彼の事情
シチュエーション


久しぶりに来た裕未の部屋は、半年近く前とそう変わっていなかった。いつものように
僕のために準備された灰皿、さりげなく洗面台に立てられた2人分の歯ブラシ、そんな
他愛のないものが心を落ち着かせる。

こうやって誰かの部屋を眺めているのは好きだ。部屋は住人のひととなりを表している。
裕未自身が、あんまり女の子らしくないのよと笑うように、花柄やらフリルやらとは無縁
の部屋だ。シンプルだが暖かさのある部屋、まるで裕未そのもののように。
タバコをふかしながら、慌しく過ぎていったこの数ヶ月間を思い返す。少し気持ちが
ささくれていたかもしれないと。そんな折、裕未の柔らかい肌がふと恋しくなったのだ。
写真が欲しいと言ったのは、そんな僕の我儘から。この意地悪な申し出に裕未はどう答え
るのだろうと、それも密かな楽しみだった。どぎまぎして驚いたり、拒絶したり怒ったり
する、いつもと違う裕未の顔を覗いて見たかった。僕はあのとき、裕未がほんとうに写真
を送ってくれるだなんて、夢にも思っていなかったのだから。

デジカメを買ったという裕未のメールを読んで一番驚いたのは、言いだしっぺの僕自身
だったのかもしれない。思わず有頂天になってしまった僕は、小さなカメラ越しに裕未を
立たせて、シャッターを押すごとに一枚ずつ服を脱がせ視姦する、そんな夢想をした。
あのとき裕未は何を想ってひとりでシャッターを押したのだろう。
部屋中にコーヒーの香りが漂いだした頃、シャワーを終えて出てくる音がした。
「いい香りー。淹れてくれたんだ、ありがとう」
上気した頬に濡れた髪、さっきと違う裕未がバスタオルを巻いてそこに立っていた。

熱いうちにとコーヒーを勧めながら、一緒にテーブルにつく。コーヒーを味わっている
ように見せて、こっそりと裕未の丸い肩先を、そこから続くなだらかな胸のふくらみを、
僕は目で愛撫する。巻いたタオルの先からのぞく膝頭をみて、その上の柔らかい太腿の
感触を想像している。

「どうしたの?」

急に無口になってしまった僕を裕未は訝しんでいる。とはいえ頭の中で欲情している
とも言えず、ただ曖昧に笑うだけ。
裕未がブルッと肩を震わせ立ち上がった。

「湯冷めしそう、服着てくる」

僕の横を通り過ぎる裕未からは、シャンプーの仄かな甘い香りがする。バスタオルを
巻いた姿を、頭の中ではとうに裸にしていた。

「ここへおいで」

とっさに腕を捉えて裕未の体を引き寄せる。

「あ」

驚いて小さくあげた叫び声。でも抗わずに僕の膝に腰掛けて、疑問形の顔で僕を見て
いる。

「こうしていたら寒くない」
「うん。あ、チクチク」

少し冷えた肩を抱いて囁く僕に、甘えるように頬をすり寄せる。ずっと前にそんな事を
して痛くないのと訊ねたら、伸びかけのヒゲのチクチクする感じが好きなの、と答えた。
僕と出会う前に亡くなったという裕未の父親に、小さい頃に頬ずりされた記憶を思い出す
のだと。

不謹慎ながら彼が存命でなくて良かったと胸をなでおろす。少なくとももし彼が僕
だったら、自分の娘に悪戯を仕掛けるこんな男を許しはしないだろうから。

「きゃ」

タオルの裾から手を入れて繁みに触れてみる。抗議するように裕未が軽く睨んだが、
気づかないふりをして続ける。泉に辿りつこうと指を伸ばしたところで、今度はキュッと
裕未の両足に手を挟まれた。

「ダメ」

そう言いながらも膝の上から降りないのは、もっと甘えたいというサインらしい。
ちょっと怒った顔で僕の頬にキスをしてくる。ひとまずは下腹部を責めるのを諦めて
僕も裕未の頬にキス。と見せかけて、唇をすべらせて耳たぶを軽く噛む。

「や。その噛み癖、直してよ、秀行」
「噛まれるのはいや?それじゃあ舐めてやる」

蝸牛みたいな耳の表面をぐるぐると舌でなぞっていく。仕上げには耳の中まで舌先を
捻りこむ。耳の穴まで犯す気分で。

「ん、ん……ふぅ……」

甘い声を漏らして、こわばっていた裕未の背中が柔らかくなった。力を失って僕に
しなだれかかる。挟まれていた手も自由になって、膝から太腿にかけてを撫でさする。

「ひどい。あたしが弱いの分かっててするんだから。莫迦」

裕未の弱点は耳、僕は知っていてそうしている。『ひどい』が『嬉しい』に、『莫迦』
は『大好き』に聞こえてしまう。トロンとした瞳で見つめられて、近づいてきた唇を僕は
思わず強く吸った。

唇を吸われて半開きになった口から、切なく溜息のような声が漏らされる。隙間に
僕の舌が這入りこんでいく。口腔内で繰り返される追いかけっこ。舌を押したり引いたり
吸ったり吸われたり。でも先に裕未の中に忍び込んだ、僕のほうにちょっとだけ分がある。
裕未の頭を抱え込んで口を吸いながら、いま一度湿った裂け目に指を侵入させていく。
そこには熱い泉が湧き出ていた。ビクッと肩を震わせて唇を離そうとするのを、逃さない
ように舌で口を犯し続ける。蕩けている場所を指で掻きまわす。

「はぁッ……やだ、いじわる」

やっと離した唇で裕未は僕を責める。それでも柔らかい襞は指の動きにあわせて、
ひくついて絡みついたり離れたりして、絶え間なく蜜を溢れさせていた。

「ほら、すごい」

濡れた指を引き抜いて裕未の目の前にかざす。とたんに裕未が真っ赤になった。

「ねぇ、裕未。あの時もこんなに濡れてたね。写真を撮って送ってくれたとき」

言いながら鼻先で指の匂いを嗅いでみせた。指先から立ちのぼる裕未の香り。まるで
膝を割り広げ唇を近づけて、蜜を啜っているような気分になる。

「あの時もこんなことをしてたんだ?」

再びそこを弄んで言葉でいじめる。膨らんだクリトリスを指先で弾くと体が揺れた。
裕未がひとりでしている秘め事を、僕はとても知りたい。喘ぎながら俯いてしまった
顔を上げさせると、裕未の顔は半ベソをかいたようになっている。

「ばかぁ!」

呟いて大粒の涙がこぼれ落ちた。

「裕未、ごめ……」

調子づいて昂ぶっていた気持ちが急速に冷めていく。違うんだ、そんなつもりじゃ
なかった。僕の肩を濡らしてしゃくりあげながら泣く裕未を、呆然として抱きしめた。
乾きかけた裕未の髪の毛を、ゆっくりと撫で続ける。
あのとき画像の中にいた裕未は、眩しいほどに輝いて僕を誘っていた。

『ねぇ見て。私はここよ。秀行のすぐそばにいるの』

そう言いながら僕をけしかけているようだった。勃起をさそう興奮と、眩しさゆえに
感じる嫉妬。裕未に浴びせかけるように僕はたちまちに射精したが、精を放った後には
猛烈な虚しさに襲われた。どんなに求めても裕未に触れられないもどかしさ。
あのとき焦れるほど必要としていた人が、いまは腕の中にいて嗚咽をもらしている。
何を話しても言い訳になってしまいそうで、僕には紡ぐ言葉がない。

「ごめん、泣くつもりなんかなかったのに」

裕未はひとしきり泣いて落ち着いたのか、まだ濡れた目をして照れくさそうにしている。

「いや、謝るのは僕のほう……」

ひどく情けない気持ちになって、涙を吸い取るように瞼にキスをする。

「ううん。あの時のこと、思い出したら急に涙が出てきちゃって」

告白するように裕未はポツリポツリと耳元で語りだした。

「撮っているうちに、ほんとうに秀行に見られているような気持ちになって、
それで……なんだか、感じて、きて……」

だんだん小さな声になる。そこに飛んで行きたかったよ、僕も。

「おかしくなったの。……いやぁ」

聞きながら僕は懲りずに悪戯を再開していた。こんな可愛らしい告白を黙って聞くだけ
なんてできる訳がない。

湿った場所に手を差し入れて、上下に指を這わす。裕未の足は開いたり閉じたりして
感じることに抗っているように見える。さっきの涙で休憩していたトランクスの中の
ものが、力を得たように勢いづいていた。

「でも、その後にすごく寂しくなって……んんッ!思い出してたら……」

胸のうちに不思議な感慨が湧き起こっていた。あの時、裕未も僕も同じ想いだったのだ。
距離を超えて結ばれたように感じたのに、その後に何かが逃げていくような空虚さが
訪れる。隔たっていた心の隙間を埋めるように、指を遣って裕未を喘がせる。クリトリス
の周辺を撫で回すだけで、言葉が切れ切れになって苦しげな表情を見せる。

「やっと、会えたのに、意地悪ばっかり、するから……あぁッ、もうだめ」

裕未の溢れる部分はますます熱くなっていた。入り口を訪問した僕の指を、そっと咥え
こんで出迎えてくれた。少し動かすたびに、くちゅくちゅと音を立てる。裕未の体が僕の胸に寄り添った。

「ばか秀行、明日には帰っちゃうんでしょ?」
「ああ」
「じゃあ、もういっぺん、して」

かすれたような声で囁いた。

「それは、無理だな」

そう答えると裕未の背中が固まった。身を起こして怒ったような顔で僕を見つめる。

「いっぺんだけ、なんて無理だ。朝まで寝かさないつもりなんだから。覚悟しろよ」

照れ隠しに裕未と僕の間にある邪魔っけなもの、バスタオルをはだけて取り去る。
ぷるんと零れでた胸のてっぺんが、すでに尖って固くなっているのが分かる。
ひげのチクチクが裕未の父親の記憶なら、これも僕の遠い記憶だろうか。裕未の胸に
顔をうずめて尖った蕾みに吸いつく。

「ぁあッ!」

裕未がひときわ高い声をあげた。

「いや、さっきは、ほんとに、ごめ……」

心持ち、体が縮こまる。

「『許さないわよ』って言ったはずよ」

そう言いながら、裕未は僕の方に体を寄せ、手を首の後ろに当て、首筋にキスをしてきた。

「ふぅん……くっ!」

男であっても、こういう場所にキスされると弱い。

「ふふふっ、さて、まず何をしようかしらね?」

微妙に愉しそうな声で、そう言った。また、背筋が、ゾクリとする。
心の中には期待と不安が半分づつ。前までこんなことはしてこなかったのに、なぜ?
でも、もしかして僕、何が起こるか、期待している?

軽く抱きしめられ一歩、二歩、と後ずさりさせられる。真後ろにベッドが。
更に上半身を押されて、ベッドに仰向けに寝転がらされる。

「あたしは裸なのに、なんであなたは服を着ているの?」

軽く窘めるようにそう言い、僕の上着に手を掛ける。
時々、肌が露出した所を舌先で舐めながら、少しずつ服を上へとずらしている。
まるで子供が服を脱がされる時のように、自然と腕が頭の方へと上がっていく。
舌先が肌に当たる度、声が出そうになるのを必死で我慢する。
けど、乳首を少し吸われた時に、少しだけ、声が漏れる。

「くぅ…」
「ん?どうしたの?」

それだけ言って、更に服を上へとずらされる。全部脱がされてしまうのかと思ったら、
頭上にある、肘のところまでで止まった。そして、服と腕を押さえつけて、一言。

「手、動かしちゃ、ダメよ」

目の前に、裕未の顔が。口元は笑っている。
裕未に会えて、本当に良かったと思える、この笑顔。でも、少し目元が妖しい…

吸いついても口に含んだだけで、蕾みに触れないままでいた。含んでいないほうの胸を
やわやわと触る。裕未を焦らすように。背中からお尻にかけても手の平で撫でていく。

「んんッ……」

腰をもじもじとさせながら、裕未が両手で僕の頭を抱えこんだ。その行為だけで欲情が
伝わってくる。駄目よ、さわって、もっとして、と。
待ちきれない想いを宥めるように、蕾みのまわりに舌先を這わせる。続く快感を期待
して裕未の背が震えた。大丈夫だ、待っていて、必ず触れてあげるから。
口から蕾みをそっと離して、閉じた唇を上下させ先端を弾く。もう片方は指の谷間で
軽く挟む。喘ぐ声が艶をまし、より強い刺激を求めて僕の顔に胸を押しつける。
裕未の唇から漏れる吐息で、頭の中をいっぱいにしたい。そんな想いで尖った部分を
甘噛みした。

「んぁ……はぁッ」

どことなく焦点の合わぬ眼で僕を見つめている。裸の胸板を裕未の指がさするように
這って、トランクスの上から固くなったものをそっと押さえる。

「欲しいんだね?」

そう問うと少し困ったような顔をした。まだその事を口に出しては言えない、そんな
風情をみせる。何も身につけぬまま僕の膝からすとんと降りると、

「向こうで……」

と小さく言った。
裕未が先にたって僕を寝室に導いてくれる。肩に手をかけ後姿を鑑賞しながら後に続く。
べッドに横たわった裕未は、あどけなく誘うような表情をしていた。

ゆるやかに流れるウェストから腰・太腿にかけての曲線、繁みにいたる下腹部のなだら
かな膨らみ、裕未の裸身はボティチェリの絵のようだ。

「いつまで見てるの?」

視姦に耐え切れずに呟く。触れられれば幾らでも快感の叫びをあげるくせに、じっと
見られているのは嫌だという裕未の感覚が、僕には不可解でならない。

「いつまででも。見飽きないから」
「意地悪……」

僕の視線から逃れるように横を向き、頬が少し赤く染まる。裕未の乳首は固く尖った
ままだ。見つめられながら濡れているのかもしれない、ふとそう思った。
確かめるように足元に跪き、両足をそっと開いていく。少し開いたところで膝頭を抑え
裕未の反応を見る。横を向いたまま、目をきつく閉じている。抵抗はしないけど、何が
行われているか確認したくない、そんな気持ちなのだろうか。

「嫌ならそう言って、裕未?」
「あ……」

否とは言わなかった。でも心の中の葛藤を表すように眉根を寄せた。

「もっとよく見せて」

足を押し広げる。夏の午後の日差しが照りつけている部屋の中で、裕未の太腿がこわば
った。顔を近づけ、熱い部分に吐息をかけて見つめる。

「ひゃ……」

両手で顔を覆った。でも足は閉じられなかった。クリトリスから会陰にかけてまで
夥しく濡れている。周囲を取り巻く薄い翳りも、露を帯びて光っている。その最奥で
息づいているピンクの小さな花びらが僕を誘う。蠢いて蜜を吐き出しながら。

もう一度吐息を吹きかける。両足が震えて喘ぎが漏れる。目の前で熱い蜜が溢れた。

「ありがとう」

呟いてあふれた蜜を唇で吸った。恥ずかしさに耐えて僕に許してくれた、その気持ちが
いとおしくて。後からあとから湧き出す熱い部分に何度もキスをした。

「あ、ぁあ……ん」

裕未の両足が僕の頭を挟み込んだ。はじらいながらも求めているのだ。もう手で顔を
覆うことなく、シーツを引き掴んで快感のうねりに耐えている。もっと声を出して僕を
求めて欲しい。唇を花びらから離して、先ほどから鼻先が触れていた膨らんだ蕾みを舌で
つつく。

「んぁッ、や、あ……いぃ……」

足での締め付けが強くなった。僕の顎も裕未から溢れだす液で濡れていく。舌先を押し
付けてクリトリスをそっと剥きあげる。溜息のような声とともに裕未の腰が震えた。唾液
にまみれた小さい芽が、外気に晒されてはじらうように揺れた。

「裕未、もっと感じて」

僕の前でもっと乱れて、感じて欲しい。舌でねぶり転がして押し潰す。その刺激に応え
て裕未の背が2・3度バウンドした。こっそりと花芽を僕に押し付ける。言葉に出せない
可愛らしいおねだり。喘ぎながら何かを求めるように片手が宙を彷徨っていた。その手を
握り締めて花芽を強く吸った。

「はッ、はぁッ……ぁあッ!!!」

滾るような悲鳴をあげて裕未の体が硬直した。僕の唇の刺激を貪るように、腰がせり
上がって芽を擦りつける。いま一度強く舌で転がす。

「やぁあッ!」

花びらから熱い液を垂らして裕未の体が小さく震え、強張った足が力を失った。いとお
しむようにシーツまで濡らす愛液を啜った。絶頂の余韻をあらわすように、そこはひどく
火照っていた。

放心している裕未の横に寄り添って、その額に貼りついた前髪をかきあげた。夢を見て
いたみたいな瞳にやっと焦点が戻って、

「あたし……あたしだけ、よくなっちゃった」

と、恥ずかしそうにポツリと言った。

「えっちだ。裕未のカ・ラ・ダ」

そう言って頬を指でつつくと、拗ねたようにうつむく。僕は嘘つきだ。本当はそんな
揶揄じゃなく、僕の腕の中で何度でも気持ちよくなって欲しいと言いたいのに。
裕未の手が下着の上から、そっと僕の固くなったものに触れた。さっきまで猛り狂って
熱い隙間を埋めたいと欲していた。今は少しだけ静かになって、でも……。
裕未と目があった。あれ?という顔をされた。しまった。

「ふふッ……」
「あ、おい、こら」

先走ったものがトランクスに染みを作ったのを、裕未に気づかれてしまった。嬉しくて
たまらない様子で、下着に手をかけて屹立したものを剥き出しにする。暖かい手の平で
包まれる。触れられて思わず脈打ってしまう。憮然としながらも気持ちよくて、されるが
ままになる。

「すごい、固くて……ぬるぬる」

ちゅ、ちゅ、ちゅ。

起き上がってきて、濡れた先端にキスの雨を降らす。敏感な鈴口に
舌先が遊んで、ぺろぺろっと舐めとられる。このまま柔らかい唇に包まれて、裕未の喉奥
に注ぎ込みたい衝動にかられる。
でも僕の脇にちょこんと座って、無邪気そうくちづけている裕未を見ていたら、悪戯心
がむくむくと湧き起こってきた。大好きだった子に、からかったり苛めたりでしか気持ち
を表せなかった昔と同じ。

すっかり無防備になっている、まぁるい臀部をそっと撫でる。

「きゃ、なにするの。秀行も気持ちよくなって欲しいのに……あん……」

ごちゃごちゃ言ってるのを問答無用でうつ伏せにして、脇の下をくすぐったりなだらか
な背中を撫でてみたり。最初は笑っていた裕未が、気持ち良さそうな吐息を漏らし始めた。

「気持ちイイ?」
「うん、とっても。なんか蕩けそう」

もっと蕩けて、もっと乱れていいんだよ。僕の手は、裕未の背中を尻を太腿を這いま
わって、感触を楽しんでいる。腰の窪みとか足の付け根のあたりに触れると、裕未の体が
びくんびくんと反応する。
僕が裕未から送られた画像を見ながら、想像して欲情していたこと。後ろ姿の裸身、
その見えない部分を想像していた。足を押し広げたら、きっとそこは煌めくように濡れて
いるだろう。お尻の割れ目に隠された、まだ唇が触れたことのない部分にそっとキスを。
そんなことをしたら裕未は怒るだろうか。
膝裏から太腿まで這い上がった手を止めた。僕の意図を察して裕未の背中が緊張する。
ゆっくりと足を開いていった。両足を手で掴んだまま、目だけでその部分を犯す。僕に
見つめられているのに気づいてか、目の前でとろりと雫を垂らした。

「ほら、裕未だってぬるぬるだ」

雫を指に塗りつけて、会陰からクリトリスまで前後に往復させる。

「あぁ……」

僕の指と、僕の言葉と、両方で裕未が喘ぎだす。身をよじって震える丸い盛り上がりを
手で開いていく。視線を感じてキュッと形を変える、放射線状の皺。その可愛らしい光景
が目に焼きついて離れない。

「あ、やだ……どうして?」

もじもじと僕の手の中から逃げ出そうとする。どうして?どうしても。ここも僕の
ものにしたいから。小さくつぼんだそこに唇を当てて口づける。

「あ!!!」

裕未の背が反った。振り向いてとても困った顔をする。

「や、や、や……」
「どうしてイヤ?」
「だ、だって……だってそこは……」

自分にそんな場所があることすら恥じ入っているように、抗議する声まで小さくなって
いく。怖がらないで。僕は裕未をもっと知りたい。

「大好きだから。裕未がぜんぶ」

前へ進んで逃げようと腰を持ち上げたのを、両腕でかかえこんで抱きしめた。濡れた
秘裂を指で擦り上げながら、密やかに蕾んだ場所に舌先を這わせる。固くすぼんだ放射線
状の皺をなぞるように何度でも。
頑なに閉じていたのが呼吸するように緩みはじめる。首を振って背中をぶるぶると震わ
せて、はじらいと快感の狭間で裕未が戸惑っている。

「いじ、わる。……や、はぁ……」

いつの間にか腰を突き上げて、お尻の穴に僕の愛撫を受ける妖しい生き物。

「ぁふ……んん……はぁうぅぅーー」

そのとき裕未の口から漏れた長く尾を引くような喘ぎを、僕はきっと忘れないだろう。
雫にまみれた場所にも指を咥えて、丸い臀部が小刻みに揺れている。

「あぅん、あぁ……」

うわ言のような喘ぎと湿った水音が重なって、部屋中に響く。僕の腕の中で裕未が
変わっていく。ほどけたように緩んだすぼまりに尖らせた舌先を捻りこむと、痺れたよう
に全身が震えていた。誰にもナイショの秘密の場所を、僕は手に入れた。

最初に裕未のカラダに火をつけたのは、僕だったはずなのに。ゆっくりと花開くように
変わっていく姿に、劣情をそそられる。
唇と指での愛撫を止めると、裕未は喘ぎながら突っ伏した。
黙ったまま寄り添って髪の毛を撫でる。僕の視線に気づいて裕未が顔を上げた。さっき
みたいに泣いて僕を咎めるかと思ったが、それはなかった。頬を朱に染めて僕の胸に顔を
埋める。

「ここでも感じちゃうんだ、裕未は」

懲りずに意地悪く訊ねる。さっきまで唇をあてていた場所は、僕の唾液と裕未の雫で
ぬめったようになっている。指先で探るように円を描いて刺激する。

「ぁ、やッ……」

感じる声をだすほどなのに、首を何度も振って認めようとはしない。柔らかく解けてき
たすぼまりに、小指の先をほんの少し忍ばせる。びくんッ!

「だめよ!ダメ……なの」

畏れる気持ち、恥ずかしさのほうが勝っているのか。

「どうしてダメ?感じるのはちっとも悪いことじゃないのに」
「悪いことじゃない?こんなところで感じて、あたし、オカシクない?」

オカシイどころか……そうやって葛藤するのが、たまらなく可愛いんだけど。

「ぜんぜんオカシクない。それより、こっちのもの凄くなっちゃってる所はどうしよう?」

言いながら、もう大洪水みたいになってる花びらの部分に指を出し入れする。くちゅり
と立てる音を裕未にも聞かせながら。

「僕ももう我慢の限界なんだけどね……」

裕未の手を導いて、固くなった僕のものを握らせる。ついぼそっと本音を漏らすと、
いたずらっ子のように裕未が笑った。

「おいでよ」

潤んだ瞳をしている裕未に声をかける。自然な動作で仰向けになった僕の昂ぶったもの
を膝立ちでそっと跨ぐ。視線が絡むとキスを求めてくる。飽きずにゆっくりと唇を貪り
あう。

「裕未の好きなようにして」

さっきから湿った秘裂で棹が挟まれている。僕が焦れているのを知ってか知らずか、
浮かした腰をちょっとずつ揺らしながら、裕未はその感触を楽しんでいるようだ。悩まし
い光景に我を忘れそうになる。
こんどは裕未の番だ。濡れそぼった口で、早く僕を食べてくれ。
ツンと尖った乳首を指先でつまむと、小さな声をあげて体が前のめりになった。覆い
被さってきた唇を奪って、少しだけ体をずらす。屹立した先端を裕未の入り口にあてがう
ようにして、突き上げる。

「ぁふッ!」

熱く蕩ける場所に、そのまますんなりと飲み込まれていく。僕を味わい尽くすように
締め付けて、裕未の体が前後に揺れる。動くたびに目の前で震える乳房の先端を、口に
含んで転がす。

「ん、ぁん……だめ。あたし、やっぱり、オカシイ……」

言いながら裕未の腰が細かく動く。感じてたまらないという風に。

「いいよ。もっと動いて、感じて」
「だめ……あたって、ひっかかって…る……んッ!」

鍵と鍵穴みたいになって、裕未の中で僕のカリ首が引っかかっていた。身動きしても
はずれずに、中の感じやすいところを刺激しているようだ。

「やぁ、いいの、だめ、ヘンなの。あぁ、もう……」

僕の上に乗った裕未が、暴れ馬のように豹変していった。柔らかい肉襞が絡まって吸い
つく。四つん這いになって腰を振り、喘いで僕の唇を求めてくる。舌を絡めて裕未の唾液
が流しこまれ、僕が飲み干す。どろどろに熔けあって僕達はひとつになる。

「あぁ、いい……どうしよう、あたし、オカシクなる。ひでゆきぃ……」

感じて乱れながら体を震わせる。なんていやらしく素敵な眺めだろう。

「オカシクなっちゃえ。もっと」

下から腰を引き掴んで、突き上げる。

「ん、ん、んんッ!だめッ!はぁッ!!」

僕の額にも汗が浮く。ひくひくと絡みつく余韻を残して、裕未の体が僕の上に崩れ落ち
た。猛り狂っているものをそっと抜いて、裕未を横たえる。
休む間も与えず欲望のままに、仰向けにした裕未の片足首を掴んでグイッと持ち上げる。
膨らんだクリトリスが露に光っていた。指の腹で撫でまわすと身をよじってうめく。

「もっと欲しい。いい?裕未」
「うん……き、て」

昂ぶる気持ちのまま、最奥まで突き入れて抉った。根元まで飲み込んで互いを擦りあわ
せる。深く繋がったまま貪りあう。湿った音を立てて腰を打ちつけ合う。

「すごい……あたるの、あぁッ!」

裕未の中のモノがそっと降りてきて、僕の亀頭にキスをする。深く貫いてグリグリと
そこに押しあてる。
苦しそうにうめいていた裕未の体が、大きくのたうつようにうねった。

「いい、いい……あぁあ……」
「裕未、あぁ……ゆみ」

たまらない愛しさが湧いた。覆い被さって柔らかいカラダを抱き締める。離れている間
に、僕達は互いに小さな火を育てていたんだろうか。
唇を吸い耳たぶを甘噛みする。裕未の足が僕の腰に絡みついた。

「くぅッ……ぁんッ!とけちゃうよぉ……!!」

耳元で甘い声を聞きながら、滾るものを迸らせた。

じっとりと汗にまみれて、ふたりとも暫くは口もきけずにいた。荒い息づかいで抜く
こともせずに重なりあっている。裕未の瞼は半開きで、どことなく虚ろだ。
体を離して髪の毛を撫でる。ようやっと気がついた、という風に

「あ……遠くに、連れてかれちゃった」

とぼんやりした調子で言った。
誰が、いつ、遠くに行ったんだよ、そんな質問が出そうになるのをぐっと呑み込む。

「そんなに気持ちが良かったんだ?」
「……うん」

頬を染めて穏やかに微笑む。そんな表情がステキなのと、なんとなく羨ましいのと両方
でくすぐったくなる。遠くに連れていったのがたとえ僕でも、その感覚は共有できない。
それがちょっぴり悔しくもあり。
柔らかそうな頬にそっと触れた。吸いつくような掌の感触に頬から顎、それから首筋
から肩先、二の腕へと撫でまわす。感じた余韻を残してツンと立っている乳首を、軽く
口に含みながら丸い膨らみをやわやわと揺らす。
最初のうち含み笑いを漏らしていた裕未が、やがて気持ちよさそうに目を閉じた。
しっとりと汗の滲んだこの感触を、僕の手はいつまで覚えていられるだろう。

「シャワー浴びよう、一緒に。裕未のカラダ、隅々まで洗ってやる」

照れ隠しにそんなことを言って立ち上がる。「隅々まで」ってところに反応して、笑い
ながら裕未も体を起こした。

「きゃ」

振り向くとベッドの脇でへたりこんでいる。

「そんなじゃ朝まで持たないんじゃない?」
「もうッ……」

怒ったように睨み返す視線にどことなく力がない。差し出した手に黙ってすがりついて
くる。遅い夏の陽がようやっと暮れようとしていた。

「さぁじっとして。お姫様になったつもりで」

シャワーの流量を調節しながら、立っている裕未に浴びせる。飛び散る飛沫に目を細め
て僕に問いかける。

「なんだか怖いなぁ。また良からぬコトを考えているでしょ」

もちろん。あれやこれやと考えているけどね。
ボディソープを泡立て両手をスポンジ代わりにして、まず手の指先から洗っていく。
指と指の間も丁寧に。くすくすっと裕未が笑う。腕から肩、首筋へ。バレッタで軽く髪の
毛を止め上げただけのうなじが色っぽい。

背中もマッサージするみたいに撫でまわして、腋の下から脇腹あたりまで。裕未の体が
時折ビクッとしたり深呼吸したりする。
ヒップに手がかかったところで気分を変えて、今度は足の爪先から。ひざまずいて足を
洗い上げている様子は、ほんとにお姫様と奴隷に見えるかもしれない。
膝から上に手を伸ばすと裕未の膝小僧がキュッと閉じた。

「ほら、ダメだよ、洗えないだろ?」
「だって……」

裕未が拒んだ原因は、太腿の内側に手を差し入れてすぐにわかった。さっき僕が中に
放った精がとろとろと零れだして、裕未の足の間を濡らしていた。ぬるりとするその感触
に何とも言えない複雑な感慨がある。かつては僕のものだったのに、今は裕未と混じり
合って溢れている。愛しあった証のしずく。
「どうして?恥ずかしいことなんてないよ」
僕の視線から逃れるように、裕未は顔をそむけている。太腿の付け根までを泡まみれに
したら、大事なところは後回しで今度は下腹部を洗っていく。おいしいものが目の前に
あって、先にそれから食べるか後にするかと聞かれたら、僕は後でゆっくりいただく主義
だ。

ちょっとずつ上のほうへ、胸のふくらみに手がかかった。

「ふぅ……」

そっと優しく裾野からてっぺんへ、大きく円を描くように洗っていく。裕未の漏らした
小さな溜息はだんだん荒い息遣いに変わっていく。

「気持ち、いいんだ?」

立ち上がって裕未の顔を見つめながら反応を楽しむ。訊ねながら耳元に息を吹きかける。
手の平のなかで乳房が弾んでカタチを変える。指先で乳首をはじくと、耐え切れないと
いった風に、裕未が泡だらけの腕で僕の首に抱きついた。

「は、ぁんッ……立っていられなくな、る……」

ソープの泡にまみれた胸が押し付けられる。すべらかな感触が心地よい。つるつると
滑る体をそっと抱きとめて、取り残されたようにそこだけ泡の付いていないお尻を洗う。
両手で抱えるようにして。

「あ、そこは……」
「隅々まで洗うって言っただろ」

さっき僕がくちづけた窄まりも、その先の新しい蜜を吐き出しているところも。湯に
濡れた繁みも、その奥にそっと隠れている膨らみも。執拗なほど丁寧に、ゆっくりと
洗っていく。

「はッ、はぁッ……んふッ!」

堪えきれないような裕未の喘ぎが聞こえてから、意地悪をするように僕は手を離して
シャワーの栓を捻る。物足りなそうに眉を寄せたほんの一瞬の裕未の表情は、思わずはっ
とするほど切なく見えた。

少しきつめにシャワーの湯量を設定して、ほんのり朱に染まり始めた首筋にかける。
泡を洗い流して肌の上を水滴が転がっていく。僕が考えている悪戯はここからだ。
シャワーの位置と角度を調整しながら、少しずつ裕未の胸を責める。少し離してふくら
み全体に、今度は近づけて上下に。斜め上から、それとも下から?どんな風に水流が
かかったら裕未は感じてくれるだろう。それともこんなのは面白くないだろうか。

「あッ……やッ!」

反応があったのは乳首の尖りの辺りに、下から上へシャワーヘッドを動かした時だった。
もっと近づけて、また離して。シャワーを浴びているだけなのに、逃げるように裕未は
壁際に追い詰められていく。

――僕が何も触れていないのにシャワーだけで感じてしまって、裕未はとてもいやらしい
んだね……いつもこんな遊びをしているの?
そんな僕の心の中が、見えているのかいないのか。もうもうたる湯気のなかで、水音と
裕未の喘ぎが交錯する。
下腹部から繁みに向かってシャワーを移動する。まだここはゆっくり流してなかったね。

「足を、広げて」

その言葉に裕未は抗わない。抗えない。恥ずかしがる気持ちと求める気持ち、天秤に
かけて少しずつ足が開いていく。

「あぁッ!!だめ、だめ……」

開いた隙間に奔流が襲って、裕未は激しく首を振る。耐え切れずにトン、と壁に背中が
寄りかかってズルリと体が滑る。膝が軽く曲がって敏感な芽が水流の直撃を受ける。

「ふわぁッ!!……ひッ!」

湯気のカーテンの向こうで水流に悶え感じているさまは、たとえようもなく妖しくて
淫らだ。

もっと感じて。秘裂を前後に擦るようにヘッドを動かす。くたっと裕未の体が崩折れて
床に膝をついた。手がすがるものを求めて浴槽のふちを掴んで、びくびくと背中が震えて
いる。興奮して熱くなっていく気持ちを流れに変えて、僕は間断なく裕未を責め続ける。
もっと、もっとだ。

「やぁああぁぁッ!」

唇を震わせて裕未がその時の声を放つ。瞬間シャワーを握る僕の手首を、裕未の片手
が強く掴んでいた。払いのけるのかと思っていたが、しなやかな指は意外な強さで握り
しめてきた。そうまるで裕未自身が意志をもって、感じる部分に水飛沫を欲している
ように。

「あッ、あ……いま、あたし……」

達してしまった事が信じられないという風に座り込んで、僕を掴んでいた手も離して、
ほつれたおくれ毛を頬にはりつけたまま、放心している。

「すごく可愛かった」

耳朶に唇を寄せて囁いた。裕未はまだ体の中に快感の余韻を漂わせているのだろう。
暖めるように胸元に湯をかけると、くすぐったそうにする。鋭敏になってしまった感覚は
いまだ醒めずに、次なる興奮を求めているように見える。
シャワーを扱いながら、裕未が反応する新しいポイントに、僕は気づき始めていた。
さっき達してしまった膨れたクリトリスの下側あたり、そしてその他にもう1箇所。裕未
自身も気づいていないかもしれないそこを、再び嬲りはじめる。さきほど僕が始めて
口づけた窄まりへと水流で刺激を与える。
近づけたり離したりして飛沫に強弱をつけ、時に前後に擦る。胸に吸いついて乳首を
口に含んで転がすと、裕未の頭は大きく揺れた。

「やっぱり……裕未はここも好きなんだ、ね?」
「違う、ちがう……ちがッ……!」

指摘すると否定する言葉とは裏腹に、眉間に皺を寄せ大きく喘いでいる。からりと音を
立てて床に落ちたバレッタを裕未も僕も拾わずに、感じる事と弄る事に没頭していた。

「いやッ、やめて、だめなの……あぁあ……」

裕未の新たな感覚を引き出したことで、僕は興奮していた。抗えない快感に身を任せて
変わっていく姿に、隠されていた裕未の心を手に入れたような錯覚を覚えるのだ。
柔らかな指が僕の屹立していたモノに巻きついた。2、3度しごくような動きをする。
指先がカリ首を愛撫し、鈴口をそっと触れて刺激する。キュッキュと棹が包まれる優しい
感触、裕未の顔は横をむいて喘いだままだけれど、手の平で表された欲望だけが裕未の
切迫した想いを伝える。

――欲しい、ほしいの、待ちきれない。来て!!

だめだ、まだだよ。あげられない。裕未の感じる部分がもっと素直になって、もっと
露わになってから、それから。僕の昂ぶって固くなった先端が濡れて光っているのは、
水飛沫を浴びたためか、それとも……。

「感じているね、裕未。ここでも」

ダメ押しのように耳元で訊ねる。

「ちがッ、やぁ……恥ずかしいの、やめて……」

かぶりを振ると肩先に広がった髪が濡れて首筋にはりつく。それさえも今はひどく淫ら
に見えて。

「裕未は何も言わなくていい。頷くだけで。恥ずかしくないよ、さあ答えて。
ココが気持ちいい、そうだね?」

水飛沫のあたっている密やかな窄まりを、指先で円を描くように触れながら囁く。
裕未は潤んだ瞳をしてコクンと頷いた。
ゆっくりとシャワーのコックを閉め、バスルームに満ちていた水音がやむ。両腕が
首に巻きついて、裕未の舌が僕の口唇を犯した。

もう言葉は何もいらないような気がした。離れていることで時おり感じる焦れたような
不安が、止まらない昂ぶりとなって抱き合った裕未の下腹部を刺激する。濡れて湿った
体を互いの手がまさぐりあう。何度も、何度でも確かめて繋がりたい。覚えておきたい
のだ、今を。

裕未の体を抱えて小さな椅子に腰掛ける。目だけで、いいね?と訊ねる。顔を赤らめ
俯きながら裕未が膝の上にそっと腰をおろす。足を広げて僕に向かって肉の秘裂を押し
つけてくる。棹が柔らかい襞に挟まれる暖かい感触がある。覆い被さるように唇をいま
一度求められて、裕未の臀部が持ち上がり、そしてゆっくりと沈んだ。

「くッ……!」

したたる液をシャワーで洗い流されて、滑らかさを欠いているのか。裕未の入り口は
ほんの少し襞を内側に巻き込むようになって、小さく苦痛のうめきを上げる。

「ごめん、少しキツイ?」
「だいじょうぶ、だから。気に、しないで……んッ」

体が何度も小刻みに上下する。先端が咥えられて、また離れ、ちょっとずつ先へと浸入
していく。せわしい腰の動きが裕未の疼きを教えてくれる。

「そんなふうに動いたら、ヤラシイ。裕未」

そう指摘すると、半ばまで入りこんで中の溢れる部分に触れて動きが止まった。目の前
にある乳首に吸いつきねぶる。

「だって……もう、悪戯しちゃダメッたら……ひゃんッ!!」

裕未の双尻を両手で引き寄せて深く貫く。熱い雫が繋がった部分からこぼれ落ちる。

「熱い、裕未のなか。すごく、あつい……」

溜息のような声だけが浴室の中を満たしていた。

ゆっくりと裕未が腰を上下させる。くぐもった水音がした。その動きを背中を抱きしめ
て止める。

「動かないで、このままでいよう」
「どうして?」

動いたほうが秀行は気持ちいいでしょう?裕未の顔はそう言っていた。
それでも抱き合ったままじっとしていた。繋がった部分に意識が集中して、感覚が鋭敏
になる。柔襞が蠢いて包みこまれる感じ、別の生き物のように蠕動しぬめる感触、沁み
こむ様な熱さ。それに応えて僕の怒張が時に脈打つのも、きっと裕未に伝わっている。

「……あ……動いて、る……」
「裕未の中だって相当いやらしく動いてるけどな。自分では気づかないの?」
「え?そんな……あ、あッ……!やぁ……」
慌てているのは、僕がとっさに膝を閉じてしまったから。向かい合っている繋がりが

少し浅くなる。それに裕未は焦れている。

「ぁん……もっと……」

もっと奥までちょうだい。そう言う代わりに両足が交差して僕の腰を締めつけた。
わかった。欲しいのは僕も同じだから。膝を開いて、弾力のある臀部を足の間に挟み
こみ、裕未の熱く潤む最奥を突き上げた。

「ふわぁッ!!!ん、んんッ……いい、すごく……いいのぉ!」

また軽く膝を閉じて開く、そんな動きを何度も繰り返す。その度に喘ぎが叫びに変わる。
蜜がとめどなく溢れて、陰毛もふぐりもしとどに濡らしている。裕未は手足を僕に絡めて
体を揺すり、もっと奥へいざなおうとする。額にも胸元にも汗が浮き、クライマックスが
近づいていた。

「こんなにえっちだったんだ、知らなかったよ……」

堰を切ったように乱れる姿態、その背を抱きしめ尻肉を掴んで、のけぞる喉に口づける。
深く抉るように突き上げると、喘ぎはすすり泣きに変わった。

「いやぁ……いじわるぅ……あぁ、あぁッ……もう、もう……」

身を震わせてすすり泣く姿は、痴態、嬌態というに相応しい。もっと哭いて僕に曝け
だしてくれ。抱えている上体をぐらぐらと揺らす。

「ひぃん……はッ、はッ、んぁッ……」

かわいい、いやらしい、いとしい。……オレノモノダ、オレノ……。
汗のしぶく胸板をこすりつけ、ひくつく襞を切っ先で擦り上げる。裕未の汗と淫らな
蜜の中で僕は溺れていく。
ああそうだ、大事な呪文を忘れていたね。こんな言葉で良ければ何度でも言おう。

「いいよ、見ててあげるから。逝っちゃいなよ、ほら」
「くぅう……すきぃ……ひでゆきぃ……ぁあぁああ!!」

裕未の両足が痛いほど僕を締め上げる。そして中も。灼けるような熱さに総身が侵され
る。悲鳴をあげる口を唇で塞いで、がくがく震えるその体に、叩きつける様に精を放った。

互いを貪って食べ尽くして、すっかりへとへとになって空腹だった。
切り方がどうだの味付けがヘンだの、あれこれ言いながら一緒に作った遅い夕食を
つついてビールを飲んだ。少し疲れて眠そうな裕未を、指先で玩んで嬌声をあげさせたり
睨みつけられたりして、ビデオを見ながらベッドの上で暫くじゃれあっていた。
裕未の瞼が落ちて寝息を立てるのを確認して、そっと灯りを消した。

明け方、誰かが呼んだような気がして目が覚めた。タンクトップにショーツだけの姿で
裕未は膝を丸めて胎児のように眠っている。
忘れ物をもうひとつ思い出して、ベッドから静かに抜け出す。

『こんなのって可愛いよね』前に雑誌を見ながら裕未が呟いていた、煌めく珠と
チェーンのブレスレッド。同じものではないだろうが、赴任先でふと目が止まって買い
求めた。荷物から取り出して、悪戯心で眠っている裕未につけてあげようと思いつく。
穏やかな寝姿、足首に手を伸ばす。そうだ、手首じゃなくて飾るのは此処がいい。
外で気の早い烏が一声鳴いた。寝返りを打った裕未の足元に、朝の陽射しが宿る。
薄掛けをひっぱって隣りにもぐりこんだ。裕未の匂いを胸に吸いこんで、もうひと眠り
しよう。


『秀行、元気にしてますか?
そちらは相変わらずの曇り空でしょうか。
今日こちらでは少しだけ雪が降りました。
この冬の初雪です。鳥たち用に残しておいた柿の実にも、雪が積もりました。
クリスマスの予定、上司にさんざん嫌味を言われましたが、
無理やりお休みを取りました。
こんどは私がそちらに行きます。待っててくださいね。
裕未』






SS一覧に戻る
メインページに戻る

各作品の著作権は執筆者に属します。
エロパロ&文章創作板まとめモバイル
花よりエロパロ