シチュエーション
![]() ・・・・今ならまだ間に合う・・・・・ ・・・引き返すなら今のうち・・・ 内なる恐れに耳を塞ごう。 ただ、おのれの欲望のみに身をゆだねよう。 さぁ・・・・。 眼前に横たわる、愛しい、恋しい、女性―ヒト―。 起きてくれ、 そして目を覚まして、帰れと言って・・・。 でないと俺は・・・・・。 少しずつ、彼女の体に近づいていく。 酒の酔いに少しだけ高揚した熱さを感じるほど近くまで来る。 しどけない姿で眠る彼女は安心しきったような表情。 俺はその彼女の両腕を頭上でクロスさせるとハンカチで解けないように縛り付ける。そうして片足をもネクタイでベッドに縛り付けた。 「・・う・・・うう・・・ん・・・・」 華奢な足首に絡みつくバーバリのチェックが痛々しい。 体の不自然な動きに焦れたようにゆっくりとまぶたを上げ、焦点の合わない視線を彷徨わせる。 「・・・こ・・・こは・・?・・・」 「家だよ。」 「ん・・・送ってくれたのね。ありがとう・・・・」 冷めたような目で自分を見下ろしてくる男にいぶかしげに視線を上げる。そうして体を動かそうとするときに初めて自分の置かれた状況に気がついた。 「・・・な・・・に・・・・」 「今から、ここで、何を、するか、わかってるよな?」 男の言葉の意図する意味を掴みかね、そうして理解したときに驚愕した。 「・・や・・だ・・・・いや・・・・」 「都合のいい男でいるのはもうたくさんなんだよ。」 そういった男の体が彼女に覆いかぶさる。 「・・やだ・・・やめて・・・いやぁ・・・」 「泣き叫んでも・・・・やめてなんかやらないから。」 体の前面だけをはだけさせると、まだ快楽を示そうとしない胸のふくらみに唇を這わす。 裾野から頂点へ、刷毛でなでるように言葉とは逆の愛撫がいっそう彼女を混乱させる。 「・・やぁ・・・・いやっ!・・・おねがい・・よぉ・・・」 彼女の言葉を無視するように男はスカートをたくし上げ、無防備な下腹部に手を差し入れるとそこから器用に下着を引きおろし始めた。 「・・や!やだ!やめて!いや・・」 自由の利く片足をばたつかせながら男の行為をやめさせようとするが、意に介さず片手で払いのけると、片足を下着から抜き去った。 「・・やぁ・・・・いや・・・・」 この状態で動けば男の眼前に自身がむき出しになることを恐れて彼女は動きをやめる。 そんな彼女を見透かしたように男は足首を掴むと大きく割った。 「いやぁ!!!!」 隠すもののないそこを男の視線が不躾に攻め立てる。じんわりとそこにねめつけるような感触。触れられたわけでもない、ただ執拗にそこを見つめる。 「・・・いやっ!」 視姦されている、その行為に彼女は混乱を隠せない。 ・・・・・なんで?なんで?なんで?・・・・ その混乱は不可思議な感情。彼女の胎内を駆け回り、答えは出ない。 見つめられることへの羞恥心、男としてみたことの無い男へのどうしたらよいのかわからない感情。 ・・・・私は・・・?・・・・ 激情の坩堝に飲み込まれそうになりながら、最後の虚勢を張る。 「・・・・やめてよ!こんなの趣味じゃない。」 「・・・嘘つきだね、貴女は。」 男は続けた。 「知ってたよ、貴女が望むこと、すべて。」 狼狽しながらもかぶりを振る彼女のあごを押さえると自分に向かせる。 「・・・・言ってみろよ、ほら。」 いつのまにかずり下げられた男の下半身に雄雄しく張り詰めた分身が赤黒くそそり立っていた。 「・・・・・・・」 「言わなくても別に構いやしないよ。」 そういうとまだ、潤いの無いと思われるそこへ無理やり突っ込んだ。 「・・・くぅっ・・・・!!!」 「・・・ほら・・・・・思ったとおりだ・・・・」 ぴったりと合わせられていた隙間にねじ込んだときそこはまごうこと無くあふれ出る泉を湛えていた。 「こう、されるのが、好きなんだ。」 男は腰のピッチを上げ始めた。 「やぁ!!いやぁ!!ああ!やめてぇー―――。」 上げつづける悲鳴に、反するように身体は応え、もっとと誘う込むように蠢き、締め付けていく。 「やだ!やめて!いや!」 首を左右に振り、腰を引こうと抵抗をするも、縛り付けられた体ではままならない、 それどころか動くことによって自分の内部に何か湧き上がるのを感じずにはいられない。 彼女はきつく唇を噛みしめ、堪えた。 だが、彼女は気が付かない、堪えなければならないという事実はどういうことかを。 急に男が腰を引いた。 「・・あ・・・・・・」 小さく洩れた声を男は見逃さなかった。 抜かれたあとのそこに男は指を添え、そのまま挿入した。 「・・・・くぅ・・・・」 彼女の唇は赤く紅を差したように艶かしい。 ブラインドタッチのように彼女の胎内をかき回し、ゆっくりと本数を増やしていく。 首を横にそむけ、必死で耐えている彼女の耳元に口を寄せ男は囁く。 「まだ・・・どこまで・・・・」 ・・・・・耐えるつもりだ?・・・・ 最後の言葉はあえて言わなかった。 いつしか彼女の胎内に5本の指が埋め込まれていた。 圧迫感がそこから広がり、彼女を支配していく。 「・・・つらい?・・・・そんなことはなさそうだ・・・ほら・・・・・・」 少し動かすだけでくちゅくちゅと水音を立てるそこ。 「も・・う・・・やめてぇ!!!気がすんだでしょう!!」 彼女は最後の気力をふり絞り叫んだ。 「俺は貴女の都合のいい、道具、じゃないんだ。」 ・・・・そんな・・・そんなこと・・・ 彼女の混乱はさらに奥深く落ちていく。 これ以上なく拡張されたそこを、男は執拗な愛撫を繰り返しながら少しずつ指先を奥へと進めていく。 「・・・やぁ!やめて!それ以上・・はい・・らな・・い・・・・」 息も絶え絶えに彼女は訴えるも、男の攻めは止まらない。指先が深奥のこりこりした部分にまで達し、 爪で引っかくようにつつくと彼女の体がビクンと跳ね、その勢いで手のひらの半分くらいまでが 胎内におさまる。 「・・・・いやぁ!!抜いてぇ!もう・・・いやぁ!!」 男は彼女の足を解放した。それはとりもなおさず男の腕をも自由にした。 彼女の叫びを聞きながら胎内に差し込まれた手を前後に動かし、潤いを楽しむ。 そうして、自由になったもう片方の手で乳房を強く握りつぶす。 「や・・痛い・・・!!!」 緩やかな動きで下腹部へ滑らせる。ひくひくと彼女は男の手を締め付ける。 「痛いだけじゃ・・・ないだろ・・・・」 自分の意志で制御できない、身体だけが一人歩きする。 男の指がクリトリスを捕らえ、弾いた。 「きゃぁぁぁあ!!!!!」 男の手が手首まで彼女の胎内へもぐりこみ、彼女の意識は暗転した。 彼女は下半身に違った違和感を覚え、眼を覚ました。 「失神するほど、よかった?」 冷ややかな言葉が彼女に降り注ぐ。 「じゃぁ、こっちはどうかな?」 男の指が後ろのすぼまりをつつく。 「・・や・・・やめてぇ・・・」 どれくらい気を失っていたのだろうか?潤滑剤を塗りたくられ、そこは男の指を飲み込んだ。 「ひぃ!!・・・・やぁ・・・」 「・・・こっちは初めて?」 前とは違った感覚を彼女に与える男の動き。夢中で頷く彼女に満足げに男が見下ろす。 ずるりと指を抜き取ると同じ潤滑剤を塗られた分身で一気に貫いた。 「いやあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!やめてぇ!!!」 太い杭で串刺しにされたように熱い灼熱で貫かれて、彼女は我を忘れて泣き叫んだ。 「お願い!やめて!いやぁ!やぁ・・・・」 男は指先でクリトリスを舐り始める。 痛みの隙間に快感の波が揺らぐ。 「前からも、大洪水だな。」 羞恥に顔を赤らめ、眼を伏せる、それでも男は攻める手を休めようとしない。 「やぁ・・・いや・・・もう・・・やぁ・・・・」 彼女の声に当初の勢いは無い。男は彼女の蜜を指先で掬うとぺろりと舌で舐め取る。 「こんなにして・・・いやもなにもないなぁ・・・・」 それでも快感の声をあげまいと耐える彼女の唇に蜜を掬わせた指を当てる。 「どんな味?」 彼女は答えない、口を開けたら叫んでしまうから。 「いいよ、別に。」 男はベッドに結んでいた足のネクタイをほどき、自分の上に彼女を持ちあげる。 「ひぃ・・あ・・・・やぁ・・・・」 「もう、こんなのいらない。貴女のだけで十分だ。」 男は彼女の唇を指先でなぞる。隙間から中へと差し入れると、彼女は成すがままに指に絡みついた蜜を含んだ。 それが・・・・・瞬間だった・・・ ・・・・・手に入れた・・・・ ・・・愛しい、恋しい、愛する貴女―ヒト―・・・・・ ・・・・墜ちて・・・いこう・・・ 遠くに朝が聞こえる。 二人には聞こえない。 望むべきものを望み、得るべきものを得た二人に与えられるのは祝福なのか罪なのか。 それはだれにもわからない。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |