求めすぎない契約
シチュエーション


ポトリ・・ポトリ・・

音無き音の落ちていく方向には
ガーネット色の液体・
伝い落ちる源は引き結んだ唇のような真っ直ぐで一文字の深紅の線から・・

これだけ傷つけられて自分を抉りつけてきたのに
何事も無かったような顔であたしを忘れるなんて許さない。
せめて一矢報いるまで、あいつに一生消えない傷を残すまで
私の存在が奴にとっての重みとなって
出逢わなければ良かったという存在になるまで・・・


ACT−1−

深い水音の向にゆらゆらと揺れるは二つの生き物の影

今はただの獣のように互いを貪り食う事に没頭して互いの生殖本能に全てを支配されている・・それでも互いの名を呼ぶのは人という姑息な技術を持って種の保存を成し得ようとする種族の性なのか・・・・
生殖という本能的な作業には無駄でしかない呼称の連呼・・・・。

「優希・・」
「その顔がいちば・・んっ・好きだよ、欲・・と汗でいやらしい顔・・っ・・」

傅いて己に奉仕する女の乳房を愛しげに手に取り熟して主張を始めた物を転がす

「ん・・ふぁっ・・・」

突然与えられた刺激に女は貪りついていたモノを緩んだ口元から零してしまう・・
与えられる刺激の進む方向に変化を感じ、待ち焦がれる部位は湿潤になった下腹で見て取れる。

「やっ・・ん・・やらしい顔なんか・・してなっ・・・!」

辛うじて抵抗する口とは別の場所に与えられる刺激で全ての抵抗は塞がれて消えてしまう
緩く柔らかに与えられる刺激に腰を揺らめかせてしまう癖・・・
快楽の波の中で赤い舌で舐め上げ物欲しげにしてしまう淫靡な唇で発した言葉で抵抗しても
彼と一緒にいることで染み付いてしまった数々の快楽の証言者に敵うはずもない・・
舐め上げる紅い舌を見ながら彼は彼女を翻弄した二本の指を彼女の口内に差し入れる
ネコのように彼女が二本の指を舐め上げるのを見守ってから

「ほら・・やっぱりいやらしい」

小さな木箱の中からTIAMOと書かれたガラスの小さな試験管のようなものから
中身を取り出し先端をカットして火をつける、ゆっくりと火が回っていくと
「それ」からは少しだけ甘い香りがした・・。
上気した彼女の肌の匂いはそれと少し似ていたかもしれない。

「ここにおいで・・」

彼女を膝の上に呼び寄せたのはいつもとなんら変わらない
手元に転がっているものを使うことなんて余り考えてなかった
ただ少し、意地悪がしてみたくなって・・・。
恥ずかしそうに向かい合わせに座った彼女のもっと困った顔を見てみたくて・・

きつめのアルコールを飲み干し彼女を抱いたまま眠る・・
長い時間を一緒に過ごせない二人にはこれが最上の時間だった。
互いの体温を与え合うための近すぎず遠すぎない距離・・


求めすぎない契約


ACT−2−

「!?」

ひやっとした感覚・・冷たい硬いもの・・
転寝をしている間に何かが入り込んできた・・
いや、意図的に何かを侵入させられた・・

「動かないで・・・」

身じろいだ拍子に力の入ってしまった内腿を撫で上げる
小さく発せられた言葉はいつものパートナーの甘美な声
ただ冷たい違和感と嫌悪感が躰を支配する以外に
不安感だけが伴わないのは多分この声のせいだろう

硬くて・・・冷たくて少し強い動き・・

「ねぇ・・・冷たいのは・・嫌・・・」

それでも彼はクスリと笑う・・

「ここはこんなに熱いのに・・いつまでも冷たいままじゃないよ?」
「それとも・・これじゃ役不足かな?」
「・・・・・」

彼は彼女の頤を指先で弄びながら少し意地悪な尋問を始める

「言えないの?この口は咥えたり舐め上げたりすることしかできないのかな?」
「別の場所ならもっと素直に教えてくれるのに・・」

「そんなっ・・」

自分の放った一言が羞恥に火をつける結果を招く
つけられた火がちりちりと身を焦がし舐めまわすように全身に羞恥の華を咲かせていく・・
彼の咥えているCIGERのようにゆっくりと粘膜から伝わって回って柔らかな酔い心地
つけられた火もそれに似てゆっくりと芯までを犯していく
けして性急にはならない、ゆっくりじりじりと・・

「お願い・・冷たいのは嫌なの・・」
「それは聞いたよ、だから・・どうしたいの?言ってくれないと・・」
「冷たいものをどうして欲しいの?冷たくない何がいいの?」
「・・・・・」
「ねぇ、教えてくれなきゃ何もして上げられないよ・・」

いやいやと頭をふって見せる彼女から冷たいガラス管を抜いて膝の上に抱えあげる

ずるりと滑り込む暖かい感触

「ぁ・・んぅん・・」

欲しかったもの・・冷たいガラスなんかじゃない暖かい感触

「いいよ・・優希、暖かくて貪欲で・・」

吐息と嬌声の他には響くもののない部屋の中にもう一つ
くぐもった水音・・
視界に薄く張り詰めた白い霧・・・霧のむこうにおぼろげな白よりも白い光
もうすぐ始まるもう一つの刺激・・

「やぁぁっ!そこはイヤ!」

抽送を繰り返しながら肉芽にやわらかいけれど強い刺激

「そんなに悦んでるのに・・いやなの?」

ふっと突起に加えられていた刺激がやむ
ヤメナイデ・・・
朦朧とした表情で薄く開いた唇を舐め上げる
薄く開いた視界には彼の意地悪な表情

「もっと欲しいの・・・?」

突起を探る手はもう一度動き出す今度は容赦しない
頭の中は白濁していく
だらしなく滴らせた蜜を絡めた指で
小さな主張を始めた突起を操って私を壊す・・・。

これで・・イケル・・・

誰にも飼われる気はないと言ったはずのあたしは
彼に飼いならされてしまった
彼の与える刺激に追いつめられ飼いならされて
もう彼の施してくれる刺激無しでは生きていけない・・

「俺の奴隷になりなさい」

笑い飛ばしたはずの言葉を彼は実践した
彼の毒は私を犯し深刻な中毒症状に堕ちた・・・・

私の負け・・・このまま

「飼いならされるのもいいかもしれない」

そう思ってきたのに彼は消えた・・

「消えた」

のならいい・・・
彼は新しいおもちゃを選んだ・・
私の目の前で・・・新しいおもちゃと私を比べて・・・
惨めだった・・。
まわった毒の分だけ・・・身体が疼いた・・・
メチャクチャになってしまった私の性は憎しみになって彼に向かう・・。
私だけを飼いならして・・私だけを壊して・・・・

何事も無かったような顔であたしを忘れるなんて許さない。
せめて一矢報いるまで、あいつに一生消えない傷を残すまで
私の存在が奴にとっての重みとなって
出逢わなければ良かったという存在になるまで・・・






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