それはなかった。
あるいは、私の考えてる淫らなことが、もうわかってるのかもしれない。
それとも、拒否できないほど、うずいてしまってるのか、すでに。

道を探すあいだ、再び太もものあいだに指を入れた。
ひだの中は、たっぷりとした愛液で満たされている。
そして入り口から徐々に差し込む。
抵抗を示すものがなにもない。滑らかに奥まで。
逆に、指にまとわりつくように、
迎え入れるように、美樹のひだが動いている。

美樹の両手が突然私の左手をつかむ。強い力で。
それは、私のいたずらを止めるというよりも、
何かをつかんでいないと感覚の波にさらわれそうで、
ついそうしてしまった、そんな感じだ。

目当ての場所に着く。停車する。
こちらを不審そうに見る美樹。
耳元に口を寄せ、言う。

「ここで、入れたい」
「やだ、それは。ひとが来る。」

かまわず助手席のリクライニングを倒す。
ワンピースの下のほうをまくりあげ、露出する。

「やだ、やめて。変な人が来たらやだ。」

意外なことに、
その瞬間、私は冷静に美樹のその言葉を分析してた。
変な人が来なければ‥‥ 
そういうことか。
欲しいんだろ、今すぐ。他人の目さえなかったら。
大丈夫。こんな夜中に誰も来ないさ。

手早く下を脱いであてがう。奥まで入れる。
シートに垂れそうなほど濡れていたから、一気に入ってしまう。
美樹は抵抗を続ける。恥ずかしがっている。
何度か出し入れしてみる。
でも、やはり快感に身をゆだねることが無理なようだった。
彼女に喜んでもらえないと、私も楽しくない。
中断した。

「んもう!」

運転席に戻る私を非難する美樹。
手早くめくれあがったすそを戻しながら。
でも怒ってない。

車を動かす。産業道路に戻ってそのまましばらく走った。
多摩川を越える。
しばらく走ると15号線に合流する。
平和島のライトを右に見て走る。車の数も多い。

その間も、私の手は太ももの奥を探りつづけていた。
美樹はすでに半分眠っているようだ。
いつのまにかハンカチを私の手の上に載せ、自らの手で押さえ、
横の車両から見えないようにしている。

しかし、指の感触からは、
次から次へと中からあふれているものがわかる。
ネトついた指を動かす。
クリトリスへ。そして入り口の周囲へ。

しばらくそのまま走って、家に着いた。3時をまわっていた。

部屋に戻る。
先にベッドに横になった美樹は、両手を広げこちらを見て、

「ねェ、」

と私を呼ぶ。
あまりのセクシーさに理性を飛ばされた私は、
つられるようにベッドにはいり、服のまま美樹の上になる。

美樹は唇を押し付けながら、腰をくねらせる。
私が見たことの無い美樹に驚いて動きを止めると、
手が腰の下を通過して、固くなったものをつかんできた。
揉みほぐすように手のひらを動かしながら、

「ねぇ、お願い、はやく‥ ‥おねがい‥‥‥」

自分の中心へと導こうとする。
くねる腰の真中へと。
あまりにも、あからさまに。

2時間ほどのドライブ、
途切れることの無い愛撫と、さらされ続けたことの羞恥。
そして中途半端な挿入。
美樹の欲望は、すでに極限にまで膨らんでいたようだ。

二人分の服をはぎとり、両足のあいだに入って、
お約束のものをあてがう。美樹の足が私の腰をはさむ。
そしてゆっくりと入れる。
美樹は全く動かない。入ってくるものを体全体で待ち受けてる。
押し付ける。美樹が声を出す。満たされた声。
そして私の体を引き寄せようとする。
すぐにポイントがわかる。そこに押し当てる。
奥のほうで、私の先端を押し返すように動く場所だ。

「そこ! いい!」

美樹が絶叫する。

そのままの体勢で、押し付けるように動くと、
美樹の声は次第に大きくなってゆく。

「いい! いい! もっと! もっ‥‥‥と!」
「好き! だいすき! ああっ、だめ!」

あっけなく美樹は絶頂を迎える。
挿入からほんの数分しか経ってなかった。
そして私も彼女の声と同時に射精してしまった。
美樹の乱れるさまが、あまりにセクシーだったのもあるが、
彼女のひだが、中に入った私のものをこねるようにうごめいて、
いつのまにか射精させられてしまった、というのが本当のところ。

力尽きた私たちは、そのまま寝てしまった。
夢を見ることも無い熟睡。
美樹と同じベッドで。いつもと同じように。






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