視姦
シチュエーション


「ああっ・・・!もうだめ、ダメだって、ばっ・・・、ぅんっ!」

『どこが?何がダメなの?ほら、もっと感じて・・・』

−−−彼は伝える、そして犯す。その穏やかな視線で。

いつもと同じように、会う約束をし、彼の職場へ私は車を走らせる。
着いたと同時にメールをうち、彼が出てくるのを待つ。
ものの5分程度で、助手席の扉が開く。

「おつかれさま。」
「おつかれさまです。いっつも思うんですけど、職場の人にばれないんですか?三矢さん。」
「ん?大丈夫。」

はぁ、この人、自分が「不倫している」って、本当に理解してるのかなぁ・・・?
私の方が罪悪感もつんですけど。

心の中で小さくつぶやく。
まさか自分がこんなことするとは思ってもみなかった。
なのに告白され、その時から、ううん、きっとどこかですでに好意は感じていたはず。
今となっては後に引けない、でも、と思いつつもこのつきあいが1年も経ったんだ、と改めて実感する。
うちに着くまでは、たわいもない話。
仕事の話をしたり、その日あったことを話したり。
三矢さんはけっこう平気で子供の話をしたりする。
たまにヤキモチ。でも最近は慣れてしまった。

自然と手が伸びてきて、手をつなぐ。
こんな事がすごく嬉しかったり。
途中でコンビニによって、食料を買う。
そこからは、すぐ家に着く。

「さぁどうぞ。」

家にはいると三矢さん、すかさずトイレに駆け込む。
すっかりうちになじんでる、まぁ、いいことなのかな。
トイレから出てきて、やっと一段落つく。
なんとなく立ったまま待っている私の元へやってくる。
ふいに引き寄せられて、そのまま抱きしめられる。腕の力が徐々に強まっている。
ちょっと痛い、息苦しい。
でもそれが心地よい。

「会いたかった?」

2日前に会ったばかりなのに、何となく聞いてみたり。

「うん。」

意外なほど素直な返事。返事だけは素直に言ってくれるのに。
顔を上げる。彼の唇がもう目の前にある。
目をつむると、しっとりとした、温かい、柔らかい感触に私の唇が包まれる。
はじめは唇を重ねるだけ。
そして彼の舌が少しずつ悪戯を始める。
私の唇を彼の唇が包み込んだまま、唇の輪郭を舌がたどる。
かと思うと、軽く噛まれ、私の口の中に舌を進入させる。
私の舌もそれを受け入れ、お互いを絡ませあう。すすり上げられ、舐め取られる。
その度に、心が痺れたように震え出す。

「ん、ふぅん・・・。」

いつものキス。なのにいつも声が出てしまう。
唇を離し、お互い目を合わせる。

「とりあえず、ご飯食べよっか。」

おいこら。人に火を付けておいてそれですかい。
そのままこっちから押し倒したくなる衝動をこらえて、とりあえずご飯を食べる。

食べ終わってしばらくすると、三矢さん、TVに夢中になりかける。
もう、本当にテレビっ子なんだから。
さっきの感触を、また、思い出したい。もっともっと、触れ合いたい。
そう思うと、自然に彼の頬に手が伸びる。

「ん?」

こっちを向かせた彼に、今度は私から口づける。
そっと、彼の唇の形を確認してみる。ああ、なんで男の人の唇って、柔らかいんだろう?
私の唇も、こんな風に気持ちいいのかな?
少し、舌を進入させて絡ませてみる。彼の味。やっぱり好き。
いっぱいしても、したりない。どんどん欲しくなっていく。
唇を離すと、彼の耳朶をそっと銜えてみたり。

「くすぐったいよ、こら。」

言われてもやめてあげない。年上の人なのに、かわいいと、もっと悪戯したいと思ってしまう。
柔らかく首筋に口づけながら、思わず彼のシャツのボタンを外しにかかる。

「こーら。」といいつつも、されるがまま。

シャツを脱がし、Tシャツをはぐると厚い、温かい胸板に顔を寄せる。
心臓の音が心地いい。
気持ちいいかな、とか考えつつ、舌を這わす。
ああ、私、すごいいやらしいなぁ。今更ながら思う。でもしたい。して欲しい。

ジーンズを脱がせ、トランクス1枚にする。
なんだ、ちゃんと大きくなってるんだ、三矢さんもしたいんじゃん。
そう思って、直に彼のモノに口づけようとすると、胸に甘い痺れを感じる。

「きゃんっ!!」

服の上から、大きな手のひらで私の胸を包み込み、もみしだく。
それだけでも気持ちいい、と思っていると、服の中へ手を突っ込んでくる。
ブラの上から触って欲しくてたまらなかった小さな突起をきゅっとつまみあげる。
それも両方いっぺんに。
そうかと思うと、すかさずブラの中へ手を入れてきて、胸の弾力を確かめるようにもてあそび、突起の周りを指で辿る。

「んああっ、ダメ、っ・・・。」

このへんから、いつも彼は無口になる。
そして、その代わりに視線を絡ませる。視線で語りかける。イヤラしい言葉を。

『どうしたの?俺のは舐めてくれないの?』

無理に決まってるじゃん、もう、負けてる、私。
彼の悪戯に、彼の視線に追われ始めると、一気に躰から力が抜けていく。
布団にくったりとなった私を、今度は彼が脱がしていく。
あれ?でも、いつもは上から脱がせるのに、何で今日はジーンズから・・・?
そのまま下着まで一緒に、ずるりと足から引き抜くと、彼の膝に私の顔を置き、中途半端な四つんばいの格好に抱え込んだ。

「え、あっ!だめっ!!・・・・・・あぁん!!」

『凄い濡れてる。気持ちいいんだ。もっとして欲しい?』

遅かった。彼、思いっきり、恥ずかしいところ、見てる。

「ぃやっ、お願い、見ないでっ・・・!」

そういったとたん、私と視線を絡めて、穏やかに、意地悪そうに微笑む。

『そうなんだ、分かった。じゃあ、もっとよく見せてごらん。』

分かってない・・・。見ないでって、恥ずかしいって言ってるのに。
そんな思いと裏腹に、彼はますます自分でも分かっている、洪水をおこしているあそこを更に凝視する。
彼のその姿を、恥ずかしくて見られないのに、彼の視線が、彼の表情が、彼の言葉が痛いほどよく分かる。まるで頭の中に直接送り込まれているように。
そしてその痴態を晒していることに、よけいに感じている自分が居る。
気づかれてる。だから私、いつもこの人にいじめられるんだ。
そして、ますます彼を喜ばせてしまうんだ。
そんなことを考える余裕すらうち砕くように、烈しい悪戯が始まる。
クリトリスと膣の間付近を、私から溢れている愛液をすくい取りながら、2本の指でなで回す。
はじめはゆっくり、柔らかく。
次第に、少しずつ力が加わって、速度が速くなっていく。
指を動かすたびに、くちゅくちゅと湿ったイヤラしい音がする。

「あっっ、だめ、ほんとだめ、お願いっ、やめて、っっ、あ、あああーーーーーっっ!!」

腰が跳ねる。声が叫びに変わる。何かが躰の中心を駆け抜けていく。
その瞬間、愛液とは違った液体が、私のあそこからシュワッと吹き出すのが分かった。
いわゆる、「潮吹き」というやつらしい。
初めて彼にそれを見られたとき、

「うわ、出る瞬間初めて見た。凄いね。」

と、変に感心されたもんだった。
それからというもの、彼が私に指で悪戯を仕掛けてくるときには、1回はやられてしまう。
あまりにもひどすぎて、一度布団を買い換えたくらいだった。
それからはそういうときはタオルを敷いてくれたのに、今回は敷いてなかった。
だから、一度で終わると、この後すぐに堅くて熱い彼自身をいれてもらえると、そう思っていた。

でも違った。彼は止めない。むしろさっきよりも指の動き、イヤらしくなっている。
クリトリスからそこ、そこから膣までと、さっきよりも派手な水音を聞かせるように指で弄ぶ。
時折、お尻のすぼまりへと指を運び、愛液をたっぷりつけて優しく、しつこいくらいになで回す。

「ん、んんっ・・・。くふ、ん、ダメ、ぇ・・・。」

ダメって言えば言うほど、彼の指は烈しくなる、そして私は、彼に向かってお尻をつきだしてしまう。

『ここも、感じるよね。そんなにやらしいところばっかりで、どうするの?』
『ああ、また吹き出た。布団、ぐしょぐしょにしちゃうよ。』

涙目で彼の方を仰ぎ見ると、相変わらず穏やかな、でも何か企んでいる微笑み。
視線を合わせてしまうたび、次から次へと視線という言葉で責め立てられる。
その度に「やめて、見ないで」と哀願しても、感度は強まっていき、私の躰は次の快感を貪り出す。
まだ足りないのか、といいたげに、彼の指は何度も何度も私のあそこを犯し、潮を吹かせる。

「あぁぁ、ふぁっ、あん、ああっ、ああーーーーっ!やめっ、やぁっっ!!あ、あ、あ、ああっ・・・。」

一体何回イカされたのだろう。
声は言葉を成さず、ただの叫びとなっている。
目尻からは涙がこぼれ落ちる。
でも、何かが足りない。そう私、1番欲しいモノ、もらってない・・・。

「お願い、お願いだから、もう、入れて・・・。欲しいのぉっ!」

そういうと、ようやく彼は指の悪戯を止める。
手早くゴムを付け、ようやく私の上に着ているものを脱がせる。
改めて、解放されて快感でほんのり赤く染まった胸を手で、唇で愛撫する。
さっきまでの激しい快感と違う、でも、欲情する気持ち。
また、視線が交差する。

『入れて欲しい?あんなに感じてたのに、まだ感じたいの?』

彼に魅入られて、恥ずかしくなる、でも、よけいにあそこからあふれ出るのが分かる。
思わず、語りかけそうな唇に指を差し出す。
彼の唇は、私の指をとらえ、舌で嬲る。

「あ、あぁ・・・。」

その瞬間、私の中心を彼が割って入ってくる。奥まで一気に、でもゆっくりと埋め込まれる。

「あ、ぁああああっっっ!!」

待っていたの、これを。私の中が、一瞬にして満たされる。
凄く、凄く欲しかった。大好きなの。あなたが。
もう、数え切れないほど繰り返している行為なのに。何回しても、したりないの。飽きないの。
もっともっと欲しくなるの。
入れてくれた瞬間、きっと私、1回イッっちゃってる。
でもすぐに、激しくなっていく律動から生まれる、新たな快感に飲み込まれていく。
ぐちゅっ、ぐちゅっと弾けて擦れる水音。
彼の額から流れ落ちて、私の上に降ってくる汗。
もう、うわごとと叫びしか出ない私の声。
絡まる、語りかける、彼の視線。
全てが快感の引き金になり、その全てを零さず食べようと貪欲になる私。

高いところへと押し上げられているとき、空をつかむように伸びた私の左手を、彼が握った。
そして、そのまま2人の繋がっている部分へ、導いた。
思わず彼を見る。

『ほら、そこから手を外しちゃダメだよ。入ってるの、分かるでしょ。俺が凄く堅いのも。君が凄く濡れてるのも。』

あ・・・、なんて、なんてイヤらしくて、でも、愛しい感触・・・。
そう感じた瞬間、彼が

「イクよ・・・。」って、荒い吐息で囁いた。

そして、何かがはじけて、とんだ。

「ああああーーーーーーーっっっっ!三矢、さんっ・・・。・・・・・・・・っっ。」

しばらく、汗ばんだ胸にぎゅうって抱きしめられていた。
少しでも動くと、まるで宝物を握りしめている子供のように力を込めてきた。
ああ、この人は、本当に私のこと好きでいてくれてるんだ・・・。
何故だかよく分からないけど、言葉にはしてくれないけど、ものすごく実感、した。
この先、どうなるか分からない。
でも、この人を大切にしていきたい。そして、私を大切に思って欲しい・・・。
欲深いな、私。
そんなことを考えながら、満たされた気持ちのまま、ひとときの二人の世界に、逃げ込んだ。






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